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座間涼音の場合

芸術家座間涼音の依頼(6) X-rated

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 妖艶に先生の後頭部に手を回した座間涼音だったが、

(ななななななにやってるんだ僕はーーー! 感情に身を任せて行動するなんて僕らしくないぞ!?)

 激しく取り乱していた。胸を押し付ける行為は彼女にとっても予想外だった。
 恥ずかしくてたまらない。飛び出そうなほどの心音もバレバレになっているだろう。
 それでも先生の頭に回す手は離せなかった。

(だめだ、しばらくは先生の顔が見れない! 今の僕の顔は見られたくないし! このあと、どうしたらいいんだよ!)

 座間涼音にはある計画があった。成功率の低い作戦があった。芸術しか能のない、成功経験のない彼女はおそらくは失敗するだろう。彼女自身にもそれがわかっていた。それがわかっていたとしても行動せざるを得なかった。彼女はそういう人間だったからだ。そしてそれすらも彼女は自覚していた。

(舐めて、って言ったのに……あれから何もない……なんか背中をパシパシ叩き続けるだけで……だけで……)

 ようやく状況が飲み込めた彼女は力を緩めて、先生の呼吸を許した。

「セ、先生、生きてるかい!?」
「はあはあ……生きてますよ……愛する生徒のハグはうれしいですが……死ぬわけがありません」
「あああ、愛するううう!?」

 とあるワードに過剰に反応する。

「ええ、私は教師です。生徒のみんなを愛しています」

 後頭部の髪を引く力が再び強くなる。

「……もう一回ぎゅーってしてもいいですか?」
「お手柔らかに……お願いします」
「冗談だ。ところで先生」
「はい、なんでしょう」
「大きいほうと小さいほう、どっちが好きなんだい?」
「それは何の話でしょう?」
「おいおいおいおい、かまととぶるつもりかい? この流れなら胸の話に決まってるだろう?」
「そうでしたか、気が回らなくてすみません」
「それで、どっちが好きなんだい? 

 そう牽制を入れたのだが、

「好きも嫌いもありません。どれも等しく魅力的だと思います」

 先生はそう答えた。

「……はあ、おおむね予想通りか」
「それよりも先ほどのお願いですが、舐めればよろしいんですよね?」
「あぁ、確かにそうは言ったが──」
「それでは失礼します」

 先生は舌の先で器用に小さな乳首を舐めまわした。

「ひぃんっ」

 不意打ちの快感に全身をのけぞらせた。

「こ、こら、勝手に舐めるんじゃない……」
「おや? 舐めるように言ったのはご自身ですよ?」

 ここぞとばかりに熱く大きな舌で小ぶりな輪をねぶる。

「ちょ、せんせ、いっ」

 どろりと溶けてしまいそうなほどの熱量がしつこく責めてくる。

「はあ……んっ……やめ」

 末端を少しいじられるだけで全身が蕩けてしまう。
 先生は舌だけで生徒を初体験にも関わらず巧みに転がす。

(くぅ、だめ、このままだと先生のペースになってしまう……!)

 肩に手を置こうとするも一旦外してしまう。もう一度手をかけなおして距離を置いた。

「ストップだ! そこまでしてもいいとは言っていない!」
「おや、もうよろしいのですか? ずっと胸を押し付けられていたのでもっと舐めてほしいのかと思っていました」

 先生はけろっとした顔で言う。

「こ、この男は……!」

 ほぼ事実なので言い返そうにも言い返せない。あのまま行けば完全に落ちていたかもしれない。
 それだけの快感だった。惜しいと感じてしまうほどの時間だった。
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