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本編
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「トオル?大丈夫か?あんまり食が進んで居ないようだが?」
そんなことを言われアレンさんをみる。
アレンさんは、いつの間にか肉の塊を平らげていた。
凄いな…
俺はというと、言われた通りあまり進まなかった。
日本と言う国は美味しい物が溢れていたと思う。
更に俺自身、料理を作ることを仕事にしていたし両親もそうだったのでいつも美味しいご飯に触れてきた。
不安と期待が膨らんだ異世界の生活、こんなにすぐ問題にぶち当たってしまうとは…
美味しいご飯が毎日食べれただけでも恵まれてたんだな…
そんなことを考えているとはいざ知らず、アレンさんは、心配そうにこちらを見ている。
俺が黙っていると、急に立ち上がり俺を抱きしめてきた。
「え?あ、ちょっと、アレン!?」
俺の驚きを無視してアレンさんが続ける。
「そうだよな…
いきなり知らない世界に来てしまって不安だよな。
気づかず、すまなかった。
明日のことも不安だろうが俺に任せてくれ。トオルのことは俺がちゃんと面倒見るから…」
ん?なんか、凄い勘違いされてないか?
しかも、今面倒見るって?
ていうか、近い…
アレンさんの体温や鼓動を近くで感じ俺の鼓動が早くなるのがわかった。
「あ、いや、ちょっと待ってください。
確かに不安ですけど、大丈夫ですよ。
それにそこまで迷惑はかけられません。
明日になったらお別れなのに…」
そう、アレンさんは、たまたま拾った俺を心配して王都まで送ってくれているのだ。
明日王都に着けばお別れだ…
そう思うと何故か胸がズキッと痛んだ。
俺の言葉を聞いてアレンさんが突然ガバッと頭を上げて俺の顔を覗き込む。
「トオルは、明日で俺とお別れのつもりだったのか?」
少しさみしそうな顔をしている。
「え?だってアレンさん忙しいでしょうし…
いや、そんな顔しないでくださいよ。
同じ街に居るならまた会えますって?
しばらくは、仕事を探したり住む所を見つけたりで忙しくなると思いますが落ち着いたら会いに行きます。」
そう伝えて見たもののアレンさんの表情は変わらない。
「言っただろ?俺、お金には困ってないって?トオル1人養うくらい全然平気だぞ?」
「いや、養うってそんな、子供でもあるまいし…そんな迷惑はかけられないですよ…
あ、じゃあ、仕事を紹介して貰えませんか?出来れば住み込みで働けるとこだとありがたいです。」
正直、右も左も分からないこの世界でただ1人の知り合いであるアレンさんからの申し出はとても嬉しい。
しかしこのままでは、ヒモかペットような生活になってしまう…
それはダメだと妥協案をだしてみる。
俺の仕事や住む所が決まればアレンさんも安心だと思ってくれた?らしく快く引き受けてくれた。
「仕事か…。トオルは、なにか得意なことはあるか?」
抱きしめたまま聞いてくるアレンさんをとりあえず引き離そうと身をよじる。
ダメだ、ドキドキして話に集中出来ない。
しかし、抵抗虚しく更に強く抱きしめられてしまう。
「ちょっ…アレン、離れて。話せないから…」
言葉にだして伝えてみた。
しかし、アレンさんは離してくれず
「嫌か?」と耳元で囁く。
「んっ…待って、耳元で喋るなよぉ」
耳元で囁かれたかっこいい声に全身が震えてしまった。
「い、いやじゃない…
けど、恥ずかしいから離れて…」
呟くように弱々しく伝えるとやっと観念して離してくれた。
顔が熱い…
恥ずかしすぎて両手で顔をおおっていると隣からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
アレンさんをみると、いい笑顔で笑っている。
「………からかいましたね?」
ジト目でアレンさんを見る。
「あはは……す、すまない、トオルがあまりにも可愛かったもので…クスクス……それに俺を頼らずに1人で悩んでいたお仕置だ。
今日出会ったばかりで信用出来ないのは分かるがちゃんと頼ってくれ。」
最後の方はまた寂しいそうに笑っていた。
「……あ、すみません。
心配してくれてありがとうございます。
ちゃんと頼らせて貰いますね…。」
そう伝えるとアレンさんは、嬉しそうな顔で俺の頭を撫でてくれた。
俺の頭を優しく撫でてくれる大きな手はとても頼りがいを感じ子供の頃に戻ったようでとても気持ちよかった。
そんなことを言われアレンさんをみる。
アレンさんは、いつの間にか肉の塊を平らげていた。
凄いな…
俺はというと、言われた通りあまり進まなかった。
日本と言う国は美味しい物が溢れていたと思う。
更に俺自身、料理を作ることを仕事にしていたし両親もそうだったのでいつも美味しいご飯に触れてきた。
不安と期待が膨らんだ異世界の生活、こんなにすぐ問題にぶち当たってしまうとは…
美味しいご飯が毎日食べれただけでも恵まれてたんだな…
そんなことを考えているとはいざ知らず、アレンさんは、心配そうにこちらを見ている。
俺が黙っていると、急に立ち上がり俺を抱きしめてきた。
「え?あ、ちょっと、アレン!?」
俺の驚きを無視してアレンさんが続ける。
「そうだよな…
いきなり知らない世界に来てしまって不安だよな。
気づかず、すまなかった。
明日のことも不安だろうが俺に任せてくれ。トオルのことは俺がちゃんと面倒見るから…」
ん?なんか、凄い勘違いされてないか?
しかも、今面倒見るって?
ていうか、近い…
アレンさんの体温や鼓動を近くで感じ俺の鼓動が早くなるのがわかった。
「あ、いや、ちょっと待ってください。
確かに不安ですけど、大丈夫ですよ。
それにそこまで迷惑はかけられません。
明日になったらお別れなのに…」
そう、アレンさんは、たまたま拾った俺を心配して王都まで送ってくれているのだ。
明日王都に着けばお別れだ…
そう思うと何故か胸がズキッと痛んだ。
俺の言葉を聞いてアレンさんが突然ガバッと頭を上げて俺の顔を覗き込む。
「トオルは、明日で俺とお別れのつもりだったのか?」
少しさみしそうな顔をしている。
「え?だってアレンさん忙しいでしょうし…
いや、そんな顔しないでくださいよ。
同じ街に居るならまた会えますって?
しばらくは、仕事を探したり住む所を見つけたりで忙しくなると思いますが落ち着いたら会いに行きます。」
そう伝えて見たもののアレンさんの表情は変わらない。
「言っただろ?俺、お金には困ってないって?トオル1人養うくらい全然平気だぞ?」
「いや、養うってそんな、子供でもあるまいし…そんな迷惑はかけられないですよ…
あ、じゃあ、仕事を紹介して貰えませんか?出来れば住み込みで働けるとこだとありがたいです。」
正直、右も左も分からないこの世界でただ1人の知り合いであるアレンさんからの申し出はとても嬉しい。
しかしこのままでは、ヒモかペットような生活になってしまう…
それはダメだと妥協案をだしてみる。
俺の仕事や住む所が決まればアレンさんも安心だと思ってくれた?らしく快く引き受けてくれた。
「仕事か…。トオルは、なにか得意なことはあるか?」
抱きしめたまま聞いてくるアレンさんをとりあえず引き離そうと身をよじる。
ダメだ、ドキドキして話に集中出来ない。
しかし、抵抗虚しく更に強く抱きしめられてしまう。
「ちょっ…アレン、離れて。話せないから…」
言葉にだして伝えてみた。
しかし、アレンさんは離してくれず
「嫌か?」と耳元で囁く。
「んっ…待って、耳元で喋るなよぉ」
耳元で囁かれたかっこいい声に全身が震えてしまった。
「い、いやじゃない…
けど、恥ずかしいから離れて…」
呟くように弱々しく伝えるとやっと観念して離してくれた。
顔が熱い…
恥ずかしすぎて両手で顔をおおっていると隣からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
アレンさんをみると、いい笑顔で笑っている。
「………からかいましたね?」
ジト目でアレンさんを見る。
「あはは……す、すまない、トオルがあまりにも可愛かったもので…クスクス……それに俺を頼らずに1人で悩んでいたお仕置だ。
今日出会ったばかりで信用出来ないのは分かるがちゃんと頼ってくれ。」
最後の方はまた寂しいそうに笑っていた。
「……あ、すみません。
心配してくれてありがとうございます。
ちゃんと頼らせて貰いますね…。」
そう伝えるとアレンさんは、嬉しそうな顔で俺の頭を撫でてくれた。
俺の頭を優しく撫でてくれる大きな手はとても頼りがいを感じ子供の頃に戻ったようでとても気持ちよかった。
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