幼なじみ公爵の伝わらない溺愛

柴田

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 人生の約半分をニーナ・ハイデルとして生きてきたから、もう本当の名前など忘れてしまいそうだった。ハイデル公爵家の運営する、孤児院とは名ばかりの奴隷商館に、金貨五枚で自分の子を売るような母がつけた名だ。
 でもそれなりに思い入れもある。だって、母がくれた最初で最後の贈り物だった。

「ダリア」

 花の名前をたくさん知っているヘンリーが、かつて偶然にも、同じ名前がついた花を教えてくれたことがある。奴隷には似合わないような、色鮮やかで美しい花だった。

「ダリア。きれいな名前だ」

 どちらからともなく唇を重ね合わせた。ソファに押し倒したダリアの上に、ヘンリーが覆いかぶさるかたちで口づけは次第に深まっていく。
 昨日初めて知ったばかりの快楽を、身体が思い出すのはあっという間だった。

 ヘンリーの手がバスローブの上から胸を揉みしだき、尖って主張する先端を爪先でかく。昨日散々触られたせいか、乳首はまだ敏感なままだった。そんな些細な刺激で、腰がビクンと跳ねてしまう。
 キスをしながら両方の乳首をさすられ、ダリアは鼻息を荒くして身悶えた。すりすり、すりすり、と優しい力加減がもどかしくもなってくる。もっと強い快感が欲しかった。乱暴にしてくれてもいい。痛いことには慣れている。痛みと快感でぐちゃぐちゃになりたい。

「……ッヘンリー、もう入れて」

 ヘンリーの股間へ手を伸ばすと、そこはすでに硬く兆していた。形をなぞると、手の中で震える。トラウザーズを寛げ陰茎を引っ張り出すと、ダリアは自身の秘所へそれを導いた。
 自分から脚を開いて、ヘンリーの腰に絡ませる。秘所は昨日の余韻でまだ柔らかく潤んでおり、先端が埋まると吸い込むような動きをした。これが与えてくれる快感が一番強烈なことを、ダリアは知ってしまったのだ。もうほかでは満たせない。

「ダリア、痛むかもしれないよ……?」
「いいの。痛くてもいいの。痛いほうがいいのよ」
「…………ダリア」

 ヘンリーの腰に回した脚で引き寄せると、挿入が深くなる。期待したような痛みはちっともなかった。ダリアの胎は、すでにヘンリーの大きさを覚えてしまったようだ。
 痛みがない代わりに、とても気持ちよかった。ヘンリーの腰をぐーっと寄せて自分からも密着すると、先端が子宮口に強く当たる。ぞくぞくと背筋を抜ける快感でダリアはくふんと甘えた声を漏らした。
 ヘンリーの背中をかき抱き、さらなる快楽を求めて腰を揺らめかせる。

「動いて。ヘンリー……っ、うんと激しくして」
「いいよ。僕に全部任せて」

 腰を強く掴まれて、激しく揺さぶられる。ヘンリーはダリアのいいところばかりを突いて、絶え間なく快感を与えてくれた。
 イって、イって、何度もイって、それでもやめないでとねだる。ヘンリーはすべての要求に応えた。

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