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5章 決着

結婚式

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 早咲きのサクラが舞い、快晴の空を彩っています。天気までが私たちを祝福してくれているようです、とは少し傲慢でしょうか。

 グレシアナでの騒動から約半年。季節は春に移り変わりました。


 今日、私はルークと結婚します。
 そして正式に王妃となります。


 王都の中央、大小様々な植物と色とりどりのレンガを敷き詰められたここは、ハルティア王国内でも有数の華やかさを誇っています。ハルティア王族は代々、この広間で国民に見られながら結婚式を挙げるのです。

 ウエディングドレスは、ふんわりとした春らしいデザインのものを選びました。首元や腕までレースで覆われ、露出は控えめです。所々緑色の糸が入っているのは夫となるルークの色。長いトレーンがカーペットに広がると、そこからまたため息を着くほど美しいレースが見えます。
 空色の髪はローシニヨンのスタイルに、お母様から貰った髪飾りをつけました。大小のエメラルドが散らされたそれは、可愛らしいですが値段は全く可愛らしくない代物です。何でもエメリック家の女性の結婚式に代々使われているいるものなのだとか。



 ファンファーレが鳴り響き、私は真っ白なバージンロードを歩いていきます。対側からはルークが歩いてきます。

 バージンロードは人生を意味し、白は、清廉潔白な心と、これからは夫婦で人生を染めていくということを表しています。
 道の中央でルークと向かい合えば、そこは人生の分岐点。ここからバージンロード人生は一本になり、二人のものになります。
 方向を変え、一つの道を二人揃って広間の中央へ向かいます。広間から見ても、地図的に見ても、そこがハルティア王国の真ん中です。

 ルークと繋いでいる手が、熱を帯びています。嬉しさと、気恥しさと、少しの寂しさと、やっぱり嬉しさ。彼も、きっと同じ気持ちですよね。

「私、ルーク・ハルティアは、ここにいるレイ・エメリックを妻とし、いついかなる時も、この命尽きようと、彼女を支え敬い愛することを誓います。」
 手を繋いだまま、ルークは誓いの言葉を述べてしまいました。予定と違うのはご愛嬌ですかね。

 ハルティアは宗教活動が豊かではありませんから、結婚式の立会人になる司祭や、永遠の愛を誓う神などはいません。ですから二人で共に、二人で考えた言葉で、王国民に誓うのです。

「私、レイ・エメリックはここにいるルーク・ハルティアを夫とし、いついかなる時も、この命尽きようと、彼を支え敬い愛することを誓います。」

 この誓いが破られることは永遠に無いでしょう。それこそ、この命が尽きようと。それだけ重みのあること婚姻を、私たちはするのですから。
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