150 / 181
5章 決着
指輪と口付け
しおりを挟む
誓いの言葉を述べ終わると、今度は指輪の交換を行います。
結婚式では、自らの瞳の色を使った指輪を贈るのが習わしです。そのため私は緑色の、翡翠の指輪を受け取ります。もちろんルークから直接つけてもらいました。触れ合った指先が、ほのかに熱を持った気がしました。
この日の為に、指先まで磨き上げてもらったかいがあり、肌に翡翠が映えて輝いています。
そして私も、ルークに指輪を贈りました。その指輪は、台座に澄んだアクアマリンをはめています。
ずっとずっと、この容姿が好きではありませんでした。この瞳と髪が、全く別の色に変わってしまえばいい、そう願ったことは何度もありました。
両親に少しも似ていない、不気味な色。生まれてきたせいで、虐げられるようになった色。生まれ損ないの色。
けれど今は、断言できます。私が私であるために、この容姿も大切なものだと。祖母から受け継いだ、この空を映したような色彩が、私の誇りです。
アクアマリンにめいいっぱいの気持ちを込めて、ルークの指にはめました。
ふと後ろから盛大に鼻をかむ音が聞こえてきました。多分お父様ですね。入場の時から早くも涙ぐんでいましたから。
式はつつがなく進み、残すは最後です。皆の前で誓いのキ、キスを、します。
顔のヴェールが上げられました。青く澄み渡った空と、ルークの緑色の瞳が目に飛び込みます。
ルークは戴冠式ともまた違う正装をまとっていました。髪型も普段見ない、凛々しくかきあげたもので、見慣れたはずの表情でもドキドキしてしまいます。ですが微かに頬が上気しているのが、また彼らしいなと思いました。
ルークの右手が頬に触れます。春の優しい風が髪を撫で、それと同時にルークの顔が近づいてきます。心臓は今にも破裂しそうです。その瞬間は、全ての時間がゆっくり流れているかのように感じました。
そして、唇と唇が触れ合いました。
柔らかくて、あたたかい。目を開けると、翡翠の瞳に吸い込まれそうになります。愛しい人と、初めての口付け。幸せな気持ちで胸がいっぱいになりました。やっぱり、心臓はうるさく早く大きく鳴り響いています。
唇を離すと周囲から拍手喝采が上がりました。一瞬、ルークが物惜しげな顔をしていたのは、私しか知りません。けれど、私も同じような顔をしていたのかもしれません。
どちらにせよ、二人だけの秘密なのですよ。
結婚式では、自らの瞳の色を使った指輪を贈るのが習わしです。そのため私は緑色の、翡翠の指輪を受け取ります。もちろんルークから直接つけてもらいました。触れ合った指先が、ほのかに熱を持った気がしました。
この日の為に、指先まで磨き上げてもらったかいがあり、肌に翡翠が映えて輝いています。
そして私も、ルークに指輪を贈りました。その指輪は、台座に澄んだアクアマリンをはめています。
ずっとずっと、この容姿が好きではありませんでした。この瞳と髪が、全く別の色に変わってしまえばいい、そう願ったことは何度もありました。
両親に少しも似ていない、不気味な色。生まれてきたせいで、虐げられるようになった色。生まれ損ないの色。
けれど今は、断言できます。私が私であるために、この容姿も大切なものだと。祖母から受け継いだ、この空を映したような色彩が、私の誇りです。
アクアマリンにめいいっぱいの気持ちを込めて、ルークの指にはめました。
ふと後ろから盛大に鼻をかむ音が聞こえてきました。多分お父様ですね。入場の時から早くも涙ぐんでいましたから。
式はつつがなく進み、残すは最後です。皆の前で誓いのキ、キスを、します。
顔のヴェールが上げられました。青く澄み渡った空と、ルークの緑色の瞳が目に飛び込みます。
ルークは戴冠式ともまた違う正装をまとっていました。髪型も普段見ない、凛々しくかきあげたもので、見慣れたはずの表情でもドキドキしてしまいます。ですが微かに頬が上気しているのが、また彼らしいなと思いました。
ルークの右手が頬に触れます。春の優しい風が髪を撫で、それと同時にルークの顔が近づいてきます。心臓は今にも破裂しそうです。その瞬間は、全ての時間がゆっくり流れているかのように感じました。
そして、唇と唇が触れ合いました。
柔らかくて、あたたかい。目を開けると、翡翠の瞳に吸い込まれそうになります。愛しい人と、初めての口付け。幸せな気持ちで胸がいっぱいになりました。やっぱり、心臓はうるさく早く大きく鳴り響いています。
唇を離すと周囲から拍手喝采が上がりました。一瞬、ルークが物惜しげな顔をしていたのは、私しか知りません。けれど、私も同じような顔をしていたのかもしれません。
どちらにせよ、二人だけの秘密なのですよ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,569
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる