麗しの騎士様の好きな人

アズやっこ

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 王太子様と王女様にお礼を言って、私達はルトの家の公爵家の馬車に乗り、私の家に向かった。馬車の中にレイが乗ってて、


「レイ、ありがとう。すまなかった」

「いえ。お嬢様のお世話をするのが私の仕事です」

「ああ、これからも頼む」

「はい」

「ふふっ、ふたりは仲が良いのね」

「レイは俺の剣の師匠の娘だからな。それに腕だけ見ればリーを任せても安心できる」

「レイは私を護ってくれる頼もしいメイドだわ」

「お嬢様ありがとうございます」

「これからも護ってね?」

「勿論です」

「リーは俺が護る」

「ルトも護ってね?」

「当たり前だ」


 伯爵家に着き、ルトに支えられながら馬車を降りた。


「お母様、只今戻りました。ご心配おかけして申し訳ありません」

「おかえりサリー。体調はどう?顔を見せて?私の可愛いサリー」

「体調は大丈夫です。体力がまだ無くて、少し疲れますが、これから毎日庭を散歩して体力をつけます」

「そう。元気な顔が見れて安心したわ」

「お母様…」


 お母様に私は抱きしめられた。


「伯爵夫人、この度は私の我儘を聞いて頂き申し訳ありませんでした。大事なお嬢さんを私に預けて頂きありがとうございました」

「ジークルト様もサリーの側に付いていて下さりありがとうございます」

「いえ。全ては私の我儘です。長い間申し訳ありませんでした」

「さあ、サリー、お父様が書斎でお待ちよ?お父様にも元気なお顔を見せてさしあげて?」

「はい、お母様」


 ジークルト様に支えられお父様の待つ書斎に着いた。


コンコン


「お父様、只今戻りました。サリーリです」

「入りなさい」


 扉を開けて中に入った。お父様と…


「父上、母上、何故…」

「え?」


 ルトは私のお父様の前に行き、


「フランベル伯爵、この度は私の我儘で大事なお嬢さんを預からさせて頂きありがとうございました」

「いや、無事に戻ってきたならそれで良い」

「はい。ありがとうございました」

「サリーリ、記憶は戻ったのか?」

「はい、お父様。ご心配おかけしましたが、全て思い出しました」

「そうか。辛い事はないか?」

「お父様、私は攫われた恐怖で記憶を封じたのではありません。攫われた事は怖い思いをしましたが、心を記憶を封じたのはルトが、ジークルト様が死んだと思ったからです。私の初恋の方で幼い私がお嫁さんになりたいと願った愛しい方を永遠に失ったと思ったから私は心を記憶を封じたのです。幼い私には愛しい方の死は耐えられなかった。だから封じ忘れたのです」

「そうか。ではその思いも全て思い出したんだな」

「はい。幼い私が願ったジークルト様のお嫁さんになる事、そして今の私も願う事です。私はジークルト様と婚約をしたいと思います」

「そうか。ジークルト君はどうなんだ?」

「私は12年前から変わらずリーを、サリーリ嬢を愛してます」

「分かった」


 お父様は書類を取り出した。


「サリーリと婚姻し、ジークルト君には婿に入って貰う。そして私の跡を継いでほしい」

「はい。そのつもりです」

「公爵もよろしいか?」

「私共は何も問題はない。息子をよろしくお願いします」

「では婚約書類の所にサリーリとジークルト君のサインをするだけだ。家同士のサインはもう済ませて提出済みだ」

「お父様?」

「サリーリの記憶が戻りジークルト君の事を思い出した段階で家同士で婚約は済んでる。実質ふたりはもう婚約者だ。ジークルト君の私室で寝泊まりをしていた事も一つの理由だが、記憶が戻りふたりの思いは同じだ。 12年前、ジークルト君のサリーリを愛する気持ちは知っていた。それでも記憶を封じ忘れたサリーリに会わせず引き離したのは私だ。 12年間サリーリを思い続けていたのは知ってる。先日ジークルト君のサリーリを思う気持ちの強さにも、これ以上ジークルト君からサリーリを引き離す事が出来ない事も分かった。 記憶が戻った段階で直ぐに公爵家に婚約と婚姻を打診し受け入れて貰った」

「お父様」

「ふたりを引き離した罪滅ぼしだ。すまない」

「お父様は幼い私を護っただけです」

「それでもふたりを会わせていたら記憶を取り戻していたかも知れない」

「お父様は攫われた記憶を思い出させたくないから私を護ってくれたのでしょ?」

「そうだ。攫われ恐怖で記憶を封じたと思ったからだ」

「幼い私が例えジークルト様が生きていると分かっても耐えられたかは分かりません。私を護り庇い怪我をした。背中を切られ血が飛び散ったのを目の前で見ていました。そして意識を失う最後まで私を思い心配した。幼い私がその現実に耐えられたのか、きっと幼い私にはむごい状態を耐える事は出来なかった。私は今だから耐えられジークルト様がルトだと、ルトが生きていたと分かれたのだと思います」

「そうか」

「はい。だからご自分を責めないで下さい」

「分かった」


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