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10章
366.ムー
『グズ、早くしろこいつの家族の所に行くんだ』
子供がムーに命令すると
【……】
ムーが迷いながもジャンを自分の身体に取り込んだ…
『早く動けよ…』
子供もムーに触るとそのまま当たり前のようにムーの身体に入っていく…ムーは考えるのを止めて影の中に飛び込んだ…。
隔離されていたジャンの家族がいる小屋に行くとムーはジャンを吐き出した。
子供もゆっくりとムーから出ると気配を消した…いきなり現れた人にジャンの妻が唖然と見つめていた…
「あ、あなた?」
ジャンの妻が倒れ込んだ男に面影を感じて声をかけると…
「ルジェ!」
ジャンが妻の無事な姿にホッと安堵していると
「ど、どうしたの…その顔…まるで別人みたい…それに、あなた一体何をしたの?私達いきなり捕まって…あなたが罪をおかしたって聞いたわ…なんて事したのよ」
妻の顔が怒りで歪む…
「もうこの国にはいれないわ…私もスージーも罪人の家族として扱われる…もうあなたとは終わりよ」
ルジェがジャンから顔を背けると
「ルジェ…すまない…でも最後にスージーにこれを!王都熱の薬だ!これだけ最後に父親として飲ませてあげさせたいんだ」
「薬?」
ルジェが疑うようにジャンを見つめると
「ああ!コレでスージーも治るぞ!」
ジャンが笑って薬を見せた、しかし…
「結構よ…もう私達に関わらないで…」
ルジェはジャンの申し出を拒否した…
「な、なんでだ?スージーの病気が治るんだぞ?」
「罪人が持ってきた薬なんて飲ませられないわ、一体どこでその薬を盗ってきたの?もう帰ってちょうだい!私達をほっといて!」
ルジェがジャンを帰そうとすると…石のようにピタッと動きが止まってしまった…
「おじさん、おばさんは色々とあって気が動転してるんじゃない?飲ませて治ったところを見れば気が変わるかもよ?そしたらまた三人でどっか違う国でやり直せばいいんじゃない?」
部屋のすみで子供が笑ってジャンに囁く…
「そう…だな…気が変わるかも…」
ジャンがふらっと立ち上がるとルジェの目が見開いた!
止めて!スージーに触らないで!
そう叫びたいが声が出ない…何かの力で動きが封じられている様だった…
「そうそう、薬はもう一個あるからおばさんにも飲ませてあげた方がいいかもね、大人には移らないって言うけどもしかしてって事もあるからね!」
「わかった…」
ジャンがルジェに近づくとルジェの口が勝手に開いた…
「ぐっぅ…」
閉じようとすればするほど口が開いていく…
「お前の為だ…飲むんだ!」
ジャンがルジェに薬を飲ませると
「さぁ次は子供に…」
ジャンはスージーに近づくと苦しそうに息をしながら目を瞑っていた…
「ほらスージーこれで楽になるぞ…」
「うんうん…楽になるよ~」
クスクスと笑い声が聞こえると…ジャンはスージーに優しく薬を飲ませた…
「クックックッ…あいつ本当に飲ませやがった…」
子供は薬を飲ませるのを確認するとルジェの拘束を解いた、その瞬間!
「ぐっうえぇぇ…」
ルジェが喉を押さえながら倒れ込み苦しみだした!
「ル、ルジェ?」
ジャンが驚いてルジェに駆け寄ると
「な、何を…飲ませた…の…」
ルジェが激痛で歪んだ顔でジャンを睨みつける!
「く、薬だ…そうだろ?」
ジャンが子供を見ると…そこには何も居ない…
「さっきから…一人で…何を…ぎゃぁぁ!!」
ルジェは凄まじい痛みに胸を押さえるとヌルッとした感触に思わず体を確認する。すると…体がドロッと溶け出していた…自分の皮膚が…肉が骨から剥がれていく…ルジェは痛みと恐怖の中ジャンを睨みながら絶命した…。
「ル、ルジェー!」
ジャンがルジェをだき抱えるがみるみると体が溶け出して原型を留めていなかった…手からルジェの体が流れ落ちていく…
「ど、どういうことだ…」
唖然として残された服を掴むと
「ぎゃあー!い、痛い!ママァ!パパァ!」
スージーが痛みに起き出し叫び声をあげた!
「スージー!」
ジャンは今度は娘に駆け寄ると
「痛い痛い痛い痛い!いだいー」
スージーがあまりの痛みに自分の体を掻きむしる!そこからは血が滲んでいた…
「スージー!だ、大丈夫だ!薬を飲んだから…治る、治るんだ!そうだよな?」
ジャンがもう一度振り返ると…そこには黒髪の子供が不敵な笑顔を浮かべて確かにいた。
「治るわけ無いじゃん…それは人の体を溶かす薬さ」
「えっ…」
「でも楽にはなれるよね?」
子供が優しく笑いかけると
「嘘だ!嘘だ!嘘だ!スージーは助かる助かる助かる!助かるんだ!」
ジャンがスージーを抱きしめると…ルジェと同様に体がみるみると朽ち落ちていく…するとドロッと腕が落ちた…触る箇所がどんどんと溶け出していく…スージーの顔を見ると絶望の顔をして事切れていた…
「スージー?」
スージーの顔を見つめると…面影もなく顔が溶けてしまった…
「あーあ…死んじゃった」
子供がジャンに近づくと…
「おじさんが殺したんだよ…」
耳元でボソッと呟いた…
「おーまーえー!なんて事をしたんだ!薬をくれるって言ったじゃないか!」
ジャンが子供を掴むと
「僕は確かに薬をあげたよ、でも王都熱の薬だなんて一回も言ってないよ!あはは!」
子供が心底可笑しそうに笑っていると、ガクッと膝を付き娘の亡骸を触る…
「スージー…スージー…スージー…」
ジャンはベッドに溜まった娘を布に集めだした…そしてルジェも同じようにかき集めると…
「これでずっと一緒だ…」
布に溜まった液体を大事そうに見つめた…
「俺が悪かった…騙されたんだ…あの娘に…そうだ…俺は騙されたんだ…お前は…お前だけは許さん…」
ギロッと子供を睨みつけると
「おお!怖い!そうだ恨めこの顔をよく見ておけ!」
子供がニコッと笑って笑顔を見せて煽りだした!
「うぉぉぉ!」
すると頭に血がのぼったジャンが子供に向かって突進した!
子供はジャンの突進をひらっと避けると腹にぐっと何かを押し込んだ。
ジャンが勢い余って倒れ込むと…痛みに腹を抑えた。
「ぐぞぉ~ぐぞぉ~」
汗と涙と鼻水を垂らして子供を睨みつけると
「その憎悪…貰うよ」
子供がニコッと微笑むと、ジャンの体から木が生えてきた…
「ぐぞぉ~ぐぞぉ~ぐぞぉ~ぐぞぉ~…」
ジャンは子供を睨みつけたまま…黒い魔石となった。
子供はポロンと落ちた魔石を拾うと
「いっちょあがり!」
魔石を雑にポーンと上に投げるとそのまま収納にしまった…
「もうここには用はないから僕は帰るよ、グズはこのままアイツに付いているんだ…いいか!?目的を忘れるなよ」
【……】
ムーはブルッと震えると、ご主人様を送るべく影の中へと入って行った…。
ムーはご主人様と別れるとミヅキのもとに戻らず影の中に留まっていた…。
ムーは迷っていた…このままミヅキの所に戻れと言われた事に…
僕は…戻っていいのかな…それがご主人様の命令…。
ミヅキのそばにいることがあまりにも居心地が良くて…思わず目的を忘れそうになっていた…
ミヅキに抱きしめられると…
ミヅキに話しかけられると…
ミヅキに撫でられると…
ミヅキのご飯を食べると…
ここに居ることを許されているような、望まれているような気になってしまっていた…
決してそんな事はないのに
ご主人様に久しぶりに会って僕は何も変わっていなかったんだと感じた…
やっぱり僕はグズなんだと…
ご主人様の命令には逆らえない…でもミヅキを泣かせる事も…今はしたくない…出来ない…
なら…僕はこのまま…いなくなるべきなのかな…
ミヅキの元に帰る事が出来ずにいると…ミヅキが僕を呼んだ。
聞きたかった優しい僕の名前を何度も呼ぶ声…
僕は我慢出来ずに影から顔を出してしまった…
するとご主人様に似てたはずのミヅキの顔が全然似てない事に気がついた…
ミヅキはミヅキだった、ご主人様じゃない…
ミヅキに抱かれるとさっきまでのモヤモヤした気持ちが少し軽くなった…
ごめんね…ミヅキ
ごめんなさい…ご主人様…
僕…もう少しここに居たいです。
子供がムーに命令すると
【……】
ムーが迷いながもジャンを自分の身体に取り込んだ…
『早く動けよ…』
子供もムーに触るとそのまま当たり前のようにムーの身体に入っていく…ムーは考えるのを止めて影の中に飛び込んだ…。
隔離されていたジャンの家族がいる小屋に行くとムーはジャンを吐き出した。
子供もゆっくりとムーから出ると気配を消した…いきなり現れた人にジャンの妻が唖然と見つめていた…
「あ、あなた?」
ジャンの妻が倒れ込んだ男に面影を感じて声をかけると…
「ルジェ!」
ジャンが妻の無事な姿にホッと安堵していると
「ど、どうしたの…その顔…まるで別人みたい…それに、あなた一体何をしたの?私達いきなり捕まって…あなたが罪をおかしたって聞いたわ…なんて事したのよ」
妻の顔が怒りで歪む…
「もうこの国にはいれないわ…私もスージーも罪人の家族として扱われる…もうあなたとは終わりよ」
ルジェがジャンから顔を背けると
「ルジェ…すまない…でも最後にスージーにこれを!王都熱の薬だ!これだけ最後に父親として飲ませてあげさせたいんだ」
「薬?」
ルジェが疑うようにジャンを見つめると
「ああ!コレでスージーも治るぞ!」
ジャンが笑って薬を見せた、しかし…
「結構よ…もう私達に関わらないで…」
ルジェはジャンの申し出を拒否した…
「な、なんでだ?スージーの病気が治るんだぞ?」
「罪人が持ってきた薬なんて飲ませられないわ、一体どこでその薬を盗ってきたの?もう帰ってちょうだい!私達をほっといて!」
ルジェがジャンを帰そうとすると…石のようにピタッと動きが止まってしまった…
「おじさん、おばさんは色々とあって気が動転してるんじゃない?飲ませて治ったところを見れば気が変わるかもよ?そしたらまた三人でどっか違う国でやり直せばいいんじゃない?」
部屋のすみで子供が笑ってジャンに囁く…
「そう…だな…気が変わるかも…」
ジャンがふらっと立ち上がるとルジェの目が見開いた!
止めて!スージーに触らないで!
そう叫びたいが声が出ない…何かの力で動きが封じられている様だった…
「そうそう、薬はもう一個あるからおばさんにも飲ませてあげた方がいいかもね、大人には移らないって言うけどもしかしてって事もあるからね!」
「わかった…」
ジャンがルジェに近づくとルジェの口が勝手に開いた…
「ぐっぅ…」
閉じようとすればするほど口が開いていく…
「お前の為だ…飲むんだ!」
ジャンがルジェに薬を飲ませると
「さぁ次は子供に…」
ジャンはスージーに近づくと苦しそうに息をしながら目を瞑っていた…
「ほらスージーこれで楽になるぞ…」
「うんうん…楽になるよ~」
クスクスと笑い声が聞こえると…ジャンはスージーに優しく薬を飲ませた…
「クックックッ…あいつ本当に飲ませやがった…」
子供は薬を飲ませるのを確認するとルジェの拘束を解いた、その瞬間!
「ぐっうえぇぇ…」
ルジェが喉を押さえながら倒れ込み苦しみだした!
「ル、ルジェ?」
ジャンが驚いてルジェに駆け寄ると
「な、何を…飲ませた…の…」
ルジェが激痛で歪んだ顔でジャンを睨みつける!
「く、薬だ…そうだろ?」
ジャンが子供を見ると…そこには何も居ない…
「さっきから…一人で…何を…ぎゃぁぁ!!」
ルジェは凄まじい痛みに胸を押さえるとヌルッとした感触に思わず体を確認する。すると…体がドロッと溶け出していた…自分の皮膚が…肉が骨から剥がれていく…ルジェは痛みと恐怖の中ジャンを睨みながら絶命した…。
「ル、ルジェー!」
ジャンがルジェをだき抱えるがみるみると体が溶け出して原型を留めていなかった…手からルジェの体が流れ落ちていく…
「ど、どういうことだ…」
唖然として残された服を掴むと
「ぎゃあー!い、痛い!ママァ!パパァ!」
スージーが痛みに起き出し叫び声をあげた!
「スージー!」
ジャンは今度は娘に駆け寄ると
「痛い痛い痛い痛い!いだいー」
スージーがあまりの痛みに自分の体を掻きむしる!そこからは血が滲んでいた…
「スージー!だ、大丈夫だ!薬を飲んだから…治る、治るんだ!そうだよな?」
ジャンがもう一度振り返ると…そこには黒髪の子供が不敵な笑顔を浮かべて確かにいた。
「治るわけ無いじゃん…それは人の体を溶かす薬さ」
「えっ…」
「でも楽にはなれるよね?」
子供が優しく笑いかけると
「嘘だ!嘘だ!嘘だ!スージーは助かる助かる助かる!助かるんだ!」
ジャンがスージーを抱きしめると…ルジェと同様に体がみるみると朽ち落ちていく…するとドロッと腕が落ちた…触る箇所がどんどんと溶け出していく…スージーの顔を見ると絶望の顔をして事切れていた…
「スージー?」
スージーの顔を見つめると…面影もなく顔が溶けてしまった…
「あーあ…死んじゃった」
子供がジャンに近づくと…
「おじさんが殺したんだよ…」
耳元でボソッと呟いた…
「おーまーえー!なんて事をしたんだ!薬をくれるって言ったじゃないか!」
ジャンが子供を掴むと
「僕は確かに薬をあげたよ、でも王都熱の薬だなんて一回も言ってないよ!あはは!」
子供が心底可笑しそうに笑っていると、ガクッと膝を付き娘の亡骸を触る…
「スージー…スージー…スージー…」
ジャンはベッドに溜まった娘を布に集めだした…そしてルジェも同じようにかき集めると…
「これでずっと一緒だ…」
布に溜まった液体を大事そうに見つめた…
「俺が悪かった…騙されたんだ…あの娘に…そうだ…俺は騙されたんだ…お前は…お前だけは許さん…」
ギロッと子供を睨みつけると
「おお!怖い!そうだ恨めこの顔をよく見ておけ!」
子供がニコッと笑って笑顔を見せて煽りだした!
「うぉぉぉ!」
すると頭に血がのぼったジャンが子供に向かって突進した!
子供はジャンの突進をひらっと避けると腹にぐっと何かを押し込んだ。
ジャンが勢い余って倒れ込むと…痛みに腹を抑えた。
「ぐぞぉ~ぐぞぉ~」
汗と涙と鼻水を垂らして子供を睨みつけると
「その憎悪…貰うよ」
子供がニコッと微笑むと、ジャンの体から木が生えてきた…
「ぐぞぉ~ぐぞぉ~ぐぞぉ~ぐぞぉ~…」
ジャンは子供を睨みつけたまま…黒い魔石となった。
子供はポロンと落ちた魔石を拾うと
「いっちょあがり!」
魔石を雑にポーンと上に投げるとそのまま収納にしまった…
「もうここには用はないから僕は帰るよ、グズはこのままアイツに付いているんだ…いいか!?目的を忘れるなよ」
【……】
ムーはブルッと震えると、ご主人様を送るべく影の中へと入って行った…。
ムーはご主人様と別れるとミヅキのもとに戻らず影の中に留まっていた…。
ムーは迷っていた…このままミヅキの所に戻れと言われた事に…
僕は…戻っていいのかな…それがご主人様の命令…。
ミヅキのそばにいることがあまりにも居心地が良くて…思わず目的を忘れそうになっていた…
ミヅキに抱きしめられると…
ミヅキに話しかけられると…
ミヅキに撫でられると…
ミヅキのご飯を食べると…
ここに居ることを許されているような、望まれているような気になってしまっていた…
決してそんな事はないのに
ご主人様に久しぶりに会って僕は何も変わっていなかったんだと感じた…
やっぱり僕はグズなんだと…
ご主人様の命令には逆らえない…でもミヅキを泣かせる事も…今はしたくない…出来ない…
なら…僕はこのまま…いなくなるべきなのかな…
ミヅキの元に帰る事が出来ずにいると…ミヅキが僕を呼んだ。
聞きたかった優しい僕の名前を何度も呼ぶ声…
僕は我慢出来ずに影から顔を出してしまった…
するとご主人様に似てたはずのミヅキの顔が全然似てない事に気がついた…
ミヅキはミヅキだった、ご主人様じゃない…
ミヅキに抱かれるとさっきまでのモヤモヤした気持ちが少し軽くなった…
ごめんね…ミヅキ
ごめんなさい…ご主人様…
僕…もう少しここに居たいです。
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