【完結】極妻の悪役令嬢転生~あんたに払う安い命はひとつもないよ~

荷居人(にいと)

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「するなら勝手にすればいいが、まずはすべきことがあるだろう!」

一先ずはこのバカを大勢の前でバカなことばかりしよって!と殴るわけにはいかない。しかし、説教はしなければ。どちらにしろ恥となるならば私はこんなもののために恥を背負いたくはない。

「相変わらず生意気な!貴様のそういうところが……」

それもあるがさっきから我慢がならんのが私への呼び方。

「たわけが!」

「た、たわ……?」

「貴様貴様と私の名前も言えぬのか!若造といえど仮にも婚約者の名前くらい覚えられないとは!」

「わ、若造も何も同じ年………」

「なよなよしてるんじゃないよ!男だからそうしろと言うんじゃない!私はね、カルタシア・グルーラ!あんただから言うんだ!仮にも王太子ならば堂々とできないのかい!?」

「ひぃ」

「情けない声まであげてんじゃないよ!」

いくら生きていた年数が違えど、私の圧に負けるぐらいならわざわざこんなところで私に喧嘩を売らなければよかろうに。……いや、今は私は20代でもなかったな?

「さ、さっきからカタルシア様に無礼ではありませんか?」

すっかり怯えきった婚約者を見てか、何故か乗り出してきたのは婚約者が結婚すると申し出ていた相手、ライラと言う女性。まあ、見てくれは可愛らしいが、随分と頼りない守りたい系だこと。

「頼りない未来の国王を放っておけと言うのかい?」

「頼りないだなんて!カタルシア様は毎日がんばっておいでで、尊敬できるお方ですっ」

「頑張るだけなら誰だってできるんだよ。それともあんたはそこの王太子以外の他は頑張ってないとでも言うのかい?」

「そんなことは!ただ私は、カタルシア様は未来の国王として成長している最中であり、そこまで無礼をされるような方ではないと……!」

「随分優しい子だねぇ。けどなめてるのかい?」

「え?」

「優しさだけで国は守れないんだよ!頑張ってるだって?それが何を示すのかはわからないけれど、将来の国王としてのことならば当然であり、国の未来を託されるものとしての責務だ!頑張ってるだけでは足りないんだよ!まだまだだと思えるほどに毎日民の未来のために生きていくのが王太子であり、未来の王だろう!そして王妃となるものはその王を支える存在!優しさが悪いとは言わない。だが!私たち貴族が民の働きによって生かされている自覚はあるかい?婚約破棄は構わない!けどね、未来の王を甘やかすだけの存在が王妃となるなら私は断固反対だよ!優しさと偽った甘やかしは国を壊す!本当の優しさは王の間違いを正し、誰にも見せられない弱さを時に受け止めることにある!王妃以外の前では強く見せるために!王は決して弱みを見せるべきではないんだよ!民のために、国のために!」

厳しいことを言っているだろう。けれど、国を纏めあげる存在が強くあればあるほどにそれは伝染する。弱くあればそれもしかり。

王の強さは国を強くするのだ。しかし、王も人間。だからこそ支える存在として王妃がいるのだ。だが、それは決して王を甘やかす存在ではいけない。励まし、支える存在としてあるべきだ。

まあ私だけの考えかもしれないけどね。

全く年かしらねぇ、熱くなりすぎた気がするよ。
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