ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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11章

380.ごぼう天

唖然と一点を見つめ続ける若者達に…

「みんな無事でよかったね~今度は、お腹が減っても無理しないようにしないとね」

ミヅキが安心させるように笑いかけると

「今回は…里の人達が特別にご飯を用意してくれたよ」

ミヅキはうどんにつゆをかけるとサクサクに揚がったごぼう天をのせる。

「はい、どうぞ」

ミヅキが手に持つどんぶりを見つめると…

「これは…初めて見ます…いい香りだけど…この上のって…」

若者達が気まずそうに目を見合わせる…

「これって食べられるものなんですか?」

恐る恐る聞いてくると…

「グルルル…」

【ミヅキが食えないもの作るわけないだろうが!噛み切ってやろうか!】

シルバが低い唸り声をあげると…

「ひっ!」

若者達が牙をむくシルバに後ずさりをした。

【こら!シルバ脅かさないの!】

ミヅキがシルバを撫でて静止させる。

「じゃあ、私が先に食べてみるね!」

そう言うとごぼう天を箸で掴んでサクッと音をたてて噛み切る。

そのままうどんをズルズル~と食べる。

「温まる~!美味しい~」

口から白い息をはいて頬を赤く染めて笑顔を見せると

ゴクッ…

エリク達の喉が鳴る…

「お、俺はせっかくだしいただこうかな…」

エリクがボソッと言うと

「はい、どうぞ!」

ミヅキが笑ってごぼう天うどんを差し出した。

「お、俺も!」

「すみません!僕も貰えますか?」

若者達が次々にうどんを受け取ると…

『いただきます…』

まずはエリクが覚悟を決めてごぼう天をかじると…

「なにこれ!凄い美味い!」

目を見開き信じられないともう一口、口に入れる!

「木のかすかと思ったけど…全然違う!香ばしくって…サクサクしてて…これってなんですか?」

エリクがベイカー達を見ると…

「これだよ」

コジローがゴボウを見せた。

「や、やっぱり…木の根っこじゃないか!」

他の若者が手を止めると

「食べられる根っこなんだよ~それに美味しいなら根っこでもいいんじゃないかな?」

ミヅキが笑って答えると…

「確かに…」

エリクがあっという間にごぼう天を食べてしまうと…

「すみません…もう一杯貰えますか?」

恥ずかしそうにどんぶりを差し出した。

その様子にみんながごぼう天に手をつけると…

「なんだこれ!これが木の根なのか!?」

「木の根って言うか…まぁいっか…」

ミヅキは笑いながら、美味しそうにごぼう天とうどんを食べるみんなを見つめていた…

みんながお腹いっぱいになると満足そうに腹をさする。

「あー…生き返った…あの出汁も美味かったし、ツルツルの長いのも美味かった…これが噂の里の料理なんですね」

「噂?」

ミヅキ達が首を傾げると

「ええ!醤油を使った料理が次々に出されていて…その全てが美味しいって…本当に噂通りの美味しさでした…」

エリク達が顔を赤くして興奮していると…

「ちょっと…ここの噂大丈夫?全部微妙に違うんだけど…」

ミヅキがこっそりとベイカーに耳打ちすると

「王都から遠いからな…人伝に伝わって行くうちに色々とねじ曲がったんじゃないのか…」

ベイカーもヒソヒソと話していると

「それにしても…お二人はこの里の人じゃなさそうですよね?でも里の人達から凄い信頼されている感じだし…一体何者なんですか?」

エリク達がミヅキとベイカーを見ると…

「「ただの冒険者です」」

二人はにっこりと笑って答えた…。

エリク達はその笑顔を見ると顔をひくつかせて、それ以上追求することは無かった…。

腹も膨れ、安全な場所に来たことでエリク達に眠気が襲ってきた…

里の人達に促されテントを借りてあっという間に眠りについてしまった。

「凄い…横になった瞬間に寝たね…」

ミヅキがいびきをかいているみんなを見つめると

「俺達も休もう、子供は寝る時間だぞ」

ベイカーはミヅキを抱き上げると里の人達に挨拶をして用意された家へと向かった。

「どうする…エヴァさんもいないし、こっちで一緒に寝るか?」

ベイカーとデボット達がミヅキを見ると

「うーん…エヴァさんが帰ってきた時に一人だったら寂しいと思うからこっちで寝るよ…ありがとう」

三人におやすみと言うとミヅキはシルバ達とベッドに入った。

【エヴァさん何か食べたのかな…】

ミヅキが心配そうに呟くと

【そうだ!ご飯だけでも持っていこうかな!】

バッと起き上がると

【こんな遅くに駄目だ!】

シルバが起き上がるミヅキを前足で押してベッドに戻すと

【そうだよーまた誘拐されちゃうよ】

シンクがミヅキのお腹の上に丸まって起き上がれないようにすると

【でも…】

ミヅキの顔が曇る…

【ぼくがもっていく!】

コハクがクルンと回って人型になると

【これではこべる!】

手を見せてワキワキと動かして見せた。

【そうだな、コハクに頼もう】

【なら私もコハクについて行ってやろう】

プルシアがコハクの頭の上でパタパタと羽ばたく。

【う、うん…じゃあお願いしようかな…】

ミヅキは残っていたごぼう天うどんを出すとコハクに渡した。

【エヴァさんによろしくね】

【まかせて!】

コハクは元気よく受け取るとプルシアと家を飛び出して行った!

ミヅキはコハクが見えなくなるまで見送ると…

【早くエヴァさんへの贈り物も見つけないとなぁ~雄一郎さん何処に隠したんだろ?】

ミヅキは再びベッドに横になると、地下で見つけた人形を取り出した。

【うわっ…なんだその気持ち悪い人形は…】

シルバが石の人形をみて顔を顰めると

【えーよく見ると可愛いよ】

石の頭がツルツルとしていてなんだか可愛い…ミヅキかヨシヨシと撫でてみると

[ご主人様…]

石の人形の瞳がゆっくりと開き出した!

【うわっ!ややややっぱり喋った!】

ミヅキが驚いてシルバに擦り寄ると…

【ミヅキ!】

シルバがバシッ!っと人形を叩き落とした。

[ご主人…様…?]

部屋の隅に弾かれた人形から悲しそうな声が聞こえてきた…

シルバがすかさず人形を砕こうと脚で踏み潰すと…

【待って!】

ミヅキが飛び出してシルバの脚にしがみつく!

【ミヅキどけ!こいつを潰す】

シルバが脚に力を込めると

ギシギシ…

人形の体が軋み出した。

【堅いな…】

シルバが更に力を込めようとする

【駄目ー!】

ミヅキが力一杯シルバにタックルをすると逆に弾き飛ばされ後ろにひっくり返った!

「きゃぁ!」

ミヅキが床に倒れ込むと、シルバが慌てて駆け寄りミヅキを起こす。

【何してるんだ!危ないだろ!け、怪我は?】

クンクンと鼻先をミヅキに近づけて怪我がないか確認すると…

【シルバ、落ち着いて!私は大丈夫!それよりもあの子を潰すのやめてよ】

【駄目だ!あれから魔力を感じた!今のうちに壊してしまうんだ】

シルバが再び人形に近づいていくと…

【もう!シルバのわからず屋!】

ミヅキがシルバの尻尾に抱きついて止めようとするがズルズルと引きずられる。

【わからず屋の頑固もんはミヅキだろ!】

シルバがミヅキをベッドの上に優しくほおり投げると

【俺が壊して来るからそこで大人しくしてるんだ!】

ポスンッ!とベッドに落とされると

【あっ!シルバがそう出るなら私だってもう手加減しないからね!】

ミヅキは人形に防壁を張った!

バチンッ!

シルバか弾かれると…

【この程度どうってことないんだぞ…】

シルバは構わず防壁を突き抜ける。

【あっ!待って!待って!】

ミヅキが慌ててシルバの前に回り込むと…

【ご、ごめんなさい!シルバ…お願い…この子を壊さないで…】

目に涙を溜めてシルバを見つめる…

【い、いや…そんな顔をしても駄目だ!今回は俺も譲らないぞ!ミヅキが助けたりするとろくな事にならないからな!】

(くっ!今回はシルバが全然折れない…)

ミヅキは人形を抱きしめると

【もし壊したら…しばらくシルバとは口聞かないからね!】

【えっ…】

シルバが思わず固まると

【口も聞かないし、背中にも乗らない!しばらくは一人で全部頑張るからね!】

【そ、そんな…】

シルバが想像していると…

(ミヅキと喋れない…触れない…またあの日々が来るのか…)

ミヅキが誘拐された時の事を思い出す…

【な、なら、条件がある!】

シルバが言うと

【なぁに?】

【そいつを壊さないかわりに…この里にいる間は俺から離れる事を禁じる!】

【ん…分かった】

ミヅキがあっさり了承すると…

【な、なら…まぁいいだろ…】

シルバが嬉しそうにブンブンと尻尾を振っていると…

(そんな約束しなくてもほぼ一緒にいるのになぁ~)

ミヅキはクスッと笑うと…

【あーあ…シルバ必死すぎてしょうもない約束しちゃったよ…】

シンクがふたりのやり取りを呆れて見つめていた。
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