婚約者が幼馴染を愛人にすると宣言するので、別れることにしました

法華

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第三話

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それから数日後。
私は、再びジョセフ様のもとを訪れました。

「どうですか?首尾は」
「うむ。君の言う通り、カールは通信機器を取り上げて宮殿に缶詰めにしておいた。周りには、視察に出かけたことにしてある」

自分が傍観者か、あるいは善意の第三者であるかのように、彼は悪戯っぽく笑ってみせました。私は内心そんな彼を軽蔑しながら、愛想笑いを返します。

「ちゃんと、管理は手薄にしてある。あいつのことだ、すぐに逃げ出すだろうな」
「そうでしょうね」

私は彼の驚き、絶望する顔を想像します。
そう、彼は今、愛しい彼女に会えなくて苛立っている。そんな時、その気になれば自分がいつでも抜け出せることに気づく――。





~カール視点~


「ふん、楽勝楽勝」

僕は玄関の外から宮殿を見上げ、思わず声を漏らした。
今まではちょっと怒るだけだったお父様がこんな強硬手段に出たときは少し焦ったが、こんなに警備がザルなら何の心配もない。

とにもかくにも、ソラに会いに行こう。通信機器を取り上げられたせいで、ここ数日は連絡も取れていない。きっと心配しているだろう。
居場所はちゃんとわかっている。僕が彼女のために用意した、二人の隠れ家。彼女は、きっとそこにいる。

僕は、うきうきしながら走った。今は手持ちも車もないし、運転手もいない。徒歩で向かうには距離があったが、まったく気にならなかった。
彼女に会うためなら、辛いことなんて何一つないさ。

そんな気障なセリフに満足しているうちに、目的の屋敷に着く。
もう日は落ちかけていた。二階の部屋の窓に明かりがついている。

やっぱりここにいたか。
僕はにやりと笑うと、郵便受けの裏に隠してあった鍵で中に入った。

「ソラ、来たよ~」

言いながら二階への階段を登る。
その途中で、ふと何かがきしむような物音が聞こえてきた。

「ソラ?」

階段を登り切り、何気なく部屋の扉を開ける。
そこで、目に飛び込んできたのは。

「ソラ......?」

知らない男とベッドに潜り込んでいる、愛する女の姿だった。

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