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ズボラライフ2 ~新章~
閑話 ~もしも主人公が20才の時に転生していたら8~
しおりを挟む「あの…………どちら様ですか?」
知り合いみたいに話しかけてきたけど、こんな人間離れした人達知らないんですけど。
「「『!!!!?』」」
え、すごいショック受けた顔してるんだけど。あ、何か2人と1匹で話し合い始めた。
「ちょっと! どういう事よっ 神王様、アタクシ達の事全く覚えてないじゃない!?」
『お主はもはや別人の何かだから仕方ないにしても、私の事も覚えていらっしゃらぬとは……』
「確かに異界にいらっしゃる時は全て忘れておられたが……まだ思い出されていないようだ」
何だろう。前にもこういう風景を見た覚えがあるような無いような……。
既視感を感じていると、話し合いを終えた2人と1匹が突然私の前に跪いた。それに驚いて一歩下がってしまう。
「神王様。アタクシは創世の第1神である竜神、ランタンと申します。神王様のご誕生、心よりお喜び申し上げます」
『第2神、獣神ヴェリウスと申します。神王様のご誕生をお待ち申し上げておりました』
「わが君。第6神、人族の神アーディンと申します。貴女様のお世話係を務めさせていただく者です。何なりとお申し付けください。そしてわが君のご誕生、心よりお喜び申し上げます」
「ちょっと!! どさくさに紛れてずるいわよ!!」
『神王様のお世話をするのは私だ』
なんと、この2人と1匹は神様だった!!
確かにそう言われればうっすら光ってるような……あれ? アーディンっていう人、靄がかかってる。なんかこの靄、邪魔だな。消えろ、消えろ。あ、消えた。うん。キラキラだ。
「!? これは……っ わが君、穢れを払っていただきありがとうございます。気付かぬうちに私は穢れを纏っていたのですね……っ」
穢れ? もしかしてさっきの靄?
「穢れですって!? ちょっと、あんた大丈夫なの!?」
『騒ぐなランタン。神王様がすでに払ってくださっている』
「ヴェリウスの言うとおりだ。私は大丈夫なので心配しなくていい。すっきりした気分だ」
何だか良い事をしたらしい。それより、さっきから言ってる“シンオウサマ”って何だろう? どうも私の呼び方っぽいけど……そもそも、神様がなんで私に跪いてるの??
「そうだ。わが君のお好きなお菓子を作ってきたのです。宜しければいかがでしょうか?」
え、神様の手作り菓子?
というわけで、手土産を持ってきてくれたので、それをお茶請けに庭でお茶会です。
「うわぁ、プリンだぁ!!」
「はい。わが君もトモコも、ぷりんというお菓子がお好きですよね?」
「トモコ!? え!? トモコを知ってるんですか!?」
異世界の神様とトモコが知り合い!? いや、あの子ならあり得る気もする。
「実は、トモコは私のつがいなのです」
また“つがい”!?
「アーディンのつがいですって!?」
『ほぅ。どういった者なのだ?』
興味津々で身を乗り出した1人と1匹に、アーディンさんはにこやかに惚気た。
全く知らない人達だったけど、お茶会をしているうちに家族みたいに馴染んできて、懐かしささえ感じてきた刹那、記憶がフラッシュバックしたのだ。
「あれま…………わしは、おぬしらにずいぶん迷惑をかけてしまったようじゃのう」
「「『神王様(わが君)!!!? 記憶が戻られたのですか!?』」」
全て思い出した。
私はこの世界を創った創造主で、この2人と1匹は私の創り出した10神だ。
そんな私がどうして地球で生きていたかというと、今から数万年前、創造主の飲み会で“地球の”の所に行った際、酔っぱらった“調味料の”にぶつかられて地球に転生してしまったからだ。
しかもその時、創造主連中が神を創造する過程を見たいというので、アーディンの労いの為にサプライズで用意したつがい女神の核を持ってきていた。つまりそれもいっしょに地球で授肉してしまい、“トモコ”として生まれてしまったのだ。
「マズいのぅ……」
このままではトモコは、10年、20年で壊れてしまう。何しろ“核”は私が創ったもの。身体は地球産でも中身は“地球の”が創ったものとは違うちぐはぐさに耐えられないだろう。
かといってこちらに連れて来ても、身体は地球産。身体の方が保てない。
「わが君? 何か問題でもございましたか?」
「うむ……トモコの事じゃが━━━……」
アーディン達に説明すれば、アーディンの顔色は見る間に真っ青になっていった。
「サプライズでつがいを用意してたですって!? 神王様っ アーディンばかりズルいですわ!!」
『私には? 神王様、私にもサプライズありますよね?』
その返し、甘えん坊のヴェリウスは予想通りだった。しかし、まさかランタンがそう言ってくるとは思わなかった。昔と随分……中身も外見も変わってしまっている。
「お前たち、今はそんな事を言ってる場合ではないじゃろう。アーディンを見てみなさい。今にも倒れそうじゃ」
この場でアーディンだけが悲惨さを醸し出している。
『アーディン、安心しろ。神王様なら何とかして下さる』
「そうよぉ。だって他でもない、神王様ご自身が異世界から帰ってくる事ができたんですもの。貴方のつがいくらい簡単にこっちへ連れて来れるわよ」
「っヴェリウス、ランタン……」
2人と1匹からものすごく期待のこもった目でみられているではないか。
「方法が無い事もないんじゃが……」
「!! わが君、それはどのような方法でしょうか?」
「うむ。殺して、魂だけの状態にするんじゃ」
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