文字の大きさ
大
中
小
337 / 639
12章
497.お裾分け
「べ、ベイカーさん…まだ終わんない?アランさん生きてる?」
私は小さい声でベイカーさんに尋ねると…耳を塞がれていた手がやっとどいた。
「ベイカーさん?」
「もう大丈夫だ…目を開けても…」
その言葉にそっと目を開くと…
「あれ?誰もいないよ」
黒猫亭の前には先程まで沢山いた冒険者達がきれいさっぱり消えていた…
「みんな…連れていかれた…」
ベイカーさんがブルっと身震いすると
「久しぶりにまじでブチ切れてたなぁ…」
セバスさんの様子を思い出したのか震えている。
「あーあ…お店あんなに汚しちゃって…ベイカーさん片付けしよ」
そんな様子を見ていなかったミヅキは急いで店の中へと入っていった。
「ファルさん?」
マスターを探して声をかけると
「あっ…えっと…ミヅキちゃん?」
ファルさんがミヅキと後ろからついてきたベイカーに頭を下げると
「大丈夫か?俺達も手伝おう」
倒れた椅子を立たせて戻していくと
「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ今日はもう営業は出来ないのでゆっくり片付けますから」
ファルさんが笑うと
「えっ…なんでですか?ファルさん怪我でもしたの?」
心配になって聞くと
「大丈夫!大丈夫!この通り頑丈だからね!」
ぐっと力こぶを作って見せると
「おお…」
見事な腕の筋肉にじっと見つめる。
「ならなんで…」
たっぷり腕の筋肉をみてから聞くと
「それが食材が空っぽで…昨日、沢山のお客さんが入ったからね…」
店がぐちゃぐちゃになったのに何処か嬉しそうなファルさんをなんでだろうと見ていると
「いや…開店以来あんなに人が入ったのは初めてで…」
恥ずかしそうに頭をかいている。
なるほど…そりゃ沢山お客さんが来るのはいいけど限度があるよね。
「それにみんな酔っていたからか私にも平気で話しかけて来てくれてね…意外と楽しかったんだよ」
まぁ今回だけだろうと苦笑いしている。
「そうかなぁ~」
「そんなわけなんで今日は休んで食材を買ってまた明日から地道に営業するよ」
「あっ!なら私の食材分けてあげる!ね!ベイカーさんいいでしょ?」
私はベイカーさんを見ると
「そうだな…アランさんが迷惑をかけたからな…一応あんなでも兄みたいなもんだからな…」
話を聞いていたギルマスは
「ミヅキ、わしからも頼む!ファルに食材分けてやってくれ!金ならわしが払うから」
「いいよ!お金なんてじいちゃんから貰えないよ!それにほとんどシルバ達が倒した魔物肉だったり途中で集めた野菜だからね」
「いや!そうはいかん!金ならあの馬鹿からきっちりと返して貰うから大丈夫だ」
まぁそういうことなら…
「そのお金は迷惑料でファルさんにあげてください!私はその代わりに厨房を使わせて貰えればいいから」
「いや!そんないいです!食材ももらってお金もなんて…」
「なら食材だけでももらってくれ」
ギルマスが頭を下げる。
「そ、それなら…少しいただけると助かります」
ファルさんが笑って了承してくれたのでミヅキは収納から食材を次から次に出していく!
「まずは肉ね!オークからミノタウロス、ビックバードと色んなのが揃ってます!後は野菜もここら辺では珍しい根菜もたっぷりだよ!」
更におすすめの食材も出していくと
「そ、そんなに出したらミヅキちゃんの分が無くなるよ!少しでいいんだよ!」
慌ててファルさんが止めると
「えっ?まだちょっとしか出てないから大丈夫ですよ」
私は収納から取り出す手を止めると
「えっ…この量で少しなの?」
チラッと見えない収納魔法を見つめると
「あー…私…収納魔法だけは優秀で…」
誤魔化そうとチラッとギルマスを見つめると
「大丈夫だ、ファルは口がかたいからこの事は内緒にしててくれるよな」
ガシッとファルの肩にギルマスが手を置くと…
「は、はい…」
ずっしりと重い腕にファルは笑顔が引きつった…
「後は…調味料系もいっぱいありますよ!醤油はあげたよね…みりんやお酢にかたくり粉とか興味あります?」
「ある!」
食材よりも食いつきがいい
「後は…お酒も飲んじゃんったんだよね?ムサシさんのお酒もたっぷり貰ってきたからこれも少しおすそ分け…」
「あっ!酒!」
ファルは思い出した様に酒を見つめると
「そう!この酒をギルマスから少し飲ませてもらって…よかったらこのお酒を店に置きたいんだけど」
「そっちはデボットさんとレアルさんに相談してもらった方が良いかな?」
「ミヅキ、わしもその酒が無くなったからまた頼みたいんだ」
「えっじいちゃんも?前の分もう無くなったの…飲む量多くない?あんまり飲み過ぎちゃ駄目だよ」
「わ、わかってるが美味くてついな…次からは気をつけるから」
「じゃあデボットさん達に頼んでヒポにお酒運んでもらおうか?」
「そうしてくれると助かる!」
「じゃあお酒は今ある分はファルさんのお店にあげちゃうね」
「いや!ギルマスに申し訳ない!私は後で大丈夫です」
「迷惑をかけたのはこっちの身内だからな…それにわしはミヅキがいるからいつでも頼めるから大丈夫だ」
それならとファルさんがお酒を受け取ると
「嬉しいです、これをずっと店に置きたいと思ってましたから…今回の騒ぎのおかげで珍しい調味料もいただけてかえって嬉しいくらいです」
迷惑をかけたのに喜んでいるファルさんにミヅキ達はホッとした。
「ファルさんがそう言ってくれて良かったね」
じいちゃんを見ると
「こいつはそういう奴なんだ、だからみんなも知れば怖がらずに店に来ると思うんだがなぁ」
「じゃあ今日のご飯はファルさんのお店で食べようよ!冒険者のみんなも来るでしょ?ちょうどいいんじゃないファルさんの紹介もできて」
「そりゃいいな、じゃあわしはギルドの奴らに知らせてくるな」
店もあらかた片付けたのでじいちゃんは一度ギルドに戻っていった。
「ベイカーさんもデボットさん達呼んできてくれる?人手が多い方がいいから」
「わかった」
「じゃあファルさんはよかったら一緒にご飯作りましょ?」
「ミヅキちゃんが作るのかい?他に作ってくれる人はいないの?」
ファルさんが驚いてベイカーさんを見て確認すると
「こう見えてうちで一番料理が上手いんだ…ルンバにも教えてるんだぜ」
「ルンバさんに!?もしかしてドラゴン亭のハンバーグってミヅキちゃんが?」
「よく知ってるな」
「ルンバさんからある人に教わったと聞いていて…でも決して名前を教えてくれなかったので、てっきりかなり高齢の方なんじゃないかと想像していましたが…そっか、この子が…」
目の前の小さい子供を見つめる。
「料理の腕はみんなよりおとりますよ…ただ色んな料理を知ってるだけで…」
気まずそうに言うと
「じゃあ今回は何を作るんだい!?是非とも手伝わせて欲しい」
ファルさんがやる気を見せると
じゃあ早速とミヅキは食材を取り出した…
私は小さい声でベイカーさんに尋ねると…耳を塞がれていた手がやっとどいた。
「ベイカーさん?」
「もう大丈夫だ…目を開けても…」
その言葉にそっと目を開くと…
「あれ?誰もいないよ」
黒猫亭の前には先程まで沢山いた冒険者達がきれいさっぱり消えていた…
「みんな…連れていかれた…」
ベイカーさんがブルっと身震いすると
「久しぶりにまじでブチ切れてたなぁ…」
セバスさんの様子を思い出したのか震えている。
「あーあ…お店あんなに汚しちゃって…ベイカーさん片付けしよ」
そんな様子を見ていなかったミヅキは急いで店の中へと入っていった。
「ファルさん?」
マスターを探して声をかけると
「あっ…えっと…ミヅキちゃん?」
ファルさんがミヅキと後ろからついてきたベイカーに頭を下げると
「大丈夫か?俺達も手伝おう」
倒れた椅子を立たせて戻していくと
「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ今日はもう営業は出来ないのでゆっくり片付けますから」
ファルさんが笑うと
「えっ…なんでですか?ファルさん怪我でもしたの?」
心配になって聞くと
「大丈夫!大丈夫!この通り頑丈だからね!」
ぐっと力こぶを作って見せると
「おお…」
見事な腕の筋肉にじっと見つめる。
「ならなんで…」
たっぷり腕の筋肉をみてから聞くと
「それが食材が空っぽで…昨日、沢山のお客さんが入ったからね…」
店がぐちゃぐちゃになったのに何処か嬉しそうなファルさんをなんでだろうと見ていると
「いや…開店以来あんなに人が入ったのは初めてで…」
恥ずかしそうに頭をかいている。
なるほど…そりゃ沢山お客さんが来るのはいいけど限度があるよね。
「それにみんな酔っていたからか私にも平気で話しかけて来てくれてね…意外と楽しかったんだよ」
まぁ今回だけだろうと苦笑いしている。
「そうかなぁ~」
「そんなわけなんで今日は休んで食材を買ってまた明日から地道に営業するよ」
「あっ!なら私の食材分けてあげる!ね!ベイカーさんいいでしょ?」
私はベイカーさんを見ると
「そうだな…アランさんが迷惑をかけたからな…一応あんなでも兄みたいなもんだからな…」
話を聞いていたギルマスは
「ミヅキ、わしからも頼む!ファルに食材分けてやってくれ!金ならわしが払うから」
「いいよ!お金なんてじいちゃんから貰えないよ!それにほとんどシルバ達が倒した魔物肉だったり途中で集めた野菜だからね」
「いや!そうはいかん!金ならあの馬鹿からきっちりと返して貰うから大丈夫だ」
まぁそういうことなら…
「そのお金は迷惑料でファルさんにあげてください!私はその代わりに厨房を使わせて貰えればいいから」
「いや!そんないいです!食材ももらってお金もなんて…」
「なら食材だけでももらってくれ」
ギルマスが頭を下げる。
「そ、それなら…少しいただけると助かります」
ファルさんが笑って了承してくれたのでミヅキは収納から食材を次から次に出していく!
「まずは肉ね!オークからミノタウロス、ビックバードと色んなのが揃ってます!後は野菜もここら辺では珍しい根菜もたっぷりだよ!」
更におすすめの食材も出していくと
「そ、そんなに出したらミヅキちゃんの分が無くなるよ!少しでいいんだよ!」
慌ててファルさんが止めると
「えっ?まだちょっとしか出てないから大丈夫ですよ」
私は収納から取り出す手を止めると
「えっ…この量で少しなの?」
チラッと見えない収納魔法を見つめると
「あー…私…収納魔法だけは優秀で…」
誤魔化そうとチラッとギルマスを見つめると
「大丈夫だ、ファルは口がかたいからこの事は内緒にしててくれるよな」
ガシッとファルの肩にギルマスが手を置くと…
「は、はい…」
ずっしりと重い腕にファルは笑顔が引きつった…
「後は…調味料系もいっぱいありますよ!醤油はあげたよね…みりんやお酢にかたくり粉とか興味あります?」
「ある!」
食材よりも食いつきがいい
「後は…お酒も飲んじゃんったんだよね?ムサシさんのお酒もたっぷり貰ってきたからこれも少しおすそ分け…」
「あっ!酒!」
ファルは思い出した様に酒を見つめると
「そう!この酒をギルマスから少し飲ませてもらって…よかったらこのお酒を店に置きたいんだけど」
「そっちはデボットさんとレアルさんに相談してもらった方が良いかな?」
「ミヅキ、わしもその酒が無くなったからまた頼みたいんだ」
「えっじいちゃんも?前の分もう無くなったの…飲む量多くない?あんまり飲み過ぎちゃ駄目だよ」
「わ、わかってるが美味くてついな…次からは気をつけるから」
「じゃあデボットさん達に頼んでヒポにお酒運んでもらおうか?」
「そうしてくれると助かる!」
「じゃあお酒は今ある分はファルさんのお店にあげちゃうね」
「いや!ギルマスに申し訳ない!私は後で大丈夫です」
「迷惑をかけたのはこっちの身内だからな…それにわしはミヅキがいるからいつでも頼めるから大丈夫だ」
それならとファルさんがお酒を受け取ると
「嬉しいです、これをずっと店に置きたいと思ってましたから…今回の騒ぎのおかげで珍しい調味料もいただけてかえって嬉しいくらいです」
迷惑をかけたのに喜んでいるファルさんにミヅキ達はホッとした。
「ファルさんがそう言ってくれて良かったね」
じいちゃんを見ると
「こいつはそういう奴なんだ、だからみんなも知れば怖がらずに店に来ると思うんだがなぁ」
「じゃあ今日のご飯はファルさんのお店で食べようよ!冒険者のみんなも来るでしょ?ちょうどいいんじゃないファルさんの紹介もできて」
「そりゃいいな、じゃあわしはギルドの奴らに知らせてくるな」
店もあらかた片付けたのでじいちゃんは一度ギルドに戻っていった。
「ベイカーさんもデボットさん達呼んできてくれる?人手が多い方がいいから」
「わかった」
「じゃあファルさんはよかったら一緒にご飯作りましょ?」
「ミヅキちゃんが作るのかい?他に作ってくれる人はいないの?」
ファルさんが驚いてベイカーさんを見て確認すると
「こう見えてうちで一番料理が上手いんだ…ルンバにも教えてるんだぜ」
「ルンバさんに!?もしかしてドラゴン亭のハンバーグってミヅキちゃんが?」
「よく知ってるな」
「ルンバさんからある人に教わったと聞いていて…でも決して名前を教えてくれなかったので、てっきりかなり高齢の方なんじゃないかと想像していましたが…そっか、この子が…」
目の前の小さい子供を見つめる。
「料理の腕はみんなよりおとりますよ…ただ色んな料理を知ってるだけで…」
気まずそうに言うと
「じゃあ今回は何を作るんだい!?是非とも手伝わせて欲しい」
ファルさんがやる気を見せると
じゃあ早速とミヅキは食材を取り出した…
感想 6,830
あなたにおすすめの小説
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜
由香過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。
初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。
溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)
星乃和花おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。
団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。
副団長「彼女のご飯は軍事物資です」
私「えっ重い」
胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!?
ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。
(完結済ー本編16話+後日談6話)
【完結】悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
本編完結済です。
もっちもっち感謝祭で、リクエストいただいたお話を更新しています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
表紙や動画にAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
一妻多夫の獣人世界でマッチングアプリします♡
具なっしー前世の記憶を持つソフィアは、綿菓子のような虹色の髪を持つオコジョ獣人の令嬢。
この世界では男女比が極端に偏っており、女性が複数の夫を持つ「一妻多夫制」が当たり前。でも、前世日本人だったソフィアには、一人の人を愛する感覚しかなくて……。
そんな私に、20人の父様たちは「施設(強制繁殖システム)送り」を避けるため、マッチングアプリを始めさせた。
最初は戸惑いながらも、出会った男性たちはみんな魅力的で、優しくて、一途で――。
■ 大人の余裕とちょっと意地悪な研究者
■ 不器用だけど一途な騎士
■ ぶっきらぼうだけど優しい元義賊
■ 完璧主義だけど私にだけ甘えん坊な商人
■ 超ピュアなジムインストラクター
■ コミュ力高めで超甘々なパティシエ
■ 私に一生懸命な天才年下魔法学者
気づけば7人全員と婚約していた!?
「私達はきっと良い家族になれます!」
これは、一人の少女と七人(…)の婚約者たちが、愛と絆を育んでいく、ちょっと甘くて笑える逆ハーレム・ラブコメディ。
という異世界×獣人×一妻多夫×マッチングアプリの、設定盛りだくさんな話。超ご都合主義なので苦手な人は注意!
※表紙はAIです
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。