私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第2章 王都へ

109 アランさん達の処遇

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「大変申し訳ありませんでしたっ」

部屋にやって来て早々にマットさんが私たちに頭を下げて謝る。
突然の事に戸惑うと同時に、あまり驚きがないのは、最近なぜか大人の人に頭を下げられる機会が多いからだろうか。

「マット、突然謝られてみんながビックリしてるよ」

ルーク君が私たちの気持ちを代弁してくれた。

「当家の使用人が皆様を食堂に案内するのを忘れていたようで、申し訳ありませんでした」
「ああ。それはお母様のせいだから、バードさんを怒らないであげてね」
「それでも、別の使用人に言付けすることはできたはずです」
「マットは厳しいなぁ」

どうやら、マットさんはなんの対策もしなかったバードさんにお怒りらしい。

「今日は食堂で御夕食をとられるとマーガレット様からお聞きしました」

バードさんのお話をしていた時はつり上がっていたマットさんの目が、優しく細められる。

「お母様はマットにまで話に行ったの?」
「全ての使用人に御触れが回りましたので。······ルーク様、おめでとうございます」
「みんな大袈裟なんだからっ」

ルーク君はマットさんからのお祝いの言葉に恥ずかしそうに顔を赤く染める。

「ルーク様っ、お待たせしてすみません」
「廊下を走らないっ」
「す、すみませんっ!」

バードさんが慌てた様子で戻ってきた所で、早速マットさんの叱責が飛ぶ。

「ルーク様のお召し物の用意を」
「はいっ!」
 
バードさんに指示を出すと、私たちを部屋の外へ促す。

「ルーク様はお着替えがありますので、皆様は先に私がご案内いたします」
「「「「お願いします」」」」

先程のバードさんとのやり取りを見て、何となく私たちもかしこまってしまう。

「ルーク、じゃあまたな」
「食堂でね!」
「先にいっているわ」
「後でね」
「うんっ!」

みんなでルーク君に一言声をかけて、部屋を後にする。
階段を下りて、一階にある食堂に向かう。
食堂の扉は開かれていて、そのまま部屋の中に進むと、大きなテーブルに全員の姿があった。
マットさんに椅子を引いてもらい、順番に席に座っていく。
その間もクラウジアさんとマーガレットさんはそわそわと扉の方を気にしていた。
クラウジアさんとマーガレットさんの間には空席の椅子が一つあり、きっとあそこにルーク君が座るのだろう。

「ルーク様はお召し替えがすみ次第、こちらにいらっしゃいますから。お二人とも落ち着いてください」
「そうなのねっ」
「そ、そうかっ」

見かねたマットさんが、そっと二人に注意するけど、二人の目線は扉のままだ。
ルーク君が来るまでは、きっと他の事は考えられないんだろうなぁ。

「ルーク君と仲良く遊んでたようですね」
「「「「はいっ!」」」」

フェ様が私たちに声をかけてくれる。

「良い時間を過ごせたようで良かった」
「神官長様は今までどうしてたんですか?」
「私はクラウジア殿とアランたちとで冒険者ギルドに行ってました。冒険者ギルドに足を運んだのは初めてで、良い経験になりましたよ」
「それって」

アランさんたちを見ると、少し気まずげに肩をすくめている。
これはどっちの反応なんだろう?

「アラン、みんなが心配してたんだ。結果を教えてあげなさい」
「は、はい。えーと、結論から言うと、君たちの護衛は俺たちがこのまま継続することになったよ」
「本当ですかっ⁉️」
「良かったぁ!」
「神官長様とクラウジアさんがギルドに掛け合ってくれてね。しっかりとお説教とペナルティは受けたけれど、最終的には依頼人の意思を尊重するってことで、私たちがこのまま貴方たちの護衛を続けることになったの」
「俺たちには資格はないって一度は断ったんだ。だけど、君たちが俺たちに護衛をして欲しいと希望していると神官長様から聞いて、俺たちがすることは仕事を投げ出すのではなく、最後まで護衛を全うする事なんじゃないかって考えたんだ」
「心配させちゃって、ごめんね」
「護衛でいる資格はないって格好つけてたのに、普通に護衛を続ける事になったって言うのもなんか気まずくって、すぐに話さなくってごめんね」
「 ううん。アランさんたちとまた旅ができて嬉しいです」

一時はこの町でお別れになるのかもと思ってたから、これからも一緒だと聞いて本当に嬉しい。
フェ様には感謝しなくっちゃ。

「でも、ペナルティってなんだったんですか?」
「冒険者ランクの降格も覚悟してたんだけど、どうも有名な盗賊団だったみたいで、それを捕まえた功績で降格は免れたわ。その代わり、貴方たちの護衛が終わったら、王都で奉仕活動をするの。私とマーヴェイは2週間、そしてアランは3週間ね」
「「「「奉仕活動?」」」」

冒険者の人がする奉仕活動がよくわからなくってみんなで首をかしげる。

「要は雑用だね。町の清掃とか、荷運びとかF級冒険者が受けるような仕事を無償でするんだ」
「「「「へー」」」」
「「ルークっ!」」

クラウジアさんたちが立ち上がり、やって来たルーク君を迎える。
ルーク君はクラウジアさんたちの方へ行くのではなく、アランさんたちの方へ向かい、「初めまして、ルークです。お父様を救っていただき、有り難うございました」と三人にお辞儀する。

「あ、いえ。ご丁寧に」

ルーク君の10歳とは思えない大人びた態度に、アランさんはたじたじとなっている。
クラウジアさんとマーガレットさんはルークを見つめて涙ぐみ、「ルークがここまで一人で歩いてこれたなんて」と感動していた。
ルーク君が席につき、料理が次々とテーブルに運ばれてくる。

「今宵は無礼講です。マナーなど気になさらず、お好きなものをお好きなだけ食べてください」

料理は海の幸がふんだんに使われていて、どれも美味しかった。

「サラちゃん、これが先程説明したウニよ」
「ふぇっ!」
「ふふ。スッゴク美味しいんだから、食べてみて」

先程市場で見たウニが食卓に上がり、シーラさんに勧められたのに、尻込みしてしまったのも、良い思い出だ。でも、思いきって食べたウニはとても美味しく、気づけばみんなでお腹がはち切れそうになるまで、食事を楽しんだ。

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1/15 一部文書を変更しました。

誤:気づけばみんなで《御中》がはち切れそうになるまで、食事を楽しんだ。
正:気づけばみんなで《お腹》がはち切れそうになるまで、食事を楽しんだ。



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