ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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14章

670.記憶

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シルバはギルドを出て微かな匂い頼りにその後を追った!

森の方へと行くとその匂いが強くなる…しかしミヅキの匂いよりももっと不快な匂いが漂っていた。

【見て!なんか血みたいのがあるよ!】

シンクが黒い血のような跡を見つける。

【臭い…】

悪臭を放つ跡を追いながらミヅキの無事だけを祈った!

するとその先に倒れているミヅキを見つけた…

【【【【ミヅキ!!】】】】

俺とシンク、プルシアとコハクが一斉に倒れていたミヅキに駆け寄った!

【あっ…頭から血が…】

【一体何が…】

【みろ…この灰…】

【ミヅキ~】

プルシアの言葉にみんなが目を向けるとミヅキが倒れていたそばに見覚えのある灰が落ちている。

【これ…またあのミヅキに似た子供?】

【ミヅキ!ミヅキ~!】

コハクがずっとミヅキの名前を呼びながらその顔を舐めている。

俺が血で汚れたミヅキの頭を舐めるとシンクがその上から回復魔法をかけた…

「う…うん…」

するとミヅキのまぶたが微かに動き悶えるような声がもれた。

【ミヅキ…】

みんなでミヅキの目が開くのを待っていると…

「ん……」

その黒く大きな瞳が開かれた。

【ミヅキ!!】

皆が喜びに声をかけると

「わっ!」

驚いた顔で後退りミヅキは俺達を見つめた…

【えっ?ミヅキ?】

【大丈夫か?】

「な、なに?…ここ…どこ?」

びっくりした顔で俺達を伺うように見つめてキョロキョロと周りを確認している…

「大丈夫かー!」

すると遅れてベイカー達が姿をあらわした!

「た、助けて…」

ミヅキは震えながらベイカー達を見つめて助けを求めるように手を差しだす。

【ミヅキ…何に怯えてるの?】

シンクが話しかけるがミヅキからは反応がない…

【ミヅキ!ミヅキ!ぼくだよ!コハクだよ!】

コハクが名前を呼びながらミヅキの前を行ったり来たりするがそちらも反応がなかった。

【声が届いてない?】

プルシアがつぶやくと

【【えっ!】】

シンクとコハクがミヅキをばっ!と見つめると…ビクッとミヅキが驚いて肩を揺らした。

「た、助けて…ください…」

ベイカー達は助けを求めるミヅキに駆け寄ると急いで抱き上げた!

「ミヅキ!大丈夫か!?」

ベイカーの大声にミヅキは驚いた顔を見せると…

「誰…」

訝しげにベイカーを見つめる。

「えっ…」

ベイカーが真顔でミヅキを見ていると

「ミヅキはいたか!?」

ディムロスとロブが駆けつけた!

次々に現れる人にミヅキが狼狽えだす…どうしていいかと戸惑っていると…

「ミヅキ…俺がわかるか?」

様子のおかしなミヅキにベイカーが話しかけた…

「すみません…わかりません。初めて会いましたよね?なのになんで私の名前を知ってるんですか…」

ミヅキの言葉に一同が息を止めた…

「記憶喪失…?」

「だが名前はわかるようだな…」

ディムロスが近づいて行くと…ミヅキが恐る恐るベイカーの肩越しにディムロスを見つめた。

「ミヅキ…じいちゃんだぞ…」

にかっと笑って手を差し出すと…

 ヘラッと笑顔がこぼれた。

「どら、じいちゃんのところに来るか?」

ミヅキは少し考えたあとこくっと頷く。

その様子にベイカーは渋々ギルマスにミヅキを渡した。

「とりあえず…一度落ち着こう!ミヅキ…何かわかることはあるか?」

「わかること…ですか?えっと…私の名前は美月で………」

そう言って考えるがなにもわからないようで首を振る。

「どうしたもんかな…」

ベイカーが頭をクシャクシャとかきながらうーんと唸り声をあげた。

「ガウッ…」

シルバはたまらずに鳴き声をあげるとビクッとミヅキが驚いてディムロスの体にしがみついた。

うっ…

ミヅキの怯える様な反応に心臓を掴まれるような痛みが走った!

「クゥーン…」

耐えられずに頭を下げる…

「あっ…ご、ごめんね…この子…触っても平気ですか?」

「シルバか?もちろんいいけど…ミヅキ、シルバの事もわからんのか…」

ベイカーが可哀想な子を見るように項垂れるシルバを見つめた。

ミヅキはディムロスやベイカーに確認すると地面に降りて来た。

そしてこちらにそっと手を差し出してくる…

この光景…

初めてミヅキと出会った時の事を思い出す。

あの時も…自分に怯えながらも手を差し出してきたな…

変わらない

記憶を無くしてもミヅキの中のものは変わらないことが少し嬉しかった…

ミヅキが触るまでじっと我慢してその手を待っていると…

フワッ…待ち望んでいた感触が頭を撫でた。

「ふふ…可愛い…」

ミヅキの笑い声にそっと目を向けるとビクッと手が止まってしまった。

なのでその手にゆっくりと頬を擦り寄せて甘えるように目を閉じた…

「か、かわっ!」

すると興奮した様子のミヅキが両手で触り出す。

お預けされていた事もありつい嬉しくてミヅキを舐め回すと…

【シルバずるいよ!】

【ぼ、ぼくも~】

シンクとコハクが慌ててミヅキに寄ってきた!

「あはっ!みんな可愛いなぁ~なんで私のそばにいたんだろ?それに…見た事のない動物ばっかり…」

不思議そうに撫でながらも嬉しそうにする姿にほっとする。

【ミヅキは変わらんな…】

プルシアが苦笑すると…

「えっ!ド、ドラゴン?」

プルシアを見て驚きコハクを掴んで抱き上げた!

【さすがに私は駄目か…】

プルシアが寂しそうに少し離れようとすると…

「こいつもミヅキの事が好きなやつだぞ」

ベイカーが助け舟を出した。

「ドラゴンさんも?」

ミヅキはじっとプルシアを見ると…

「撫でても…いいですか?」

プルシアに声をかけた。

プルシアはそっと近づいてその時を待っていると、ミヅキが手を伸ばした。

そしてピタッとプルシアの体に触れると

「ふわぁ~ドラゴンさんに触っちゃった…でも…なんか不思議と前から知ってるような感触…」

首を傾げながらもぺたぺたとプルシアを触っている。

「しかし困ったな…ミヅキが記憶喪失などとは、この報告…誰がする?」

ディムロスはベイカーを見ると

「俺か!?」

「お前が保護者だろうが!」

「そ、そうだけど…ミヅキの事となると鬼になるやつが多そうだ…」

「はい?」

名前を呼ばれてミヅキが振り返る。

「ミヅキ…なんにも覚えてないのか?」

ベイカーが寂しそうに笑ってミヅキに聞くと

「すみません…」

顔を曇らせて下を向いてしまった。

「グルル…」

するとシルバがベイカーに向かって唸り声をあげる!

ミヅキを悲しませるなと言うように…

「あはは、優しい子。ありがとうね」

しかしミヅキに撫でられ一気に機嫌良さそうに尻尾を振った。

「現金な奴だ…」

ベイカーの苦笑する顔をじっとミヅキが見ている。

「なんだ?何か顔についてるのか?」

自分の顔を触ると

「い、いえ…」

ミヅキが頬を赤くしてばっと顔を逸らした。

「えっ…」

【ミヅキ?】

シルバ達がミヅキの顔に近づいて赤くなった頬を優しく触る。

「だ、大丈夫だよ…」

笑ってシルバ達を撫でるその手にもう恐れる様子などなくなっていた。


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