ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字サイズ
特大
522 / 656
14章

654.愛情表現

アトラス様とヴィーラ様は撃ち合いながら徐々に大臣とベイカーさん達が争う方に移動していた。

「ヴィーラ…大丈夫なのか!?」

アトラス様が剣を合わせて押し合いながら近づいた時にそっと声をかけた。

「ええ、思い出してきたわ…あのハゲ!絶対に許さない…」

洗脳をされていた時よりも怖い瞳でギラリと睨みつけられる。

アトラスはゾクッと毛が逆立った。

「あなたもあなたよ…今まで何してたの?私が洗脳されてあのハゲ大臣に囚われてたのに、助けに来るの遅いんじゃない?私への気持ちはそんなものだったの?」

「い、いや!違う…お前の事は誰よりも…」

アトラスが慌てて否定すると…

「反省だけならハゲでも出来るのよ!」

ヴィーラは剣をドスッ!と地面に突き刺すとアトラスの腕をギュッと掴んだ、そしてその巨体をグルグルと振り回す!

「この国で暴れてんじゃ無いわよ!」

ヴィーラはアトラスをぶんぶん回して大臣目掛けて力の限りぶん投げた!

「ヴ、ヴィーラ~!」


「ええええぇぇぇ!!」

その光景に私は何が起きたのかと声をあげた!

アトラス様は凄い勢いでベイカーさんやアランさんをすり抜けて大臣目掛けて突っ込んできた!

「へっ…」

ガルバドゥス大臣は黒い魔石を使う暇もなく唖然としながらアトラス様の巨体を全身で受け止めた…

【ミヅキ!!】

私の叫び声に吹き飛ばされていたシルバが戻ってきた。

【あっシルバ!】

腫れた頬をみて思わずぷっと吹き出す。

【ミヅキ…酷いぞ…】

シルバがしゅんと項垂れる、どうも油断していたといえ女の人に吹き飛ばされたのが少しショックだったようだ。

【シルバが調子のっちゃったからだよ。まぁ私もシルバの事あんまり言えないけど…これからはお互い気をつけようね】

【ああ…】

耳を垂らして項垂れるシルバに苦笑しながらその頭を撫でてあげた。


「お父様!大丈夫ですか!」

「アトラス様!」

アルフレッド様やバイオレッド様が吹き飛ばされたのアトラス様を心配して駆けつけると…

ガラガラ…

粉々になった瓦礫の中からアトラス様が立ち上がった…そしてガルバドゥス大臣の少ししかない髪を掴んで引きずり出した。

動かないが死んではいないようだ、獣人の人達は頑丈みたい。

「アルフレッド!バイオレッド!」

するとアトラス様を投げたヴィーラ様が二人の子供を見つけて駆け寄ってきた!

「大丈夫だった!?怪我は無い?」

心配そうに二人の体に怪我がないか確認する。

「はい、こちらの方々が助けて下さいましたから」

「私も大丈夫です」

「よかった…本当にごめんなさい…こんなハゲに騙されるなんて…あなた!」

ヴィーラ様がアトラス様をキッ!見ると

「は、はい!」

アトラス様が急いでヴィーラ様の元に駆け寄った!

「あなたも大丈夫?」

少し心配そうにアトラス様の体を確認すると…大きな怪我も無い様子にほっとする。

「うん、あの程度で傷つくあなたじゃ無いものね。だから好きよ」

ヴィーラ様が頷くとアトラス様は嬉しそうに微笑んだ。

獣人の愛情表現…怖い!

「ウエスト国の皆様…この度は本当にありがとうございました…家族や国の皆が無事なのはあなた方のおかげです」

アトラス様が私達に頭を下げると、ヴィーラ様やバイオレッド様達が続く。

「い、いえ私達は…えっと…」

私はレオンハルト様を探すと…

「あれ!あの人がウエスト国の王子です!あっちにお礼を!」

「しかし…」

アトラス様が私達の方を見るがパチパチ!とウインクして誤魔化す。

「そ、そうか?まぁ彼らにも世話になったのは本当だからな…レオンハルト様、この度の協力、感謝致します。こんな場所ですが我ら獣人はウエスト国との協定を謹んで受けたいと思います」

「えっ…あ…うん。ありがとう…」

レオンハルトはあっさりと協定の約束をされて拍子抜けする。

「あなた、それは後でしっかりと文書にて、条約を結びましょう。それよりも今はこの男をどうするか…そして怪我人の手当てを…ウエスト国の皆様も一度王宮にて休んで下さい」

ヴィーラ様がニコッと微笑んと有無も言わさず王宮へと連れていかれた。


私達はシルバ達もいるので大きな広間に通される。

「私達ここにいるの変じゃない?」

レオンハルト王子とシリウスさん、ユリウスさんアルフノーヴァさんはわかる。

だって国から来てるんだもんね…それに飛び入りで入った私達は…

冒険者パーティに、ギルマス二人、それに獣人のロバートさんという異色の組み合わせ。

居心地が悪くて仕方ない。

「アルフノーヴァさん…私達はそろそろおいとましようかな…ねぇベイカーさん?」

私がアルフノーヴァさん達に声をかけると

「ミヅキ…もう行くのか?」

シリウスさんが耳を垂らして寂しそうな顔をする。

グッ…やめてその顔…帰れなくなる。

「そ、そもそも…ちょっと獣人の国を観光したら帰る予定だったんだよ。これ以上遅くなるとセバスさんにも怒られちゃうし…」

私がそう言うと…

「セバス!やばい…わし仕事の途中でここに来ちまった…あいつら心配…はしてねぇな」

ギルマスはギルドのみんなの顔を思い浮かべて無いなと椅子に座り直した。

「俺はじじいに巻き込まれたんだよなぁ…まぁミヅキ達と同じパーティだし問題ないが」

「そうだな、アランさんが居なくても町のみんなは困らねぇよ」

ベイカーさんが頷くと

「この野郎…しかし否定出来ん…」

アランさんが握った拳を力なく下ろした。

「何を言ってる!ここまでアトラス王を助けて来たのはお前達だろ!これは命令だ!俺達とここにいろ!そしてミヅキ!」

レオンハルト王子がこちらをじっと見つめる。

「な、なんでしょう…」

いつもとは違うキリッとした顔にたじろぐと…

「お前はここに座れ!」

自分の座っている横のソファーを指さした。

「はっ?」

見ると顔を背けているがうっすら耳が赤くなっている。

「レオンハルト様、そういう時は素直に隣に座って欲しいとお願いする方がよろしいかと…」

アルフノーヴァさんが助け舟を出した。

「そ、そうか…ミヅキ…久しぶりに会えて嬉しいんだ、隣に座ってくれないか?」

レオンハルト王子の伺うような顔に一瞬迷う!

見るとアルフノーヴァさんがよく出来ましたとばかりにニコニコと笑っていた。

ベイカーさんの方を振り返ると嫌そうな顔で見ている。

どうしよう…

私は何が正解?とオロオロとみんなを見つめた。





感想 6,830

あなたにおすすめの小説

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します 表紙

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します

「子供っぽい嫉妬はやめろ」私が命懸けで出産した日、夫のヴィンセント侯爵は初恋の人の所へ行ってしまった。理由を説明して欲しいと言うと、子供っぽい嫉妬をやめろと厳しい声で言われてしまう。しかも初恋の相手がいきなりやってきて「侯爵様は昔から私を命懸けで助けてくれるんです」と悪びれもせずに言い放った。妻よりも初恋相手を優先する夫は必要ないので私は夫を初恋相手へ返品した。すると生まれてから一度も人に頭を下げたことのないヴィンセントが、ボロボロになって私に頭を下げてきて⋯⋯。
恋愛 連載中 長編
文字数:94,149
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜 表紙

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
恋愛 完結 短編
文字数:20,369
転生先で冒険者専門のお弁当屋さん始めます〜助けてくれた冒険者兄弟にお礼をしたかっただけなのに、大繁盛してしまいました〜 表紙

転生先で冒険者専門のお弁当屋さん始めます〜助けてくれた冒険者兄弟にお礼をしたかっただけなのに、大繁盛してしまいました〜

保育士として働いていた莉子は、ある日の仕事中に暴走してくる車から子どもたちを守り、死んでしまう。 しかし、目が覚めるとそこは深い森の中。 ここはどこだろうと彷徨い歩いているうちに狼のような獣に襲われかけたものの、間一髪のところで冒険者の兄弟、ベクターとゼノに助けてもらった。 家族が宿屋をやっているから、と行くあてもない莉子を拾ってくれた二人。 やってきたのは、リーベル王国の国境付近にある街、ベルン伯爵領。 そこにある人気の宿屋に身を置くことになった莉子は、様々な事情を知りながら身を寄せることへのお礼のため、ベクターとゼノにお弁当を作ろうと決意して──?
ファンタジー 連載中 長編
文字数:124,638
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか? 表紙

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ファンタジー 完結 長編
文字数:148,101
『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜 表紙

『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜

元・社畜SE、今世は国宝級の赤ん坊!? 最強の父様とお兄様が過保護すぎて、一歩歩くだけで国が揺れちゃいます!
ファンタジー 完結 長編
文字数:187,096
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした 表紙

捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした

神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。 辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。 けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。 これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
ファンタジー 完結 短編
文字数:36,970
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません 表紙

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
恋愛 完結 短編
文字数:14,447
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました 表紙

初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました

夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。 彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。 けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。 セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。 夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
恋愛 完結 短編
文字数:12,593