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魔人
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魔帝が生み出した召喚獣。それが魔人であり魔獣。
魔獣は本能のまま暴れ、魔人はヒトの姿を持ち高度な知性を持つ。
魔人も召喚獣。ゆえに、等級が存在する。
「ヒヒヒ……召喚士どもめ」
とある地方の山脈に、一人の魔人がいた。
黒い肌、長い白髪、人ではあり得ないツノを持ち、両手に爪が長く伸びている。
魔人はゆっくり手をかざすと、そこから炎の塊が出た。
炎は、近くの岩に発射され岩を粉々に砕く。
「もう我慢できない……オレが喰ってやる。兄上、姉上は『まだ早い』とか言ってたけど……芳醇な人間の香りがプンプンするぅ……もう、我慢できねーぜ!」
魔人の手が燃えていた。
魔人は、『魔法』と呼ばれる変幻自在の力を操る。
この魔人は炎を操ることができるようだ。
「ニンゲン、食いたい……ああ、魔帝様が復活するまでなんて待てねぇよぉ~……腹ぁ減ったぁ」
魔人は飢えていた。
魔人としてはまだかなり若い。だが、その力は強力だ。
魔帝が生み出した召喚獣は、最低でもB級以上の力を持つ。
この若い魔人も、B級以上の力を持っているようだ。
「えーっと……『アースガルズ、なんちゃら?』には近づくな、だっけ? 兄上も姉上もビビりすぎなんだよなぁ……魔帝様の復活まで身を隠せとかさぁ」
魔人は首をカクカクさせながら頷いた。
軽く口笛を吹いただけで、魔人の背後には魔獣の大群が集まる。
「クヒヒ、せっかくだ。腹ごしらえの前に準備運動だ! この辺の町で大暴れしてやるぜ」
魔人は軽く地面を蹴ると、その身がフワリと浮き上がった。
空中で目を見開き……細める。
「みっけ。いるわいるわ、人間ばっかり……でも、マズそう……もっと純度の高い人間いねーのかなぁ」
魔人はつまらなそうに言う。
だが、その口元は嗤っていた。
「じゃ、準備運動と行きますか……クヒヒ、この魔人アベルの贄となれ、人間」
魔人アベルは、魔獣に命令した。
命令はとてもシンプルだった。『町を襲え』とだけ。
魔獣が町を暴れまわり、人々が逃げまどい……魔獣を討伐すべく、町に常駐している召喚士たちが討伐に当たる。
アベルはそれを見ると、その召喚士たちの戦いに割り込んだ。
「おっじゃまぁ~……やぁ人間、腹ぁ減ったな?」
「な……なんだ貴様!?」
召喚士の数は二十名ほど。
全員が、獣やヒト型の召喚獣を操り、魔獣たちと戦っている。
アベルは匂いをクンクン嗅ぐと、少しだけ落胆した。
「うっすぅ……どれも薄味じゃん。まぁこんな田舎の雑魚ならしょうがねぇなぁ」
「貴様、何者だ!!」
召喚士のリーダーがアベルに聞くが、アベルはつまらなそうにリーダーに手を向けた。
「もういいよ。とりあえず死ね」
「え───」
そして、リーダーが爆散した。
アベルは飛び散った肉片の一つを掴み、口の中へ。
「ん、まっず……まぁ、前菜くらいにはなるかぁ」
「な、なんだこいつ……しょ、召喚獣を出さずに」
「ま、待て……もしかして、こいつ」
一人の召喚士が気付いた。
そして、一気に青ざめ……ポツリと呟いた。
「まさか……ま、魔人……?」
「お、せいか~い」
アベルは小馬鹿にしたように笑い……召喚士たちに手を向けた。
◇◇◇◇◇◇
召喚士たちは、数分もたず全滅した。
爆散し、燃え、身体が引き裂かれ……凄惨な光景が広がっていた。
魔獣たちも、町で大暴れして住人の大半を食っていた。
アベルは、町の中央にあった噴水に飛び込み、子供のようにバシャバシャ暴れる。
「っくは、つめてぇ!……はぁ、つまんね。もっと濃い味の肉、食いたい」
アベルはペロリと舌なめずりし、空を見上げた。
そして……ニヤリと笑う。
「アースガルズだっけ……行ってみますかぁ」
アベルは、再び舌なめずりをした。
魔獣は本能のまま暴れ、魔人はヒトの姿を持ち高度な知性を持つ。
魔人も召喚獣。ゆえに、等級が存在する。
「ヒヒヒ……召喚士どもめ」
とある地方の山脈に、一人の魔人がいた。
黒い肌、長い白髪、人ではあり得ないツノを持ち、両手に爪が長く伸びている。
魔人はゆっくり手をかざすと、そこから炎の塊が出た。
炎は、近くの岩に発射され岩を粉々に砕く。
「もう我慢できない……オレが喰ってやる。兄上、姉上は『まだ早い』とか言ってたけど……芳醇な人間の香りがプンプンするぅ……もう、我慢できねーぜ!」
魔人の手が燃えていた。
魔人は、『魔法』と呼ばれる変幻自在の力を操る。
この魔人は炎を操ることができるようだ。
「ニンゲン、食いたい……ああ、魔帝様が復活するまでなんて待てねぇよぉ~……腹ぁ減ったぁ」
魔人は飢えていた。
魔人としてはまだかなり若い。だが、その力は強力だ。
魔帝が生み出した召喚獣は、最低でもB級以上の力を持つ。
この若い魔人も、B級以上の力を持っているようだ。
「えーっと……『アースガルズ、なんちゃら?』には近づくな、だっけ? 兄上も姉上もビビりすぎなんだよなぁ……魔帝様の復活まで身を隠せとかさぁ」
魔人は首をカクカクさせながら頷いた。
軽く口笛を吹いただけで、魔人の背後には魔獣の大群が集まる。
「クヒヒ、せっかくだ。腹ごしらえの前に準備運動だ! この辺の町で大暴れしてやるぜ」
魔人は軽く地面を蹴ると、その身がフワリと浮き上がった。
空中で目を見開き……細める。
「みっけ。いるわいるわ、人間ばっかり……でも、マズそう……もっと純度の高い人間いねーのかなぁ」
魔人はつまらなそうに言う。
だが、その口元は嗤っていた。
「じゃ、準備運動と行きますか……クヒヒ、この魔人アベルの贄となれ、人間」
魔人アベルは、魔獣に命令した。
命令はとてもシンプルだった。『町を襲え』とだけ。
魔獣が町を暴れまわり、人々が逃げまどい……魔獣を討伐すべく、町に常駐している召喚士たちが討伐に当たる。
アベルはそれを見ると、その召喚士たちの戦いに割り込んだ。
「おっじゃまぁ~……やぁ人間、腹ぁ減ったな?」
「な……なんだ貴様!?」
召喚士の数は二十名ほど。
全員が、獣やヒト型の召喚獣を操り、魔獣たちと戦っている。
アベルは匂いをクンクン嗅ぐと、少しだけ落胆した。
「うっすぅ……どれも薄味じゃん。まぁこんな田舎の雑魚ならしょうがねぇなぁ」
「貴様、何者だ!!」
召喚士のリーダーがアベルに聞くが、アベルはつまらなそうにリーダーに手を向けた。
「もういいよ。とりあえず死ね」
「え───」
そして、リーダーが爆散した。
アベルは飛び散った肉片の一つを掴み、口の中へ。
「ん、まっず……まぁ、前菜くらいにはなるかぁ」
「な、なんだこいつ……しょ、召喚獣を出さずに」
「ま、待て……もしかして、こいつ」
一人の召喚士が気付いた。
そして、一気に青ざめ……ポツリと呟いた。
「まさか……ま、魔人……?」
「お、せいか~い」
アベルは小馬鹿にしたように笑い……召喚士たちに手を向けた。
◇◇◇◇◇◇
召喚士たちは、数分もたず全滅した。
爆散し、燃え、身体が引き裂かれ……凄惨な光景が広がっていた。
魔獣たちも、町で大暴れして住人の大半を食っていた。
アベルは、町の中央にあった噴水に飛び込み、子供のようにバシャバシャ暴れる。
「っくは、つめてぇ!……はぁ、つまんね。もっと濃い味の肉、食いたい」
アベルはペロリと舌なめずりし、空を見上げた。
そして……ニヤリと笑う。
「アースガルズだっけ……行ってみますかぁ」
アベルは、再び舌なめずりをした。
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