2 / 16
辺境へ
しおりを挟む
友との約束を果たす為に辺境へ参りました。
「ガネット」
「アーシャ」
「手紙は読んだわ」
「貴女の侍女として雇って貰える?」
「当たり前よ」
「それと、アンネも雇って貰いたいの」
「構わないわよ」
「ありがとう」
「でもその前に貴女は先ずは客人としてよ、ガネット」
「でも」
「積もる話が沢山あるの」
「分かったわ」
「アンネだったかしら」
「はい」
「貴女は、エル」
「はい、奥様」
「アンネ、エルはメイド長なの。エルに聞いて頂戴」
「はい、お願いします」
アンネはメイド長のエルと邸の中に入って行きました。
「ガネット、さあ入って。疲れたでしょ?」
「少しだけね」
「なら話を聞かせて。クズの元旦那の事も聞くから」
「聞かせる事はないのだけど」
「それでもよ」
アーシャと邸の中に入り、荷物の整理をしてから庭でお茶をしています。
「ガネット、さあ聞かせて」
「本当に聞かせる話なんてないのよ。ただ愛人がいて、結婚三年目で子供が出来なかったから離縁しただけなのよ?」
「ちょ、ちょっと待って。貴女他人事みたいに話さないでよ」
「もう他人事みたいなものでしょ?」
「もう元旦那の事は何とも思ってないの?」
「そうね」
「元婚約者もそうだけど、貴女って男運ないわね」
「本当にね。それでもお父様とは和解したのよ」
「あのお父様と?」
「そうなの。お父様、お母様を本当に愛していたのよ」
「それでも愛人いたんでしょ?」
「それは今でも許せないけど、それでも二人の愛を見せつけられたって感じなの」
「どう言う事?」
「お父様ね、お母様の絵を描いていたの」
「絵?」
「そう。その絵から愛情が滲み出てたの。お母様の顔も愛しい、愛してるって顔でね」
「それってお父様の良いように描いてない?」
「それもあると思うわ。それでもお父様がお母様を愛していた事は確かでしょ?」
「そうね」
「それに絵を一枚一枚私に説明してくるのよ。始めて手を繋いだ時の顔とか始めて口付けした時の顔とか、この時はこうだったって。親の惚気を聞かされる娘の気持ちにもなってほしいと思ったんだけどね、その一枚一枚を愛おしそうに見つめて、お母様を撫でながら説明しているお父様を見てたらなんか許せちゃったの」
「そう。それは良かったわね」
「それに私ね、お父様に愛させれてない、お父様にとっていらない子ってずっと思ってたの。でもね、お父様は私を愛してくれていたし、お父様なりに護ってくれていたみたい」
「そうなの」
「それでももっと早く知りたかったわ」
「そりゃそうよ」
「それでね、お父様を見てたら旦那様の愛って何だろうって思ったの」
「でも愛されていたのでしょ?」
「愛されてるって思ってたわよ。それでも愛人よりも扱いが酷いのにそこに愛があったとは思えないのよ」
「人の思いは見えないものね。言葉なんて思ってなくても言えるわ」
「そうね」
「でも態度や行動で見える事もあるでしょ?」
「お父様の絵みたいに?」
「そうよ。例え自分が思い願った絵だとしても、その絵を見て愛情が見えたならそれは愛でしょ?」
「そうね」
「私の旦那様、無愛想だけど邸に帰って来たら一番に私に会いにくるわ。服が汚れていてもね、必ず私を抱きしめるの。私の服が汚れようがお構いなしに。それから子供達に着替えてから会いに行くわ」
「そう」
「私はその行動が言葉よりも信じられると思うの。早く会いたい、早く抱きしめたいって気持ちがないと無理でしょ?」
「そうね」
「旦那様だって遠征はあるわよ?辺境だもの」
「そうね」
「それでも遠征先から他の騎士を置いて帰ってくるのよ? 帰って来たのが夜中でもそのままの格好で私を抱きしめるの。それが私には何よりも愛しい時間なの」
「幸せそうで良かったわ」
「幸せよ」
「私も結婚するまでは、違うわね、愛人の存在が分かるまでは彼を信じていたわ。信じられる人だと思っていたの」
「そんなクズは忘れて、新しい人見つけなさい」
「もう男性は懲り懲りよ」
「ガネットなら選り取り見取りなのに」
「ガネット」
「アーシャ」
「手紙は読んだわ」
「貴女の侍女として雇って貰える?」
「当たり前よ」
「それと、アンネも雇って貰いたいの」
「構わないわよ」
「ありがとう」
「でもその前に貴女は先ずは客人としてよ、ガネット」
「でも」
「積もる話が沢山あるの」
「分かったわ」
「アンネだったかしら」
「はい」
「貴女は、エル」
「はい、奥様」
「アンネ、エルはメイド長なの。エルに聞いて頂戴」
「はい、お願いします」
アンネはメイド長のエルと邸の中に入って行きました。
「ガネット、さあ入って。疲れたでしょ?」
「少しだけね」
「なら話を聞かせて。クズの元旦那の事も聞くから」
「聞かせる事はないのだけど」
「それでもよ」
アーシャと邸の中に入り、荷物の整理をしてから庭でお茶をしています。
「ガネット、さあ聞かせて」
「本当に聞かせる話なんてないのよ。ただ愛人がいて、結婚三年目で子供が出来なかったから離縁しただけなのよ?」
「ちょ、ちょっと待って。貴女他人事みたいに話さないでよ」
「もう他人事みたいなものでしょ?」
「もう元旦那の事は何とも思ってないの?」
「そうね」
「元婚約者もそうだけど、貴女って男運ないわね」
「本当にね。それでもお父様とは和解したのよ」
「あのお父様と?」
「そうなの。お父様、お母様を本当に愛していたのよ」
「それでも愛人いたんでしょ?」
「それは今でも許せないけど、それでも二人の愛を見せつけられたって感じなの」
「どう言う事?」
「お父様ね、お母様の絵を描いていたの」
「絵?」
「そう。その絵から愛情が滲み出てたの。お母様の顔も愛しい、愛してるって顔でね」
「それってお父様の良いように描いてない?」
「それもあると思うわ。それでもお父様がお母様を愛していた事は確かでしょ?」
「そうね」
「それに絵を一枚一枚私に説明してくるのよ。始めて手を繋いだ時の顔とか始めて口付けした時の顔とか、この時はこうだったって。親の惚気を聞かされる娘の気持ちにもなってほしいと思ったんだけどね、その一枚一枚を愛おしそうに見つめて、お母様を撫でながら説明しているお父様を見てたらなんか許せちゃったの」
「そう。それは良かったわね」
「それに私ね、お父様に愛させれてない、お父様にとっていらない子ってずっと思ってたの。でもね、お父様は私を愛してくれていたし、お父様なりに護ってくれていたみたい」
「そうなの」
「それでももっと早く知りたかったわ」
「そりゃそうよ」
「それでね、お父様を見てたら旦那様の愛って何だろうって思ったの」
「でも愛されていたのでしょ?」
「愛されてるって思ってたわよ。それでも愛人よりも扱いが酷いのにそこに愛があったとは思えないのよ」
「人の思いは見えないものね。言葉なんて思ってなくても言えるわ」
「そうね」
「でも態度や行動で見える事もあるでしょ?」
「お父様の絵みたいに?」
「そうよ。例え自分が思い願った絵だとしても、その絵を見て愛情が見えたならそれは愛でしょ?」
「そうね」
「私の旦那様、無愛想だけど邸に帰って来たら一番に私に会いにくるわ。服が汚れていてもね、必ず私を抱きしめるの。私の服が汚れようがお構いなしに。それから子供達に着替えてから会いに行くわ」
「そう」
「私はその行動が言葉よりも信じられると思うの。早く会いたい、早く抱きしめたいって気持ちがないと無理でしょ?」
「そうね」
「旦那様だって遠征はあるわよ?辺境だもの」
「そうね」
「それでも遠征先から他の騎士を置いて帰ってくるのよ? 帰って来たのが夜中でもそのままの格好で私を抱きしめるの。それが私には何よりも愛しい時間なの」
「幸せそうで良かったわ」
「幸せよ」
「私も結婚するまでは、違うわね、愛人の存在が分かるまでは彼を信じていたわ。信じられる人だと思っていたの」
「そんなクズは忘れて、新しい人見つけなさい」
「もう男性は懲り懲りよ」
「ガネットなら選り取り見取りなのに」
応援ありがとうございます!
41
お気に入りに追加
4,234
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる