【完結・BL】アルファの王子は幼馴染アルファの騎士と番になりたい【騎士×王子】

彩華

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21】好きなんだ

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21】好きなんだ

 (ギルベルトには、決めた相手がいるのか)

帰国したばかりのギルベルトと談笑しながら、自分でも悪いと思いながらも探りを入れて見ると、思わず返事が返って来てしまった。
喉がヒリつくような感覚を覚えながら、どうにか言葉に出来た。相手がいると知ってしまえば、今までの淡い期待で自分を慰めていた恋が終わってしまう。私の変わりかけた身体だって。

「あー……」

ギルベルトにしては、珍しく歯切れが悪い。私だって知らなかったことだ。内密のことだろうし、答えることが出来ないんだろう。

「変な話をしてしまってごめん。じゃあ、私は戻ることにするよ」

「あ、おい! アーサー!」

今度こそ、諦めなければ。
これ以上ギルベルトの前にいると、何を言い出すか分からない。人混みに紛れ、振り返って走り出す。ドキンとなった心臓に、また身体が熱くなる感覚があった。だが、ここで気を失うわけにもいかない。

「アーサー! 待てって!」

背後にギルベルトのフェロモンを感じた。これ以上身体が反応したら困る。今ばかりは、逃げなければと思い振り返ることもせず。人の間を縫うように脚を速めた。廊下に出れば、あとは走り出す。どうせ私の逃げる場所なんか、ギルベルトにはお見通しだろう。それでも、だ。ギルベルトの前で泣くことも出来ない。

「くっ……ぅあ……」

(まだだ、まだ倒れるわけには……!)

人が少なくなって、自室が近くなってくる。ギルベルトが後に続いて来る様子もないが、それで良い。一人にして欲しい。一人にして、全部終わらせるから。明日になれば、ちゃんとギルベルトにとって自慢の王子になるから。今だけは、ただのアーサーとして泣くことを許して。
もう扉が開く。そう思ったのに、


「待てって!」

「……ッ!」

ガクン! と強い力で手を引かれ。背後に嫌というほどアルファのフェロモンも出しているギルベルトがいた。

(あ……不味い)

鼻孔に香ったギルベルトの匂いに、ブワッ! と身体が一気に熱を上げた。

「これは……ッ、アーサー……!」

ギルベルトの表情が歪む。

「ギルベルト、私のフェロモンの匂い嫌いかい……?」

なぜ自分でも、そんなことを言ってしまったのか。ただ分かるのは、この一瞬で自身のバース性はオメガになることを望み続けていること。どうしても、目の前にいるギルベルトと番になりたいと願っている。

「アーサー……」

「ギルベルト。好きなんだ」

ごめん。君には決めた相手がいるのに。どうにか私のものに出来ないかなんて思ったりして。

*******

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