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第四章
外国人のオーバーリアクションにびくってなる
しおりを挟む「主様に矢を放った……っ」
「神王様に攻撃しやがった!!」
ショコラとジュリアス君の目の色が変わる。
ブチギレ寸前のようになっているが、この矢は攻撃ではなく警告だろう。
これ以上侵入すると本気で攻撃するぞというアレだ。だからこそ当たらないように少し離れた所へ矢を飛ばしたのだろう。
「こらこら2人共、暴走しないで」
「そうそう。さっきの矢はこれ以上ちかづくなっていう警告だよ~。熱くならないで」
トモコも分かっているのかそう言って2人を諌める。
しかしショコラは爬虫類特有の瞳に変わり、前方を睨みつけていた。
「警告であろうと主様に武器を向ける者は敵です。排除します」
「そうそう。畏れ多くも神王様に矢をいったんだ。それだけで死刑に値する」
この子達の忠誠心が重いんですけどぉぉ!?
「私は怪我一つないから、大丈夫だから落ち着いて!」
止めるが2人の殺気はどんどん膨れ上がっていく。
ドサッと前方の木から何かが落ちた音が聞こえ、驚いて見れば人が地面に倒れ伏していた。しかも次々と木から人が落ちていく。
人型の実が成る木!? と一瞬頭をよぎったが、そんなものがあったら気持ち悪すぎると頭を振った。
「ショコたんとジュリちゃんの殺気にあてられて気絶してるみたいだよ…」
引きつった顔で私を見てくるトモコから目をそらし、さっき貧血で倒れてまだ目を覚ましていないデリキャットさんを見る。
多分あれはエルフ族だと思うから、デリキャットさんに何とかしてもらいたいんだけど早く目覚めてくれないかなぁと、全てデリキャットさんに押し付けようとしている私は酷いだろうか…。
「主様、奴らを捕らえました」
いつの間にか木から落ちた人間を何処から出したのかロープで縛っていたショコラに声をかけられた。
「早ッ って違う! そうじゃないよショコラっ」
傷付けなかったのは偉いけど、その人達はこれから浮島に住んでもらう予定の人達!! 縛っちゃダメ!!
「ダメですか~?」
「う…可愛く言ってもダメです! とりあえず縛らずに攻撃出来ないよう体が硬化するようにしとくから。ね?」
「みーちゃん、それ縛るのと何が違うの?」
何とかショコラを説得し、ロープをほどいたので気絶している人達が何も出来ないように身体を硬化させる。勿論安全性を重視していますのでご安心下さい。
しかしこの倒れている人達は皆、揃いも揃って美人である。
デリキャットさんには劣るが、トモコ並みの美人だ。
髪の色はデリキャットさんの銀髪とは違い、プラチナブロンド、ストロベリーブロンドと金寄りの色合いだ。
耳は尖っていて色白で、スラッとしたモデル体型はザ・エルフという感じでドキドキする。
「ぅ、ん…」
色っぽい声を出して、他のエルフ族よりも先にデリキャットさんが目を覚ました。
「あ、デリキャットさん大丈夫ですか?」
「!? 私は……ハッ し、神王様の御前で…っ私は何と失礼な事をしてしまったのか!!」
私の顔を見た途端土下座をしたデリキャットさんを見て呆気に取られてしまう。彼は「申し訳ございません」と謝っているが何に謝られているのか分からない。
「あの、よく分からないですが失礼な事は何もされていないのでどうか立ち上がってください」
と手を差し出せば益々恐縮…いや、それを通り越して真っ青な顔色になったので「やっぱり横になってください」と言い直したのだ。
土下座で貧血が悪化したのだろう。
「やはり私は神王様に無礼を働いてしまったのですね…っ」
と泣きそうな表情で訴えられたが、途中でトモコが爆笑しながらデリキャットさんに話し掛け、私に任せろという顔をこっちに向けてきたので任せる事にした。
多分貧血に効く回復魔法をかけるのだろう。
私がやってもよかったのだが、デリキャットさんは神王という肩書きに敏感なようなので、私が何かすると大げさに感謝されそうだった為止めておいたのだ。
実は私は、外国人のオーバーリアクションとハイテンションが怖い。
幼い頃母に連れられて体験入学した英語教室のあのテンションの高さについていけなかったトラウマが尾を引いているのかもしれない。
なのでオーバーな態度をとられると固まってしまうのだ。
決して嫌ではないが、何が起きているんだ!? と脳がパニックを起こしてしまう。
ちなみに着ぐるみに近付かれてもそうなるので、ゆるキャラ達に関しては遠くから見て楽しみたいものだ。
自分でもよくわからない回想をしてしまったが、とにかくデリキャットさんには元気になってエルフ達を説得してもらわなければならない。
初対面で殺気を放って気絶させてしまったが、エルフとの対話が上手くいくといいなぁと、気絶しているエルフ達を険しい目で見ているショコラとジュリアス君から顔をそらし、天井を見上げた。
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