ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字サイズ
特大
328 / 656
12章

471.姑

「エミリーさん?」

動かないエミリーさんに私が声をかけると…

「あなたがポルクスの?」

やっと口を開いた…

「はい…イチカと申します。ご挨拶が遅れて申し訳ございません…ポルクスさんとの結婚をお許し頂けますか?」

イチカが頭を下げながら挨拶をすると…

「ちょ、ちょっと!」

エミリーさんがポルクスさんを掴むとイチカを置いて裏へと連れて行く…イチカは一人ポツンと残されてしまった…

「ミ、ミヅキ様…」

イチカが不安そうに振り返った。

「だ、大丈夫!エミリーさん緊張したのかなぁ~?ねぇ!」

私がおじさんに声をかけると

「そうだよ!気にしないでなんならおじさんの所に来るかい?」

おじさんが笑って手を差し出すと…

「はぁ?なら俺が立候補します!見た時から好きでした!」

若い村人が手を上げるとなら俺も!と次々に手が上がる!

「ちょっと!イチカは駄目!ポルクスさんのものなの!」

私はみんなの前で手を広げてイチカに近づかないように止めると

「皆さん、ありがとうございます…気を使って下さって…でも私、ポルクスさん以外考えられないので…」

可愛らしく頬を染めてはにかむと…

「まじかよ…」

「ポルクス…殺す…」

「なんで…あいつなんだよ」

手を上げた数人がガックリと膝をついた。

その頃裏では…

「ポルクス!どういう事だい!」

エミリーさんがすごい剣幕でポルクスに詰め寄る!

「な、何がだよ!」

怖いよ!と母親を押しのけると

「なにがじゃないよ!どうしたんだいあの子は!?」

「だから俺の婚約者だよ…」

言いにくそうに声が小さくなってしまうと…

「お前…なんかしたのかい?」

エミリーさんが心配そうにポルクスを見つめる。

「それはどういう意味だ!」

ムッとして親を睨むと…

「あんなに可愛い子がお前なんて相手にするわけないだろ!はっ!まさかあんなに若い子を騙して手篭めにしたんじゃないだろうね!」

「そんな事するか!まだ何もしてないわ!」

思わず本音を言うと…

「あっ…」

口を押さえる。

「そうかい…そんだけあの子の事が本気なんだね…でもあの子の気持ちもあるからね!無理強いは許さないよ!」

「そんなこと…ないと思う」

弱々しく答えると

「まぁ母ちゃんがよく見てやるよ!相応しいかどうか!」

、じゃねぇのかよ…」

「さぁ行くよ!」

エミリーさんは意気揚々とみんなの元に戻って行った。


エミリーさん達が戻って来ると

「いやごめんね!びっくりしちゃって…えっとそれで確か…イチカちゃんだったね」

エミリーさんがイチカに話しかけると

「は、はい!」

イチカが緊張した面持ちで答える。

「よかったら二人で話さないかい?」

エミリーさんがイチカを家へと案内しようとすると

「おい!何処に連れていくんだよ!」

ポルクスさんが止めようとする。

「うるさいよ!私はこの子と話があるんだ!お前は黙ってな!」

エミリーさんはポルクスさんを睨みつけると…

「お前達はミヅキちゃんの牛乳の準備をしておきな!ミヅキちゃんまた沢山買ってくれるんだろ?」

「は、はい…」

いきなりふられて思わず返事をすると

「じゃそういう事で後はよろしくね」

エミリーさんはイチカを連れてさっさと行ってしまった…

「ポルクスさん…大丈夫だよね」

私は思わず心配になってポルクスさんに声をかけると

「わからねぇ…自分の親ながらあの人の考える事は…」

ポルクスさんは頭を抱えた…

一方エミリーさんと二人っきりになったイチカは緊張しながらエミリーさんの前に座っていた…

その様子にエミリーさんは思わず笑うと

「そんなに緊張しなくていいよ、ごめんよ脅かしちゃったかね?この通り田舎の村で女手一つでいるからこんなに強くなっちまってね…」

恥ずかしそうに笑うと、ポルクスさんと同じような笑い方にホッとして一緒に笑ってしまう。

「いいえ…おかあさんが一人で頑張っている話はポルクスさんから聞いてました。しかも村長さんをされてるなんて凄く尊敬します」

イチカが答えると

「あの子はそんな事をイチカちゃんに?」

「はい…おかあさんの話をする時のポルクスさんはとっても優しそうで…誇らしそうに話してます」

「そうかい…」

エミリーさんが嬉しそうにイチカの話を聞いている。

「イチカちゃんはそんなにポルクスを好きでいてくれてるんだね」

「えっ?」

イチカが驚くと

「イチカちゃんもポルクスの話をする時の顔が本当に嬉しそうだよ…あの子をそんなに好きになってくれてありがとうね」

エミリーさんがイチカの手を掴むと

「うちはイチカちゃんみたいな可愛い子がお嫁さんになってくれたら嬉しいけど…イチカちゃんの親御さんは反対しないのかい?」

エミリーさんが気になっていたことを聞くとイチカの顔が曇り出した…

「や、やっぱり反対されて?ごめんようちがこんな田舎の牛乳売りなもんで…」

エミリーさんが申し訳ないと頭を下げると

「ち、違います!すみません…正直に言います…実は私は…奴隷だったんです…」

イチカが下を向いたままポツリポツリとこれまでの事を話しだす…エミリーさんは何も言わず黙ったままずっとイチカの話を聞いていた。

話が終わってもイチカはエミリーさんの反応が怖くて上を向くことが出来なかった。

「そうかい…」

エミリーさんは掴んでたイチカの手をそっと離す…

(あっ…)

体が冷めて行く中、唯一温かみを感じていた手が冷たくなっていく…

(やっぱり…)

イチカがギュッと体を縮めると…フワッとエミリーさんが横からイチカを抱きしめた。

「辛かったね…でも大丈夫だよ。これからはポルクスにイチカちゃんをちゃんと守らせるからね!困ったらいつでも私の所に帰っておいで!イチカちゃんはもう私の娘なんだから」

イチカは驚いてエミリーさんを見上げるとそこには優しく包み込むように笑っているお母さんがいた…

「エミリー…さん…」

「イチカちゃん!お母さんって呼んでくれないの?」

エミリーさんが笑うと

「おかあさん…」

「うん、これからよろしくねイチカちゃん」

「はい…」

イチカはポロポロと流れる涙を止められそうに無かった…

感想 6,830

あなたにおすすめの小説

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します 表紙

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します

「子供っぽい嫉妬はやめろ」私が命懸けで出産した日、夫のヴィンセント侯爵は初恋の人の所へ行ってしまった。理由を説明して欲しいと言うと、子供っぽい嫉妬をやめろと厳しい声で言われてしまう。しかも初恋の相手がいきなりやってきて「侯爵様は昔から私を命懸けで助けてくれるんです」と悪びれもせずに言い放った。妻よりも初恋相手を優先する夫は必要ないので私は夫を初恋相手へ返品した。すると生まれてから一度も人に頭を下げたことのないヴィンセントが、ボロボロになって私に頭を下げてきて⋯⋯。
恋愛 連載中 長編
文字数:94,149
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜 表紙

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
恋愛 完結 短編
文字数:20,369
転生先で冒険者専門のお弁当屋さん始めます〜助けてくれた冒険者兄弟にお礼をしたかっただけなのに、大繁盛してしまいました〜 表紙

転生先で冒険者専門のお弁当屋さん始めます〜助けてくれた冒険者兄弟にお礼をしたかっただけなのに、大繁盛してしまいました〜

保育士として働いていた莉子は、ある日の仕事中に暴走してくる車から子どもたちを守り、死んでしまう。 しかし、目が覚めるとそこは深い森の中。 ここはどこだろうと彷徨い歩いているうちに狼のような獣に襲われかけたものの、間一髪のところで冒険者の兄弟、ベクターとゼノに助けてもらった。 家族が宿屋をやっているから、と行くあてもない莉子を拾ってくれた二人。 やってきたのは、リーベル王国の国境付近にある街、ベルン伯爵領。 そこにある人気の宿屋に身を置くことになった莉子は、様々な事情を知りながら身を寄せることへのお礼のため、ベクターとゼノにお弁当を作ろうと決意して──?
ファンタジー 連載中 長編
文字数:124,638
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか? 表紙

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ファンタジー 完結 長編
文字数:148,101
『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜 表紙

『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜

元・社畜SE、今世は国宝級の赤ん坊!? 最強の父様とお兄様が過保護すぎて、一歩歩くだけで国が揺れちゃいます!
ファンタジー 完結 長編
文字数:187,096
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません 表紙

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
恋愛 完結 短編
文字数:14,447
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました 表紙

初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました

夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。 彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。 けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。 セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。 夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
恋愛 完結 短編
文字数:12,593
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした 表紙

捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした

神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。 辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。 けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。 これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
ファンタジー 完結 短編
文字数:36,970