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#28 会いたいと会いたい
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緊急会議の内容は、
《竜司を扇とどうくっつけるか》
しかし、進展も案もこれといってなく――すぐに解散と至った。
◆
「ぅうう~~頭が痛いぃー」
二日酔いに竜司は眉をひそめた。今日、一日と仕事があるとは承知なのだが、どうにも頭が回らない。昨日、どうしてお酒を煽ったのかすら記憶もあやふやだ。
「僕、昨日試食会で悪酔いしてないかなーともみ君や、恵君に迷惑をかけていないといいんだけどなぁ」
ばつの悪そうに表情も曇ってしまうのは仕方がないのかもしれない。
「あ。店長、起きて来たんすね」
「!? ぇ」
「おはようございます! 店長っ」
「え?」
リビングに行った竜司に声をかけたのは恵とともみだ。長谷部は身支度がある為に、すでに家に帰っていた。残った2人は料理の専門学校を卒業し、ここ【極道】のみの勤務である為に、帰るのも面倒で泊まった訳だ。
「お、おはよう。2人とも泊まっていったんだね」
にこやかに、少しひきつった笑顔を2人に向けた。
ぎこちない竜司の表情に恵も、
「いやー~~参りましたよ? 昨日店長ってばあんなことやそんなこととw」
意地悪く言い放つ。
ザー~~……
「ぁ、んなこと? っそんなこと!?」
血の気も引いてしまう竜司に、ともやも恵の頭を掌で叩いた。
「店長。大丈夫なんで、この馬鹿の話しなんか聞き流して下さいっ」
「本当に!? っぼ、僕なんにも言ってないのかい!?」
「大丈夫ですから!」
大きく顔を縦に振るともみに竜司も不信感を抱きつつ、
「なら、…いいんだけどぉ」
小さく息を吐いた。
(何も、なかったんならいいんだけど…)
遠くを見る竜司に恵とともみは顔を見合わせた。
「こりゃあ重症だ」
「…そう?」
「お宅は鈍感だかんねw」
「めぐみんに言われたくないんだけどw」
バチバチと2人も笑顔で棘ある言い合いをしてしまう。
そんな様子に、
「それじゃあ! 開店準備をしょうじゃないか、諸君っ!」
竜司がようやくにこやかに腕を天井に上げた。
「「!」」
2人は一緒に吹き出し肩に腕を回し合った。
「「了解wwwww」」
◆
「あー~~…会いたいなぁー」と扇は宙を仰いだ。手にはウイスキーが注がれたグラスを持ち、くるんくるんと回していた。そんな上の空になってしまっている様子の彼に海潮も「あらあら」と苦笑をするしかなかった。
「私も、何回か携帯を鳴らしているのですが出ないんですよ、縁司さん」
横に腰を据えて海潮が扇に言うのだが、どこまで彼の耳に入っているかは不明だった。
「弱りましたねぇ」
本当に海潮は縁司のことばかり考えて、名前を呼ぶ彼に弱っていた。竜司を連れて来た責任を、ほんの少しだけ感じていたからだ。
しかし、感じたところでどうにも出来ない訳で。このままでは病んでしまうのはないのかと扇の健康面でも心配になりそうで胃もキリキリと痛んでしまう。
(やっぱり。もう一度、長谷部君に確認をしましょうか)
《竜司を扇とどうくっつけるか》
しかし、進展も案もこれといってなく――すぐに解散と至った。
◆
「ぅうう~~頭が痛いぃー」
二日酔いに竜司は眉をひそめた。今日、一日と仕事があるとは承知なのだが、どうにも頭が回らない。昨日、どうしてお酒を煽ったのかすら記憶もあやふやだ。
「僕、昨日試食会で悪酔いしてないかなーともみ君や、恵君に迷惑をかけていないといいんだけどなぁ」
ばつの悪そうに表情も曇ってしまうのは仕方がないのかもしれない。
「あ。店長、起きて来たんすね」
「!? ぇ」
「おはようございます! 店長っ」
「え?」
リビングに行った竜司に声をかけたのは恵とともみだ。長谷部は身支度がある為に、すでに家に帰っていた。残った2人は料理の専門学校を卒業し、ここ【極道】のみの勤務である為に、帰るのも面倒で泊まった訳だ。
「お、おはよう。2人とも泊まっていったんだね」
にこやかに、少しひきつった笑顔を2人に向けた。
ぎこちない竜司の表情に恵も、
「いやー~~参りましたよ? 昨日店長ってばあんなことやそんなこととw」
意地悪く言い放つ。
ザー~~……
「ぁ、んなこと? っそんなこと!?」
血の気も引いてしまう竜司に、ともやも恵の頭を掌で叩いた。
「店長。大丈夫なんで、この馬鹿の話しなんか聞き流して下さいっ」
「本当に!? っぼ、僕なんにも言ってないのかい!?」
「大丈夫ですから!」
大きく顔を縦に振るともみに竜司も不信感を抱きつつ、
「なら、…いいんだけどぉ」
小さく息を吐いた。
(何も、なかったんならいいんだけど…)
遠くを見る竜司に恵とともみは顔を見合わせた。
「こりゃあ重症だ」
「…そう?」
「お宅は鈍感だかんねw」
「めぐみんに言われたくないんだけどw」
バチバチと2人も笑顔で棘ある言い合いをしてしまう。
そんな様子に、
「それじゃあ! 開店準備をしょうじゃないか、諸君っ!」
竜司がようやくにこやかに腕を天井に上げた。
「「!」」
2人は一緒に吹き出し肩に腕を回し合った。
「「了解wwwww」」
◆
「あー~~…会いたいなぁー」と扇は宙を仰いだ。手にはウイスキーが注がれたグラスを持ち、くるんくるんと回していた。そんな上の空になってしまっている様子の彼に海潮も「あらあら」と苦笑をするしかなかった。
「私も、何回か携帯を鳴らしているのですが出ないんですよ、縁司さん」
横に腰を据えて海潮が扇に言うのだが、どこまで彼の耳に入っているかは不明だった。
「弱りましたねぇ」
本当に海潮は縁司のことばかり考えて、名前を呼ぶ彼に弱っていた。竜司を連れて来た責任を、ほんの少しだけ感じていたからだ。
しかし、感じたところでどうにも出来ない訳で。このままでは病んでしまうのはないのかと扇の健康面でも心配になりそうで胃もキリキリと痛んでしまう。
(やっぱり。もう一度、長谷部君に確認をしましょうか)
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