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14章
662.毒味
私がローストビーフを切るのにこちらにかかりっきりになっている頃…残してきたシルバ達は…
◆
「あーたまらん…こんな腹が減ってるところ…美味そうな匂いをしてるのに食べられないなんて…」
アランが文句を言いながらもひたすらフライパンを振りながら肉を炒めていた。
「アランさん、代わろうか?」
ブツブツ文句を言うアランにロバートが手を差し出して木ベラを受け取る。
助かるとアランは交代すると、ロバートが手際良く肉を炒めだした。
辺りに肉の焼ける香ばしい匂いが漂うと…
「はい!炒め終わったぞー」
大きな皿に炒めた肉を移すとフライパンを軽く洗って次の肉を炒め出す。
アランはそーっと皿を移動させると…チラッとロバートやベイカーの様子を伺う。
二人とも炒めるのに集中してこちらには目を向けていなかった。
アランはその隙に少しだけ…と肉を摘もうとすると…
「グル!」
すぐ後ろに気配を完全に消したシルバが立っていた。
「あっ!ち、違うんだよ!これは…ほら毒味だ毒味!シルバだってミヅキがこれ食べてお腹でも痛くなったら嫌だろ?そうならない為に少しだけ食べて確認しようとだな…」
バツが悪そうな顔をして早口でまくし立てる。
「グル…」
するとシルバが何やら思案顔を見せた、どうやらシルバも肉汁滴る美味そうな肉を見てミヅキとの約束に気持ちが揺れているようだった。
これは!
アランはそっとシルバにすり寄った。
「どうだ?この肉をもう少しだけ二人で味見しようぜ」
シルバがアランを睨む。
「違う!違う!毒味だ」
シルバがアランの顔をじっと見つめて眉をひそめる。
「いや…別にシルバが嫌ならいいけど…でもこの肉今熱々だぜ、今食べないでいつ食べるんだよ!」
どうだ?
シルバに一緒に食おうと持ちかけ…そっと見上げる。
「アランさん!何してるんだ?」
肉を炒め終え大皿に移そうと振り返ったベイカーとロバートが訝しげな顔で二人を見つめていた。
「い、いや…別に…」
アランはサッと顔を逸らすと
「ほら、早く炒めちまおうぜ!あと数回で終わりそうだからそしたらこの肉を思う存分食うんだ俺は!」
「いや…ベイカー、その前に少しだけ食べてみたくないか?お前まだ一口も食べてないだろ?やっぱり出来たては違うと思うぞ」
アランが悪そうな顔でニヤリと笑う。
「だから早く終わらせるんだろ」
「馬鹿だなぁ…見ろよ今炒めたのでいくつあると思う?一つくらいなくなってもバレねぇよ…」
「一つ…アランさんまさかこの一皿食う気だったのか?」
「あ?何?ベイカーは食えねぇの?大したことねぇな」
あははと笑われるとベイカーがカチンときた。
「食えるに決まってるだろ!」
「ガルル!」
シルバも楽勝だとばかりに唸ると…
「なら勝負だ!」
「受けて立つ!」
「ガルっ!」
三人でせっかく炒めた皿の前に並んだ…
「え?ちょ、ちょっと待ってくれ!お前ら何しようとしてんだ?」
ロバートさんが不穏な空気の三人を宥めるように声をかけると…
「ちょうどいい、ロバート開始の合図を頼む」
「開始?何言ってる、やめとけよ」
しかし三人は譲る気はないと睨み合っていた。
「マジか?こいつら…」
ロバートはどうしようかと後ずさりすると…
ガシャン!
ちょうど置いてあった木ベラにつまづいて音を立ててしまった!
「今だ!」
その音を合図と思い三人は一気に食べだした!
「あっ、ああ…」
ミヅキにつまみ食いをしないように見ておいてくれと言われたが…
「あれはもうつまみ食いの域を超えてるな…」
もう知らんとロバートは三人はほっといて他の手の空いた獣人に声をかけると頼まれた肉を炒めることにした。
「ぼくもてつだうー」
するとコハクが人型になって手伝うと木ベラを持ってきた。
「おっ、コハク…だったよな。お前は偉いな!」
獣人に似た狐の子供の姿に親近感がわいて思わず頭を撫でてしまった。
「ミヅキのてつだいしないと…シルバおじちゃんもうがまんできないっていってたからおじちゃんのぶんまでがんばるー」
小さな体に似合わずに力はあるようで器用に木ベラを動かしていた。
用意された肉を全て炒め終えてフライパンの中の肉を皿に盛ると…
「おっ、ちょっと端に余ったのがあるな…」
フライパンの中に少しだけ肉が残っていた。
「これはもったいないから手伝ったコハクにやろう」
ロバートは肉を木ベラですくうとコハク口元に持っていく。
「たべていいの?ミヅキおこらない?」
心配そうにしながらも肉も気になるようでチラチラと確認していた。
「ああ、これは大丈夫だ。それに俺が黙ってるから問題ない、ほら食べてみな。いらないなら俺が食っちまうぞ~」
肉を食べるふりをするとコハクがアワアワと慌てている。
「あっ、あぁ…」
その姿が可愛くて思わず吹き出した。
「悪い、冗談だよ、ほら食いな」
口元に肉を持っていくとパクっと急いで食べだした。
また取られたら大変だとでも思ったのだろう。
「うま、うま!」
グゥ~
美味しそうに食べる姿に腹が鳴ってしまう。
「ん?おじさんもおなかすいた?」
コハクが肉を食べた事を申し訳なさそうに伺っている。
「大丈夫だ、それにもうすぐ…」
食事になるだろう…と声を出そうとすると何やらギルドの方が騒がしくなった。
「ん?何かあったか!コハクはここにいるか?」
「んー…ぼくもいく!」
コハクはピョンッ!とジャンプしてロバートの肩に飛び乗った!
ロバートはコハクを肩車しながら騒ぎがしい方に向かった。
「あーあれ!」
コハクが上から指をさしている。
「何が見える?」
「おうさまー」
「はっ?」
獣人達の人をかき分けて慌てて向かうと、そこにはここの国の王様御一行がいた。
「お!ロバート!」
アトラス様がこちらに気がついて声をかけてきた。
「アトラス様…そんなに堂々と…」
「ん?一応着替えて来たぞ?」
見れば確かに昔の冒険者のような装いで来ていた…隣のヴィーラ様もドレスを脱いでパンツスタイルの冒険者のような装いだ。
「さっきから美味しそうな香りがしてるわね」
それよりも食事が気になるのかチラチラと周りを伺っている。
「まぁまぁヴィーラ落ち着いて、その前にみんなに挨拶しないと、今回は私達の事で心配かけたからね」
アトラス様がヴィーラ様を宥めている。
「でもお父様!この匂い…あっちからしますよ!あっちにミヅキもいるんじゃないかしら?先にミヅキにあった方が…」
バイオレッド様が我慢できないそうにソワソワしだした。
「姉さん、ミヅキならあそこにいるよ…」
一番まともそうなアルフレッド様が苦笑して指さす…そちらを見ると確かにミヅキがこちらに向かってきていた。
「アトラス様達お待たせしました!」
誰かが来ていることを教えたのだろう、笑顔で近づいてくるミヅキにヴィーラ様がつかつかと近づく!
「お、おい、ヴィーラ?」
アトラス様が心配そうに声をかけるが、それを無視してヴィーラ様はミヅキのそばに行ってじっと見下ろす。
「私…あなたとどうしても話したかったのよね…」
切れ長の美しい瞳でミヅキを見つめていた。
◆
「あーたまらん…こんな腹が減ってるところ…美味そうな匂いをしてるのに食べられないなんて…」
アランが文句を言いながらもひたすらフライパンを振りながら肉を炒めていた。
「アランさん、代わろうか?」
ブツブツ文句を言うアランにロバートが手を差し出して木ベラを受け取る。
助かるとアランは交代すると、ロバートが手際良く肉を炒めだした。
辺りに肉の焼ける香ばしい匂いが漂うと…
「はい!炒め終わったぞー」
大きな皿に炒めた肉を移すとフライパンを軽く洗って次の肉を炒め出す。
アランはそーっと皿を移動させると…チラッとロバートやベイカーの様子を伺う。
二人とも炒めるのに集中してこちらには目を向けていなかった。
アランはその隙に少しだけ…と肉を摘もうとすると…
「グル!」
すぐ後ろに気配を完全に消したシルバが立っていた。
「あっ!ち、違うんだよ!これは…ほら毒味だ毒味!シルバだってミヅキがこれ食べてお腹でも痛くなったら嫌だろ?そうならない為に少しだけ食べて確認しようとだな…」
バツが悪そうな顔をして早口でまくし立てる。
「グル…」
するとシルバが何やら思案顔を見せた、どうやらシルバも肉汁滴る美味そうな肉を見てミヅキとの約束に気持ちが揺れているようだった。
これは!
アランはそっとシルバにすり寄った。
「どうだ?この肉をもう少しだけ二人で味見しようぜ」
シルバがアランを睨む。
「違う!違う!毒味だ」
シルバがアランの顔をじっと見つめて眉をひそめる。
「いや…別にシルバが嫌ならいいけど…でもこの肉今熱々だぜ、今食べないでいつ食べるんだよ!」
どうだ?
シルバに一緒に食おうと持ちかけ…そっと見上げる。
「アランさん!何してるんだ?」
肉を炒め終え大皿に移そうと振り返ったベイカーとロバートが訝しげな顔で二人を見つめていた。
「い、いや…別に…」
アランはサッと顔を逸らすと
「ほら、早く炒めちまおうぜ!あと数回で終わりそうだからそしたらこの肉を思う存分食うんだ俺は!」
「いや…ベイカー、その前に少しだけ食べてみたくないか?お前まだ一口も食べてないだろ?やっぱり出来たては違うと思うぞ」
アランが悪そうな顔でニヤリと笑う。
「だから早く終わらせるんだろ」
「馬鹿だなぁ…見ろよ今炒めたのでいくつあると思う?一つくらいなくなってもバレねぇよ…」
「一つ…アランさんまさかこの一皿食う気だったのか?」
「あ?何?ベイカーは食えねぇの?大したことねぇな」
あははと笑われるとベイカーがカチンときた。
「食えるに決まってるだろ!」
「ガルル!」
シルバも楽勝だとばかりに唸ると…
「なら勝負だ!」
「受けて立つ!」
「ガルっ!」
三人でせっかく炒めた皿の前に並んだ…
「え?ちょ、ちょっと待ってくれ!お前ら何しようとしてんだ?」
ロバートさんが不穏な空気の三人を宥めるように声をかけると…
「ちょうどいい、ロバート開始の合図を頼む」
「開始?何言ってる、やめとけよ」
しかし三人は譲る気はないと睨み合っていた。
「マジか?こいつら…」
ロバートはどうしようかと後ずさりすると…
ガシャン!
ちょうど置いてあった木ベラにつまづいて音を立ててしまった!
「今だ!」
その音を合図と思い三人は一気に食べだした!
「あっ、ああ…」
ミヅキにつまみ食いをしないように見ておいてくれと言われたが…
「あれはもうつまみ食いの域を超えてるな…」
もう知らんとロバートは三人はほっといて他の手の空いた獣人に声をかけると頼まれた肉を炒めることにした。
「ぼくもてつだうー」
するとコハクが人型になって手伝うと木ベラを持ってきた。
「おっ、コハク…だったよな。お前は偉いな!」
獣人に似た狐の子供の姿に親近感がわいて思わず頭を撫でてしまった。
「ミヅキのてつだいしないと…シルバおじちゃんもうがまんできないっていってたからおじちゃんのぶんまでがんばるー」
小さな体に似合わずに力はあるようで器用に木ベラを動かしていた。
用意された肉を全て炒め終えてフライパンの中の肉を皿に盛ると…
「おっ、ちょっと端に余ったのがあるな…」
フライパンの中に少しだけ肉が残っていた。
「これはもったいないから手伝ったコハクにやろう」
ロバートは肉を木ベラですくうとコハク口元に持っていく。
「たべていいの?ミヅキおこらない?」
心配そうにしながらも肉も気になるようでチラチラと確認していた。
「ああ、これは大丈夫だ。それに俺が黙ってるから問題ない、ほら食べてみな。いらないなら俺が食っちまうぞ~」
肉を食べるふりをするとコハクがアワアワと慌てている。
「あっ、あぁ…」
その姿が可愛くて思わず吹き出した。
「悪い、冗談だよ、ほら食いな」
口元に肉を持っていくとパクっと急いで食べだした。
また取られたら大変だとでも思ったのだろう。
「うま、うま!」
グゥ~
美味しそうに食べる姿に腹が鳴ってしまう。
「ん?おじさんもおなかすいた?」
コハクが肉を食べた事を申し訳なさそうに伺っている。
「大丈夫だ、それにもうすぐ…」
食事になるだろう…と声を出そうとすると何やらギルドの方が騒がしくなった。
「ん?何かあったか!コハクはここにいるか?」
「んー…ぼくもいく!」
コハクはピョンッ!とジャンプしてロバートの肩に飛び乗った!
ロバートはコハクを肩車しながら騒ぎがしい方に向かった。
「あーあれ!」
コハクが上から指をさしている。
「何が見える?」
「おうさまー」
「はっ?」
獣人達の人をかき分けて慌てて向かうと、そこにはここの国の王様御一行がいた。
「お!ロバート!」
アトラス様がこちらに気がついて声をかけてきた。
「アトラス様…そんなに堂々と…」
「ん?一応着替えて来たぞ?」
見れば確かに昔の冒険者のような装いで来ていた…隣のヴィーラ様もドレスを脱いでパンツスタイルの冒険者のような装いだ。
「さっきから美味しそうな香りがしてるわね」
それよりも食事が気になるのかチラチラと周りを伺っている。
「まぁまぁヴィーラ落ち着いて、その前にみんなに挨拶しないと、今回は私達の事で心配かけたからね」
アトラス様がヴィーラ様を宥めている。
「でもお父様!この匂い…あっちからしますよ!あっちにミヅキもいるんじゃないかしら?先にミヅキにあった方が…」
バイオレッド様が我慢できないそうにソワソワしだした。
「姉さん、ミヅキならあそこにいるよ…」
一番まともそうなアルフレッド様が苦笑して指さす…そちらを見ると確かにミヅキがこちらに向かってきていた。
「アトラス様達お待たせしました!」
誰かが来ていることを教えたのだろう、笑顔で近づいてくるミヅキにヴィーラ様がつかつかと近づく!
「お、おい、ヴィーラ?」
アトラス様が心配そうに声をかけるが、それを無視してヴィーラ様はミヅキのそばに行ってじっと見下ろす。
「私…あなたとどうしても話したかったのよね…」
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