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11~エミィ視点~
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私はとんでもない悪女なのかもしれない。
知っていた未来をあえてその通りに進むことで陛下の本当の愛を手に入れようとしたのだから。実際その通りに進んで本来のストーリーにはない未来を手にいれた私はようやく本当の自分を手にいれた気分で、私にすがり、泣いて、尽くそうとする陛下を見て愛されてる実感を初めて感じることができた。
もちろん、陛下が嫉妬させようと浮気する前から陛下の愛は私にあったと理解していたけど、それは役柄の演技のように見えて私はそれが虚しくて仕方なかった。本来の決められたストーリーと同じ言葉ばかりだったから。
「ルーラを殺害しようとしたのは本当か?」
だからようやくこの場面になったとき新たな未来が始まるのだと胸が高鳴ったのは今でも覚えている。ストーリー通りの人形の陛下にいくら女が引っ付こうと気にならない。私はストーリーに囚われない本当の陛下がほしいのだから。
「ええ、本当です」
すんなりと出た決められた言葉。陛下に信じてもらえないことに絶望して生きるのに疲れたという気持ちで認める場面。
「み、認めるのか?」
動揺する陛下もまたストーリー通りでつまらなかった。
「はい」
私が殺害なんて企んでないことを知っているからこそ陛下が誰よりも動揺する。なんなら、あの女が何かしたのかと疑うのだから馬鹿馬鹿しい。自分で私を悪役に仕立てて一人占めしようとしてたくせに。
でも本当に愛する人を一人占めして優位に立つのはこれからの未来の私。
「認めれば死ぬことになるぞ?」
もしこのまま死ぬのなら結局エミィであってエミィでない私は本当のあなたと愛し合う資格がないんだろうと諦めるだけ。死ぬ覚悟で私は私の未来を掴みとるのだ。そんな気持ちで挑んでいた。
「はい、殺してください。慈悲をいただけるなら陛下の手で」
「な………っ」
ああ、このときはついついこれからのなかったはずの未来を思い浮かべて笑みが浮かんでしまったけれど、出た言葉が言葉なだけにタイミングは悪くなかったと思う。
「陛下?」
より動揺した陛下にほら、早く刃物を寄越せと言いたくなったのも覚えている。あの時の私は自決をしなければならぬのだから。陛下に刺される可能性は考えてない。刺せるはずもない。エミィは確かに陛下に愛されているのだから。
「お、お前が死んだら新たな皇后はルーラになるんだぞ?いいのか?」
だからこそ陛下の悪あがきの時間が無駄に長く感じた。しかし、これも私の未来のためなのだから耐えなければと決められた言葉を返していくだけ。
「そうですか。けれどもう私には関係ありませんので」
そう、関係ない。どうせそれを皇后にさせる気がないのは知っているから。
「え、エミィ………もう俺を愛していないのか?」
私ではなくエミィしか見てない陛下は最初から愛していない。私を見てくれる陛下を愛するのだから、私は。
「へ、陛下………?」
ああ、ようやく陛下がこちらに来た。私にとって希望の、陛下にとって絶望の時間が近づいてきたのだとそう感じた。
「愛しています」
「そ、そうか………!なら」
「だから陛下の手で殺していただければ」
殺せないとわかりながらそう吐いた自分に笑えてくる。
「は、はは………何故?エミィは何も悪くないだろう?」
「私がルーラ様をいじめました。殺そうとしました。殺せなくて残念です」
もちろん、殺す気はない。どうせあれは殺される運命なのだから。ああ、でも私が生きていれば生きる可能性もあるかも………なんて考えるくらいには意外と死ぬかもしれないという恐怖はこの時もなかった。
「貴様!皇后といえどなんという……!こんなもの陛下の手を煩わせる必要はありません!他の罪人と同じ処刑にすべきです!やはり皇后に相応しいのは………!」
「黙れ!」
「ぐ………っぁ、へ、いか………?」
ああ、颯爽と殺されるモブのなんと羨ましいことか。
「怖くないのか?」
「ええ」
「………っなら、これでどうだ!」
そしてようやく私の出番。ああ、やっとと私はあの瞬間喜びにうち震えていた。
「陛下、私はもう疲れました」
「…………………え?」
痛みはもちろんあったがそれ以上に私は………
「やっ………と………」
「ああぁああああああぁぁ…………っ」
それが人形陛下の最後の叫び声だったと思いながらも私は目を閉じた。後は前世の弟がなんとか助けてくれるだろうと信頼を寄せて。
だから目を覚めれば明るい未来が見えると思っていた。
なのに目が覚めれば陛下はいない。あの後事情を聞けばエミィのためにまるで不貞をなかったことにしようと動いているように思えて私は失敗したんだと悟った。
だって私が寝ている間、陛下は私のために私だけを想う陛下ではなく私ではないエミィのために事後処理に動いて、一時的にでも離れるぐらいに余裕があったということだから。
そして私は自分がバカだったと感じた。私が一度死のうと過去がなくなるわけじゃないと。確かに未来は変わった。前世で知るこの物語から抜け出せただろう。だけど、本来のエミィが消える訳じゃない。
ストーリーから離れたのに陛下は人形のままで、言葉が行動が物語と似通っていた。
これでは私がエミィだから結ばれたなんて呪縛から抜け出せない。私は前世から陛下を思い描いて愛していた。だから本当の私を見て愛してくれる私だけの陛下がほしいだけなのに…………!
そう思ったから私は記憶をなくすことにした。陛下と一からやり直すために。
そして同時に陛下の存在を無視することにした。本来のエミィを陛下からなくすために。
知っていた未来をあえてその通りに進むことで陛下の本当の愛を手に入れようとしたのだから。実際その通りに進んで本来のストーリーにはない未来を手にいれた私はようやく本当の自分を手にいれた気分で、私にすがり、泣いて、尽くそうとする陛下を見て愛されてる実感を初めて感じることができた。
もちろん、陛下が嫉妬させようと浮気する前から陛下の愛は私にあったと理解していたけど、それは役柄の演技のように見えて私はそれが虚しくて仕方なかった。本来の決められたストーリーと同じ言葉ばかりだったから。
「ルーラを殺害しようとしたのは本当か?」
だからようやくこの場面になったとき新たな未来が始まるのだと胸が高鳴ったのは今でも覚えている。ストーリー通りの人形の陛下にいくら女が引っ付こうと気にならない。私はストーリーに囚われない本当の陛下がほしいのだから。
「ええ、本当です」
すんなりと出た決められた言葉。陛下に信じてもらえないことに絶望して生きるのに疲れたという気持ちで認める場面。
「み、認めるのか?」
動揺する陛下もまたストーリー通りでつまらなかった。
「はい」
私が殺害なんて企んでないことを知っているからこそ陛下が誰よりも動揺する。なんなら、あの女が何かしたのかと疑うのだから馬鹿馬鹿しい。自分で私を悪役に仕立てて一人占めしようとしてたくせに。
でも本当に愛する人を一人占めして優位に立つのはこれからの未来の私。
「認めれば死ぬことになるぞ?」
もしこのまま死ぬのなら結局エミィであってエミィでない私は本当のあなたと愛し合う資格がないんだろうと諦めるだけ。死ぬ覚悟で私は私の未来を掴みとるのだ。そんな気持ちで挑んでいた。
「はい、殺してください。慈悲をいただけるなら陛下の手で」
「な………っ」
ああ、このときはついついこれからのなかったはずの未来を思い浮かべて笑みが浮かんでしまったけれど、出た言葉が言葉なだけにタイミングは悪くなかったと思う。
「陛下?」
より動揺した陛下にほら、早く刃物を寄越せと言いたくなったのも覚えている。あの時の私は自決をしなければならぬのだから。陛下に刺される可能性は考えてない。刺せるはずもない。エミィは確かに陛下に愛されているのだから。
「お、お前が死んだら新たな皇后はルーラになるんだぞ?いいのか?」
だからこそ陛下の悪あがきの時間が無駄に長く感じた。しかし、これも私の未来のためなのだから耐えなければと決められた言葉を返していくだけ。
「そうですか。けれどもう私には関係ありませんので」
そう、関係ない。どうせそれを皇后にさせる気がないのは知っているから。
「え、エミィ………もう俺を愛していないのか?」
私ではなくエミィしか見てない陛下は最初から愛していない。私を見てくれる陛下を愛するのだから、私は。
「へ、陛下………?」
ああ、ようやく陛下がこちらに来た。私にとって希望の、陛下にとって絶望の時間が近づいてきたのだとそう感じた。
「愛しています」
「そ、そうか………!なら」
「だから陛下の手で殺していただければ」
殺せないとわかりながらそう吐いた自分に笑えてくる。
「は、はは………何故?エミィは何も悪くないだろう?」
「私がルーラ様をいじめました。殺そうとしました。殺せなくて残念です」
もちろん、殺す気はない。どうせあれは殺される運命なのだから。ああ、でも私が生きていれば生きる可能性もあるかも………なんて考えるくらいには意外と死ぬかもしれないという恐怖はこの時もなかった。
「貴様!皇后といえどなんという……!こんなもの陛下の手を煩わせる必要はありません!他の罪人と同じ処刑にすべきです!やはり皇后に相応しいのは………!」
「黙れ!」
「ぐ………っぁ、へ、いか………?」
ああ、颯爽と殺されるモブのなんと羨ましいことか。
「怖くないのか?」
「ええ」
「………っなら、これでどうだ!」
そしてようやく私の出番。ああ、やっとと私はあの瞬間喜びにうち震えていた。
「陛下、私はもう疲れました」
「…………………え?」
痛みはもちろんあったがそれ以上に私は………
「やっ………と………」
「ああぁああああああぁぁ…………っ」
それが人形陛下の最後の叫び声だったと思いながらも私は目を閉じた。後は前世の弟がなんとか助けてくれるだろうと信頼を寄せて。
だから目を覚めれば明るい未来が見えると思っていた。
なのに目が覚めれば陛下はいない。あの後事情を聞けばエミィのためにまるで不貞をなかったことにしようと動いているように思えて私は失敗したんだと悟った。
だって私が寝ている間、陛下は私のために私だけを想う陛下ではなく私ではないエミィのために事後処理に動いて、一時的にでも離れるぐらいに余裕があったということだから。
そして私は自分がバカだったと感じた。私が一度死のうと過去がなくなるわけじゃないと。確かに未来は変わった。前世で知るこの物語から抜け出せただろう。だけど、本来のエミィが消える訳じゃない。
ストーリーから離れたのに陛下は人形のままで、言葉が行動が物語と似通っていた。
これでは私がエミィだから結ばれたなんて呪縛から抜け出せない。私は前世から陛下を思い描いて愛していた。だから本当の私を見て愛してくれる私だけの陛下がほしいだけなのに…………!
そう思ったから私は記憶をなくすことにした。陛下と一からやり直すために。
そして同時に陛下の存在を無視することにした。本来のエミィを陛下からなくすために。
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