麗しの騎士様の好きな人

アズやっこ

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「お話中失礼します。サリーリ嬢、私とダンスを踊って頂けませんか?」

「え?ジークルト様?何で?王女殿下の護衛では?」


 王女殿下を見ると後ろには隊長さんが立っていた。王女殿下も目立たない様に手を振ってる。


「え?」

「サリーリ嬢、私とは踊れませんか?」

「ジークルト様、よろしいですか?」

「何でしょう」

「今は職務中では?」

「今はサリーリ嬢の護衛です」

「はい?」


 ジークルト様は私の手を取り、ダンスフロアまで連れて来た。演奏がなり、礼をしてダンスを踊り始めた。私は小声で、


「ルト、バレちゃうわよ?」

「あの男は誰だ」

「え?」

「さっき親しく話してた男は誰だ」

「ルト、怒ってる?」

「親しくするなって言ったのに守らなかったのはリーだろ?」

「それで私の所に来たの?」

「悪いか」

「さっきの男性はマーク兄様よ?ルークのお兄様、そして私のお兄様。話したでしょ?」

「マーク殿は領地に居るって」

「ルークの婚約が決まって帰って来るんだって」

「そうだったのか。確かにルーク殿と似てるかも知れない」

「もう!私の旦那様は早とちりなんだから」

「マーク殿を見た事ないんだ仕方ないだろ?リーが男と親しく話してるから居ても立っても居られなくて、そしたら王女がそんな顔で後ろに立つなって追い出された」

「どんな顔してたの?」

「多分、殺気だってたと思う」

「ルト」

「俺のリーだ」

「誰も取らないわよ?」

「リーは可愛い。愛しい俺のお姫様なんだぞ。それに実際数人に声かけられてた」

「見てたの?」

「当たり前だろ?リーに寄り付く男が居ないか見てないと」

「もう!それも言ったでしょ?ただ声かけてくるだけだって。それに断るもの」

「分かってる。でも側で護れないんだ」

「ルト、大好きよ。私はルトだけを愛してるのよ?」

「俺もリーだけを愛してる」


 曲が終わり、礼をしようとしたら、離して貰えず、曲が始まった。


「ルト?」

「俺達は婚約もしてる。婚姻もする。何曲踊っても良いはずだ」

「でも内密でしょ?」

「それも父上達が言ってるだけで俺は納得してない」

「そうだけど」

「リーは俺と噂されるのは嫌か?」

「嫌じゃないわ」

「それなら三曲続けて踊る」

「分かった」

「リー、俺はずっと夢だった。リーとダンスを踊るのが」

「私もルークとリーシャが踊るの羨ましかった」

「リーシャ嬢ってリーがお茶会でいつも一緒に居た令嬢だったんだな」

「そうよ。後で紹介するわね」

「ああ」


 二曲目も終わり三曲目の演奏が始まった。回りがざわつき始め、


「ルト、私達以外誰も居なくなっちゃった。どうしよう」

「気にするな」

「そうだけど」

「リー、これで皆に教える事が出来た」

「え?」

「俺がリーの婚約者だって」

「ふふっ。そうね。私もルトの婚約者だって知られたわね」

「嫌か?」

「まさか」

「俺は嬉しい」

「私も嬉しい」

「これで堂々と外で会える」

「ならお泊りはしないの?」

「休みの日は今迄通り泊まる。俺はリーが側に居ないと眠れない。リーを独り占めしたい」

「私もルトを独り占めしたい」


 三曲目が終わり、礼をして戻ろうとしたら、ルトが突然片膝をついて私の手に口付けをした。


「サリーリ嬢、私の初恋の君、私と結婚して頂けますか?」

「ルト?」

「私の初恋の君、愛してます。私を貴女の側に置いて頂けませんか」

「ちょっと、ルト、」

「サリーリ嬢、愛してます」


 ルトの真剣な目、


「はい。私も愛してます」


 ルトは立ち上がり、私を抱っこして持ち上げた。


「私の愛しいお姫様、愛してます」


 私はルトの頬を両手で優しく包み込んで、


「私の麗しの騎士様、愛してます」


 下ろされ抱きしめられた。耳元で、


「リーもう離さない」

「私も離さない」

「リー愛してる」

「ルト愛してる」

「口付けしたい」

「それは恥ずかしい」

「リーお願いだ」

「皆見てるわよ?」

「リー誓いたい、皆の前で」

「え?額よね?」


 ルトは両手で私の頬を優しく包み込み、額に口付けした。恥ずかしく俯いた私の顔を上に向け、唇に口付けした。

 ざわついてた回りが静まり返り、私の唇からルトの唇が離れた。


「ここに宣言する。王太子エリオネスの名の元にジークルトとサリーリの婚約、婚姻を認める」

「ここに宣言する。第二王子ケイニスの名の元にジークルトとサリーリの婚約、婚姻を認める」

「ここに宣言致します。王女マリアンヌの名の元にジークルトとサリーリの婚約、婚姻を認めます」


 私は驚き王族の方々が座る場所を見つめた。王太子殿下、第二王子殿下、王女殿下が立ち上がり、私とルトを見つめてた。

 ルトは臣下の礼をし、私は慌ててカーテシーをした。


「王太子殿下、第二王子殿下、王女殿下、有り難きお言葉、痛み入ります」


 ルトがお三方にお礼の言葉を返した。


「二人の幸せを心から願う。皆の者も良いな」


「王太子殿下の御心のままに」


 と貴族が返した。


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