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14章
閑話【アランさんのお留守番4】
アランはリリンを見下ろし、ガシッとその体を掴むと木に寄りかからせる。
「えっ…」
すると次はニーズヘッグの肉をしまえるだけ収納に入れると
「な、何してるの?」
リリンが自分よりニーズヘッグを優先した事が信じられないと声をかける。
「これを目当てに来たのに置いて行けるかよ!」
アランは残りのニーズヘッグを掴むと、男達をニーズヘッグの上にしっかりと括り付けた。
「まさか…こいつらも連れていくの?」
「こんな所に置いていけないだろ、一応パーティの仲間なんだから」
「仲間って…」
困惑するリリンを掴んで肩に担ぐと
「じゃあ行くぞ…全速力で行くからな。喋ってると舌なくなるぞ」
「えっ…」
そう言うとアランは町を目掛けて走り出した!
リリンはあまりのスピードにすぐさま意識を失った…
リリンは気がつくとギルドの医務室のベッドに寝かされていた…
「ここは…?」
周りを見ると…
「おや、目が覚めましたか?」
ニッコリと笑う副ギルマスのセバスと目が合った…
「わ、私…」
ハッ!と気が付き顔を触ると…
「まだ触らない方がいいですよ…酷い傷でしたから」
セバスが眉を下げてリリンを見つめると…
「こ、この傷…治りますよね!?」
リリンが焦ってセバスに聞く。
「申し訳ないですが…傷の進行を止めるのが精一杯でした。あれ以上遅かったら目を失明していたでしょうね」
「嘘…」
絶望的な言葉にリリンは顔を覆って泣き出す。涙が傷にしみると傷が嘘ではないと実感した…
「酷い…こんな傷…」
リリンが泣いていると
「可哀想に…でも顔の外傷も酷いですが、人を騙して心に負わせた傷だって治るのに時間がかかるものですよ…」
セバスの言葉にリリンが顔を上げると…
「あなたが騙していた人達の中には妻子が居る者もいました…愛していた人が変わって自分達を感情のない顔で見つめる事がどれだけ辛いことかわかりますか?」
「し、知らない…私は何も…」
リリンはセバスの視線にガタガタと震える。
「正気を取り戻した皆さんからはちゃんと証言を取りました。アランさんからも今事情を伺っているところです」
「ううぅ…酷い…」
「まぁ自業自得でしょう。心の汚れが顔にも出てしまっただけの事…これからはその傷を毎日見て考えを改めなさい…そうすれば傷も良くなるかも知れませんよ」
「うう…そんなわけないじゃない…」
リリンはベッドに泣き崩れた…
セバスはリリンの様子にそっと離れて部屋を出ると、アランが待つ部屋へと向かう。
「お待たせしました」
セバスがアランに声をかけると
「まったく、変な依頼持ってきやがって!」
アランがセバスを睨みつける。
「まぁまぁの結果に終わりました。あなたもたまには役にたちますね」
セバスが笑っていると…
トントン…
部屋を叩く音にセバスが声をかけると扉が開いてマルスが顔を出した。
アランに会っていた時とは違い穏やかな表情で部屋に入ってくると、後ろからは前にセバスと話していた女性が続く。
「あれ?」
アランが二人を交互に見ると…
「この度はあの女の魅了魔法の誘惑から助けていただきありがとうございました…そして、魔法とはいえ失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。それに関してはどんな罰でも受ける覚悟です」
マルスが頭を下げると
「この度は主人を救っていただきありがとうございます。アランさんへの失礼な態度の罪は私も一緒に償います」
二人で頭を下げると
「あー!あんたマルスの奥さんだったのか!」
アランは話を聞いていないのか…なるほどと二人を見た。
「この人の依頼だったんだな?」
アランはセバスを見ると
「はい、どうもいつも礼儀正しいマルスさんの様子がおかしいと思っていたら、奥方から相談を受けましてね…そこにちょうどアランさんへの依頼も来たのでこれはいいと思いまして…」
セバスがニヤリと笑う。
「言ってくれりゃいいのに」
アランが恨めしそうにセバスを睨むと
「そしたらあなた強引に魅了を解きますよね?それでは駄目ですからね…ちゃんとご自身の敗北を感じないと…」
セバスがおかしそうに笑うと
「本当にいい性格してるよ…」
アランが疲れたようにソファーに座り込むと…
「あの…」
マルスが声をかける。
「あっ?ああ大丈夫だ、お前らに罪は無いよ。さっさと帰ってイチャコラしろよ。久しぶりの再会なんだろ?」
アランがそんなのは見たくないとシッシッと手を振ると
「あっ…いえもう一度家で…」
マルスさんが馬鹿正直に答える。
「あ、あなた…」
奥さんが恥ずかしそうに顔を赤く染めてマルスの腕を引くと
「かぁー!そんなのよく独身男に見せつけるな!さっさと家に帰れ!」
アランの言葉に二人はもう一度お礼を言うと仲睦まじく寄り添って帰っていった…
「他の奴らも大丈夫だったのか?」
アランが聞くと
「ええ、問題無いです。皆さん彼女の元に帰って行きましたよ」
「はっ!?あいつら全員相手持ちかよ!」
アランがガタッと立ち上がりソファーを倒すと
「どうも人の物は良く見えるみたいですね…でももうそれどころではないでしょうから…」
「あいつの顔は戻らんのか?」
アランが顔を曇らせると
「そうですね…私には無理です」
セバスがすみませんと頭を下げると
「私には…って事はミヅキなら?」
「それはどうでしょう…それに彼女が犯した罪は大きいですからアレでちょうどいい罰となるでしょう…まぁその後の態度次第ではミヅキさんを紹介してもいいですが…」
「そうか…」
アランはほっとすると
「まぁこのニーズヘッグもあるしミヅキが帰ってきたら聞いてみるわ」
アランは嬉しそうにニーズヘッグの肉を叩くと
「セバスにも食わしてやるからな」
アランが笑って肉を見せる。
「そうですね…ミヅキさんが料理するならもらってあげてもいいですよ」
セバスの反応にアランはミヅキが帰ってくるのが待ち遠しいくて仕方なかった。
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