ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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14章

604.縄張り

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「お前ら遊んでばかりいないでちゃんと家を直せよ!」

「はーい」

獣人の子供達が元気に返事を返すがロバートは渋い顔をする。

「ありゃ働かないな…」

呆れると残る大人の獣人達に指示を出している。

「よし、じゃあ行くか…」

ロバートがミヅキ達に声をかけると

「行く前に言っておく事がある、いいか獣人達には縄張りがある!」

「あっ!知ってる!聞いたよ、縄張りは避けた方がいいんだよね?」

ミヅキが手を挙げて答える、ジュウトにしっかりと教わっていたからだ。

「知っててなんで俺達のところに来たんだ…」

ロバートが呆れると

「えっ!あそこ縄張りだったの?」

ミヅキは知らなかったとシルバを見ると

【シルバ、縄張りあったら避けるって言ったじゃん】

【それは強い獣人の縄張りだろ?そんなのこの国のどこにもないぞ?】

シルバはもう一度しっかりと気配を確かめるがやはりそんなところはないと頷く…

【それ…シルバ基準で考えてない?】

ミヅキがやっちゃったと頭を抱える。

「すみません…縄張り避けようと思ってたけど…ちょっと手違いが…次は避けます」

ミヅキはすみませんとロバートさんに謝った。

【シルバ次は私より強い獣人の縄張りは避けてね!】

【わかった】

シルバはしっかりと頷くが…

【ねぇ…ミヅキより強い獣人もいなくない?】

シンクがコソッとシルバに話しかける。

【まぁな、ミヅキは自分の強さをよくわかっていないみたいだな】

シルバが呆れると

【まぁ面倒になりそうなところは避けてやろう。それにあの獣人がいればとりあえずはギルドまでなら大丈夫だろ】

シンクとプルシア達はお互いに頷きあった。

あとは荷車の商人達は隠した方がいいと言うことなので荷物に見せる為に上から布を被せておいた。

ロバートさんの案内で町の中を歩いているがやはりまだ注目を浴びている。

あまりいい視線ではないのでロバートさんに声をかけた。

「ロバートさん…私達といて大丈夫?」

私達はいずれ帰るからいいがここに住んでいるロバートさんは変な噂が立たないか気になって聞いてみると

「大丈夫だ、何か言いたいやつには言わせておけばいい」

気にする様子もなくサクサクと進んでいく。

すると…

「おい!ロバート!なんだ?人間の奴隷でも連れてるのか?」

柄が悪そうな獣人達がロバートさんに話しかけてきた。

ベイカーとコジローはミヅキのそばに寄った。

「違う…この人達は俺の客人だ。手を出すって事は俺達に喧嘩を売るって事だからな…」

ロバートさんが獣人を睨みつけた。

「はっ?お前が人間の知り合いだと?頭でもイカれたか?」

獣人達が冗談だと笑い出す。

「俺はてっきりとうとうお前が人間の奴隷でも連れてるのかと思ったぜ!」

獣人達が近づいてきてベイカーさん達を取り囲む…

ベイカーとコジローは顔色一つ変えずにミヅキを背中に隠した。

「なんだ?嫌に大事そうにするじゃねぇか?」

獣人達が覗き込むと…

「グルル!」

シルバに乗るミヅキの周りにはシンクやプルシアコハクが当たり前のように取り囲んだ。

「な、なんかえらいの連れてんな…」

自分達を睨む魔獣の従魔達に獣人達がたじろぐと

「お前らが手に負える人達じゃねぇよ、手出すなよ…」

ロバートは獣人の胸をドンと押すと道を開けさせた。

「すまなかったな、縄張りでもないところで絡まれるとは…」

「大丈夫だよ、獣人が近づいてくれるのは大歓迎だから」

「はっ?」

ミヅキの答えにロバートが聞き返すと、ベイカーがそれを遮った。

「獣人達は血の気が多すぎないか?毎回こんなんなのか?」

「いや…やはり国王が変わってから治安が悪くなったな…こっちの獣人達の住む側には人間共は近づかない。だから尚更お前達が珍しいんだろ」

「えー!そうなの?もったいないなぁ」

ミヅキは感じる視線を無視して獣人達を眺める。

「お前はさっきから何を見てるんだ?」

ロバートがずっと気になっていたことを聞くと

「やめとけ」

ベイカーがロバートを止めた。

「聞いてもいい事ないぞ、知らない方がいい」

ベイカーが神妙な顔でロバートに警告する。

「そ、そんなすごい理由があるのか…」

ロバートはゴクリと唾を飲んだ…

「なによベイカーさん別に見たいから見てるだけだよ!触っても無いし誰にも迷惑かけてないよ」

ミヅキが抗議すると

「お前の考えは特殊なの!自覚しろ!」

コツンとミヅキの頭を軽く小突くと

「いたーい!」

ミヅキが頭を押さえた。

「ベイカーさん!ミヅキが可哀想ですよ」

コジローが心配してミヅキの頭を確認すると

「コジローさん痛い、たんこぶ出来てる?」

ミヅキが見てと頭を突き出すと

「大変だ…1ミリぐらい腫れてたんこぶになってる!」

コジローさんの顔色が変わると

「そ、そんなわけないだろ!凄く軽くやったぞ!……大丈夫だったか?」

ベイカーは心配になってミヅキの頭を撫でた…

「ふふ嘘だよーん!全然痛くなかったよ、いつものこめかみグリグリの方が痛いよね」

ミヅキが騙されたベイカーさんをクスクスと笑う。

「くぅ…こいつめ親を舐めやがって…」

周りのピリピリした雰囲気を感じていないのか、和気あいあいとしている三人にロバートはため息をついた。

「おたくらが気にしてないならいいんだけどな…獣人によっては問答無用で喧嘩を売ってくるやつもいる」

「ああ、ロバートさんみたいに?」

ミヅキが聞くと、コジローさんが横で吹いた!

「ミヅキ…それは言ってやるなよ」

ベイカーさんが苦笑する。

「もういいや…」

ロバートはこの変わった人間達の事を考えるのを放棄した。

唖然とする他の獣人達を無視してロバートは案内を続けた…



そして進んで行くうちにロバートは今この人間達を案内してきた事に後悔している…

相手の力量を測れずに喧嘩を売ったこと…高価な馬車を借りてしまった(無理やり)事で案内をかって出たが…最初から普通の人間達とは違うとは思っていたが…こうも違うとは…

ロバートは人間とは獣人を蔑み下に見るものしかいないと思っていた。

人の国から王子がきて奴隷制度を廃止して獣人達と共に歩き出したいと言い出した時は耳を疑った。

また上の人間の気ままなその時限りの戯言かと本気にしてはいなかった…

そんな時に国王がこの王子を暗殺しようとして捕まったと知らされる。

人間達に蔑まれようと最後まで戦った我らが王が退いた事で獣人の国は荒れていた…これもこの王子の罠なのではないかと…

少し収まっていた獣人の子供を誘拐する闇商人達がまた活発に動きだし…ピリピリしたところにやってきた空気を読まない人間達…

獣人達が絡んで声をかけるとそれを嬉しそうに受け答えする幼くみえる女の子…しかし言動から見た目よりは大きいのかもしれない。

それに翻弄される大人達…そしてその幼女を隙なく守る従魔…

ちょっかいを出す獣人達も思ってもいない反応に戸惑いながら何もせずに離れて行く…それの繰り返しだった。

「ミヅキ!いい加減にしろ!」

父親らしき男の堪忍袋の緒が切れた。

「なにが!?まだ何もしてない!触らせてって言ってるのに誰も触らしてくれないし!ベイカーさんがすぐ止めるし!私獣人の国に何しに来たの!」

ミヅキはシルバの上で項垂れる。

「俺たちはこいつらを突き出してちょっと飯食ったら帰るの!もう獣人をナンパするのはやめろ!」

「ナンパなんてしてない!ちょっと触ってもいいですか?ってお願いしてるだけだもん!」

「それがナンパなんだ!」

ミヅキとベイカーがおでことおでこを突き合わせて睨み合う!

「ま、まぁまぁ…二人とも落ち着いてくださいよ。ベイカーさんもミヅキはこういう子でしょ?諦めましょ」

コジローが笑って止めると

「そうだ!ミヅキこういうのはどうだ?ロバートさんに抱っこしてもらうってのは?」

コジローはいい事を思いついたと手を叩いた。

ロバートは嫌な予感に逃げ出したくなった…
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