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第3章 王立魔法学校入学編
178 里心
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カイン先輩に迫力のある笑顔を向けられ、フィン君の顔から汗がたらりと流れ落ちる。
カイン先輩は相当お怒りのようだ。
「お前からじゃなくて、別の相手から話を聞かされた時の兄ちゃんの気持ちがわかるか?」
「わ、悪かったよ。でも、俺は当事者と言って良いのかどうかって位しか関わってないって言うか」
「フィン君の言う通りですっ。絡まれたのはあたしとキャシーで、フィン君は私たちのために助けを呼びに行ってくれたんです」
「そ、そうなんだよー!」
流石はアミーちゃん!
二人の様子にオロオロするだけの私とは違って、フィン君をすかさずフォローする。
フィン君もアミーちゃんの言葉に勢い良く頷いていた。
「あのな、別に兄ちゃんは貴族に絡まれたか、絡まれてないかを気にしてる訳じゃないんだぞ?逃げずに友だちを助けた事は、お前の兄ちゃんとして誇らしく思う」
でも、カイン先輩が怒っていたのはそう言うことではないらしい。
「兄ちゃんが怒ってるのはただひとつ!何かあった時はすぐに兄ちゃんに相談するように言いつけてあった事をお前が守らなかったことだ」
カイン先輩はフィン君の鼻先に人差し指をビシリと突きつけるとそう言った。
「へ?そんな事?」
「そんな事ってな~!俺はお袋にお前の事を頼まれてんの!俺が知らないと何も助けられんだろ~が。…聞いたときは本当に心配したんだぞ」
「…ごめん。今度から気を付ける」
迫力のある笑顔を引っ込め、ストレートに心配したと言うカイン先輩に対して、フィン君も今度は素直に謝る。
「よし!じゃあ、今回はこれで許す」
「あたっ!」
カイン先輩はフィン君の鼻先を弾くと、にかっと笑顔を浮かべるのだった。
カイン先輩が本当にフィン君を心配していた気持ちが良く伝わってくる二人の様子に、家族って良いなぁと思ったのと同時に両親の事を思いだし、とても会いたくなってしまった。
両親と別れてまだ一ヶ月もたっていないとは言え、こんなに長い間離れた事はなかった。
二人とも今頃は何をしてるのかなぁ?
「みー?」
両親を思って一人しょんぼりしていると、私の様子に気づいたマーブルが、私の膝に飛び込んできた。
元いた椅子をみれば、既にご飯は完食していて、満足そうに舌で自分の口回りをペロ舐めた後、私の膝に頭をすりすりと擦り付ける。
そんなマーブルの姿に、僕がいるよと言われている気がした。
「うん、そうだね。私にはマーブルがいるもんね」
「なん♪」
『わ、私もおります!』
勢い込んで言うモスの姿は珍しく、その必死な姿が精霊様ぽくなくて思わず笑いそうになってしまう。
マーブルたちのお陰で、いつの間にか先ほどのしょんぼりした気持ちはどこかにいってしまっていた。
両親とはすぐに会えない距離だけれど、私にはマーブルや精霊様たち、それに友だちだっているんだから、寂しがるなんて贅沢だよね。
長期休暇の時には帰れると聞いているし、帰った時に二人に良い報告ができるように頑張ろう。
私はそう改めて決意するのだった。
カイン先輩は相当お怒りのようだ。
「お前からじゃなくて、別の相手から話を聞かされた時の兄ちゃんの気持ちがわかるか?」
「わ、悪かったよ。でも、俺は当事者と言って良いのかどうかって位しか関わってないって言うか」
「フィン君の言う通りですっ。絡まれたのはあたしとキャシーで、フィン君は私たちのために助けを呼びに行ってくれたんです」
「そ、そうなんだよー!」
流石はアミーちゃん!
二人の様子にオロオロするだけの私とは違って、フィン君をすかさずフォローする。
フィン君もアミーちゃんの言葉に勢い良く頷いていた。
「あのな、別に兄ちゃんは貴族に絡まれたか、絡まれてないかを気にしてる訳じゃないんだぞ?逃げずに友だちを助けた事は、お前の兄ちゃんとして誇らしく思う」
でも、カイン先輩が怒っていたのはそう言うことではないらしい。
「兄ちゃんが怒ってるのはただひとつ!何かあった時はすぐに兄ちゃんに相談するように言いつけてあった事をお前が守らなかったことだ」
カイン先輩はフィン君の鼻先に人差し指をビシリと突きつけるとそう言った。
「へ?そんな事?」
「そんな事ってな~!俺はお袋にお前の事を頼まれてんの!俺が知らないと何も助けられんだろ~が。…聞いたときは本当に心配したんだぞ」
「…ごめん。今度から気を付ける」
迫力のある笑顔を引っ込め、ストレートに心配したと言うカイン先輩に対して、フィン君も今度は素直に謝る。
「よし!じゃあ、今回はこれで許す」
「あたっ!」
カイン先輩はフィン君の鼻先を弾くと、にかっと笑顔を浮かべるのだった。
カイン先輩が本当にフィン君を心配していた気持ちが良く伝わってくる二人の様子に、家族って良いなぁと思ったのと同時に両親の事を思いだし、とても会いたくなってしまった。
両親と別れてまだ一ヶ月もたっていないとは言え、こんなに長い間離れた事はなかった。
二人とも今頃は何をしてるのかなぁ?
「みー?」
両親を思って一人しょんぼりしていると、私の様子に気づいたマーブルが、私の膝に飛び込んできた。
元いた椅子をみれば、既にご飯は完食していて、満足そうに舌で自分の口回りをペロ舐めた後、私の膝に頭をすりすりと擦り付ける。
そんなマーブルの姿に、僕がいるよと言われている気がした。
「うん、そうだね。私にはマーブルがいるもんね」
「なん♪」
『わ、私もおります!』
勢い込んで言うモスの姿は珍しく、その必死な姿が精霊様ぽくなくて思わず笑いそうになってしまう。
マーブルたちのお陰で、いつの間にか先ほどのしょんぼりした気持ちはどこかにいってしまっていた。
両親とはすぐに会えない距離だけれど、私にはマーブルや精霊様たち、それに友だちだっているんだから、寂しがるなんて贅沢だよね。
長期休暇の時には帰れると聞いているし、帰った時に二人に良い報告ができるように頑張ろう。
私はそう改めて決意するのだった。
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