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第四章
第四章第18話 二年生になりました
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2023/03/27 誤字を修正しました
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どうもこんにちは。ローザです。あたしもついに魔法学園の二年生になりました。さっき在校生として入学式に出席したんですけど、新入生がグリーンのタイを着けていました。
今までは三年生の先輩がグリーンだったので、なんだか新鮮な気分です。
それとですね。入学式のときにも人数がちょっと少ないと思っていたんですけど、教室に集まってみたらやっぱり人数が少なくなっていました。
最初は従魔科の人たちが別の教室だからなのかなって思ったんですけど、それでもやっぱり少ないんです。
だって、クラスに三十五人しかいないんですよ。もともと普通科は四十二人いて、バラサさんが途中で退学したので、四十一人はいるはずなんです。
しかもですね。今日来ていない六人のうちの四人が貴族の人なんです。
……本当に貴族の人も落第するんでしょうか?
あ、それとですね。平民の二人のうちの一人はアレックさんです。
もしかしてあたしが怖いから来ていないんでしょうか?
それとも、普通に落第してしまったんでしょうか?
「ねぇ、リリアちゃん」
「何?」
「あのですね。今来ていない――」
「おはよう、諸君」
あ! ゲラシム先生が入っていきました。
「後でね」
「はい」
先生が入ってきたのでおしゃべりは中断です。
「昨年度から引き続き、オリエンテーションは私が担当する」
もう聞き慣れましたけど、ゲラシム先生の声って威厳があるのにとても聞き取りやすいです。
「まずは進級おめでとう。ここに集まっている諸君は栄えある魔法学園での最初の難関を突破した」
え? ということはやっぱり……。
「気付いている、あるいはすでに知っている諸君も多いだろうが、今この場にいない者は落第した」
ああ、そうなんですね。
「とはいえ、普通科の諸君の進級率は比較的優秀な部類といえるだろう」
えっ!? 六人も落第してるのに、ですか?
「さて、諸君。私が諸君に最初のオリエンテーションで伝えたことを覚えているかね?」
ゲラシム先生はこつこつと革靴で床を鳴らしながら教壇の上で数歩歩きます。
「貴族の諸君、この一年はどうだったかね? 生まれで得た平民の諸君に対するアドバンテージをさらに広げることはできたかね?」
ゲラシム先生はぐるりとあたしたちのほうを見回します。
「平民の諸君はどうだったかね? 諸君の才能を磨き、成長することはできたかね?」
ゲラシム先生は再び教室を見回し……あ! 目が合いました。
あたしは思わずゲラシム先生に頷くと、ゲラシム先生は視線を動かしました。
えっと、もしかしてゲラシム先生、平民の生徒一人一人に視線を送ってきてくれているんですか?
「諸君が残る二年間をどう過ごすかによって未来は大きく変わるだろう。進級できるか、卒業できるかは諸君の努力次第だ。良く学び、良く競い、向上心を持って勉学に励みたまえ」
ゲラシム先生は再び靴を鳴らして教壇の上を歩きます。
「さて、知ってのとおり二年次からは普通科と従魔科の授業が完全に別となる。従魔科の授業の履修を希望する諸君は職員室まで聴講希望届を取りにきなさい」
あ、そういうのが必要なんですね。
「続いて学年代表だが、やりたいという強い希望のある者はいるか?」
ゲラシム先生が教室を見回しますが誰も手を上げません。やっぱり代表はレジーナさんがいいと思います。
「では、レジーナ・マレスティカ君にお願いしよう」
「お引き受けいたしますわ」
レジーナさんが通る声で優雅にそう言いました。
「では、何か困ったことがあればレジーナ君に相談すると良い。副代表を男子生徒の諸君の中から一名選び、報告に来るように」
「かしこまりましたわ」
「よろしい。では続いて授業について説明しよう。今年からは普通科と従魔科の授業内容が完全に異なる。特に魔術に関する授業は属性ごとに行われ、それを諸君が自身の判断で選択する形となる。魔術に関する講義はどれか一つの属性について合格すれば良いため、必ずしも複数の属性の魔術を受講する必要はない。だが魔法学園としては、自分に適性がない属性であったとしても受講しておくことを推奨している。それはたとえ適性外の魔術であったとしても、共通する基礎理論や属性に対する対策など、適性属性のみを学んでいては得られない学びがあるからだ」
ゲラシム先生は再びコツコツと床を鳴らし、教壇の上を歩きます。
「また数学と簡単な会計も学ぶこととなる。算数で苦戦した諸君は日々の予習・復習を欠かさずに取り組むように」
う……不安です。算数でも大変だったのに、あたし、大丈夫なんでしょうか?
「それでは諸君、この受講申請書を一人一枚取り、後ろの者に回したまえ」
ゲラシム先生はそう言って紙を配り始めました。
回ってきた受講申請書は、毎週の授業の予定がびっしりと書き込まれた表でした。
「一人一枚、手元にあるかね?」
ゲラシム先生が教室を見回します。
「よろしい。では諸君、その時間割の中にチェックボックスがある授業があるのは分かるかね?」
あ、はい。あります。属性魔術①(光)とか書いてあるやつですね。
「その中で受講したい授業があればチェックボックスにチェックを入れて提出しなさい。同じ時間帯に複数の授業がある場合、どれか一つしか受講できないので注意するように」
あ、本当ですね。属性魔術①(光)と同じ時間帯に属性魔術①(土)があるみたいです。
あれ? 従魔科の授業はどうなるんでしょう?
「進級に必要な条件は表の欄外に記載されているが、属性魔術①と属性魔術実践①を一つの属性で受講し、合格する必要がある。申請の時点で落第が確定しないように注意したまえ」
う……それは怖いです。でもあたしは光属性と火属性と風属性を受講する予定なのできっと大丈夫です。
「それでは、何か質問はあるかね?」
「はい」
あたしは真っ先に手を挙げました。
「うむ、ローザ君。何かね?」
「えっと、従魔科の授業は……」
「ふむ。そういえばローザ君はすでに従魔を持っていたのだったな。普通科の諸君が参加できる従魔科の授業の時間帯は、諸君の授業の予定が決まり次第決定されることになっている」
あ、そうなんですね。
「とはいえ、すでに従魔を持っているローザ君からするとあまり得るものはないかもしれない。従魔科の教員とよく相談の上、受講するかを決めたまえ」
「はい。わかりました」
ゲラシム先生がそんなことを言うなんて珍しい気がします。
あ! でもそういえば去年受けた従魔の授業、なんだかちょっと変な感じでしたね。
どうしましょう……?
「ローザ君の他にも従魔科の授業の受講を考えている諸君も、従魔科の教員とよく相談するように。特に従魔科の授業で良い点を取ったとしても諸君の進級には影響しない。この制度はあくまで諸君の見識を広げるためのものだ」
えっと、もしかしてゲラシム先生はあんまり従魔科の授業を受けるのをおすすめしない感じなんでしょうか?
「他に質問はあるかね?」
それからクラスメイトたちがいくつかの質問をし、オリエンテーションは終わったのでした。
えっと、とりあえず従魔科の先生に相談するのが最初ですよね?
あ、あとツェツィーリエ先生もですね。
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どうもこんにちは。ローザです。あたしもついに魔法学園の二年生になりました。さっき在校生として入学式に出席したんですけど、新入生がグリーンのタイを着けていました。
今までは三年生の先輩がグリーンだったので、なんだか新鮮な気分です。
それとですね。入学式のときにも人数がちょっと少ないと思っていたんですけど、教室に集まってみたらやっぱり人数が少なくなっていました。
最初は従魔科の人たちが別の教室だからなのかなって思ったんですけど、それでもやっぱり少ないんです。
だって、クラスに三十五人しかいないんですよ。もともと普通科は四十二人いて、バラサさんが途中で退学したので、四十一人はいるはずなんです。
しかもですね。今日来ていない六人のうちの四人が貴族の人なんです。
……本当に貴族の人も落第するんでしょうか?
あ、それとですね。平民の二人のうちの一人はアレックさんです。
もしかしてあたしが怖いから来ていないんでしょうか?
それとも、普通に落第してしまったんでしょうか?
「ねぇ、リリアちゃん」
「何?」
「あのですね。今来ていない――」
「おはよう、諸君」
あ! ゲラシム先生が入っていきました。
「後でね」
「はい」
先生が入ってきたのでおしゃべりは中断です。
「昨年度から引き続き、オリエンテーションは私が担当する」
もう聞き慣れましたけど、ゲラシム先生の声って威厳があるのにとても聞き取りやすいです。
「まずは進級おめでとう。ここに集まっている諸君は栄えある魔法学園での最初の難関を突破した」
え? ということはやっぱり……。
「気付いている、あるいはすでに知っている諸君も多いだろうが、今この場にいない者は落第した」
ああ、そうなんですね。
「とはいえ、普通科の諸君の進級率は比較的優秀な部類といえるだろう」
えっ!? 六人も落第してるのに、ですか?
「さて、諸君。私が諸君に最初のオリエンテーションで伝えたことを覚えているかね?」
ゲラシム先生はこつこつと革靴で床を鳴らしながら教壇の上で数歩歩きます。
「貴族の諸君、この一年はどうだったかね? 生まれで得た平民の諸君に対するアドバンテージをさらに広げることはできたかね?」
ゲラシム先生はぐるりとあたしたちのほうを見回します。
「平民の諸君はどうだったかね? 諸君の才能を磨き、成長することはできたかね?」
ゲラシム先生は再び教室を見回し……あ! 目が合いました。
あたしは思わずゲラシム先生に頷くと、ゲラシム先生は視線を動かしました。
えっと、もしかしてゲラシム先生、平民の生徒一人一人に視線を送ってきてくれているんですか?
「諸君が残る二年間をどう過ごすかによって未来は大きく変わるだろう。進級できるか、卒業できるかは諸君の努力次第だ。良く学び、良く競い、向上心を持って勉学に励みたまえ」
ゲラシム先生は再び靴を鳴らして教壇の上を歩きます。
「さて、知ってのとおり二年次からは普通科と従魔科の授業が完全に別となる。従魔科の授業の履修を希望する諸君は職員室まで聴講希望届を取りにきなさい」
あ、そういうのが必要なんですね。
「続いて学年代表だが、やりたいという強い希望のある者はいるか?」
ゲラシム先生が教室を見回しますが誰も手を上げません。やっぱり代表はレジーナさんがいいと思います。
「では、レジーナ・マレスティカ君にお願いしよう」
「お引き受けいたしますわ」
レジーナさんが通る声で優雅にそう言いました。
「では、何か困ったことがあればレジーナ君に相談すると良い。副代表を男子生徒の諸君の中から一名選び、報告に来るように」
「かしこまりましたわ」
「よろしい。では続いて授業について説明しよう。今年からは普通科と従魔科の授業内容が完全に異なる。特に魔術に関する授業は属性ごとに行われ、それを諸君が自身の判断で選択する形となる。魔術に関する講義はどれか一つの属性について合格すれば良いため、必ずしも複数の属性の魔術を受講する必要はない。だが魔法学園としては、自分に適性がない属性であったとしても受講しておくことを推奨している。それはたとえ適性外の魔術であったとしても、共通する基礎理論や属性に対する対策など、適性属性のみを学んでいては得られない学びがあるからだ」
ゲラシム先生は再びコツコツと床を鳴らし、教壇の上を歩きます。
「また数学と簡単な会計も学ぶこととなる。算数で苦戦した諸君は日々の予習・復習を欠かさずに取り組むように」
う……不安です。算数でも大変だったのに、あたし、大丈夫なんでしょうか?
「それでは諸君、この受講申請書を一人一枚取り、後ろの者に回したまえ」
ゲラシム先生はそう言って紙を配り始めました。
回ってきた受講申請書は、毎週の授業の予定がびっしりと書き込まれた表でした。
「一人一枚、手元にあるかね?」
ゲラシム先生が教室を見回します。
「よろしい。では諸君、その時間割の中にチェックボックスがある授業があるのは分かるかね?」
あ、はい。あります。属性魔術①(光)とか書いてあるやつですね。
「その中で受講したい授業があればチェックボックスにチェックを入れて提出しなさい。同じ時間帯に複数の授業がある場合、どれか一つしか受講できないので注意するように」
あ、本当ですね。属性魔術①(光)と同じ時間帯に属性魔術①(土)があるみたいです。
あれ? 従魔科の授業はどうなるんでしょう?
「進級に必要な条件は表の欄外に記載されているが、属性魔術①と属性魔術実践①を一つの属性で受講し、合格する必要がある。申請の時点で落第が確定しないように注意したまえ」
う……それは怖いです。でもあたしは光属性と火属性と風属性を受講する予定なのできっと大丈夫です。
「それでは、何か質問はあるかね?」
「はい」
あたしは真っ先に手を挙げました。
「うむ、ローザ君。何かね?」
「えっと、従魔科の授業は……」
「ふむ。そういえばローザ君はすでに従魔を持っていたのだったな。普通科の諸君が参加できる従魔科の授業の時間帯は、諸君の授業の予定が決まり次第決定されることになっている」
あ、そうなんですね。
「とはいえ、すでに従魔を持っているローザ君からするとあまり得るものはないかもしれない。従魔科の教員とよく相談の上、受講するかを決めたまえ」
「はい。わかりました」
ゲラシム先生がそんなことを言うなんて珍しい気がします。
あ! でもそういえば去年受けた従魔の授業、なんだかちょっと変な感じでしたね。
どうしましょう……?
「ローザ君の他にも従魔科の授業の受講を考えている諸君も、従魔科の教員とよく相談するように。特に従魔科の授業で良い点を取ったとしても諸君の進級には影響しない。この制度はあくまで諸君の見識を広げるためのものだ」
えっと、もしかしてゲラシム先生はあんまり従魔科の授業を受けるのをおすすめしない感じなんでしょうか?
「他に質問はあるかね?」
それからクラスメイトたちがいくつかの質問をし、オリエンテーションは終わったのでした。
えっと、とりあえず従魔科の先生に相談するのが最初ですよね?
あ、あとツェツィーリエ先生もですね。
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