文字の大きさ
大
中
小
463 / 639
14章
612.誓約書
「だが!俺と一緒にやるんだぞ!一人ではやらせん!」
ベイカーが言うと…
【ミヅキ、これって僕達じゃ出来ないの?】
シンクが話を聞いていて問いかけた。
【シンクが?うーん…どうだろ?ちょっと聞いてみるね】
「ロブさんこれってシンク達従魔でも大丈夫なんですか?」
「従魔が?誓約聖書を?」
「はい」
「いや駄目だろ…魔力を流し込む時に内容を確認しなきゃならん従魔にそれがわかるとは思えん」
「シンクなら大丈夫です、ちゃんと意思疎通出来るし頭いい子ですから」
ミヅキがシンクを自慢するように胸をはると
「ま、まじか?」
ロブさんはディムロスに確認した。
「ああ、そういやすごい魔力持ちがまだいたな…」
ディムロスが付いてきていたシンクを見た。
「確かにシンクの方が適任かもしれないな…」
ベイカーも頷くと
「じゃあ俺とミヅキとシンクでやろう、その方が負担も少なくてすむからな」
「了解!シンクもお願いね!」
【任せて!】
ベイカーとミヅキは誓約聖書に手を置くとシンクはその紙の上に脚を乗せる。
「いいか、魔力を流し込むと字が浮かび上がる、問題なければそのまま魔力を流して字が全て浮かべは成功だ」
「はい」
【わかった】
ミヅキとシンクが頷いた。
「良しやるぞ」
ベイカーさんの合図にミヅキは魔力を流し込むと…
キラキラと字が浮かび上がる!
凄い!
ミヅキは誓約書の内容を確認する…
『エリクサーに関しての秘密を漏らせば死が訪れる』
うー…やだな…
ミヅキは内容に顔を顰めた。
別に死ななくてもいいんじゃないのかなぁ…例えば罰ゲームとか…くすぐりの刑とか面白いかも…
そんなことを思っていると…目の前の文字が書き換えられる。
『エリクサーの秘密を漏らせばくすぐりの刑』
「「え?」」
【あれー?】
文字はそのまま全て浮かび上がりベイカー、ロブ、ディムロス、ロバートの胸に模様を刻んだ。
「ま、まて…なんか最後おかしかったぞ…」
ベイカーは自分の胸に付いた模様を見ると
「どうした?問題なく模様が刻まれたぞ。成功のはずだが?」
ロブが聞いてくる。
どうやらロブさん達には文字の内容が確認出来なかったようだ。
「な、なんでもない…これで誓約完了だ…みんな秘密を漏らすなよ…」
ベイカーは顔を背けながら言うと
「ああ、これで秘密を漏らせばこの模様が俺達の命を取るわけだ。だが漏らさなければなんて事は無いからな!」
ロブさんが笑うと
(漏らしてもくすぐりの刑だけだが…まぁわからなければ大丈夫だろう…まさか内容を変えるとは…)
ベイカーはじろっとミヅキを見ると…
ブンブン!
知らない!とばかりにミヅキが首を振っている。
「はぁ…」
(どうせ、こんな内容やだなぁ…とか、くすぐりの刑とかでいいのに…とか考えてたんだろうな…一番魔力が高いから上書きされたのかもしれん…)
ベイカーも魔力を使ってしまったのでもう一度は無理だった…そうなるとミヅキが一人でやるかシンクとやる事になる…そうなると内容もまた同じ結果になるだろう…
そう思いこの事は自分の胸に留めて置くことにした。
「よし!誓約をしたところで話の続きだ。ミヅキはあれが作れるんだな!」
「うん!」
ミヅキは頷くと
「あっでもレムに聞かないと無理かな」
外にいるレムを呼んで見るが、反応がない…
「あれ?レムから反応が無いよ?」
ミヅキがそういうと…
ドゴンッ!ドゴンッ!
扉に何かがぶつかる音がする…
「えっ、な、何?」
「ミヅキ!」
ベイカーさんはすぐにミヅキを抱き上げて扉から離れて警戒すると…他のもの達も壁際による。
「今ここは魔石の結界で守られている…普通の攻撃なら防ぐはずだ」
ロブさんが説明するが…破壊音はどんどんと大きくなり扉に亀裂が走った!
「おい、壊れそうなんだが?」
ディムロスが聞くと
「そんな馬鹿な…このギルドで一番大きな魔石だぞ!ドラゴンだって跳ね返すぞ!」
「ドラゴンを跳ね返す…ならそれ以上だと?」
ベイカーが心当たりに顔を曇らせた
「えっ…まさか…」
ミヅキは急いでシルバを呼んだ!
【シルバ!】
反応がない…
「ベイカーさんシルバの反応が無いよ」
「やっぱり…あいつミヅキと交信が出来なくなってここまで来たんだ!」
「シルバか!ベイカー魔石を急いで外せ!」
ディムロスが叫ぶ前にベイカーさんは動いていた!
壁に付けられた魔石を外すと…
ドガンッ!
扉が粉砕した…
【ミヅキ!】
破壊された扉の前にはシルバやプルシア…コハク達全員にコジローさんとアランさんもいる。
「大丈夫か!?」
「ミヅキ!無事か!?」
コジローさんが声をかけると…
「はい…全然大丈夫ですよぉ」
ミヅキは端の方から手を振った。
【ミヅキ!急に声が聞こえなくなったからびっくりした!】
シルバは駆け寄るとミヅキが無事か確認する。
その様子をプルシア達も見ていると
【大丈夫そうだな】
シルバがほっと息を吐いた。
【全然平気だよ、この部屋で秘密の会議してたの。内容が漏れないように魔石で結界を張ってたんだって、だからシルバ達の声も聞こえなくなっちゃったんだね】
【そうか…びっくりした、また攫われたのかと思ったぞ!】
シルバはもう離れたくないようでピッタリとミヅキに寄り添っていた。
【心配かけてごめんね、大丈夫だよ】
ミヅキは安心させるようにシルバ達を撫でた。
【それで何の話をしてたんだ?】
「ああ!そうだ!レム私がエリクサー作りたいんだけど!」
「「エリクサー!!」」
話を聞いていたアランとコジローが声をあげる!
「馬鹿…」
ベイカーが頭を抱える…
「やはりミヅキに名前を書かせなくて良かったわい…」
ディムロスじいちゃんがため息をついた。
ベイカーが言うと…
【ミヅキ、これって僕達じゃ出来ないの?】
シンクが話を聞いていて問いかけた。
【シンクが?うーん…どうだろ?ちょっと聞いてみるね】
「ロブさんこれってシンク達従魔でも大丈夫なんですか?」
「従魔が?誓約聖書を?」
「はい」
「いや駄目だろ…魔力を流し込む時に内容を確認しなきゃならん従魔にそれがわかるとは思えん」
「シンクなら大丈夫です、ちゃんと意思疎通出来るし頭いい子ですから」
ミヅキがシンクを自慢するように胸をはると
「ま、まじか?」
ロブさんはディムロスに確認した。
「ああ、そういやすごい魔力持ちがまだいたな…」
ディムロスが付いてきていたシンクを見た。
「確かにシンクの方が適任かもしれないな…」
ベイカーも頷くと
「じゃあ俺とミヅキとシンクでやろう、その方が負担も少なくてすむからな」
「了解!シンクもお願いね!」
【任せて!】
ベイカーとミヅキは誓約聖書に手を置くとシンクはその紙の上に脚を乗せる。
「いいか、魔力を流し込むと字が浮かび上がる、問題なければそのまま魔力を流して字が全て浮かべは成功だ」
「はい」
【わかった】
ミヅキとシンクが頷いた。
「良しやるぞ」
ベイカーさんの合図にミヅキは魔力を流し込むと…
キラキラと字が浮かび上がる!
凄い!
ミヅキは誓約書の内容を確認する…
『エリクサーに関しての秘密を漏らせば死が訪れる』
うー…やだな…
ミヅキは内容に顔を顰めた。
別に死ななくてもいいんじゃないのかなぁ…例えば罰ゲームとか…くすぐりの刑とか面白いかも…
そんなことを思っていると…目の前の文字が書き換えられる。
『エリクサーの秘密を漏らせばくすぐりの刑』
「「え?」」
【あれー?】
文字はそのまま全て浮かび上がりベイカー、ロブ、ディムロス、ロバートの胸に模様を刻んだ。
「ま、まて…なんか最後おかしかったぞ…」
ベイカーは自分の胸に付いた模様を見ると
「どうした?問題なく模様が刻まれたぞ。成功のはずだが?」
ロブが聞いてくる。
どうやらロブさん達には文字の内容が確認出来なかったようだ。
「な、なんでもない…これで誓約完了だ…みんな秘密を漏らすなよ…」
ベイカーは顔を背けながら言うと
「ああ、これで秘密を漏らせばこの模様が俺達の命を取るわけだ。だが漏らさなければなんて事は無いからな!」
ロブさんが笑うと
(漏らしてもくすぐりの刑だけだが…まぁわからなければ大丈夫だろう…まさか内容を変えるとは…)
ベイカーはじろっとミヅキを見ると…
ブンブン!
知らない!とばかりにミヅキが首を振っている。
「はぁ…」
(どうせ、こんな内容やだなぁ…とか、くすぐりの刑とかでいいのに…とか考えてたんだろうな…一番魔力が高いから上書きされたのかもしれん…)
ベイカーも魔力を使ってしまったのでもう一度は無理だった…そうなるとミヅキが一人でやるかシンクとやる事になる…そうなると内容もまた同じ結果になるだろう…
そう思いこの事は自分の胸に留めて置くことにした。
「よし!誓約をしたところで話の続きだ。ミヅキはあれが作れるんだな!」
「うん!」
ミヅキは頷くと
「あっでもレムに聞かないと無理かな」
外にいるレムを呼んで見るが、反応がない…
「あれ?レムから反応が無いよ?」
ミヅキがそういうと…
ドゴンッ!ドゴンッ!
扉に何かがぶつかる音がする…
「えっ、な、何?」
「ミヅキ!」
ベイカーさんはすぐにミヅキを抱き上げて扉から離れて警戒すると…他のもの達も壁際による。
「今ここは魔石の結界で守られている…普通の攻撃なら防ぐはずだ」
ロブさんが説明するが…破壊音はどんどんと大きくなり扉に亀裂が走った!
「おい、壊れそうなんだが?」
ディムロスが聞くと
「そんな馬鹿な…このギルドで一番大きな魔石だぞ!ドラゴンだって跳ね返すぞ!」
「ドラゴンを跳ね返す…ならそれ以上だと?」
ベイカーが心当たりに顔を曇らせた
「えっ…まさか…」
ミヅキは急いでシルバを呼んだ!
【シルバ!】
反応がない…
「ベイカーさんシルバの反応が無いよ」
「やっぱり…あいつミヅキと交信が出来なくなってここまで来たんだ!」
「シルバか!ベイカー魔石を急いで外せ!」
ディムロスが叫ぶ前にベイカーさんは動いていた!
壁に付けられた魔石を外すと…
ドガンッ!
扉が粉砕した…
【ミヅキ!】
破壊された扉の前にはシルバやプルシア…コハク達全員にコジローさんとアランさんもいる。
「大丈夫か!?」
「ミヅキ!無事か!?」
コジローさんが声をかけると…
「はい…全然大丈夫ですよぉ」
ミヅキは端の方から手を振った。
【ミヅキ!急に声が聞こえなくなったからびっくりした!】
シルバは駆け寄るとミヅキが無事か確認する。
その様子をプルシア達も見ていると
【大丈夫そうだな】
シルバがほっと息を吐いた。
【全然平気だよ、この部屋で秘密の会議してたの。内容が漏れないように魔石で結界を張ってたんだって、だからシルバ達の声も聞こえなくなっちゃったんだね】
【そうか…びっくりした、また攫われたのかと思ったぞ!】
シルバはもう離れたくないようでピッタリとミヅキに寄り添っていた。
【心配かけてごめんね、大丈夫だよ】
ミヅキは安心させるようにシルバ達を撫でた。
【それで何の話をしてたんだ?】
「ああ!そうだ!レム私がエリクサー作りたいんだけど!」
「「エリクサー!!」」
話を聞いていたアランとコジローが声をあげる!
「馬鹿…」
ベイカーが頭を抱える…
「やはりミヅキに名前を書かせなくて良かったわい…」
ディムロスじいちゃんがため息をついた。
感想 6,830
あなたにおすすめの小説
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜
由香過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。
初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。
溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)
星乃和花おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。
団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。
副団長「彼女のご飯は軍事物資です」
私「えっ重い」
胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!?
ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。
(完結済ー本編16話+後日談6話)
【完結】悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
本編完結済です。
もっちもっち感謝祭で、リクエストいただいたお話を更新しています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
表紙や動画にAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
一妻多夫の獣人世界でマッチングアプリします♡
具なっしー前世の記憶を持つソフィアは、綿菓子のような虹色の髪を持つオコジョ獣人の令嬢。
この世界では男女比が極端に偏っており、女性が複数の夫を持つ「一妻多夫制」が当たり前。でも、前世日本人だったソフィアには、一人の人を愛する感覚しかなくて……。
そんな私に、20人の父様たちは「施設(強制繁殖システム)送り」を避けるため、マッチングアプリを始めさせた。
最初は戸惑いながらも、出会った男性たちはみんな魅力的で、優しくて、一途で――。
■ 大人の余裕とちょっと意地悪な研究者
■ 不器用だけど一途な騎士
■ ぶっきらぼうだけど優しい元義賊
■ 完璧主義だけど私にだけ甘えん坊な商人
■ 超ピュアなジムインストラクター
■ コミュ力高めで超甘々なパティシエ
■ 私に一生懸命な天才年下魔法学者
気づけば7人全員と婚約していた!?
「私達はきっと良い家族になれます!」
これは、一人の少女と七人(…)の婚約者たちが、愛と絆を育んでいく、ちょっと甘くて笑える逆ハーレム・ラブコメディ。
という異世界×獣人×一妻多夫×マッチングアプリの、設定盛りだくさんな話。超ご都合主義なので苦手な人は注意!
※表紙はAIです
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。