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おっさん、エルフを救いたいー4

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「全員すぐに移動開始!! 信二がやり遂げた!! 予定を一日繰り上げる!!」

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名無しのモブ1:きたぁぁぁぁ!!!
名無しのモブ2:ガルディア遂にデレる!!
名無しのモブ3:ちょっと俺涙出てきた……よかったよ……思いは通じるんだな……。
名無しのモブ4:英雄シンジ君、投げ銭しときます。
言葉がでてこないドンパ:おめでとう……おめでとう……おめでとう……
遠くから応援していたビビヤン:ダーリン! 結婚してぇぇ!!!
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 配信を見ていた大泉信一郎は、その言葉とともに全員に命令を下した。

 明日出発する予定だった日本の緊急で集めて医療従事者、総勢200名。

 ヘリから軍事用車両から何から何まですべてを動員し、エルフの森へと真っすぐに向かう。

 エルディアも約束まであと一日だったが、すでにほぼ回復しており歩ける状態にまでなっているので案内すると自ら志願した。

『お父さん!』
『エルディア!!!』

 エルディアの案内により、医師団がエルフの森へと到着。

 そこからは迅速だった。

 幸いリーフ族の村は、比較的近くにあり医師団と自衛隊によってそこに緊急医療施設を建設。

 日本の最新医療技術を費用も惜しまず導入する。

 エルフの森にいるすべてのエルフへと抗生物質は投与され、重傷者は別途治療をうけた。

 始めは攻撃されないかと心配だった大泉だが、何も問題はなかった。
エルディアの回復と、エルディアが懸命に全員にどういった治療をしてもらったかを説明し、説得したのも大きかったのだろう。

 だが一番は、もちろんこの一週間の信二の配信だった。
それをずっと配信で見続けたエルフ達は彼の心を真っすぐと理解していた。

 救いたい、その一点だけが痛いほどに伝わっていた。

 エルフ達にも心はある。

 信二の懸命な言葉はしっかりと彼らの心に届いていた。

「信二!!」
「あぁ、信一郎か……すまん、一週間頑張れなかった」
「何を言うか、お前は十分やり遂げた。本当によくやった。これでエルフ達は救われるだろう」
「そりゃよかった……悪い……もう限界……寝る」
  
 そして信二は意識を失った。

『シルフィが運ぶよ!!』

 シルフィが信二を風で運び、同じように治療を受ける。
といっても信二に関してはただの寝不足だっただけで命に別状はない。
抗生物質も飲んでいたのでペスト菌にかかることもなかった。

◇二日後。

 俺は目を覚ました。

「…………あれ? ここは?」

 どうやらベッドの上のようだが、なんだろう、滅茶苦茶ふわふわな
しかし場所は木造の建物だからエルフ達の村なのだろうか。

『ん? あぁ!! シンジさん!!』

 すると聞き覚えのある声がした。
ソフィアだろうか、俺はベッドから体を起こす。

『起きた! みんな、起きました!! シンジさんが起きました!!』

 だがどこかに走って行ってしまった。

 俺が唖然としていると、たくさんのエルフ達がぞろぞろと部屋に入ってくる。

 そこにはガルディアと長老もいた。

『起きたか、信二』
『元気そうでなによりじゃ』

「すみません、寝てしまったようで……あの……どうなってますか?」

 俺が今どうなっていますかと聞いた瞬間だった。

 全員が俺の前で膝をつく。

「ちょ、ちょっと!? どうしたんですか!?」

 するとガルディアが最初に口を開いた。

『信二、私は君に失礼なことを何度も言った。侮辱するようなこともだ。でも君はそれでも我らを献身的に助けてくれた。ここにいる全ての部族の長達から、再度感謝の言葉を』

 そして全員が俺に真っすぐと頭を下げた。

『――本当にありがとう』

「そ、そんな……俺は……」

『今、君の仲間であろう人が治療を進めてくれている。まだかかるだろうが多くが回復の兆しが見えてきた。君の名前は我らエルフを救った英雄として永遠に刻まれるだろう。何か恩返しがしたい。なんでも言ってくれ』

 俺はその言葉を聞いて、いえ、そんなお気持ちだけでといつもの癖で言いそうになった。

 でもなら俺にはお願いしたいことがある。

「万能の霊薬ってご存じですか?」
『――!?』

 すると全員が目を見開く。
どうやら知っているようだ、でもこの反応はどうなんだろうか。

 しかし、長老が口を開く。

『万能の霊薬……それは世界樹の頂上に咲く果実のことじゃ』
「あるんですか!!」

『あぁ、100年に一度咲く。エルフの秘宝じゃ』
「100年に一度!?」

 その言葉に俺は絶望した。
エルフにとってはそうでもないかもしれないが、人間にとってはそれは途方もないほどの時間だった。
それに秘宝……譲ってもらうことなどできないだろう。

 すると長老と族長達が顔を合わせながら何か頷いた。

『……じゃがこれもアルテミス様の思し召しかの……信二さん。あなたは運が良い。今年がちょうど100年じゃ。数か月もすれば咲くじゃろう』
「え!?」

 俺は飛び起きた。

『そして、もし咲いたのなら……あなたに譲りまする。エルフの長として約束します』
「い、いいんですか……」

 長老は優しく笑い、そして他の族長達も頷いている。

 するとガルディアが口を開いた。

『君は我らを全力で救ってくれた。そんな君だ。ならばきっと救いたい者のために使うのだろう?』
「…………娘に」
『ふっ。ならば我らに異論はない。必ずや咲いたならこの私が、信二に届けることを誓おう』

 そういうガルディアは俺の元へと近づいてくる。

 そして俺の手を握って再度手を握る。

『我らが心の友。信二よ、エルフ族は、そして私は心からの最大の感謝を君に送りたい。どうか我らが秘宝も受け取ってくれ』
「…………ありがとう」

 俺は思わず泣いてしまった。
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