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第474話 残り2本
しおりを挟む「倒したわね……私は大聖女の援護に行くわ。貴方たちは休んでなさい。意識を保つのもやっとの筈よ」
血だらけのボロボロで膝をつくティクタスとリーゼスはエルルカの言葉に無言で頷く。すまない。と、ばかりに。
*
「あっちは片付いたみたいだね♪ 流石はエルルカさんだ。ティクタスさん、リーゼスさんもお疲れ様って言いたい所だけど──……え──……?」
ノアが異変に気づいて街を振り返る。
──ドッ──カーン──!!
火柱が登る程の爆発。
街の中心部からだ。街の中心部──
そこには〝聖教会〟の〝大聖堂〟がある。
〝大都市エルクステン〟の〝聖教会〟の〝大聖堂〟──その場所には極めて重要な物がある。
〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟だ。
1000年前の〝人類の英雄〟とまで呼ばれる〝天聖〟が張った、元は4人いた魔王の行動を制限する特殊な結界の基盤がそこにある。
この〝八柱の大結界〟がある限り、魔王は一人ずつしか行動ができない。行動できる魔王は66日ごとに代わり、故に魔王が同時に攻めてくることは無い。
1人の魔王が攻めてきただけでも〝魔王戦争〟と呼ばれ、人類に甚大な被害をもたらす。
それが同時に最大四人もの魔王が同時に攻めてきたら人類はとっくの昔に滅びていたことだろう。
──ゴロゴロ!! ドカーン!
ノアと愧火の近くに雷が落ちた。
雷自体はノアに取っては驚異ですらない。
だが、雷と共に現れた二つの影にノアは視線を向ける。
「一応確認〝大都市エルクステン〟の〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟を破壊したのは貴方かな? だとしたら、こないだの〝シルフディート〟に続いて貴方に壊されたのは、これで2本目か──〝屍〟シリュウ・ブラックさん」
「死死、ええ、私ですとも」
「もう一人は〝魔王信仰〟のNo.4──シトリ・チャーチさんだね? この瞬間移動もあなたの仕業かな」
「……」
くノ一姿のシトリからは返事はない。
ともあれ、これで残りの〝魔術柱〟は2つ。
残りは〝中央連合王国アルカディア〟と、これは魔王軍には知られてないが〝アーデルハイト王国〟にある。
「〝大聖堂〟には私のお付のヴィクトリアさん、そして万が一の為に防衛に回ってもらったガーロックさんが居た筈だけど、どうしたのかな?」
「エルフとジジイなら、これですかね?」
シトリが持っていた壺、カポリと壺の蓋を開けるその中には2つの心臓が入っていた。
ノアは瞬時にスキル〝神眼〟を使い、その抜き取られた心臓の持ち主が本当にヴィクトリアとガーロック、特に長年の付き合いのヴィクトリアの物なのかを調べると、あのノアがほんの一瞬だが、顔を青ざめさせた。
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