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いつかまた会える日まで
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二年後───……。
◇◇◇◇◇◇
学園を卒業後。アルベロはイザヴェル領地へ移住。
バーソロミューから領主を引き継ぎ、領主の仕事をしながらのんびり過ごしていた。
アルベロは、十八歳になった。
現在、執務室で書類を書きながら、窓の外を見る。
すると、執務室のドアがノックされ、ティーカートを押したユイシスが入ってきた。
「失礼いたします。お茶をお持ちしました」
「ん、ありがとう。ところで、アーシェは?」
「奥様でしたら、ラピス様、シン様と一緒に、リデル様の元へ遊びに」
「いいなー……俺も行きたい」
「仕事がありますので」
「だよなぁ」
最近、アーシェたちはよくリデルの元へ遊びに行っている。
理由は、リデルが妊娠したからだ。
しかも二人目。一人目はまだ一歳になったばかりの女の子である。
「二人目かぁ……まさかリデル、在学中に妊娠するとはな」
「キッド様のお手が早かったようで」
「あはは。あいつ、めっちゃ焦ってたよな」
リデルの妊娠が発覚したのは、キッドとリデルが恋人になって一年後。
キッド十九歳。リデル十八歳のころだった。
二人とも卒業資格を得ており、そろそろ学園を卒業する……まさにその話をしている最中、リデルが苦しそうにしていたところで発覚したのだ。
二人は卒業。アースガルズ王国で静養、出産という話もあったが、リデルが「イザヴェル領地に行きたい」というので、二人は仲良く移住したのだ。
そして、女の子が生まれたと授業中に報告を聞き、全員で喜んだのを覚えている。
ちなみに、レイヴィニアとニスロクはキッドたちに付いて行った。
「次は男かな? 女かな」
「大丈夫です。どちらの場合でも、贈り物は万全ですから」
「よし、さすがユイシス」
「いえ。ところで……旦那様はまだですか?」
「…………頑張ってはいるよ」
ちなみに、アルベロのところはまだだ。
夜の営み。リデルが妊娠してから妻たちは積極的であった。
「さ、さて! 気分転換を兼ねて、キッドのところに行くかぁ!」
アルベロは立ち上がり、出かけるべく部屋を出た。
◇◇◇◇◇◇
牧場からほど近い森の中。
キッドは、『ヘッズマン』を展開。巨大なイノシシ魔獣の眉間を撃ち抜いた。
「ッチ……最近多いな」
三年前の魔帝大戦が終わった後、魔獣が劇的に増えた。
シン・アースガルズが召喚し、討伐しきれなかった魔獣である。
その魔獣が繁殖、さらにシンに改造された魔獣は倒しても消滅することなく、肉体がこっちの世界に残る。おかげで、魔獣肉や素材という資源がこの世界に流通した。
キッドは、巨大イノシシを片手で担ぐ。
「肉……栄養あるよな」
リデルに喰わせて大丈夫だろうか?
ほんの一瞬、思考が逸れてしまう。
『ガオォォォォォ!!』
「───ッ」
上空から、巨大な魔獣猿が襲い掛かっていた。
キッドの片腕はふさがっている。しかも猿は動きが早い。
舌打ちする時間もなかった。
「『召喚獣殴り』!!」
だが、横から現れた巨大な拳が、猿を殴りつける。
「油断大敵だな、キッド」
「へ、領主サマに命を救われまして……ありがとうございます、ってか?」
「はいはい。それより、さっさと行こうぜ」
「おう。って……お前、なんでここに」
「お前が森で魔獣狩りしてるって聞いたからな。領主として、魔獣の対処は仕事のうちだ」
「ウチの羊に被害が出ないように、この辺りはオレが狩ってる。町の周辺をやれ」
「わかってるよ」
二人は並んで歩きだす。
森を抜け、しばらく歩くと牧場が見えてきた。
「あれ、ウォーケンさんは?」
「ジジィはアースガルズ王国に行った。息子と嫁に会うんだとよ」
「会う、ねぇ……? どうせお前がなんかしたんだろ」
「やかましい」
リデルしか知らない。キッドが大金を支払い護衛を雇い、ウォーケンの送迎のためだけに馬車を購入し、入念な下調べをしてウォーケンの息子と娘を探し出し、会うように約束を取り次いだことなど。
今頃、十数年ぶりの家族団欒を楽しんでいるだろう。
アルベロとキッドは、牧場の離れへと到着。巨大イノシシを解体するためにキッドは納屋へ。
アルベロは家の中へ。するとそこにはリデルたちがいた。
「あ、アルベロ。いらっしゃい」
「よ、リデル……って、お前らなにしてんの?」
揺り椅子に座るリデル。
その周りにしゃがみ込むアーシェ、ラピス、シンの三人だ。
「あのね、お腹から音聞こえるのよ……ね、ラピス」
「は、はい……赤ちゃんです」
「いいなー……あたしも妊娠したい!」
すると、よちよちと一歳ほどの幼女が、小虎のレイヴィニアに乗ってきた。
「ままー!」
『わはは! 落ちるなよー!』
「いけいけー! あ、アルベロだー!」
「ようセルサ。元気にしてたか?」
アルベロは、キッドとリデルの娘であるセルサを抱き上げた。
どことなく、キッドに似ている。やんちゃな少女に育ちそうだ。
レイヴィニアは疲れたのか、暖炉前で寝ているニスロクの元へ行き、丸くなって寝始める。
「あれ、キッドは?」
「納屋で魔獣を解体してる。でっかいイノシシでさ、リデルに食わせたいって」
「あら嬉しい。せっかくだし、みんなも食べてってよ」
「たべてー!」
セルサはアルベロの腕の中でバタバタ暴れる。
この日は、ご馳走となった。
◇◇◇◇◇◇
キッドの家で食事を終え、腹ごなしにと歩いて帰ることに。
すると、さっそくシンが言う。
「アルベロ。今夜も行くね……赤ちゃん欲しい」
「……お、おう」
「シン、そういうの、大っぴらに言わないの!」
「アーシェだって欲しいくせに」
「う、うるさいし!」
「あはは。まぁまぁ」
「「ラピスも欲しいくせにー」」
「う……そ、そういうのは言わなくていいんです!!」
キャーキャーと楽し気に騒ぐ三人。
そして、アルベロは思い出したように言う。
「あ、そういえば。近いうちにヨルハが来るってさ。あー……その、まぁ」
「……後継者だっけ?」
「じゃあ、ヨルハが優先ですか?」
「むー……よし。アーシェ、ラピス。今夜は三人でどう?」
「「異議なし」」
「え、ちょ」
アルベロの後継者誕生まで、もう少し。
◇◇◇◇◇◇
イザヴェル領地は、平和だった。
移住者が増え、様々な国から移住者が来たことで独特の文化が形成……流通の拠点となった。
アースガルズ王国では、次期女王としてヨルハが選ばれた。二年後、二十歳になったら戴冠式を行うとアルベロの元に知らせが入った。
なぜ二年後かというと……現在、妊娠中だからだ。
子供が生まれたら、ヨルハはイザヴェルで静養する予定だ。
アルベロは、執務室で大きく背伸びをする。
「さーて……少し、外の空気吸ってくるか」
外、と言っても町には行かない。
裏庭へ向かい、屋敷の壁に寄りかかって座り、趣味で始めた畑をのんびり眺めている。
懐から、一通の手紙を取り出し読んでみた。
「姉上……また遊びに来るのか。フギル兄さんも子供連れてくるって言うし。ラシルド……兄さんは来ないのか」
エステリーゼが『視察に来る』という手紙だ。ちなみにそれを書いたのはフギルで、『子供を連れて休暇を楽しませてもらうよ』とも書かれていた。
すっかり仲良しで、アルベロも悪い気はしない。ただ、エステリーゼはそろそろ結婚してほしいとも考えているが、どうも本人にそのつもりはないようだ。
「やれやれ……騒がしくなるなぁ」
誰もいない裏庭で一人。
ラッシュアウト家でも、よくあった。
昔を思い出し、懐かしさに浸っていると……畑の土がボコっと盛り上がった。
「えっ」
『……』
それは、一匹の黒いモグラだった。
アルベロをじーっと見ている。
「あ───……モグ」
モグ。
小さなモグラ。
ジャバウォックという名があり、アルベロの右腕となった存在。
もう、意識は消えてしまい、この世界のどこにもいない。
『……きゅぅ?』
「あ……」
モグラは、可愛らしく鳴き、そのまま地面に潜ってしまった。
すると、番だろうか、メスのモグラと一緒に再び出てくる。
『きゅぅ』
『きゅうう』
二匹は仲良く寄り添い、幸せそうにしていた。
まるで、いつかの夢で見たジャバウォックとクイーン・オブ・ハート。
アルベロは、そんなモグラが再び地面に潜るのを最後まで眺めていた。
「モグ───……俺、頑張ってるよ」
ここまでくるのに、たくさん失った。
そして、手に入れてきた。
アルベロの右手で摑んだのは、ジャバウォックがくれた『未来』だ。
「たとえここにいなくても、お前のくれた右手が、俺に未来をくれた。モグ……俺、これからも生きていく。だからお前も、どこかで見ててくれ」
アルベロはそう呟き、右手を空に掲げる。
最弱召喚士の学園生活は、決して楽ではなかった。
たくさん失った。でも、失って初めて手に入ったものもある。
辛いこともあった。悲しい別れもあった。
でも……それらすべてを乗り越え、アルベロはここにいる。
「モグ、いや……ジャバウォック。また会える日まで」
そう呟き、アルベロは右拳に力を込めて立ち上がる。
仕事はたくさんある。休憩は終わりだ。
アルベロは、屋敷に向かって歩き出した。
『がんばれ、アルベロ───』
そんなアルベロを、二匹のモグラは優しい眼差しで眺めていた。
─完─
◇◇◇◇◇◇
学園を卒業後。アルベロはイザヴェル領地へ移住。
バーソロミューから領主を引き継ぎ、領主の仕事をしながらのんびり過ごしていた。
アルベロは、十八歳になった。
現在、執務室で書類を書きながら、窓の外を見る。
すると、執務室のドアがノックされ、ティーカートを押したユイシスが入ってきた。
「失礼いたします。お茶をお持ちしました」
「ん、ありがとう。ところで、アーシェは?」
「奥様でしたら、ラピス様、シン様と一緒に、リデル様の元へ遊びに」
「いいなー……俺も行きたい」
「仕事がありますので」
「だよなぁ」
最近、アーシェたちはよくリデルの元へ遊びに行っている。
理由は、リデルが妊娠したからだ。
しかも二人目。一人目はまだ一歳になったばかりの女の子である。
「二人目かぁ……まさかリデル、在学中に妊娠するとはな」
「キッド様のお手が早かったようで」
「あはは。あいつ、めっちゃ焦ってたよな」
リデルの妊娠が発覚したのは、キッドとリデルが恋人になって一年後。
キッド十九歳。リデル十八歳のころだった。
二人とも卒業資格を得ており、そろそろ学園を卒業する……まさにその話をしている最中、リデルが苦しそうにしていたところで発覚したのだ。
二人は卒業。アースガルズ王国で静養、出産という話もあったが、リデルが「イザヴェル領地に行きたい」というので、二人は仲良く移住したのだ。
そして、女の子が生まれたと授業中に報告を聞き、全員で喜んだのを覚えている。
ちなみに、レイヴィニアとニスロクはキッドたちに付いて行った。
「次は男かな? 女かな」
「大丈夫です。どちらの場合でも、贈り物は万全ですから」
「よし、さすがユイシス」
「いえ。ところで……旦那様はまだですか?」
「…………頑張ってはいるよ」
ちなみに、アルベロのところはまだだ。
夜の営み。リデルが妊娠してから妻たちは積極的であった。
「さ、さて! 気分転換を兼ねて、キッドのところに行くかぁ!」
アルベロは立ち上がり、出かけるべく部屋を出た。
◇◇◇◇◇◇
牧場からほど近い森の中。
キッドは、『ヘッズマン』を展開。巨大なイノシシ魔獣の眉間を撃ち抜いた。
「ッチ……最近多いな」
三年前の魔帝大戦が終わった後、魔獣が劇的に増えた。
シン・アースガルズが召喚し、討伐しきれなかった魔獣である。
その魔獣が繁殖、さらにシンに改造された魔獣は倒しても消滅することなく、肉体がこっちの世界に残る。おかげで、魔獣肉や素材という資源がこの世界に流通した。
キッドは、巨大イノシシを片手で担ぐ。
「肉……栄養あるよな」
リデルに喰わせて大丈夫だろうか?
ほんの一瞬、思考が逸れてしまう。
『ガオォォォォォ!!』
「───ッ」
上空から、巨大な魔獣猿が襲い掛かっていた。
キッドの片腕はふさがっている。しかも猿は動きが早い。
舌打ちする時間もなかった。
「『召喚獣殴り』!!」
だが、横から現れた巨大な拳が、猿を殴りつける。
「油断大敵だな、キッド」
「へ、領主サマに命を救われまして……ありがとうございます、ってか?」
「はいはい。それより、さっさと行こうぜ」
「おう。って……お前、なんでここに」
「お前が森で魔獣狩りしてるって聞いたからな。領主として、魔獣の対処は仕事のうちだ」
「ウチの羊に被害が出ないように、この辺りはオレが狩ってる。町の周辺をやれ」
「わかってるよ」
二人は並んで歩きだす。
森を抜け、しばらく歩くと牧場が見えてきた。
「あれ、ウォーケンさんは?」
「ジジィはアースガルズ王国に行った。息子と嫁に会うんだとよ」
「会う、ねぇ……? どうせお前がなんかしたんだろ」
「やかましい」
リデルしか知らない。キッドが大金を支払い護衛を雇い、ウォーケンの送迎のためだけに馬車を購入し、入念な下調べをしてウォーケンの息子と娘を探し出し、会うように約束を取り次いだことなど。
今頃、十数年ぶりの家族団欒を楽しんでいるだろう。
アルベロとキッドは、牧場の離れへと到着。巨大イノシシを解体するためにキッドは納屋へ。
アルベロは家の中へ。するとそこにはリデルたちがいた。
「あ、アルベロ。いらっしゃい」
「よ、リデル……って、お前らなにしてんの?」
揺り椅子に座るリデル。
その周りにしゃがみ込むアーシェ、ラピス、シンの三人だ。
「あのね、お腹から音聞こえるのよ……ね、ラピス」
「は、はい……赤ちゃんです」
「いいなー……あたしも妊娠したい!」
すると、よちよちと一歳ほどの幼女が、小虎のレイヴィニアに乗ってきた。
「ままー!」
『わはは! 落ちるなよー!』
「いけいけー! あ、アルベロだー!」
「ようセルサ。元気にしてたか?」
アルベロは、キッドとリデルの娘であるセルサを抱き上げた。
どことなく、キッドに似ている。やんちゃな少女に育ちそうだ。
レイヴィニアは疲れたのか、暖炉前で寝ているニスロクの元へ行き、丸くなって寝始める。
「あれ、キッドは?」
「納屋で魔獣を解体してる。でっかいイノシシでさ、リデルに食わせたいって」
「あら嬉しい。せっかくだし、みんなも食べてってよ」
「たべてー!」
セルサはアルベロの腕の中でバタバタ暴れる。
この日は、ご馳走となった。
◇◇◇◇◇◇
キッドの家で食事を終え、腹ごなしにと歩いて帰ることに。
すると、さっそくシンが言う。
「アルベロ。今夜も行くね……赤ちゃん欲しい」
「……お、おう」
「シン、そういうの、大っぴらに言わないの!」
「アーシェだって欲しいくせに」
「う、うるさいし!」
「あはは。まぁまぁ」
「「ラピスも欲しいくせにー」」
「う……そ、そういうのは言わなくていいんです!!」
キャーキャーと楽し気に騒ぐ三人。
そして、アルベロは思い出したように言う。
「あ、そういえば。近いうちにヨルハが来るってさ。あー……その、まぁ」
「……後継者だっけ?」
「じゃあ、ヨルハが優先ですか?」
「むー……よし。アーシェ、ラピス。今夜は三人でどう?」
「「異議なし」」
「え、ちょ」
アルベロの後継者誕生まで、もう少し。
◇◇◇◇◇◇
イザヴェル領地は、平和だった。
移住者が増え、様々な国から移住者が来たことで独特の文化が形成……流通の拠点となった。
アースガルズ王国では、次期女王としてヨルハが選ばれた。二年後、二十歳になったら戴冠式を行うとアルベロの元に知らせが入った。
なぜ二年後かというと……現在、妊娠中だからだ。
子供が生まれたら、ヨルハはイザヴェルで静養する予定だ。
アルベロは、執務室で大きく背伸びをする。
「さーて……少し、外の空気吸ってくるか」
外、と言っても町には行かない。
裏庭へ向かい、屋敷の壁に寄りかかって座り、趣味で始めた畑をのんびり眺めている。
懐から、一通の手紙を取り出し読んでみた。
「姉上……また遊びに来るのか。フギル兄さんも子供連れてくるって言うし。ラシルド……兄さんは来ないのか」
エステリーゼが『視察に来る』という手紙だ。ちなみにそれを書いたのはフギルで、『子供を連れて休暇を楽しませてもらうよ』とも書かれていた。
すっかり仲良しで、アルベロも悪い気はしない。ただ、エステリーゼはそろそろ結婚してほしいとも考えているが、どうも本人にそのつもりはないようだ。
「やれやれ……騒がしくなるなぁ」
誰もいない裏庭で一人。
ラッシュアウト家でも、よくあった。
昔を思い出し、懐かしさに浸っていると……畑の土がボコっと盛り上がった。
「えっ」
『……』
それは、一匹の黒いモグラだった。
アルベロをじーっと見ている。
「あ───……モグ」
モグ。
小さなモグラ。
ジャバウォックという名があり、アルベロの右腕となった存在。
もう、意識は消えてしまい、この世界のどこにもいない。
『……きゅぅ?』
「あ……」
モグラは、可愛らしく鳴き、そのまま地面に潜ってしまった。
すると、番だろうか、メスのモグラと一緒に再び出てくる。
『きゅぅ』
『きゅうう』
二匹は仲良く寄り添い、幸せそうにしていた。
まるで、いつかの夢で見たジャバウォックとクイーン・オブ・ハート。
アルベロは、そんなモグラが再び地面に潜るのを最後まで眺めていた。
「モグ───……俺、頑張ってるよ」
ここまでくるのに、たくさん失った。
そして、手に入れてきた。
アルベロの右手で摑んだのは、ジャバウォックがくれた『未来』だ。
「たとえここにいなくても、お前のくれた右手が、俺に未来をくれた。モグ……俺、これからも生きていく。だからお前も、どこかで見ててくれ」
アルベロはそう呟き、右手を空に掲げる。
最弱召喚士の学園生活は、決して楽ではなかった。
たくさん失った。でも、失って初めて手に入ったものもある。
辛いこともあった。悲しい別れもあった。
でも……それらすべてを乗り越え、アルベロはここにいる。
「モグ、いや……ジャバウォック。また会える日まで」
そう呟き、アルベロは右拳に力を込めて立ち上がる。
仕事はたくさんある。休憩は終わりだ。
アルベロは、屋敷に向かって歩き出した。
『がんばれ、アルベロ───』
そんなアルベロを、二匹のモグラは優しい眼差しで眺めていた。
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完結おめでとうございます&お疲れ様でした
ざまぁタグはいらなかったですね。
ざまぁしてません。
王道ストーリーで面白かっただけに、そこが残念です。
とは言え完結お疲れでした。
両親は元に戻っただけで、罰ゲームにすらなってないね。
自分のやってきた仕打ちを思い返してみろよと言いたい。
本当に、なぜこんな寄生虫が姉でござい、裏主人公でござい、といった感じなのか。
戦死でもしてたら少しは評価できたのに。