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「本当に……全てが貴方のせいなのかはわからないわよ、ゼロくん」

「え?」

後悔を言葉にしていたゼロにそう言ったのは私の母だった。

「確かにレブラント夫人の言う通りだわ……ゼロはまだ子供……。に育てられたんじゃ………」

「歪んだ家族、ね……そう思うなら何故ゼロくんを今まで放置していたの?」

「放置……なんて………。ああ、でも……そう見えても仕方ないわね。ただ私は、辛い過去を忘れているなら思い出さないようにと……」

「いいえ、キャロエさんを殺した後の話もそうだけど、何故祖父の殺害がキャロエさんだと思いながら、そのままゼロくんをキャロエさんの傍にいさせたの?」

「え?それはハワードとクリスの二人が決めたことで私には……」

そういえば、つい話に聞き入ってしまったけれど、祖父母殺害後もゼロは母親と変わらず過ごしたようだった。じゃなければ誕生日を一緒に祝うこともないだろうし。

殺人ばかりが耳に入ってしまっていたけど、確かに殺人を犯した母親というわけだけでなく、子供すら一度殺しかけた過去もあったはずなのに、何故ゼロをキャロエさんの傍に置き続けたのだろう?

普通なら子供に被害が行く前に、その殺人が起きた時点で、死体を隠したり事故に見せかけた後だったにしても、すぐに保護をすべきじゃなかったんだろうか?

大人三人がいて誰もその考えが浮かばなかったの?ゼロを……幼い子供を守ろうとする人は………。

これじゃまるで悲劇を起こさせるために仕組まれたような……そんな考えが…………。

「それにこの不幸の連鎖で一番得をした人物がいるの。事件で一番疑われてもおかしくない人物が」

「レブラント夫人、この話は復讐が重なってしまった悲劇で……」

「ミリーナ様、ただひとり生き残った貴女は何故当主になれたの?全く疑われなかったの?自分の旦那と義理の父母を殺したことを」

私の母は疑っているんだ。この一連の出来事はミリーナ様による策略が巡っているんじゃないかって。ミリーナ様は女性でありながら当主になった人だから。

義理の父母が殺され、跡継ぎであった自分の旦那も殺された上、跡継ぎとなる子供はまだ生まれてもいなかった………はず。生まれていたにしても幼すぎるが故に、ミリーナ様が当主になる可能性は十分にある。

まるで貴族家の乗っ取り……女性が貴族の当主になる可能性は全くないわけではないけれど、男性が優先させる時代。だからこそ女性は男性の爵位に寄りかかったよくて当主の夫人となるのが一般的。

当主ほどの権限を持つことはないに等しい。代理くらいはあったにしても。

それに今思えばミリーナ様は自分の息子の浮気を容認……していたように思う。相手がゼロだと知りながら。

そこにもミリーナ様が何か企みがあるんじゃないかなんて……疑いがだんだんと溢れてくる。母の疑いで、私までついつい疑ってしまう。

ゼロも同じくまさかと言った目でミリーナ様を見ていた。
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