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第4章 王立魔法学校一年目
288 ドレスアップ
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結局、ラミエル王女様のお勧めもあって、最初に見せてもらった翡翠色のドレスをお借りすることになった。
本来ならドレスの下にコルセットと言う名の拷問着(フェアリス王女様談)着るそうなのだけれど、このお茶会が格式ばったものではないことやドレスなんて生まれて以来一度も着たことのない私には荷が重いだろうということで無しになった。
子供用だというコルセットを見せてもらったけれど、それでも十分苦しそうだった。大人用のものはもっとすごくて、ラミエル王女様の細い腰はこのコルセットが作っているのかと納得した。
「慣れてしまったら、そこまできつくないのよ?」
思わずコルセットとラミエル王女様を交互に見つめていたら、それに気づいたラミエル王女様がふんわり笑って答えた。きついのは最初の方だけで、慣れればどうってことないのだと話すラミエル王女様だったけれど、ラミエル王女様の後ろに控えていたエンゲラさんが静かに首を振っているところを見ると、ラミエル王女様は少数派のようだ。
ちなみにエンゲラさんは衣裳部屋の扉を開けてくれた女性の名前だ。なんとこのエンゲラさんは侍女長さんの妹さんの娘さんなのだとか。どうりで侍女長さんに似ていると思ったわけだよ。
「さあ、そうと決まったらドレスに着替えましょう。みんな、お願いね」
「「「かしまりました」」」
ラミエル王女の言葉を合図に、三人の侍女さんが姿を現した。
「お嬢様、失礼いたします」
「え?あのっ」
彼女達はいったい今までどこに隠れていたのだろうか。あれよあれよという間に制服を脱がされてしまう。
まさかこの年になって他人に服を脱がされることになるとは!とても恥ずかしい。
じっとしていられなくって、自分で着替えますと言っても、全く聞いてもらえない。あっという間に肌着のみの姿にされてしまった。
「こちらは?」
侍女さんの一人の視線の先にあるのは、ジークにもらったカフスを入れたお守り袋だ。
「えっと、これはお守りなんです」
お守り袋を握り締めて説明をすると、彼女達は非常に困った様子で外しても構わないかと聞いてくる。
確かに、制服とは違いドレスを着たら、首ひもが見えてしまうのは確実だ。
そうわかっていても、預かりものを今日あったばかりの人に託すのは抵抗がある。
「けっしてなくすようなことは致しません」
「制服と一緒に大切に保管させていただきますので」
そこまで言われて、嫌だとは言えなかった。よろしくお願いしますと言って、首から外したお守り袋を手渡す。侍女さんが丁寧な手つきで受け取ると、お守り袋は制服と一緒に鍵付きの箱の中に入れられた。
鍵は侍女さんがきちんと保管してくれるそうだ。
続いて侍女さんは三人がかりでドレスを着せてくれた。さすがにここは一人で着れますとは言えないので、大人しくされるがままになる。
ラミエル王女様はその様子を見ていたのだけれど、考え込むように首をかしげて言った。
「髪も可愛くしたいわね」
ラミエル王女様が指名したのはエンゲラさんだ。私の髪は決して長いとは言えないので、できる髪型は限られている。今だって、フェ様にいただいた髪飾りで一つにまとめているだけだ。
エンゲラさんはどうするのだろうと思っていると、彼女は私を椅子に座らせコテを手に取り、私の髪にゆるやかなウェーブを作ると、両サイドの髪を器用に編み込みして髪飾りでまとめあげた。まさにあっという間の神業だ。
「すごく素敵よ」
「お人形さんみたい!」
ラミエル王女様とフェアリス王女様は瞳を輝かせて言ってくれた。王女様達は心の底からそう思ってくれているのはわかった。普段言われ慣れていない言葉なのもあって、すごくこそばゆい。
モスはモスで『当然だ』と言うような顔で王女様達を見ていて、なんだか笑えてきちゃった。
「では、行きましょうか」
エンゲラさんが扉を開ける。外ではジークと騎士様が待っていて、ラミエル王女様を先頭に王太子様とフェアレイ王子様が待っているという場所まで向かう。
途中で歩き疲れたフェアリス王女様を騎士様が抱っこするというハプニングもあったけれど、これだけ広いんだもん。歩き疲れちゃうのも当然だよね。
本来ならドレスの下にコルセットと言う名の拷問着(フェアリス王女様談)着るそうなのだけれど、このお茶会が格式ばったものではないことやドレスなんて生まれて以来一度も着たことのない私には荷が重いだろうということで無しになった。
子供用だというコルセットを見せてもらったけれど、それでも十分苦しそうだった。大人用のものはもっとすごくて、ラミエル王女様の細い腰はこのコルセットが作っているのかと納得した。
「慣れてしまったら、そこまできつくないのよ?」
思わずコルセットとラミエル王女様を交互に見つめていたら、それに気づいたラミエル王女様がふんわり笑って答えた。きついのは最初の方だけで、慣れればどうってことないのだと話すラミエル王女様だったけれど、ラミエル王女様の後ろに控えていたエンゲラさんが静かに首を振っているところを見ると、ラミエル王女様は少数派のようだ。
ちなみにエンゲラさんは衣裳部屋の扉を開けてくれた女性の名前だ。なんとこのエンゲラさんは侍女長さんの妹さんの娘さんなのだとか。どうりで侍女長さんに似ていると思ったわけだよ。
「さあ、そうと決まったらドレスに着替えましょう。みんな、お願いね」
「「「かしまりました」」」
ラミエル王女の言葉を合図に、三人の侍女さんが姿を現した。
「お嬢様、失礼いたします」
「え?あのっ」
彼女達はいったい今までどこに隠れていたのだろうか。あれよあれよという間に制服を脱がされてしまう。
まさかこの年になって他人に服を脱がされることになるとは!とても恥ずかしい。
じっとしていられなくって、自分で着替えますと言っても、全く聞いてもらえない。あっという間に肌着のみの姿にされてしまった。
「こちらは?」
侍女さんの一人の視線の先にあるのは、ジークにもらったカフスを入れたお守り袋だ。
「えっと、これはお守りなんです」
お守り袋を握り締めて説明をすると、彼女達は非常に困った様子で外しても構わないかと聞いてくる。
確かに、制服とは違いドレスを着たら、首ひもが見えてしまうのは確実だ。
そうわかっていても、預かりものを今日あったばかりの人に託すのは抵抗がある。
「けっしてなくすようなことは致しません」
「制服と一緒に大切に保管させていただきますので」
そこまで言われて、嫌だとは言えなかった。よろしくお願いしますと言って、首から外したお守り袋を手渡す。侍女さんが丁寧な手つきで受け取ると、お守り袋は制服と一緒に鍵付きの箱の中に入れられた。
鍵は侍女さんがきちんと保管してくれるそうだ。
続いて侍女さんは三人がかりでドレスを着せてくれた。さすがにここは一人で着れますとは言えないので、大人しくされるがままになる。
ラミエル王女様はその様子を見ていたのだけれど、考え込むように首をかしげて言った。
「髪も可愛くしたいわね」
ラミエル王女様が指名したのはエンゲラさんだ。私の髪は決して長いとは言えないので、できる髪型は限られている。今だって、フェ様にいただいた髪飾りで一つにまとめているだけだ。
エンゲラさんはどうするのだろうと思っていると、彼女は私を椅子に座らせコテを手に取り、私の髪にゆるやかなウェーブを作ると、両サイドの髪を器用に編み込みして髪飾りでまとめあげた。まさにあっという間の神業だ。
「すごく素敵よ」
「お人形さんみたい!」
ラミエル王女様とフェアリス王女様は瞳を輝かせて言ってくれた。王女様達は心の底からそう思ってくれているのはわかった。普段言われ慣れていない言葉なのもあって、すごくこそばゆい。
モスはモスで『当然だ』と言うような顔で王女様達を見ていて、なんだか笑えてきちゃった。
「では、行きましょうか」
エンゲラさんが扉を開ける。外ではジークと騎士様が待っていて、ラミエル王女様を先頭に王太子様とフェアレイ王子様が待っているという場所まで向かう。
途中で歩き疲れたフェアリス王女様を騎士様が抱っこするというハプニングもあったけれど、これだけ広いんだもん。歩き疲れちゃうのも当然だよね。
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