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第二章 ボス(プレイヤースキル的な)
十六本目 二度目の戦い
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―――"12体の最強種"―――
これには既存のモンスターの種族、またはそもそも一体しかその種族のモンスターが発見されていない、という二種類が含まれる。
共通している事は、この12体全てが他のモンスター達と次元を異にする、いわば「ヨルム全体の最強格」であること。
情報源はNPCらしい。けれど、その内プレイヤーが見つけているのは一体だけ。
それが蛇帝ニーズヘッグ
ショート達が戦った時は戦いにすらならなかったという。
なんでも、エリアボスに向かう途中にニーズヘッグがいるのだとか。
NPC曰く、12体にはそれぞれに名前があるらしい。そのため、プレイヤーの中では"12の名前"なんて呼び名もあるそうだ。
ニーズヘッグと戦わずにエリアボスの場所に行く方法がある、というのが最前線のプレイヤーの中で通説になっている、とショートに説明を受けた。
その理由は、ニーズヘッグが今の段階で相手をするには強すぎるから、だそうだ。
ただ、どうせなら全力で一度挑んでみよう、という意見もあり、それに乗ったショート達は強いプレイヤーを集めている、というのが現状。
僕としては大歓迎だ。けれど、今はまだ自分に出来ることを把握できていない。
蛇帝ニーズヘッグ・・・どんなモンスターなのかは凄く気になる。
だけど、そんな存在と戦うなら、万全の状態にしておきたい。
そして、自分自身の戦力確認の為に、僕は今――
「ジュラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
――ナーガの巣に来ている。
「やぁ、ここに来るのは二度目だね」
ナーガを観察していて、分かったことがある。
こいつは、前の奴とは違う。
別の個体だ。
色が違うわけではない。
尻尾も前のやつと同様に鱗が薄くなっていた。これは共通なのかもしれない。
けれど、大きさが違った。
前に出会ったナーガよりもわずかにではあるが、間違いなく大きい。
Lvを見てみると――
――――――――
ナーガ Lv43
エイフォルトのエリアボス
――――――――
Lvが違った。
前のヤツは42だったハズ。
やっぱりLvは一定じゃないみたいだ。
「まぁ、やることは変わらないけどね。また、倒させてもらうよ?」
「ジュラァァァアアアアアアアアア!!」
ナーガの口を大きく開き威嚇する。
すぐに攻撃をしてくるかと思ったけど、どうやらかなり警戒しているらしい。
僕にとっては、好都合だ。
今回、僕は自分の全力を試しに来た。
僕がどこまでやれるのか・・・実験台になってもらおう。
僕は惜しみなく魔力を使う。
まず、二つ目の【付与魔法】を使う。
「〈悉くを打ち砕く力を〉《ハイストレングス》」
STR増加の魔法だ。
さらに、新しく手に入った【竜魔法】を発動。
「〈我、竜の力を求めん〉、《竜腕》」
詠唱を終えた途端、僕の腕が普段はない硬質な何かに包まれた。
動きを阻害するようなものではないが、普段はそこにないはずのもの。
それは、鱗だ。
それだけじゃない。僕の爪が薄い丸みのあるものではなく、分厚く尖ったものへと変化する。
肘から先をまるでガントレットの様に包んだ鱗に、指の先から生えた人間のものではない爪。
この魔法は異質だ。
ただ強化するわけでもなければ、何かを放つわけでもない。
この魔法は―――
自身の腕を、竜の腕に変える。
硬いうろこに覆われたことで、防御力が上がっている。
そして、その力は人間のまま、というわけではない。
その力は、竜のものだ。
それだけであれば、とてつもない魔法のように思う。けれど、デメリットも当然ある。
まず、発動に大量の量の魔力を使う。MPで表せば200。さらに、効果時間は決まっていないが発動してからも10秒ごとに20のMPを消費する。長時間発動することは出来ない。
身体から魔力が大量に抜ける感覚が残っているが、発動する魔法はまだある。
まず、前にも使った【風魔法】の用意。背中に魔力を集める。
おっと、どうやらナーガが僕の異様な雰囲気に気づいたらしい。
鎌首をもたげ、襲い掛かろうとしている。
だけど・・・残念ながら間に合わないよ。
足に魔力を籠め、二つの魔法を行使する。
一つは、【土魔法】。
僕の足元に、岩で小さなドームを作る。
初めて使った魔法だけど・・・上手くいってよかったよ。
追加で、【火魔法】を発動する。
僕の足元・・・正確には、僕の足元にある小さな岩のドームの中に炎を溜める。
炎を僕の制御とドームの両方で押しとどめる。
僕は地面を全力で蹴る。それと同時に、炎の制御を手放す。
すると、岩のドームだけでは炎の勢いを抑えつけることが出来なくなり、弾ける。
普通なら爆発に僕も巻き込まれるところだけど、そうはならない。
僕は、あえてドームに触れている自分の足の周囲だけ強度を上げておいた。
結果、僕の足の周囲は岩が砕け散ることはなく、塊のままナーガの方へ飛んでいく。
地面を蹴る力と、魔法による爆発の力。
加えて、【風魔法】で軌道を修正しつつ、さらに加速。
「ジュラアアアアアアアアッッ!!」
僕が弾け飛ぶように跳び出すのと、ナーガが口を開き僕を口を食らおうとして動き出したのが、ほぼ同時だった。
ナーガは異常な速度で突っ込んでくる僕を見て目を見開き、一瞬怯む。
手に持っていた黒妖に魔力を籠める。
切れ味の上がった黒妖をナーガへ向け、竜の腕力で振るう。
途中で【風魔法】を使って軌道を変えたことと、そもそも最初からナーガとの直線上ではなくわずかに右ひ跳び出したこともあり、僕はナーガの顔の右側を通る。
「っはぁぁぁぁぁああああああああ!!」
跳び出した勢いを利用して全力で振るった刀は、ナーガの口を裂き、さらに胴体に一本の赤い線を刻む。
それだけではなく――
ドドドドドドドドドドドドドッッ!!
――という爆破の音が連鎖する。
それは、黒妖を通して放った魔法がナーガの体内で爆発する音だ。
ナーガは最早悲鳴すらあげることはなかった。
前回見せた赤黒いオーラもない。
―――そのままナーガの体が光となって消え、僕とナーガの二回目の戦いは幕を閉じた
あ、二回目だとアナウンスもないんだなぁ
とちょっと場違いな考えを頭に浮かべながら、僕はマルトロスへと向かった。
これには既存のモンスターの種族、またはそもそも一体しかその種族のモンスターが発見されていない、という二種類が含まれる。
共通している事は、この12体全てが他のモンスター達と次元を異にする、いわば「ヨルム全体の最強格」であること。
情報源はNPCらしい。けれど、その内プレイヤーが見つけているのは一体だけ。
それが蛇帝ニーズヘッグ
ショート達が戦った時は戦いにすらならなかったという。
なんでも、エリアボスに向かう途中にニーズヘッグがいるのだとか。
NPC曰く、12体にはそれぞれに名前があるらしい。そのため、プレイヤーの中では"12の名前"なんて呼び名もあるそうだ。
ニーズヘッグと戦わずにエリアボスの場所に行く方法がある、というのが最前線のプレイヤーの中で通説になっている、とショートに説明を受けた。
その理由は、ニーズヘッグが今の段階で相手をするには強すぎるから、だそうだ。
ただ、どうせなら全力で一度挑んでみよう、という意見もあり、それに乗ったショート達は強いプレイヤーを集めている、というのが現状。
僕としては大歓迎だ。けれど、今はまだ自分に出来ることを把握できていない。
蛇帝ニーズヘッグ・・・どんなモンスターなのかは凄く気になる。
だけど、そんな存在と戦うなら、万全の状態にしておきたい。
そして、自分自身の戦力確認の為に、僕は今――
「ジュラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
――ナーガの巣に来ている。
「やぁ、ここに来るのは二度目だね」
ナーガを観察していて、分かったことがある。
こいつは、前の奴とは違う。
別の個体だ。
色が違うわけではない。
尻尾も前のやつと同様に鱗が薄くなっていた。これは共通なのかもしれない。
けれど、大きさが違った。
前に出会ったナーガよりもわずかにではあるが、間違いなく大きい。
Lvを見てみると――
――――――――
ナーガ Lv43
エイフォルトのエリアボス
――――――――
Lvが違った。
前のヤツは42だったハズ。
やっぱりLvは一定じゃないみたいだ。
「まぁ、やることは変わらないけどね。また、倒させてもらうよ?」
「ジュラァァァアアアアアアアアア!!」
ナーガの口を大きく開き威嚇する。
すぐに攻撃をしてくるかと思ったけど、どうやらかなり警戒しているらしい。
僕にとっては、好都合だ。
今回、僕は自分の全力を試しに来た。
僕がどこまでやれるのか・・・実験台になってもらおう。
僕は惜しみなく魔力を使う。
まず、二つ目の【付与魔法】を使う。
「〈悉くを打ち砕く力を〉《ハイストレングス》」
STR増加の魔法だ。
さらに、新しく手に入った【竜魔法】を発動。
「〈我、竜の力を求めん〉、《竜腕》」
詠唱を終えた途端、僕の腕が普段はない硬質な何かに包まれた。
動きを阻害するようなものではないが、普段はそこにないはずのもの。
それは、鱗だ。
それだけじゃない。僕の爪が薄い丸みのあるものではなく、分厚く尖ったものへと変化する。
肘から先をまるでガントレットの様に包んだ鱗に、指の先から生えた人間のものではない爪。
この魔法は異質だ。
ただ強化するわけでもなければ、何かを放つわけでもない。
この魔法は―――
自身の腕を、竜の腕に変える。
硬いうろこに覆われたことで、防御力が上がっている。
そして、その力は人間のまま、というわけではない。
その力は、竜のものだ。
それだけであれば、とてつもない魔法のように思う。けれど、デメリットも当然ある。
まず、発動に大量の量の魔力を使う。MPで表せば200。さらに、効果時間は決まっていないが発動してからも10秒ごとに20のMPを消費する。長時間発動することは出来ない。
身体から魔力が大量に抜ける感覚が残っているが、発動する魔法はまだある。
まず、前にも使った【風魔法】の用意。背中に魔力を集める。
おっと、どうやらナーガが僕の異様な雰囲気に気づいたらしい。
鎌首をもたげ、襲い掛かろうとしている。
だけど・・・残念ながら間に合わないよ。
足に魔力を籠め、二つの魔法を行使する。
一つは、【土魔法】。
僕の足元に、岩で小さなドームを作る。
初めて使った魔法だけど・・・上手くいってよかったよ。
追加で、【火魔法】を発動する。
僕の足元・・・正確には、僕の足元にある小さな岩のドームの中に炎を溜める。
炎を僕の制御とドームの両方で押しとどめる。
僕は地面を全力で蹴る。それと同時に、炎の制御を手放す。
すると、岩のドームだけでは炎の勢いを抑えつけることが出来なくなり、弾ける。
普通なら爆発に僕も巻き込まれるところだけど、そうはならない。
僕は、あえてドームに触れている自分の足の周囲だけ強度を上げておいた。
結果、僕の足の周囲は岩が砕け散ることはなく、塊のままナーガの方へ飛んでいく。
地面を蹴る力と、魔法による爆発の力。
加えて、【風魔法】で軌道を修正しつつ、さらに加速。
「ジュラアアアアアアアアッッ!!」
僕が弾け飛ぶように跳び出すのと、ナーガが口を開き僕を口を食らおうとして動き出したのが、ほぼ同時だった。
ナーガは異常な速度で突っ込んでくる僕を見て目を見開き、一瞬怯む。
手に持っていた黒妖に魔力を籠める。
切れ味の上がった黒妖をナーガへ向け、竜の腕力で振るう。
途中で【風魔法】を使って軌道を変えたことと、そもそも最初からナーガとの直線上ではなくわずかに右ひ跳び出したこともあり、僕はナーガの顔の右側を通る。
「っはぁぁぁぁぁああああああああ!!」
跳び出した勢いを利用して全力で振るった刀は、ナーガの口を裂き、さらに胴体に一本の赤い線を刻む。
それだけではなく――
ドドドドドドドドドドドドドッッ!!
――という爆破の音が連鎖する。
それは、黒妖を通して放った魔法がナーガの体内で爆発する音だ。
ナーガは最早悲鳴すらあげることはなかった。
前回見せた赤黒いオーラもない。
―――そのままナーガの体が光となって消え、僕とナーガの二回目の戦いは幕を閉じた
あ、二回目だとアナウンスもないんだなぁ
とちょっと場違いな考えを頭に浮かべながら、僕はマルトロスへと向かった。
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