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番外編【ネタバレ注意】
番外編 途中
「いってきまーす!」
私はベイカーさんに声をかけてシルバ達とギルドに向かうべく家を出た!
「気をつけろよ!帰りは迎えに行くからギルドで待ってるんだぞ」
ベイカーさんの過保護発動!
私は苦笑して「はーい」と返事をしてシルバに乗った。
【今日はなんの依頼を受けるの?】
シンクが定位置の肩の上に止まりながら声をかけてくる。
【今日はギルドの低ランク向けの大きな仕事があるんだって!ベイカーさんもそれならいいって言ってくれたんだ】
【低ランクか…俺達の出番は無さそうだな】
シルバがガッカリしているのでヨシヨシと頭を撫でて慰めておいた。
ギルドに着くと私と同じようなD、E級の冒険者達が外に集まっていた。
見てみるとみんな小さい…大体が子供のようだ。
って私も子供だが…しかもこの中では一番小さいかもしれない…
さすがに大きなフェンリルの従魔は珍しいのか視線が集まる…居心地悪く端っこで待っている事にした。
するとギルドからギルマスのディムロスじいちゃんとセバスさんが出てきた。
「集まっとるかー!」
お腹に響く大きな声で冒険者達に声をかけるとみんなが慌ててじいちゃんの元に集まった!
私もシルバから降りてそこに近づくと…
「こんなチビもいるのかよ…」
ボソッとつぶやきが聞こえる。
チビ?
私はキョロキョロと周りを見るが私より小さい子はいない…
「なにキョロキョロしてんだ、お前だよ!お前!」
声の方を見るとムチムチのボディーの男の子がこちらを見ていた。
「ああ、私に言ったんだ」
私から見ればあなたもチビの部類だが…まぁそんな事は決して口にしないけど…
気にするほどでも無いので無視してじいちゃんの話に耳を傾ける。
「今日はD級以下の新人冒険者達に経験を積んで貰うべく依頼を受けてもらう!ここから西の方に向かった所に川がある!この時期その川にオータムサーモンの群れがやってくる。奴らは卵を産みに来るからそれを捕まえて欲しい」
「なんだ、あの魚かよーあんなの子供のお使いにもなんねぇ」
私にチビと言った男の子が大声で文句を言った。
「ボルブくん、オータムサーモンは魚と言えど魔物です。油断すれば怪我ではすみませんよ」
セバスさんが笑って注意するがムチムチボディの男の子はヘラヘラとしている。
こ、この子は馬鹿か!セバスさんがまだ優しく注意してくれてるうちに謝ればいいものを…
私は関わりたくないと目を合わせない様に下を向いていると
「そんなのはこんなチビに任せておけばいいんじゃないですかー?」
そう言って私を指さした…
「チビ…」
じいちゃんとセバスさんの視線が私の方にきた…チラッと顔をあげるとバッチリじいちゃん達と目が合うとヘラッと笑って手を振って誤魔化した。
「ボルブくん…あなたランクは何でしたかね?」
セバスさんが聞く…少し眉が上がった気がする。
「俺はDです!この前D級になりました!」
自慢するようにふんぞりかえるとおおっ!と周りから歓声があがる!
えっ…Dだよ?私も確かこの前Dになった気がする…チラッとセバスさんを見ると目があってニコリと微笑まれた。
「そこの可愛い女の子もD級ですよ」
「えっ!このチビが!?」
ボルブを始め近くにいた子達が驚いた顔でこっちを見た。
「ランクや強さは見た目だけでは判断してはいけません。まして魔物を舐めてかかると痛い目をみますよ…みなさんもよく覚えておくように…」
セバスさんのピリッとした空気に冒険者達の顔が引き締まる。
「まぁセバス、子供相手にそこまで怒るな。みんなももうわかったな!」
「はい…」
「はーい」
新人冒険者達は各々コクリと頷いた…
「では今から皆さんには川に移動して貰います。今日はあなた達を指導してくださった講師役だった冒険者の皆さんが付き添って下さいますが手は貸しません。しっかりと自分達で仕事をこなすように」
『はい!』
講師の冒険者って…私は期待を込めて周りを探す。
「ミヅキ」
後ろから探していた人の声がした!
「コジローさん!」
顔を輝かせて振り返ると笑顔のコジローさんがいた!
私は駆け寄って抱きつくと
「コジローさんが付き添いなんですね!嬉しい!」
「ああ、ミヅキの講師役だったからな。でも手は出せないから気をつけるんだぞ」
「うん!」
私が笑顔で頷くと…
「うわっ…チビの講師ってあの暗い人かよ…」
またあの男の子の声がする…ってかなんて?コジローさんを暗い人?
私はそれは許せんとギロっと睨みつけた!
「な、なんだよ…」
ムチムチの男の子…なんってたっけ?
「確か…ボムボムくんだっけ?コジローさんは凄い人なの!しかも笑顔なんか凄い素敵だし、かっこいいし!暗いって言ったの訂正してくれる!」
私がグイッと詰め寄ると
「ボ、ボムボム…お、俺はボルブだ!」
「そうそう、ボルム」
「ボルブ!」
ボルブが息を荒らげると
「まぁまぁミヅキ、俺は気にしないから大丈夫だ。それにミヅキがそんな風に思ってくれてるとは…」
嬉しそうな顔をして微笑むと周りにいた女の子達から声があがる!
「わぁ…かっこいい…」
「落ち着いてて素敵だね!」
コソコソとコジローさんを見て頬を赤らめている。
でしょ!でしょ!
私は自分が褒められたように気分が良くなる。
「ほら、ミヅキさんもそろそろ向かってください…」
セバスさんがなかなか動き出さないこちらに歩いてきた。
するといつの間にかボムボムがいなくなっている。あれ?ボヨボヨだったか?
まぁいっか。
「すみません今、移動しますね!」
私がコジローさんと行こうとするとちょいちょいと手招きされる。
なんだ?
私はセバスさんに近づくと…
「今日はランクの低い新人冒険者しかいませんからシルバさんとシンクさんをつかうのは注意してください。それと…怪我をしないよう気をつけてくださいね」
心配そうに笑って頭を撫でられる。
ああ…私は納得した顔を見せるとコクっと頷いた。
セバスさんと笑顔で別れるとシルバのそばに行っていたコジローさんのところに走っていった。
「セバスさんなんだって?」
コジローさんに聞かれて注意された事を話す。
「シルバ達は可愛いからね!あんまり自慢しちゃうと羨ましいがられるからだね!」
私が自信満々に答えるとコジローさんがポカーンとしている。
「えっ…セバスさんがそう言ったのか?」
「言ってませんがあの目はそう言ってました」
「そ、そうかなぁ…」
コジローさんは首を傾げていた。
【大丈夫だコジローわかってるぞ】
そんなコジローさんにシルバが声をかける。
【さ、さすがシルバさん!頼りになります】
シルバは得意げに頷くと
【何がわかってるの?】
私はシルバに乗りながら聞いてみた。
【あれだろ?魚の魔物を俺達が取りすぎるなって事だろ?大丈夫だちゃんと少しは分けてやるから】
「えっ…」
シルバの言葉にコジローさんは立ち尽くした。
「いや…多分シルバさん達の力を見せつけすぎるな…って事だと思うんだけどなぁ…」
コジローさんが何か呟いたがよく聞こえなかった。
私達は言われいた川に着くともう既に何人か冒険者が来てオータムサーモンを取ろうと川に浸かっていた。
「さ、寒い…」
ブルブル震える手で川に手を突っ込んで手づかみしようとしている。
するとそれを嘲笑うかの様にオータムサーモンが川の中でジャンプをすると冒険者達に体当たりしていた。
ドスッ!
「いた!」
鈍い音をたてて魔物は勢いよく体当たりをすると川に飛び込む!
新人冒険者達は魚の魔物に翻弄されていた。
「あれが魔物?鮭みたい」
私はシルバの上から川を眺めた。
【どうする?川を燃やして水ごと蒸発させる?】
シンクの言葉にぎょっとする。
【だ、だめだよ!他の子達がいるし怪我させちゃうよ】
【えー!面倒だなぁ~みんな退かしちゃう?】
シンクが面倒くさそうにしているので二人には休んで貰うことにした…もしかしてセバスさんが言ってたのはこういうことか?
私はみんなと同じように靴を脱いで川に入った!
冷たい川に手を入れて手探りでオータムサーモンを探す!
すると手にヌルッとした感触が!すかさずぎゅっと掴んで引き上げる!
「取れた!」
手の中で暴れるサーモンを川岸に投げた、砂利の上でピチピチと跳ねていると…
「おお!いいもんが落ちてる!」
ボムボムくんが私が投げ捨てたオータムサーモンを拾った。
「あっ!それ私がとったんだよ!」
私が返してもらおうと声をかけると
「落ちてるもんを拾ったんだ。お前のならちゃんと持っとけよ」
そう言って笑うと持ってた籠にサーモンを入れてしまった。
「くそー」
見るとボムボムは同じような事をしながら他の子達からもサーモンを奪っていた。
【ミヅキ…焼豚にする?】
シンクが頭の上にちょこんと乗った。
【大丈夫…あんな焼豚美味しくないよ!シンクのお腹が壊れちゃう】
私はプンプンと怒っると川の流れを見つめた。
【文句言えないようにすぐに取ったら収納にしまってやる!】
私はまた冷たい川に手を突っ込んだ!
「うー…寒い」
何匹かサーモンを収納に仕舞うとちょっと休憩と川から上がった。
【大丈夫か?】
上がるとすぐにシルバが体を温めてくれる…濡れてる私をクルッとだき抱えた。
【シルバ…温かい…ありがとう~でもシルバが濡れちゃうよ】
【このくらい大丈夫だ。ミヅキは少し休んでろここからは俺が捕ってやる。ミヅキのを見てコツがわかったぞ】
シルバに変わって今度はシンクが足と手を温めてくれた。
シルバが水の中に入るとじっと川の流れを見ている…その様子を見ているとそっと前足をあげた。
バシッ!
少し水面が跳ねた…と思ったらピッチピチ!サーモンが目の前で三匹跳ねていた…
「えっ…」
唖然として目の前で跳ねるサーモンを見つめる。
【ミヅキ早くしまえ】
シルバからの声にやっとはっとして急いでしまった。
【シ、シルバの動き全然見えなかった…】
シルバはほとんど動かずに何匹も私の目の前にサーモンを捕まえては投げた。
【シルバもういいよ~十分だよ!】
【もういいのか?】
【うん!こんなに捕ったら他の人の分無くなっちゃうよ】
見るとまだ取れない子達が羨ましそうにこちらを見ていた。
「あっ!そうだ…」
【シルバちょっと私、木の枝拾ってくるね!】
シルバに声をかけて焚き木に使えそうな枝を拾うと戻ってシンクに火をつけてもらい焚き木にする。
「よかったら一緒にあったまらない?」
川の水に寒そうにしていた冒険者達に声をかけた。
「いいの?」
「うん!その代わり枝を何本か持ってきてくれる?」
新人冒険者の子達は頷くと枝を拾いに行った。
その間に私はシルバがとってくれたサーモンに塩をふって枝に刺して焚き木の火で焼き出した。
サーモンを焼くと油が出てきてピチピチと音をたて美味しそうな匂いがしてきた。
冒険者の子達が戻ってくると…
「みんなもサーモンを刺して焼く?」
聞いてみるが首を振る…
「あんまりとれてないから…食べちゃったら仕事の分が無くなっちゃう…」
残念そうにしていると…
バシャ!
サーモンが目の前に落っこちてきた。
シルバが一瞬でとってくれたのだ!
「私達はいっぱいとったからこれはあげるよ!仕事の分はこれを食べて元気出たら自分達で頑張って!」
「いいの?」
「いらないならいいよ、私が食べちゃうから…あーん!んー!油が乗ってて美味しい!」
皮がパリッと焼けて身はふっくら!
【ミヅキ!俺にも一つ!】
いつの間にか後ろにいたシルバがブンブンと尻尾を振って待てをする。
いい感じに焼けたサーモンを三匹大きな葉っぱの上に乗せて串をとってあげるとほぼ一口で食べきった。
【シンクもどうぞ】
シンクには少しほぐしてあげて用意すると美味しそうにつついている。
シルバとシンクの美味しそうに食べる姿に冒険者達のお腹がなった。
「みんなもどうぞ」
最初は躊躇していたみんなも1人が手に取ると次々に食べだした。
私はベイカーさんに声をかけてシルバ達とギルドに向かうべく家を出た!
「気をつけろよ!帰りは迎えに行くからギルドで待ってるんだぞ」
ベイカーさんの過保護発動!
私は苦笑して「はーい」と返事をしてシルバに乗った。
【今日はなんの依頼を受けるの?】
シンクが定位置の肩の上に止まりながら声をかけてくる。
【今日はギルドの低ランク向けの大きな仕事があるんだって!ベイカーさんもそれならいいって言ってくれたんだ】
【低ランクか…俺達の出番は無さそうだな】
シルバがガッカリしているのでヨシヨシと頭を撫でて慰めておいた。
ギルドに着くと私と同じようなD、E級の冒険者達が外に集まっていた。
見てみるとみんな小さい…大体が子供のようだ。
って私も子供だが…しかもこの中では一番小さいかもしれない…
さすがに大きなフェンリルの従魔は珍しいのか視線が集まる…居心地悪く端っこで待っている事にした。
するとギルドからギルマスのディムロスじいちゃんとセバスさんが出てきた。
「集まっとるかー!」
お腹に響く大きな声で冒険者達に声をかけるとみんなが慌ててじいちゃんの元に集まった!
私もシルバから降りてそこに近づくと…
「こんなチビもいるのかよ…」
ボソッとつぶやきが聞こえる。
チビ?
私はキョロキョロと周りを見るが私より小さい子はいない…
「なにキョロキョロしてんだ、お前だよ!お前!」
声の方を見るとムチムチのボディーの男の子がこちらを見ていた。
「ああ、私に言ったんだ」
私から見ればあなたもチビの部類だが…まぁそんな事は決して口にしないけど…
気にするほどでも無いので無視してじいちゃんの話に耳を傾ける。
「今日はD級以下の新人冒険者達に経験を積んで貰うべく依頼を受けてもらう!ここから西の方に向かった所に川がある!この時期その川にオータムサーモンの群れがやってくる。奴らは卵を産みに来るからそれを捕まえて欲しい」
「なんだ、あの魚かよーあんなの子供のお使いにもなんねぇ」
私にチビと言った男の子が大声で文句を言った。
「ボルブくん、オータムサーモンは魚と言えど魔物です。油断すれば怪我ではすみませんよ」
セバスさんが笑って注意するがムチムチボディの男の子はヘラヘラとしている。
こ、この子は馬鹿か!セバスさんがまだ優しく注意してくれてるうちに謝ればいいものを…
私は関わりたくないと目を合わせない様に下を向いていると
「そんなのはこんなチビに任せておけばいいんじゃないですかー?」
そう言って私を指さした…
「チビ…」
じいちゃんとセバスさんの視線が私の方にきた…チラッと顔をあげるとバッチリじいちゃん達と目が合うとヘラッと笑って手を振って誤魔化した。
「ボルブくん…あなたランクは何でしたかね?」
セバスさんが聞く…少し眉が上がった気がする。
「俺はDです!この前D級になりました!」
自慢するようにふんぞりかえるとおおっ!と周りから歓声があがる!
えっ…Dだよ?私も確かこの前Dになった気がする…チラッとセバスさんを見ると目があってニコリと微笑まれた。
「そこの可愛い女の子もD級ですよ」
「えっ!このチビが!?」
ボルブを始め近くにいた子達が驚いた顔でこっちを見た。
「ランクや強さは見た目だけでは判断してはいけません。まして魔物を舐めてかかると痛い目をみますよ…みなさんもよく覚えておくように…」
セバスさんのピリッとした空気に冒険者達の顔が引き締まる。
「まぁセバス、子供相手にそこまで怒るな。みんなももうわかったな!」
「はい…」
「はーい」
新人冒険者達は各々コクリと頷いた…
「では今から皆さんには川に移動して貰います。今日はあなた達を指導してくださった講師役だった冒険者の皆さんが付き添って下さいますが手は貸しません。しっかりと自分達で仕事をこなすように」
『はい!』
講師の冒険者って…私は期待を込めて周りを探す。
「ミヅキ」
後ろから探していた人の声がした!
「コジローさん!」
顔を輝かせて振り返ると笑顔のコジローさんがいた!
私は駆け寄って抱きつくと
「コジローさんが付き添いなんですね!嬉しい!」
「ああ、ミヅキの講師役だったからな。でも手は出せないから気をつけるんだぞ」
「うん!」
私が笑顔で頷くと…
「うわっ…チビの講師ってあの暗い人かよ…」
またあの男の子の声がする…ってかなんて?コジローさんを暗い人?
私はそれは許せんとギロっと睨みつけた!
「な、なんだよ…」
ムチムチの男の子…なんってたっけ?
「確か…ボムボムくんだっけ?コジローさんは凄い人なの!しかも笑顔なんか凄い素敵だし、かっこいいし!暗いって言ったの訂正してくれる!」
私がグイッと詰め寄ると
「ボ、ボムボム…お、俺はボルブだ!」
「そうそう、ボルム」
「ボルブ!」
ボルブが息を荒らげると
「まぁまぁミヅキ、俺は気にしないから大丈夫だ。それにミヅキがそんな風に思ってくれてるとは…」
嬉しそうな顔をして微笑むと周りにいた女の子達から声があがる!
「わぁ…かっこいい…」
「落ち着いてて素敵だね!」
コソコソとコジローさんを見て頬を赤らめている。
でしょ!でしょ!
私は自分が褒められたように気分が良くなる。
「ほら、ミヅキさんもそろそろ向かってください…」
セバスさんがなかなか動き出さないこちらに歩いてきた。
するといつの間にかボムボムがいなくなっている。あれ?ボヨボヨだったか?
まぁいっか。
「すみません今、移動しますね!」
私がコジローさんと行こうとするとちょいちょいと手招きされる。
なんだ?
私はセバスさんに近づくと…
「今日はランクの低い新人冒険者しかいませんからシルバさんとシンクさんをつかうのは注意してください。それと…怪我をしないよう気をつけてくださいね」
心配そうに笑って頭を撫でられる。
ああ…私は納得した顔を見せるとコクっと頷いた。
セバスさんと笑顔で別れるとシルバのそばに行っていたコジローさんのところに走っていった。
「セバスさんなんだって?」
コジローさんに聞かれて注意された事を話す。
「シルバ達は可愛いからね!あんまり自慢しちゃうと羨ましいがられるからだね!」
私が自信満々に答えるとコジローさんがポカーンとしている。
「えっ…セバスさんがそう言ったのか?」
「言ってませんがあの目はそう言ってました」
「そ、そうかなぁ…」
コジローさんは首を傾げていた。
【大丈夫だコジローわかってるぞ】
そんなコジローさんにシルバが声をかける。
【さ、さすがシルバさん!頼りになります】
シルバは得意げに頷くと
【何がわかってるの?】
私はシルバに乗りながら聞いてみた。
【あれだろ?魚の魔物を俺達が取りすぎるなって事だろ?大丈夫だちゃんと少しは分けてやるから】
「えっ…」
シルバの言葉にコジローさんは立ち尽くした。
「いや…多分シルバさん達の力を見せつけすぎるな…って事だと思うんだけどなぁ…」
コジローさんが何か呟いたがよく聞こえなかった。
私達は言われいた川に着くともう既に何人か冒険者が来てオータムサーモンを取ろうと川に浸かっていた。
「さ、寒い…」
ブルブル震える手で川に手を突っ込んで手づかみしようとしている。
するとそれを嘲笑うかの様にオータムサーモンが川の中でジャンプをすると冒険者達に体当たりしていた。
ドスッ!
「いた!」
鈍い音をたてて魔物は勢いよく体当たりをすると川に飛び込む!
新人冒険者達は魚の魔物に翻弄されていた。
「あれが魔物?鮭みたい」
私はシルバの上から川を眺めた。
【どうする?川を燃やして水ごと蒸発させる?】
シンクの言葉にぎょっとする。
【だ、だめだよ!他の子達がいるし怪我させちゃうよ】
【えー!面倒だなぁ~みんな退かしちゃう?】
シンクが面倒くさそうにしているので二人には休んで貰うことにした…もしかしてセバスさんが言ってたのはこういうことか?
私はみんなと同じように靴を脱いで川に入った!
冷たい川に手を入れて手探りでオータムサーモンを探す!
すると手にヌルッとした感触が!すかさずぎゅっと掴んで引き上げる!
「取れた!」
手の中で暴れるサーモンを川岸に投げた、砂利の上でピチピチと跳ねていると…
「おお!いいもんが落ちてる!」
ボムボムくんが私が投げ捨てたオータムサーモンを拾った。
「あっ!それ私がとったんだよ!」
私が返してもらおうと声をかけると
「落ちてるもんを拾ったんだ。お前のならちゃんと持っとけよ」
そう言って笑うと持ってた籠にサーモンを入れてしまった。
「くそー」
見るとボムボムは同じような事をしながら他の子達からもサーモンを奪っていた。
【ミヅキ…焼豚にする?】
シンクが頭の上にちょこんと乗った。
【大丈夫…あんな焼豚美味しくないよ!シンクのお腹が壊れちゃう】
私はプンプンと怒っると川の流れを見つめた。
【文句言えないようにすぐに取ったら収納にしまってやる!】
私はまた冷たい川に手を突っ込んだ!
「うー…寒い」
何匹かサーモンを収納に仕舞うとちょっと休憩と川から上がった。
【大丈夫か?】
上がるとすぐにシルバが体を温めてくれる…濡れてる私をクルッとだき抱えた。
【シルバ…温かい…ありがとう~でもシルバが濡れちゃうよ】
【このくらい大丈夫だ。ミヅキは少し休んでろここからは俺が捕ってやる。ミヅキのを見てコツがわかったぞ】
シルバに変わって今度はシンクが足と手を温めてくれた。
シルバが水の中に入るとじっと川の流れを見ている…その様子を見ているとそっと前足をあげた。
バシッ!
少し水面が跳ねた…と思ったらピッチピチ!サーモンが目の前で三匹跳ねていた…
「えっ…」
唖然として目の前で跳ねるサーモンを見つめる。
【ミヅキ早くしまえ】
シルバからの声にやっとはっとして急いでしまった。
【シ、シルバの動き全然見えなかった…】
シルバはほとんど動かずに何匹も私の目の前にサーモンを捕まえては投げた。
【シルバもういいよ~十分だよ!】
【もういいのか?】
【うん!こんなに捕ったら他の人の分無くなっちゃうよ】
見るとまだ取れない子達が羨ましそうにこちらを見ていた。
「あっ!そうだ…」
【シルバちょっと私、木の枝拾ってくるね!】
シルバに声をかけて焚き木に使えそうな枝を拾うと戻ってシンクに火をつけてもらい焚き木にする。
「よかったら一緒にあったまらない?」
川の水に寒そうにしていた冒険者達に声をかけた。
「いいの?」
「うん!その代わり枝を何本か持ってきてくれる?」
新人冒険者の子達は頷くと枝を拾いに行った。
その間に私はシルバがとってくれたサーモンに塩をふって枝に刺して焚き木の火で焼き出した。
サーモンを焼くと油が出てきてピチピチと音をたて美味しそうな匂いがしてきた。
冒険者の子達が戻ってくると…
「みんなもサーモンを刺して焼く?」
聞いてみるが首を振る…
「あんまりとれてないから…食べちゃったら仕事の分が無くなっちゃう…」
残念そうにしていると…
バシャ!
サーモンが目の前に落っこちてきた。
シルバが一瞬でとってくれたのだ!
「私達はいっぱいとったからこれはあげるよ!仕事の分はこれを食べて元気出たら自分達で頑張って!」
「いいの?」
「いらないならいいよ、私が食べちゃうから…あーん!んー!油が乗ってて美味しい!」
皮がパリッと焼けて身はふっくら!
【ミヅキ!俺にも一つ!】
いつの間にか後ろにいたシルバがブンブンと尻尾を振って待てをする。
いい感じに焼けたサーモンを三匹大きな葉っぱの上に乗せて串をとってあげるとほぼ一口で食べきった。
【シンクもどうぞ】
シンクには少しほぐしてあげて用意すると美味しそうにつついている。
シルバとシンクの美味しそうに食べる姿に冒険者達のお腹がなった。
「みんなもどうぞ」
最初は躊躇していたみんなも1人が手に取ると次々に食べだした。
感想 6,830
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大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。