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第491話 奴隷オークション4
しおりを挟む「奴隷商を守ろうとする私と、奴隷商を壊そうとするあなた。利害が逆に思えますが? 私にあなたと一緒に来いとは一体どういう了見です?」
「トランプ、俺にはお前が悪い奴には見えねぇんだ。根拠があるワケじゃない。完全に俺のカンだ──」
「……」
無言のトランプ。
「弱みでも握られてるのか?」
「……っ」
わずかな動揺、だがそれが俺の質問への肯定を意味していた。
「図星か、そりゃ引けねぇワケだ。大方、人質でも取られて、なすがままって所か……いいぜ、トランプ、お前の守りたい物、しっかり守って見せな──」
刹那、俺は動いていた。
いや、もう少し細かく説明すると、トランプの顔面を片手で鷲掴みにし、奴隷テントの中央部にいる──奴隷オークションの司会の奴隷商と揉める王族たちのド真ん中へ投げ飛ばしてやった。
ズドォォ──ン!! と、奴隷テント内の地面のド真ん中に小さな──と言っても半径2m50cmぐらいのクレーターを作る。
「な、トランプ!? 襲撃者を見つけたのでは無かったのか!!」
「……見つけるには見つけたのですが……ぐふっ……かなりの大手練れのようです──〝王国魔導士団〟と同格、もしくはそれ以上かと……」
トランプも修羅場をいくつも越えてきている実力者だ。相手の力量は対峙した、その瞬間に悟っていた。
あれはトランプが今まで戦った誰よりも格が違う。そうトランプの脳は警鐘を鳴らしていた。
「トランプ! 立て、立てぃ! 立たねば、捕まえてあるお前の恋人を殺す! 本当なら売り飛ばす所を貴様が買い戻すと言うから待ってやってるんだぞっ!」
「──奴隷は殺させねぇよ」
「「!?」」
タン、と、サーカステントの中央部に降り立った俺に視線が集まる。桜はあの場で待つように置いてきた、だが俺の銃の射程内だ。
極端な話、桜に100人ぐらいなら一斉に飛びかかって来ても対処できるぐらいの余裕はある。
「貴様、何が目的だ?」
腰の銃に手を置いたな。
「奴隷商の廃業と奴隷の解放──
ドン!
話の途中で撃ってきた。
だが俺は、ふいっと、それを避ける。
「おい待てよ、王族共、お前らの奴隷、全員置いてけ」
「何だと! わしらに向かって、無礼であろう!」
「斬り殺してしまえ!」
であえ、であえ、とばかりに何処からか、鎧の兵士がわんさか出てきた。50人はいるか。
もうこの手の輩はお腹いっぱいなんだがな。
(まあ、やるしかねぇか)
王族たちの男が、その隙に逃げようとするが、俺もそれをミスミス逃がすほどバカじゃない。
〝アイテムストレージ〟から取り出した二丁の〝魔力銃〟で瞬時に50名の兵士を片付ける。兵士たちは殺しはしない、一時的に無力化させただけだ。
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