【完結】極妻の悪役令嬢転生～あんたに払う安い命はひとつもないよ～

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「そうかいそうかい。つまり私はヤクザで相手は警察みたいなもんだね？前世と似たようなもんじゃないか、相手が夫になるはずのもんってだけで」

「全然違う！そこまで殺伐としたゲームじゃないから！」

「でも私は話の通りに進めば殺されるんだろう？まあ若い体を手に入れたんだ。簡単に死にはしないよ」

「もう！話聞いてる!?それに悪役令嬢ローゼンを知る私としては、8歳の身体でその喋り方すっごい違和感あるからやめて!?」

「あんたは今私の母なんだ。娘に叱るならちゃんと叱りな」

「もうなんでお母さんだった人のお母さんになったの！私！」

信じる人を探す気もないが、私と今の母には前世の記憶とやらがある。私は前世極道の妻をしており、組との抗争中に不覚にも娘ともどもお陀仏しちまった。

48歳と、まだまだ現役だったはずだが、情けないってもんだよ。夫はどうなったかわからないが、生きていてほしいもんだね。まだまだ組のやつらは私らなしでは放って置けそうにもないから、頑固親父は必要さ。

それはそうとお陀仏したかと思えば私は他人になっていて、しかも8歳児というじゃないか。随分若返ったもんだよ。

それに私の話し方で娘も私が前世の母と気づいたようで、この世界について、私について色々聞かされている。驚いたことに娘は私の母になっているんだから世の中何があるかわからないってもんだ。

今は私が娘なんだからお母さんはやめろと言うんだが、元々素直な子だから難しいんだろうね。

それにこの世界は地球とは全く違うらしいから頭が混乱して仕方ないよ。その上私は悪い女で？婚約者に卒業式のパーティーやらで婚約破棄され、処刑される運命だとか。

だからそうならないようにと娘に………いや、母に、散々行動に気を付けるように言われながらも既に王命とやらで決まった婚約者のために王妃教育とやらも受けさせてもらっていたが、若造だから仕方ないとはいえ前世の夫と比べるとなんだかねぇ。

政略結婚とやらに文句はないが、それでもこの国の頂点に立つ存在ならもっとどしっとしてほしいもんだと思ったよ。顔だけ無駄にきらきらさせてうざいったらない。それに私の好みは夫みたいな強面さ。

好みはともかく、私はこそこそするようなことは好かない。私は私の道を進みながらも、時にだらしない婚約者を叱り、明らかな不貞に言い訳する婚約者に言い訳するくらいなら堂々としろとビンタを食らわし、やるべきことをしながら処刑されるようなことはないと判断しながら生きてきた。

なのに

「貴様とは婚約破棄だ！私はライラと結婚する！」

どこまで愚かな行為をする気なのだろうか？この婚約者は。うちの前世の夫も浮気をしなかったことはないけれど、しっかり反省は見せたし、それからは私に一途になってくれた。

政略結婚だから一途になれとは言わないが、それでも誠意はあるべきだろう。むす……母が言うようにこんな大勢のいる場所ではしたなくも大声で婚約破棄と叫び、不貞相手を隣に携えて………母の言う通りとなるなら処刑を言い渡されるはずだが、さすがにこんなろくでなしのために払う命はないね。