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2章 次代へ
21.朱に交われば
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「ジョルノ、ジークは帰ってきてるんでしょ!?」
「エリーゼ、それがどうかしたのか。」
「どうして公爵家に会いに行ってるのに、会わせてもらえないのよ!」
あの日だけじゃなく、エリーゼはたびたび公爵家に押しかけてきては、
衛兵たちに追い返されているらしい。
レガールの王女が滞在しているということで、陛下の命令で衛兵がついている。
エリーゼが我がまま言っても、中には入れてもらえないだろう。
「お可哀そうに、エリーゼ様。
こんなに想い合っているというのに、
嫌がらせで会わせてもらえないだなんて。
本当にお気の毒ですわ。
ジョルノ様、会わせてあげることはできませんの?」
いつの間にか仲良くなったらしい公爵令嬢がエリーゼに同調する。
それに合わせて、後ろの侯爵令嬢2人がうんうん頷いている。
ホント、こいつらはめんどくさい。
その後ろに引っ付いている伯爵令嬢が一番めんどくさいんだけどさ。
「無理だな。ジークはエリーゼが嫌いなんだ。
会う気なんて無いだろうな。」
「どうして、そんな嘘を言うの!?」
「お前さ~いいかげんにしろよ。
だいたいにして、最後に会ったの7歳の時だろう?
もう成長しちゃって顔とかも違うのに、どこを好きだって言えるんだよ。
手紙のやり取りどころか、まともに話したことすらないだろう。」
さすがに公爵令嬢も驚いた顔をする。
エリーゼが好き勝手に言ってるのを信じていたんだろう。
「知ってるか?
エリーゼは7歳の時に他国の王女を突き飛ばしてけがをさせた。
それなのに謝りもせずに怒鳴り散らしたんだ。
ジークはそれに怒って、それ以来会おうとしない。
当然だ。俺だって、そんな礼儀知らずの令嬢はごめんだね。」
「…。」
もう誰も言い返さなかった。
「…もういいわよ!」
エリーゼがそのまま去ろうとするのに、令嬢たちも慌ててついていく。
その時に一番後ろにいた伯爵令嬢だけが、
こちらに向かって軽く礼をして去って行った。
「セフィーヌ嬢、今日も可愛いですね。」
近くにいた侯爵家の令息が感想をもらす。
周りにいた令息たちの何人かは、そう思っているようだった。
「俺はごめんだね。ああいう令嬢が一番怖いよ。」
「え?どうしてですか?」
「俺は最初に言ったよな。エリーゼの命令は聞かなくていいと。
だから、命令されて一緒にいるなら離そうと思って調べたが、
あの令嬢からエリーゼに近づいている。
無理やり仲間にされているわけではない。
普段はエリーゼに気に入られようと耳障りのいいことだけを言って、
その利益をうけているくせに、
こういう時だけ私は違いますって顔で申し訳なさそうに礼をしていく。
ああいう令嬢に騙されると痛い目にあうぞ。」
怖い、の意味がわかったのだろう。
令息たちの顔が青ざめていく。
ここにいる令息たちに婚約者はいない。
俺とジークの婚約が決まれば、令息たちに婚約話がくるようになるだろう。
その時にああいうのには引っかかってほしくない程度には、
学園での友人として大事な仲間だった。
今度会う令嬢が、ああいうのじゃないといいな…。
「エリーゼ、それがどうかしたのか。」
「どうして公爵家に会いに行ってるのに、会わせてもらえないのよ!」
あの日だけじゃなく、エリーゼはたびたび公爵家に押しかけてきては、
衛兵たちに追い返されているらしい。
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エリーゼが我がまま言っても、中には入れてもらえないだろう。
「お可哀そうに、エリーゼ様。
こんなに想い合っているというのに、
嫌がらせで会わせてもらえないだなんて。
本当にお気の毒ですわ。
ジョルノ様、会わせてあげることはできませんの?」
いつの間にか仲良くなったらしい公爵令嬢がエリーゼに同調する。
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「無理だな。ジークはエリーゼが嫌いなんだ。
会う気なんて無いだろうな。」
「どうして、そんな嘘を言うの!?」
「お前さ~いいかげんにしろよ。
だいたいにして、最後に会ったの7歳の時だろう?
もう成長しちゃって顔とかも違うのに、どこを好きだって言えるんだよ。
手紙のやり取りどころか、まともに話したことすらないだろう。」
さすがに公爵令嬢も驚いた顔をする。
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「知ってるか?
エリーゼは7歳の時に他国の王女を突き飛ばしてけがをさせた。
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ジークはそれに怒って、それ以来会おうとしない。
当然だ。俺だって、そんな礼儀知らずの令嬢はごめんだね。」
「…。」
もう誰も言い返さなかった。
「…もういいわよ!」
エリーゼがそのまま去ろうとするのに、令嬢たちも慌ててついていく。
その時に一番後ろにいた伯爵令嬢だけが、
こちらに向かって軽く礼をして去って行った。
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近くにいた侯爵家の令息が感想をもらす。
周りにいた令息たちの何人かは、そう思っているようだった。
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「え?どうしてですか?」
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だから、命令されて一緒にいるなら離そうと思って調べたが、
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その利益をうけているくせに、
こういう時だけ私は違いますって顔で申し訳なさそうに礼をしていく。
ああいう令嬢に騙されると痛い目にあうぞ。」
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俺とジークの婚約が決まれば、令息たちに婚約話がくるようになるだろう。
その時にああいうのには引っかかってほしくない程度には、
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