文字の大きさ
大
中
小
411 / 639
14章
567.変装
ミヅキはシルバやプルシア達にご飯をあげると…
【みんな悪いんだけど…一度王都を出ててくれる?】
【えー?なんで?】
シンクが嫌そうにミヅキの肩に乗ると
【うん、みんなといると帰ってきたってバレバレみたいで…普通にみんなにあったらすぐに帰るからね】
ミヅキが眉毛を下げて済まなそうにすると…
【外で魔物捕まえててもいいよ】
【行くか!】
その言葉にシルバが反応する!
【いいですね、そろそろ体が鈍りそうになってました】
【なら僕も行くよ!】
シンクも嬉しそうにシルバの頭に乗ると
【あんまり遠くに行かないでね】
ミヅキがみんなの体を一人一人撫でていくと
【怪我もしないようにね】
【分かってる、それよりもミヅキこそベイカー達から離れるなよ】
【はーい】
プルシアは元の大きさになるとシルバ達を乗せて王都を後にした。
「これで私達帰ったって思われてるよね」
「まぁプルシアは目立つからな…」
「コジローさんもいいの?付き合ってくれて?」
ミヅキはずっと着いてきてくれるコジローさんに伺うように声をかけると
「ああ、シルバさんからしっかりと見ておくように言われたからね。ついでにマルコさんのところにも行くんだろ?」
「うん!」
「なら問題ないよ」
コジローさんが優しく微笑むと
「じゃあ三人できっちり変装しようね!」
ミヅキは二人を見てニッコリと笑った。
「えっ…俺も」
コジローは目を見開くと…
「当たり前だよ!コジローさんだって目立つからね!」
「まぁそうだな、その服かなり目立つぞ」
「そ、そうですか?」
コジローが自分の服を見回す。
「よし!とりあえず服屋にレッツ、ゴー!」
ミヅキはベイカーさんとコジローさんの手を取るとお店へと走り出した。
「このお店はどうかな?」
入った事のない店の前に立ってベイカーさんとコジローさんを見ると
「ミヅキの好きにしろ…」
あきらめモードのベイカーさんはどこでもいいと頷くので、早速店へと入った。
「じゃあまずはコジローさんの衣装を決めよう!各々良さそうな物を見つけて十分後にここに集合ね!」
「良さそうな物ってなんだよ!」
「コジローさんてバレないような服だよ」
「自分の服も選ぶのか…」
コジローさんが唖然とする。
「俺…服を選んだことがないんだが…」
「えー!コジローさん服どうしてるの?」
「これと同じ服を頼んで作ってもらっている」
「あー!かっこいいもんねその服…私そんな感じのがいいなぁ~」
「ミヅキなら何着ても似合いそうだ」
コジローさんが想像したのかミヅキを見てニッコリと笑う。
「そんな感じで自分のも選んで見てね!じゃあ解散!」
ミヅキはそう言うと服の並ぶ店内に走っていってしまった。
「ベイカーさん…」
コジローが助けを求めるようにベイカーを見ると…
「無理だ!俺もわからん。そこらの服適当に取って持ってこようぜ」
ベイカーさんはそう言うとすぐそこに置いてあった服を掴んだ。
十分後…
「ふー、沢山あって迷っちゃったよ」
ミヅキは小さい体に服をだき抱えて戻ってきた。
「ベイカーさん達は決まった?」
服の脇から顔を覗かせると
「ああ、ほら」
ベイカーさんが服を見せる。
「お、俺も…」
コジローさんも持っていた服をミヅキに見せると…
「わぁ、かっこいい!コジローさん早速着てみてください!」
「えっ?あっ…そうか自分が着るんだったな…」
コジローはもう少し地味なものにすればよかったと後悔した…
ミヅキが店員さんを呼ぶとみんなで試着室へと移動する。
コジローさんが気配を消しながら試着を始めると…
「どうですか~」
ミヅキが外から声をかけた。
「一応着てみた…けどすごい違和感が…」
小さな声の返答が返ってきた。
「じゃあ開けますよー」
ミヅキが試着室のカーテンを開くと、そこには貴族のような装いを身にまとったコジローさんがいた!
「かっこいいです!」
ミヅキが顔を輝かせると
「しかし…街を歩くのには向かないよな。しかも値段が…」
適当に選んだ為に値段まで見ていなかった。
「えーすごく似合うのに…」
ミヅキが残念そうにすると
「つ、次はベイカーさんの選んだやつですね!」
コジローさんはそそくさと中に戻って行った…
「ベイカーさんはどんなの選んだの?」
「え?あー…なんかそこらにあったやつだ」
「何それ!ちゃんと選んでよ!」
「コジローなら着こなせる!大丈夫だ」
ベイカーさんが頷くと
「うん…確かに、コジローさんなら何着ても似合いそうだね」
ミヅキはワクワクしながら待つまでいると…コジローさんがカーテンを開いた。
「似合うけど…なんかどこにでも居そうな感じだね」
ミヅキはじっくりとコジローさんを舐めまわすように見つめる。
「結構気に入ってる…コレでいいんじゃないか?」
コジローさんが言うと
「だめ!次は私のやつだよ!これとこれは必ずつけてね!」
コジローさんに持ってきた服を渡すと
「わかった…」
コジローさんは再び着替えに向かった。
「何を渡したんだ?」
「ふふふ…変装道具だよ!すごくいいのがあったの~」
こぼれる笑いを必死に手を当てて抑えていると
「こ、これを…」
コジローさんから声が漏れる…
「出来ましたか?」
ミヅキが声をかけると…
「一応…」
コジローさんがそっと出てくると…
「かっこいい!」
ミヅキが興奮して頬を染める!
「とてもお似合いです、今王都で流行っているデザインなんですよ」
見ていた店員さんも思わず声をかけてくる。
「これは…」
コジローさんが傷がある目を触る…そこにはミヅキが渡した眼帯をつけていた。
「それは眼帯だよ!コジローさん髪の毛で隠してるけどそういうので隠すのもかっこいいよ」
ニコニコと笑ってコジローさんを上から下まで見つめる。
ミヅキが選んだのはセバスさんのようなキチッとした格好の白シャツに黒パンツで明るい色のベストを持ってきた。
「なんかセバスさんみたいだな」
「コジローさんぽくないでしょ?」
「確かにパッと見わからんな」
ベイカーが頷くと
「それで…コジローさんどの服にする?」
「え…っと…」
ミヅキの期待に満ちた瞳にコジローはベイカーさんの選んだ服が一番地味でいいとはとても言えなかった…
【みんな悪いんだけど…一度王都を出ててくれる?】
【えー?なんで?】
シンクが嫌そうにミヅキの肩に乗ると
【うん、みんなといると帰ってきたってバレバレみたいで…普通にみんなにあったらすぐに帰るからね】
ミヅキが眉毛を下げて済まなそうにすると…
【外で魔物捕まえててもいいよ】
【行くか!】
その言葉にシルバが反応する!
【いいですね、そろそろ体が鈍りそうになってました】
【なら僕も行くよ!】
シンクも嬉しそうにシルバの頭に乗ると
【あんまり遠くに行かないでね】
ミヅキがみんなの体を一人一人撫でていくと
【怪我もしないようにね】
【分かってる、それよりもミヅキこそベイカー達から離れるなよ】
【はーい】
プルシアは元の大きさになるとシルバ達を乗せて王都を後にした。
「これで私達帰ったって思われてるよね」
「まぁプルシアは目立つからな…」
「コジローさんもいいの?付き合ってくれて?」
ミヅキはずっと着いてきてくれるコジローさんに伺うように声をかけると
「ああ、シルバさんからしっかりと見ておくように言われたからね。ついでにマルコさんのところにも行くんだろ?」
「うん!」
「なら問題ないよ」
コジローさんが優しく微笑むと
「じゃあ三人できっちり変装しようね!」
ミヅキは二人を見てニッコリと笑った。
「えっ…俺も」
コジローは目を見開くと…
「当たり前だよ!コジローさんだって目立つからね!」
「まぁそうだな、その服かなり目立つぞ」
「そ、そうですか?」
コジローが自分の服を見回す。
「よし!とりあえず服屋にレッツ、ゴー!」
ミヅキはベイカーさんとコジローさんの手を取るとお店へと走り出した。
「このお店はどうかな?」
入った事のない店の前に立ってベイカーさんとコジローさんを見ると
「ミヅキの好きにしろ…」
あきらめモードのベイカーさんはどこでもいいと頷くので、早速店へと入った。
「じゃあまずはコジローさんの衣装を決めよう!各々良さそうな物を見つけて十分後にここに集合ね!」
「良さそうな物ってなんだよ!」
「コジローさんてバレないような服だよ」
「自分の服も選ぶのか…」
コジローさんが唖然とする。
「俺…服を選んだことがないんだが…」
「えー!コジローさん服どうしてるの?」
「これと同じ服を頼んで作ってもらっている」
「あー!かっこいいもんねその服…私そんな感じのがいいなぁ~」
「ミヅキなら何着ても似合いそうだ」
コジローさんが想像したのかミヅキを見てニッコリと笑う。
「そんな感じで自分のも選んで見てね!じゃあ解散!」
ミヅキはそう言うと服の並ぶ店内に走っていってしまった。
「ベイカーさん…」
コジローが助けを求めるようにベイカーを見ると…
「無理だ!俺もわからん。そこらの服適当に取って持ってこようぜ」
ベイカーさんはそう言うとすぐそこに置いてあった服を掴んだ。
十分後…
「ふー、沢山あって迷っちゃったよ」
ミヅキは小さい体に服をだき抱えて戻ってきた。
「ベイカーさん達は決まった?」
服の脇から顔を覗かせると
「ああ、ほら」
ベイカーさんが服を見せる。
「お、俺も…」
コジローさんも持っていた服をミヅキに見せると…
「わぁ、かっこいい!コジローさん早速着てみてください!」
「えっ?あっ…そうか自分が着るんだったな…」
コジローはもう少し地味なものにすればよかったと後悔した…
ミヅキが店員さんを呼ぶとみんなで試着室へと移動する。
コジローさんが気配を消しながら試着を始めると…
「どうですか~」
ミヅキが外から声をかけた。
「一応着てみた…けどすごい違和感が…」
小さな声の返答が返ってきた。
「じゃあ開けますよー」
ミヅキが試着室のカーテンを開くと、そこには貴族のような装いを身にまとったコジローさんがいた!
「かっこいいです!」
ミヅキが顔を輝かせると
「しかし…街を歩くのには向かないよな。しかも値段が…」
適当に選んだ為に値段まで見ていなかった。
「えーすごく似合うのに…」
ミヅキが残念そうにすると
「つ、次はベイカーさんの選んだやつですね!」
コジローさんはそそくさと中に戻って行った…
「ベイカーさんはどんなの選んだの?」
「え?あー…なんかそこらにあったやつだ」
「何それ!ちゃんと選んでよ!」
「コジローなら着こなせる!大丈夫だ」
ベイカーさんが頷くと
「うん…確かに、コジローさんなら何着ても似合いそうだね」
ミヅキはワクワクしながら待つまでいると…コジローさんがカーテンを開いた。
「似合うけど…なんかどこにでも居そうな感じだね」
ミヅキはじっくりとコジローさんを舐めまわすように見つめる。
「結構気に入ってる…コレでいいんじゃないか?」
コジローさんが言うと
「だめ!次は私のやつだよ!これとこれは必ずつけてね!」
コジローさんに持ってきた服を渡すと
「わかった…」
コジローさんは再び着替えに向かった。
「何を渡したんだ?」
「ふふふ…変装道具だよ!すごくいいのがあったの~」
こぼれる笑いを必死に手を当てて抑えていると
「こ、これを…」
コジローさんから声が漏れる…
「出来ましたか?」
ミヅキが声をかけると…
「一応…」
コジローさんがそっと出てくると…
「かっこいい!」
ミヅキが興奮して頬を染める!
「とてもお似合いです、今王都で流行っているデザインなんですよ」
見ていた店員さんも思わず声をかけてくる。
「これは…」
コジローさんが傷がある目を触る…そこにはミヅキが渡した眼帯をつけていた。
「それは眼帯だよ!コジローさん髪の毛で隠してるけどそういうので隠すのもかっこいいよ」
ニコニコと笑ってコジローさんを上から下まで見つめる。
ミヅキが選んだのはセバスさんのようなキチッとした格好の白シャツに黒パンツで明るい色のベストを持ってきた。
「なんかセバスさんみたいだな」
「コジローさんぽくないでしょ?」
「確かにパッと見わからんな」
ベイカーが頷くと
「それで…コジローさんどの服にする?」
「え…っと…」
ミヅキの期待に満ちた瞳にコジローはベイカーさんの選んだ服が一番地味でいいとはとても言えなかった…
感想 6,830
あなたにおすすめの小説
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜
由香過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。
初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。
溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)
星乃和花おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。
団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。
副団長「彼女のご飯は軍事物資です」
私「えっ重い」
胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!?
ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。
(完結済ー本編16話+後日談6話)
【完結】悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
本編完結済です。
もっちもっち感謝祭で、リクエストいただいたお話を更新しています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
表紙や動画にAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
一妻多夫の獣人世界でマッチングアプリします♡
具なっしー前世の記憶を持つソフィアは、綿菓子のような虹色の髪を持つオコジョ獣人の令嬢。
この世界では男女比が極端に偏っており、女性が複数の夫を持つ「一妻多夫制」が当たり前。でも、前世日本人だったソフィアには、一人の人を愛する感覚しかなくて……。
そんな私に、20人の父様たちは「施設(強制繁殖システム)送り」を避けるため、マッチングアプリを始めさせた。
最初は戸惑いながらも、出会った男性たちはみんな魅力的で、優しくて、一途で――。
■ 大人の余裕とちょっと意地悪な研究者
■ 不器用だけど一途な騎士
■ ぶっきらぼうだけど優しい元義賊
■ 完璧主義だけど私にだけ甘えん坊な商人
■ 超ピュアなジムインストラクター
■ コミュ力高めで超甘々なパティシエ
■ 私に一生懸命な天才年下魔法学者
気づけば7人全員と婚約していた!?
「私達はきっと良い家族になれます!」
これは、一人の少女と七人(…)の婚約者たちが、愛と絆を育んでいく、ちょっと甘くて笑える逆ハーレム・ラブコメディ。
という異世界×獣人×一妻多夫×マッチングアプリの、設定盛りだくさんな話。超ご都合主義なので苦手な人は注意!
※表紙はAIです
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。