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Ep.8-5《愛欲の魔物》

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まずは吸盤のついた触手がアーニャのクリトリスに吸い付いた。

「あっ、ひぁああああッ!?」

そして膨れ上がったそれを無理やり引っ張られる。
腰が浮き、背筋がしなる。
まるで見せ物のように剥き出しになったそのクリトリスに、注射針のついた触手が迫る。

「止めッ――」

その言葉が届くより前に、性感帯を貫く激痛がやってきた。

「いぎッ!? ~~~~~~~~ッ!!」

アーニャは涙目になりながら、声にならない悲鳴を上げる。
直後、針の先端から体の内側に何か熱いものが注入されていく感覚があった。

「どうですか、クリにお注射される感覚は? すっごく気持ちいいですよね」
「あ”ッ、あ”ーーッ!!」
「ふふっ、変な声出しながらたくさん潮吹いちゃって……これで元々性感帯だったクリちゃんが、もっと敏感になっちゃいましたね」

感覚遮断の効果が発揮されているとは思えないほどの刺激を受け、アーニャは子供のように泣きじゃくる。
サナはそんなアーニャの頭を膝枕のようにして、自身の太ももの上にのせた。
そして色んな粘液が混じってべたついたアーニャの髪を優しく撫でながら、耳元でそっと囁く。

「次はGスポットに注射してあげますね」
「ひっ……!」

身震いしたところでもう遅い。
気づいた時には秘所に触手が挿入され、膣内の一番快楽を感じる部分に針が刺さっていた。

「あッ、がぁああああッ!?」
「うんうん気持ちよさそうな声……一緒にお尻も敏感にしてあげますね」
「んぐぅうううッ!?」

グリュウっとアナルをこじ開け、腸内に触手が侵入してくる。

「うーん、お尻ってどこが一番敏感なんだろう……? よく分からないから、とにかくいっぱい注射してあげますね」
「あ”ッ、あ”ぅ”う”う”ッ!?」

アナルに挿入されていく触手の数が二つ三つと増えていく。
もちろんそれら全ての触手の先端には注射針がついていて、それがアーニャの内側を出鱈目に刺していく。

「あぐッ、ごっ、おっ……こ、んな……だ、め……」
「それじゃ気持ち良くなれる呪いのジュースを一気に注入してあげますね。えいっ!」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!」

そして刺された箇所から一斉に呪いの原液が注入される。
数秒後、針と一緒に膣内とアナルから同時に触手が引き抜かれたその瞬間。

「い――ぎ――ッ!?」

ビクビクッ、と一際強く体が跳ね上がった。

(う、うそ……まだグミの効果、残っているはずなのに……わ、私の体……ッ!)

体が快楽に抗えず、絶頂に導かれる感覚。
もはや感覚遮断グミの効果を持ってしても抑えることのできないその快楽に、アーニャは狂ったように体を震わせた。

「や……あ……ああッ!? い”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!」

悲鳴が響く。
体が強く痙攣し、子宮が震え、秘所から大量の愛液があふれ出した。

「あがっ、ぐっ、あぁ……ッ!」
「うわぁ……うわぁ~、すっごく気持ちよさそう……盛大にイっちゃっいましたね、アーニャさん」

サナはアーニャの頬に両手を添えて、絶頂した直後のアーニャの顔をまじまじと見つめる。
その視線さえも今のアーニャには愛撫のように感じてしまい、体の震えが止まらなくなる。
だがこれは悪夢の始まりにすぎない。

「あと30秒」

そう口にしたのはミヨだった。
彼女は腕時計を手に持ち、そう告げる。

「グミの効果が切れるまでの時間よ。それにしても、まさかグミの効果が切れる前にイっちゃうなんてね」
「もうすぐもっと気持ち良くなれますからね、アーニャさん」

感覚遮断グミの効果は一時的に使用者が受ける感覚を1/10程度に軽減するというもの。
その状態ですでに絶頂に至る快楽を受けているのだから、もしこの状態でグミの効果が切れたら、耐え切れないレベルの快楽にアーニャの体が壊れてしまいかねない。

「か、かえ……して……」

サナが手に持つグミのケースに視線を向けてそう呟く。
だが両手は触手に拘束されていて、手を伸ばすことすらできなかった。

「グミ、欲しいですか……?」

サナは一粒グミを摘むとそれをアーニャの口に近づける。
餌を求める雛鳥のようにアーニャは口をパクパクさせてそれに食らいつこうとするが。

「ダメですよ」
「ンぐぅううッ!?」

グミの代わりに口内に入り込んで来たの腕ほどの太さの触手だった。

「グミはあげれませんが、代わりに気持ち良くなるジュースならいくらでも飲ませてあげますね」
「ングッ!? ンン~~~~ッ!?」

どろりとして熱い液体が触手の先端から吹き出して、口を閉じることのできないアーニャはそれを飲み込んでしまう。
むせ返るような熱さが体の内側からあふれ出して――――そしてついにその時が来る。

「あと5秒……4……3……2……」
「ンンッ! ンン~~ッ!」

淡々と秒数を口ずさむミヨ。
アーニャはすでに口を塞がれて、何を叫んでいるのかも分からない。
そしてサナはそんなアーニャの表情をまじまじと見つめる。
これから始まるパレードを前に、目を輝かせる子供のように。

「1……ゼロっ! さあ、最高の快楽に悶えてください!」
「――――ッ!」

初めは、体が爆発したのかと思った。
体全身を覆う強い刺激。
それが快楽であると気づいた時には、すでにアーニャは絶叫していた。

「――ぁあああああッ!! こんなッ、ひぐぁあああッ!! おかしくなるッ、あ、あたまこわれッ――い”ぁ”あ”あ”あ”あ”ッ!!」

ぎゅうぎゅうと子宮が痛いほどに伸縮を繰り返して、膣内の震えが止まらない。
たがの外れた殺人的な快楽にアーニャの意識は真っ白に染め上げられていく。


 ***


もう何度絶頂を繰り返したか分からない。
絶頂の余韻が次の絶頂のトリガーとなり、まるで止まることなく跳ね続けるトランポリンのように絶頂を繰り返す。
それだけで終わってくれればいいものの、もう何もされなくても絶頂は止まらないのに、サナの指先が、纏わりつく触手が、アーニャの体を刺激する。
ときに優しく太ももを撫でられたかと思えば、ときに激しく首や乳首、クリトリスなどを一気に強く締め上げられる。
快感の痺れがおさまることなく、無尽蔵に膨れ上がっていく感覚に本当に死さえ覚悟していた。
むしろこのまま死ねた方が楽だとさえ思えたくらいだった。

「あ……ぅ……」

ゾンビのような、掠れた声が漏れる。
ここまでの快楽を与えられても、まだ自分の意識が残っていることにアーニャ自身も驚いていた。

「す、すごい……まだ意識が残っているんですね」

驚愕しているというよりも、やや引き攣った表情でサナは床に這いつくばるそれを見つめていた。

「さ……サナ……ちゃん……」

震えたアーニャの手が、サナの声のする方へ伸びる。
理解の範疇を超えた執念のようなものを目の当たりにしたような気がして、サナは無意識に一歩後ずさる。

「おね、がい……もとのサナちゃんに……もどって……」
「ど、どうしてそんな……」

サナの声色に動揺の色が混じる。
こんな状況になってもなお、サナを救いたいという思いを抱き続けるアーニャがむしろ不気味に見えた。

「うれし、かったから……」

顔をあげる力すら残っていないアーニャは、地に顔を伏せたまま語り続ける。

「わ、私がアーニャさんのファンになったことが……ですか……? 別にアーニャさんのファンなんて、その辺にいっぱいいるじゃないですか……!」
「わた……わたしも……エイミーさんのすがたを、みて……あこがれて……ここまで、きたから……」

チッ、と遠くから舌打ちをする音が聞こえた。
エイミーの名を出した途端ミヨの表情ははあからさまに不機嫌なものに変わったが、アーニャはそれを無視して言葉を続ける。

「あのときの……エイミーさんと……おなじ、ように……わたしも、だれかのあこがれに、なれたんだって……きづけたのが……うれし、かったから……」

アーニャにはエイミーに憧れていた自分と、自分に憧れていたサナの姿が重なって見えた。
だからこそどんなに痛ぶられようと、辱められようと、自分に憧れてくれたサナに幻滅されないよう、自分を演じたかった。
きっと自分がサナと同じような状況になったら、エイミーは自分に手を差し伸べてくれる。
自分も同じように、サナに手を差し伸べたかった。
ただそれだけだった。

「そんな……そんな……」

震えた声で呟くサナ。
様々な感情が入り混じった瞳でキッとアーニャを睨みつける。
サナはもはや愛憎が渦巻き入り混じって、自分で自分の感情を制御できていなかった。

「そんな自己満足どうだっていい!」

サナはそう叫ぶと、体についた一番太い触手をアーニャに伸ばす。

「……ッ!?」

その触手の先端が、まるで巨大な生物の口のように大きく開かれる。

「私を……私を勝手に自分に重ねて、自己満足の道具にしないでくださいッ!」

アーニャはそれに反応することもできず、そのまま上半身を丸ごと触手に飲み込まれた。

「ンぅうううッ!?」

圧迫された状態で視界は真っ黒になり、耳からはジュウウッという音が伝う。
それは全方向から媚薬粘液が噴出される音であり、その粘液が上半身に否応なく塗りたくられていく。
上半身を丸呑みにされたアーニャはそのまま体を上方に引っ張られ、宙吊りのような状態にされてしまう。
口の中からはくぐもった悲鳴が響き続け、口の中に含まれていない下半身は足をジタバタとさせて無様に暴れ続ける。

「ああ、そうだ……このままもっと快楽漬けにされれば、アーニャさんだって私と同じで気持ちいい以外のことは考えられなくなるはずです。だからほら、もっと気持ちいい呪いを与えてあげますからね!」

無防備なアーニャの下半身に無数の細い触手が近づく。
いくつかの触手はアーニャの足をがっしりと掴み無理やり足を開かせて、他の触手は秘所の辺りに近づいていく。
その触手の先端には全て、あの注射針がついていた。
だが上半身を丸呑みにされて何も見えないアーニャは、今から自分の下半身に何をされようとしているのか知るすべはない。

「こんなに呪いを与えられて、まだ正気を保っているアーニャさんは正直言ってかなりすごいです。だからもっとたくさん刺し貫いてあげますね!」

そう言ってサナはぷっくりと膨らんだアーニャのクリトリスを指で乱暴につまみ上げる。

「ングッ!? ア”ア”ッ!?」
「さあ、もっと狂って下さいッ!」

それに合わせて、先端に注射針のついた触手たちが剥き出しになったクリトリスに照準を定め、そして――

「ン”ン”ン”ン”ン”ン”ッ!?」

数本の注射針が一気にアーニャの下半身を貫いた。
いくつかの針はクリトリスに突き刺さり、それ以外の針も秘所の周りに雑に刺し込まれる。
そして同時に快楽の呪いの効果を与える液体が、体の内側に流し込まれていく。

「ほーら、狂え狂え狂えぇええッ!!」
「ン”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!」

下半身は電流でも流されているかのように痙攣し、丸呑みにされた上半身の方からは悲痛な絶叫が響く。

「ああ……痛そう、気持ちよさそう……早く狂って、私と一緒になりましょう……」

触手に飲み込まれ圧迫され続ける今のアーニャは助けを求める声を上げることすらできない。
だがもはやサナにとってアーニャの意見などどうでも良かった。
サナの願いはただ一つ。
自分と同じように、アーニャを快楽のことしか考えられない状態にまで堕とすこと。
だからその心が狂って壊れるまで、サナはアーニャに快楽を与え続ける。


 ***


いつしかアーニャは声をあげなくなり、触手の責めに対して体の痙攣も薄れてきた。
そこでようやく、サナはアーニャの体を解放する。
ずるりと粘液まみれのアーニャの体が地面に崩れ落ち、白目を剥いてその場から動かない。

「はぁ……はぁ……流石に壊れちゃいましたかね。もしかして死んじゃってたり……?」

サナがアーニャの表情を確認しようと屈んだその瞬間、ガシッと足首を掴まれる。

「ひっ……!?」

まさかこの状態から動くとは思わなかったサナは表情を引き攣らせる。

「あっ……かっ……ご、ごめん……わたひ、もう……にげたりしないから……おね、がい……もとのサナちゃんに、もどって……」

あの時。
レオに敗北して、フロンティアの世界から逃げ出したりしなければ、サナがこんな目に遭うこともなかったのかもしれない。
きっとアーニャの心の隅にはそんな思いがあったのだろう。

「う、嘘でしょ……な、なんで……こんなになってまで……そんな……」

サナは明らかに動揺していた。
いや、サナだけではなく遠くから見てたミヨですら、その光景に目を見張った。

「まさかあの子、これほどまでとはね……」

今まで色んな人間が壊れていく様を見届けてきたミヨであっても、ここまでされて未だ自分の理性を保ち続けるアーニャのその精神力に、驚愕と恐怖に近い感情を抱いていた。

「ど、どうして……どうして……っ!」

アーニャと同様にいくつもの快楽の呪いを与えられたサナは、いつしか自分の中で意志を保ち続けることができなくなり、自分の中に生まれた狂気の感情に自分の意志を全て委ねることにした。
それが無限に与え続けられる快楽から逃避する唯一の方法だった。
その狂気の感情が段々と薄れていく。
目の前で自分と同じかそれ以上の呪いを与えられてもなお、意志を保ち続けるアーニャを見て感化されたのかもしれない。
無論、狂気の感情が薄れれば自分の刻まれた快楽の呪いをその身で実感することになる。
それでもサナは歯を食いしばり、耐えた。

「あ、アーニャさん……アーニャさんっ! わ、私……っ!」

気づけば泣きじゃくりながらアーニャの体に身を寄せていた。

「よかっ……た……」

そんなサナの姿を見て、アーニャは微笑む。
サナを正気に戻すことができた。
それを理解できた瞬間、今までなんとか保ち続けてきた意識がすっと遠のく。

「あ、アーニャさん!? アーニャさん! アーニャさ――」

泣きじゃくりながら叫ぶサナの声も段々と遠のいて、ついには何も聞こえなくなった。
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