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本編(完結)
衝撃の事実~レウル視点~
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「で、どこまで話したかしら?」
ようやく落ち着きを見せたと思えば私との会話を忘れてしまっている状態。ただでさえ早くクウリの元へ行きたいのに……。とりあえずピンク嬢がヒロインなのかどうか知りたい。ゲームのパッケージにイラストはなかったし、ピンクという情報以外私は知らなかったからね。
おかげで失態をしたわけだけど。しかも大勢の前で。
「ああっ!そうだ!わかってるだろうけどヒロインであるこの子は今私と付き合ってるって話だったよね!」
「………そうだね」
いや、一言もそんな話してないよ……という言葉は呑み込んだ。でもまるで心が読まれたかのように彼女こそがヒロインだと確定する言葉には感謝すべきだろう。聞く手間が省けたというもの。
でも正直、前世の記憶持ちであるのが何故ヒロインを知っていて当たり前なのかはわからない。勝手な思い込みの可能性が高いけどね。
もういっそ何も質問しなくても勝手に答えてくれそうな気さえしている。にしても危惧していたヒロインがまさかシエルと付き合っていたなんて……ん?
「意外とヒロイン……いや、ハナちゃんと話してみると気があってね、ピンクのクレイジーヒロインってバカにしてたけど付き合っていくうちに気がつけば好きになっていたの」
今更衝撃な事実に驚いているというのに、気のせいか惚気られてるよね?これ。ピンク嬢が大人しく耳を塞いでるのをいいことに。
「そう、お似合いでいいんじゃないかな。運命だから別れないようにね」
人の惚気なんて聞く気になれないけど、よくよく考えればこれは私にとって都合のいいものだ。ヒロインが既に他と付き合っているなら一番の凶器はなくなるのだから、応援するに限る。
「そう!運命なの!私たちは赤点と言う名の糸で毎日一緒にいるラブラブカップルよ!」
「……へぇ」
赤点と言う名の糸じゃなく、紙で、毎日補修で一緒に受ける仲って意味だよね?運命じゃなくて君らが本格的にバカなだけじゃないかな。
クウリごめんね。一瞬でも彼女たちと一緒にして。確実にクウリとこの二人は違うよ。シエルたちは勉強すらもできないただのバカだったからね。初等部で赤点なんてこの二人が初じゃないかな?少なくとも私は聞いた覚えがない。
「赤点で繋がった日から毎日二人で勉強して」
赤点二人が一緒にする勉強に意味があるのだろうか?現状から見て無駄では?と思うも息を飲んで耐える。
「先生の採点が間違っていると二人で抗議して」
「そ……んんっ」
そんな無駄なことばかりするから赤点から変わらないんじゃない?先生の採点じゃなく、君たちの頭がおかしいんだよ?とさすがに思わず言いかけた。
「そしてそれを続けた結果、赤点を取り続けた今では名前だけでも正しく書けたら赤点回避にしてくれるまでに私たちはのぼりつめたの」
教師が完全に匙を投げてるじゃないか。クウリ以外どうでもいい私ですら同情する。というか私はこんな話を聞きたい訳じゃ……
「それができたなら私たちの関係もと、女同士だから悩んだけど告白したらハナちゃんも同じ気持ちでね」
「いや、君自分で男だって言ってたよね?」
「そうだった!」
ついに口を出してしまった。クウリの勝負に勝ち続けた私だけど、この瞬間初めて謎の敗北感を味わうことに。というか教師の匙投げができたから告白って……クウリの元妹と思えないほど頭おかしいんじゃないかな、この子。
それからそれ以上の会話はできなかったものの、ある意味このバカ加減なら安全と考え、学園卒業後二人をクウリの護衛騎士に任命する約束をした。クウリを独り占めしたいのは山々だけど、さすがに私ひとりではどうにもならないときもあることを理解してないわけではないからね。
それでもクウリの側につける人は慎重に選びたいため、疲れる二人だとしても味方につけられたのは素直に助かる。何故ピンク嬢まで?と思ったかもしれないが、聞けばピンク嬢は令嬢らしからぬかなりの怪力の持ち主。なので試してみれば三人掛けソファを軽々持ったので、シエルと共に護衛騎士がしたいと本人が望む通り約束したに過ぎない。
聞いてたヒロインと全く違うと思いもしたけど、それがクウリを奪う存在にならないならどうでもいいというもの。しかし、安心したのも束の間、シエルの言葉で私は安心してばかりもいられないと悟る。
「私がヒロインと付き合った影響かわからないけど、ハナちゃんの姉を始めとして偽ヒロインが大量発生しているから気を付けて」
それは明らかにクウリが狙われる可能性を示す言葉。まるで黒い何かのようだと思いながらも気を引き締め直して私はクウリの元へと急ぐのだった。
嵐の始まりを感じながら。
ーおまけ追記~レウル視点~ー
「シエル殿、ピンク嬢、ひとつ問題を出そう。いちたすいちは?」
「「11!」」
「何故そうなるのかな?」
「誰でも簡単にできるとシエルちゃんが教えてくれたんです!」
「完璧な計算の仕方でしょ!」
完璧に間違いだらけの計算だよ。これは救いようがない。
ーおまけ追記~完~ー
ー重要なお知らせパート4ー
職業オカマのシエルがレベルアップ!
スキル【惚気る】を覚えた!
職業ヒロインのハナがレベルアップ!
スキル【耳を塞ぐ】を覚えた!
職業ヤンデレのレウルがレベルアップ!
シエル、ハナ専用スキル【疲労倍増】を覚えた!
※思わぬ衝撃事実!さてこれからレウルとクウリが偽ヒロインという名の嵐にどう立ち向かうか!その前に次回はクウリが滅多にない疲れ切ったレウルを甘やかしてからとなります!気を引き締めても疲れたものは疲れたレウル様でした。
ようやく落ち着きを見せたと思えば私との会話を忘れてしまっている状態。ただでさえ早くクウリの元へ行きたいのに……。とりあえずピンク嬢がヒロインなのかどうか知りたい。ゲームのパッケージにイラストはなかったし、ピンクという情報以外私は知らなかったからね。
おかげで失態をしたわけだけど。しかも大勢の前で。
「ああっ!そうだ!わかってるだろうけどヒロインであるこの子は今私と付き合ってるって話だったよね!」
「………そうだね」
いや、一言もそんな話してないよ……という言葉は呑み込んだ。でもまるで心が読まれたかのように彼女こそがヒロインだと確定する言葉には感謝すべきだろう。聞く手間が省けたというもの。
でも正直、前世の記憶持ちであるのが何故ヒロインを知っていて当たり前なのかはわからない。勝手な思い込みの可能性が高いけどね。
もういっそ何も質問しなくても勝手に答えてくれそうな気さえしている。にしても危惧していたヒロインがまさかシエルと付き合っていたなんて……ん?
「意外とヒロイン……いや、ハナちゃんと話してみると気があってね、ピンクのクレイジーヒロインってバカにしてたけど付き合っていくうちに気がつけば好きになっていたの」
今更衝撃な事実に驚いているというのに、気のせいか惚気られてるよね?これ。ピンク嬢が大人しく耳を塞いでるのをいいことに。
「そう、お似合いでいいんじゃないかな。運命だから別れないようにね」
人の惚気なんて聞く気になれないけど、よくよく考えればこれは私にとって都合のいいものだ。ヒロインが既に他と付き合っているなら一番の凶器はなくなるのだから、応援するに限る。
「そう!運命なの!私たちは赤点と言う名の糸で毎日一緒にいるラブラブカップルよ!」
「……へぇ」
赤点と言う名の糸じゃなく、紙で、毎日補修で一緒に受ける仲って意味だよね?運命じゃなくて君らが本格的にバカなだけじゃないかな。
クウリごめんね。一瞬でも彼女たちと一緒にして。確実にクウリとこの二人は違うよ。シエルたちは勉強すらもできないただのバカだったからね。初等部で赤点なんてこの二人が初じゃないかな?少なくとも私は聞いた覚えがない。
「赤点で繋がった日から毎日二人で勉強して」
赤点二人が一緒にする勉強に意味があるのだろうか?現状から見て無駄では?と思うも息を飲んで耐える。
「先生の採点が間違っていると二人で抗議して」
「そ……んんっ」
そんな無駄なことばかりするから赤点から変わらないんじゃない?先生の採点じゃなく、君たちの頭がおかしいんだよ?とさすがに思わず言いかけた。
「そしてそれを続けた結果、赤点を取り続けた今では名前だけでも正しく書けたら赤点回避にしてくれるまでに私たちはのぼりつめたの」
教師が完全に匙を投げてるじゃないか。クウリ以外どうでもいい私ですら同情する。というか私はこんな話を聞きたい訳じゃ……
「それができたなら私たちの関係もと、女同士だから悩んだけど告白したらハナちゃんも同じ気持ちでね」
「いや、君自分で男だって言ってたよね?」
「そうだった!」
ついに口を出してしまった。クウリの勝負に勝ち続けた私だけど、この瞬間初めて謎の敗北感を味わうことに。というか教師の匙投げができたから告白って……クウリの元妹と思えないほど頭おかしいんじゃないかな、この子。
それからそれ以上の会話はできなかったものの、ある意味このバカ加減なら安全と考え、学園卒業後二人をクウリの護衛騎士に任命する約束をした。クウリを独り占めしたいのは山々だけど、さすがに私ひとりではどうにもならないときもあることを理解してないわけではないからね。
それでもクウリの側につける人は慎重に選びたいため、疲れる二人だとしても味方につけられたのは素直に助かる。何故ピンク嬢まで?と思ったかもしれないが、聞けばピンク嬢は令嬢らしからぬかなりの怪力の持ち主。なので試してみれば三人掛けソファを軽々持ったので、シエルと共に護衛騎士がしたいと本人が望む通り約束したに過ぎない。
聞いてたヒロインと全く違うと思いもしたけど、それがクウリを奪う存在にならないならどうでもいいというもの。しかし、安心したのも束の間、シエルの言葉で私は安心してばかりもいられないと悟る。
「私がヒロインと付き合った影響かわからないけど、ハナちゃんの姉を始めとして偽ヒロインが大量発生しているから気を付けて」
それは明らかにクウリが狙われる可能性を示す言葉。まるで黒い何かのようだと思いながらも気を引き締め直して私はクウリの元へと急ぐのだった。
嵐の始まりを感じながら。
ーおまけ追記~レウル視点~ー
「シエル殿、ピンク嬢、ひとつ問題を出そう。いちたすいちは?」
「「11!」」
「何故そうなるのかな?」
「誰でも簡単にできるとシエルちゃんが教えてくれたんです!」
「完璧な計算の仕方でしょ!」
完璧に間違いだらけの計算だよ。これは救いようがない。
ーおまけ追記~完~ー
ー重要なお知らせパート4ー
職業オカマのシエルがレベルアップ!
スキル【惚気る】を覚えた!
職業ヒロインのハナがレベルアップ!
スキル【耳を塞ぐ】を覚えた!
職業ヤンデレのレウルがレベルアップ!
シエル、ハナ専用スキル【疲労倍増】を覚えた!
※思わぬ衝撃事実!さてこれからレウルとクウリが偽ヒロインという名の嵐にどう立ち向かうか!その前に次回はクウリが滅多にない疲れ切ったレウルを甘やかしてからとなります!気を引き締めても疲れたものは疲れたレウル様でした。
応援ありがとうございます!
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