短編官能集

山代裕春

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ずるい女

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脚の間から流れる吐精、膝をつたい流れる。
夫は不安そうな私を見ると頭を撫でて様子を見る。
夫「やめる?」
優しい声、少し安心する私。
黙っていると夫は羽織を手に取り私に着せる。
夫「やめよっか」
にこりと笑う夫、その笑顔は嫌いだ。
夫「ちょっと待っててなー」
ベッドから離れ部屋から出ていく、恐らくお風呂を沸かしに行ったのだろう。
一人になった私は羽織を握りしめ蹲る。
妻「バカ…」
疼く蜜壺、不快な嫌悪感、どうしようもない悲しさ。
それらが混ざり吐き気をもようす。
夫「どした?」
気づくと、心配そうに見つめる夫。
妻「……ぁ…」
夫「寂しかった?」
またにこりと笑う、やめてほしい。
妻「…」
夫「お風呂沸けたから一緒入ろうねー」
夫は私を抱き上げようとするが、私をそれを止めてしまった。
夫「?…」
私の中に渦巻く感情、貴方は優しいから気づかないふりをしてくれていることを私は知っている…
妻「………だいて…」
夫「…」
少しだけ時が止まる感覚、目を合わせず俯く私、夫の手が私に触れると同時に押し倒され口付けをする。
妻「……はぁあ…」
我ながらずるい女だ…こんな時だけ貴方を素直に求めてしまう。
こんな自分が一番嫌いだ…
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