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第二章
第82話 解決しました
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「話がいい感じにまとまっているところを悪いが、いいかね?」
ゴーレムの残骸を調べていたゲラシム先生が割り込んできました。
「まず、この帝国のゴーレムは誰が持ち込んだのかね? 生徒同士の決闘と聞いていたのだが、どうしてこんなものが使われたのかね?」
「そこで寝ているバラサ男爵令嬢が持ち込みました」
ゲラシム先生の問いに答えたのは目の笑っていないドレスク先輩です。
「イングリー・バラサ君か。彼女は決闘の当事者かね?」
「はい。彼女がローザ嬢に嫌がらせをし、暴行をした件で罪を認めなかったために決闘となりました」
「ふむ。立会人は誰が務めたのかね?」
「殿下です」
「なるほど」
ゲラシム先生は難しい顔になると、学園長やツェツィーリエさんに視線を送りました。それに呼応するかのように二人の顔も険しいものになっていきます。
「……由々しき事態だな」
「そうですな」
「はい」
えっと? さっぱり意味が分かりません。
あたしが戸惑っていると、学園長が口を開きました。
「イングリー・バラサ男爵令嬢を、王太子殿下暗殺未遂で拘束します。そしてすぐさま王宮に連絡を入れ、バラサ男爵家で証拠を押さえてもらいます」
え? 暗殺!? でも、あたしを狙っていたんじゃ?
あたしが不思議に思っていると、レジーナさんが解説してくれました。
「ローザ。ゴーレムは最初からあの女の制御下になかったということですわ。つまり立会人が殿下と分かっていながらそのようなものを貸し与え、あの女が負けた後も機能を停止させなかった」
「はい」
「ということはつまり、あの場で誰かが命を落とすことをも望んでいたという可能性があるということですわ」
「ええっ!?」
「もしそのような陰謀があった場合、考えられる可能性は二つありますわね。一つは殿下を亡き者にしたかった。もう一つはバラサ男爵令嬢が目障りだったということですわ」
えっと、あたしじゃなかったんでしょうか?
あ、でもよく考えたらバラサさんが倒れてからは無差別に攻撃をしていたみたいですし……。
「少なくとも、先ほどまではローザが狙われていたということはないはずですわ」
「え? さっきまでですか?」
「ええ。あなたの魔法と多属性に対する適正、帝国としては喉から手が出るほど欲しい人材ですわね」
そ、そうでした。魔法と三属性がバレてるんでした。
「だから、あちらの手が回る前にローザの家族もこちらに呼んでおいたほうが良いかもしれませんわね。住むところくらいは用意してあげますわよ?」
「え? あ、その、あたし家族は……」
「あ……そう。それは申し訳ないことを聞いてしまいましたわね」
「いえ」
それからあたしたちの間に沈黙が流れます。
「さあさあ。難しいお話は大人に任せて、学生の皆さんは解散です」
そんな空気を破ってくれたのはツェツィーリエさんでした。
こうして決闘はあたしの勝利で終わり、レジーナさんがあたしたち三人の後ろ盾になってくれるということで決着したのでした。
◆◇◆
その後、バラサさんはあたしたちと顔を合わせることなく学園を去っていきました。
レジーナさんの話では、そのまま北のすごく寒い場所にある女子修道院へと送られたそうです。バラサさんには暗殺未遂の容疑がかかっていましたが、どうやらゴーレムのことは実家秘伝としか知らなかったそうです。
だから故意ではないということで、処刑されるという事態だけは避けられたそうです。あたしにも一言謝って欲しかったのですが、どうやらバラサさんの身の安全を守るという意味合いもあるのだそうで、出発した時間もどこに向かったのかも秘密なのだそうです。
一方のバラサさんの実家ですが、その日のうちにお城の兵士たちが家宅捜索に入ったそうです。こちらは色々と真っ黒だったようで、そのまま一族郎党捕まったそうです。
取り調べの結果、ゲラシム先生の言っていたとおりハプルッセン帝国の工作員と繋がっていたらしいです。しかも繋がっていた先はハプルッセン帝国の中でもルクシア派という、聖ルクシア教会を信仰する人たちの派閥の人だったそうです。
聖ルクシア教会といえば、オフェリアさんがユキたちを殺そうとしている怖い人たちだって教えてくれました。それに、あたしとリリアちゃんはその人たちに拉致されて無理やり改宗させられてしまうかもしれません。
そんな怖い人たちがハプルッセン帝国で暗躍しているなんて……。
ハプルッセン帝国はオーデルラーヴァを挟んで反対側の国です。
そういえば、オーデルラーヴァにいるオフェリアさんは元気でしょうか?
やっぱり、お手紙くらいは書いたほうがいいですよね?
そう考えたあたしは机に向かい、ペンを取りました。
何から書きましょう? やっぱり、お礼と、それから……。
ゴーレムの残骸を調べていたゲラシム先生が割り込んできました。
「まず、この帝国のゴーレムは誰が持ち込んだのかね? 生徒同士の決闘と聞いていたのだが、どうしてこんなものが使われたのかね?」
「そこで寝ているバラサ男爵令嬢が持ち込みました」
ゲラシム先生の問いに答えたのは目の笑っていないドレスク先輩です。
「イングリー・バラサ君か。彼女は決闘の当事者かね?」
「はい。彼女がローザ嬢に嫌がらせをし、暴行をした件で罪を認めなかったために決闘となりました」
「ふむ。立会人は誰が務めたのかね?」
「殿下です」
「なるほど」
ゲラシム先生は難しい顔になると、学園長やツェツィーリエさんに視線を送りました。それに呼応するかのように二人の顔も険しいものになっていきます。
「……由々しき事態だな」
「そうですな」
「はい」
えっと? さっぱり意味が分かりません。
あたしが戸惑っていると、学園長が口を開きました。
「イングリー・バラサ男爵令嬢を、王太子殿下暗殺未遂で拘束します。そしてすぐさま王宮に連絡を入れ、バラサ男爵家で証拠を押さえてもらいます」
え? 暗殺!? でも、あたしを狙っていたんじゃ?
あたしが不思議に思っていると、レジーナさんが解説してくれました。
「ローザ。ゴーレムは最初からあの女の制御下になかったということですわ。つまり立会人が殿下と分かっていながらそのようなものを貸し与え、あの女が負けた後も機能を停止させなかった」
「はい」
「ということはつまり、あの場で誰かが命を落とすことをも望んでいたという可能性があるということですわ」
「ええっ!?」
「もしそのような陰謀があった場合、考えられる可能性は二つありますわね。一つは殿下を亡き者にしたかった。もう一つはバラサ男爵令嬢が目障りだったということですわ」
えっと、あたしじゃなかったんでしょうか?
あ、でもよく考えたらバラサさんが倒れてからは無差別に攻撃をしていたみたいですし……。
「少なくとも、先ほどまではローザが狙われていたということはないはずですわ」
「え? さっきまでですか?」
「ええ。あなたの魔法と多属性に対する適正、帝国としては喉から手が出るほど欲しい人材ですわね」
そ、そうでした。魔法と三属性がバレてるんでした。
「だから、あちらの手が回る前にローザの家族もこちらに呼んでおいたほうが良いかもしれませんわね。住むところくらいは用意してあげますわよ?」
「え? あ、その、あたし家族は……」
「あ……そう。それは申し訳ないことを聞いてしまいましたわね」
「いえ」
それからあたしたちの間に沈黙が流れます。
「さあさあ。難しいお話は大人に任せて、学生の皆さんは解散です」
そんな空気を破ってくれたのはツェツィーリエさんでした。
こうして決闘はあたしの勝利で終わり、レジーナさんがあたしたち三人の後ろ盾になってくれるということで決着したのでした。
◆◇◆
その後、バラサさんはあたしたちと顔を合わせることなく学園を去っていきました。
レジーナさんの話では、そのまま北のすごく寒い場所にある女子修道院へと送られたそうです。バラサさんには暗殺未遂の容疑がかかっていましたが、どうやらゴーレムのことは実家秘伝としか知らなかったそうです。
だから故意ではないということで、処刑されるという事態だけは避けられたそうです。あたしにも一言謝って欲しかったのですが、どうやらバラサさんの身の安全を守るという意味合いもあるのだそうで、出発した時間もどこに向かったのかも秘密なのだそうです。
一方のバラサさんの実家ですが、その日のうちにお城の兵士たちが家宅捜索に入ったそうです。こちらは色々と真っ黒だったようで、そのまま一族郎党捕まったそうです。
取り調べの結果、ゲラシム先生の言っていたとおりハプルッセン帝国の工作員と繋がっていたらしいです。しかも繋がっていた先はハプルッセン帝国の中でもルクシア派という、聖ルクシア教会を信仰する人たちの派閥の人だったそうです。
聖ルクシア教会といえば、オフェリアさんがユキたちを殺そうとしている怖い人たちだって教えてくれました。それに、あたしとリリアちゃんはその人たちに拉致されて無理やり改宗させられてしまうかもしれません。
そんな怖い人たちがハプルッセン帝国で暗躍しているなんて……。
ハプルッセン帝国はオーデルラーヴァを挟んで反対側の国です。
そういえば、オーデルラーヴァにいるオフェリアさんは元気でしょうか?
やっぱり、お手紙くらいは書いたほうがいいですよね?
そう考えたあたしは机に向かい、ペンを取りました。
何から書きましょう? やっぱり、お礼と、それから……。
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