ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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11章

443.新生アラン

セシルは欠伸をしながらアラン隊長の部屋に向かうと、扉をドンドンとノックしながら…

「アラン隊長!起きて下さい!朝ですよ!」

いつもの様にアラン隊長を起こすと…

「ああ、セシルくんおはよう」

そこには支度を終えたアラン隊長がいつでも出れるような格好で立っていた…

セシルが黙っていると

「セシルくん?」

アラン隊長が驚いた顔で固まっているセシルに声をかける。

「アラン隊長…?す、すみません!」

慌てて部屋を出ると扉を確認する。

「やっぱりアラン隊長の部屋だよな…」

もう一度ノックをすると…

「どうぞ…」

中からアラン隊長の声がする。

「失礼します…」

セシルが恐る恐る入ると先程と同じ服をきっちりと着たアラン隊長が困惑した顔で立っていた…

「何か…違っていたかな?とりあえず置いてあった服を来てみたんだが…」

アランがセシルに確認する。

「あっ…そうか!」

セシルはアラン隊長が記憶を無くしたことを思い出すと…

「もしかしてまだ記憶が?」

「その様だ…どうも自分の事と周りの人の事がわからないようです…」

「です…」

アラン隊長の敬語にセシルはゾクッとすると

「アラン隊長は私の上司ですので…敬語はおやめ下さい…私の事はセシルと…」

「わかった…それで…私はどうすれば…」

アランが不安そう顔をする。

「と、とりあえずいつもの様に過ごして見るのはどうでしょうか?そのうちに思い出す事もあるかも知れません…」

「そうだな…ではまず何を?」

「こ、これから朝の訓練に行きます…」

「ではお願いする」

アランはセシルに頭を下げた…


訓練所に着くと…

「アラン隊長~おはようございます!」

「おはようございます!」

「昨日はミヅキちゃんの所でたらふく食ったんすか?いいなぁ~」

部隊兵達が気楽に話しかけてくる。

「あ、ああ、おはよう…」

「おはよう…」

「昨日?ミヅキ?」

アランは一人一人に丁寧に返事を返していると…

「ん?なんかアラン隊長様子が変ですね?どうしたんですか?」

みんながセシルを見ると…

「実は…」

セシルが昨日の事をみんなに説明する。

「えっ!あれ冗談じゃなかったんですか!」

「まじかよ~アラン隊長が大人しいと…気持ち悪いな…」

部隊兵達はアラン隊長に聞こえないようにコソコソと話している。

「今日いつも通り過ごして貰えば記憶が戻るかも知れないからな…みんないつも通り接してみてくれ」

セシルが頼むと

『了解です』

部隊兵達が各々頷いた。

「よし!じゃあまずは走るぞー」

セシルが声をかける。

「ここをか?何周だ?」

アランが聞くと

「いつもは十周位ですが…」

「ならいつも通りで…しかしそんなに走れるかな…」

アランが不安そうにすると…

「あれまじかよ…いつもアラン隊長がぶっちぎりで一番なのに…」

「今ならアラン隊長に勝てるかも知れねぇな!」

『!!』

兵士達はお互いに顔を見合わせると密かに闘志を燃やしていた!


「ふぅ…」

アランは十周走りきると…息を吐いた。

「なんだよ…やっぱりアラン隊長が一番かよ…」

少し遅れて部隊兵達が走りきると

「いや、みんなも速いな!自分がこんなに走れるとは思わなかった!」

アラン隊長が爽やかに微笑む…

「こ、怖!セシルさん!怖いんすけど!」

兵士達が怯えてセシルに訴える!

「いつもなら『俺より遅かったら追加で五周だ!』とか言うのに…」

「だ、大丈夫だ…ほら、走らなくてすむんだぞ」

「そ、そうなんすけど…」

アラン隊長が汗を拭いていると…

「次は何をするんだ?」

セシルに聞いてくる。

「次は…剣の打ち合いですが…アラン隊長はどうしますか?」

「ん?やるぞ。みんなと同じように頼む」

「は、はい…おい!誰かアラン隊長と組んでやれ!」

セシルは近くにいた兵士に声をかけると…

「すみません!俺はこいつと組むので!」

すぐ隣にいた兵士の肩を叩くと…

「そ、そうなです!おい!行こう!」

みんなはさっさと組を作って打ち合いを始める…残ったのはアランとセシルだけだった…。

「お前ら…はぁ…アラン隊長じゃあ私とやりましょう」

セシルが剣を取り出すと…

「うむ、よろしく」

アランが剣を構えた…

「ところでアラン隊長…剣の使い方は覚えてますか?」

「えっと…ちょっと待ってくれ…」

アランは剣を構えて何もないところで素振りをする…すると風圧で地面が抉れる…

「あ、あれ?なんか強すぎたか?」

もう一度と今度は剣を突くと…

ドガッ!

訓練所の壁にぽっかりと穴が開く…

「ん?どうも加減が…」

アラン隊長が自分の剣を見る。

「アラン隊長…それを俺に向ける気だったんですか?」

セシルが目を見開きアランを見つめる。

「い、いや…まぁ…」

アラン隊長が頭をかくと

「アラン隊長…今日は調子も悪そうですからこれは止めておきましょう…それと剣は私が預かっておきます」

「そうか?」

アランは大人しく剣をセシルに渡した…


「訓練はこのくらいにして…次は会議の時間です…私もご一緒しますので…」

セシルはみんなに訓練を続けるように言うとアランを連れて行ってしまった…

「アラン隊長…大丈夫か?」

「いや…アラン隊長と組まなくてよかった…あれ下手したら死んでたぞ…」

「アラン隊長…真面目なのはいいけど…俺前の方がいいかな…」

「俺もだ…」

兵士達はため息をつきながら訓練を続けた…。


「おはようございます…」

セシルはノックをして会議室に入ると…

「あら、セシルおはよう!今日もセシルが会議に出るのね」

ミシェル隊長が扉から入ってきたセシルに挨拶をすると…

「い、いえ…」

セシルが入ると、後ろからアラン隊長が続いて入ってきた。

「なんだ?アラン隊長セシルに捕まったのか?珍しいな…」

ガッツ隊長がアランとセシルを見ると

「いや、なんかに釣られて来たんじゃないですか?またミヅキさんに何か作ってもらって…」

カイト隊長がセシルに確認するように目線を送る。

「そ、それが…」

セシルが言いにくそうに説明をする…

「はぁ?アラン隊長が記憶喪失?」

タナカ隊長がアラン隊長を凝視する。

「俺の事もわかんないんすか?」

タナカ隊長がアラン隊長に話しかける

「すまないね…君の事もここにいる皆さんの事もわからないんだ…」

「君!」

「「「皆さん!」」」

隊長達がアランを見ると…

「どうした?」

アランが訳がわからずに首を傾げる…

「本当に別人みたいね…」

「確かに本当のようですね…」

「アラン隊長…気味が悪いな…」

隊長達が顔を顰めると

「そういう事なので…今日は私と二人で参加しますのでよろしくお願いします」

セシルが隊長達に頭を下げると

「よろしく頼む」

アランもセシルと共に頭を下げた…

気味の悪いアラン隊長を座らせてとりあえず会議を始める…

「では…今日は第一部隊と第三部隊が見回りを…第四、第五部隊は訓練と城内の警備を交代で…第二部隊は休息とする」

カイトが書類を読み上げると

「私は…第五部隊だな、では城内の警備だな」

与えられた紙にメモを取る…その様子を隊長達は何も言わずにただただ見つめていた…。


会議もスムーズに終わりアラン隊長達が部屋を出ると…セシルが肩を掴まれる!

「ちょっとセシル!あれ何とかならないの!気持ち悪くてしょうがないわ!」

ミシェル隊長が寒気から体をさする…

「真面目なのはよろしいですが…こちらの調子が崩れますね…」

カイトもミシェルに同意する。

「別に真面目になったのはいい事なんじゃないか?俺達が慣れていけば…」

タナカ隊長が言うと

「それもそうかしら…確かに会議には出るし…話を妨害しないし…人の揚げ足はとらないし…よく考えるといい事ばかりね!」

ミシェル隊長が頷く…。

「まぁ…いつ元に戻るかわかりませんが…」

セシルが不安そうにしていると…

「セシル?どうした?」

なかなか部屋から出てこないセシルを心配してアランが声を掛けてきた…

「あっ、すみません!では皆さんお先に…」

セシルは隊長達に頭を下げてアラン隊長と行ってしまった…

「アラン隊長がセシルを呼びに来るなんて…」

「なんか調子が狂うな…」

隊長達は複雑な顔で見つめ合っていた…。
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