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中−4 パリダカ
しおりを挟む太田、福田、田中、田口の4人が一緒にこっちに着いた。
着いた場所が不幸にも攻国国境付近。
さまよった挙句、攻国内部に進んでしまい、街にたどり着いたところで いきなり捕縛された。
その時に暴れた田中は兵に殴られてぐったりし、それ以降会っていない。
兵の駐屯地みたいなところに連れて行かれ、いろいろ質問された。
彼らは外人みたいな外見なのになぜか言葉は通じた。
そして、3人は別々の場所に送られた。
福田には敗戦後のあの場所で会うまで、どうなってたかわからなかった。
俺も福田も、あれっきり田口に会っていない。
俺は、奴隷商に売られた。使えないと思われたらしい。
その後農地で農奴として働いていた。
地主はそれほど悪くはない奴だったので、、、勿論こっち基準だと、即裁判かその場で処刑されるくらいだろうけど、あっちではかなり良い方だと思う。
しかも賢くはなかったので、収穫量を上げるためと言って、いろいろやらせて、実際収穫を倍近くにし、でも農奴達の待遇を少しずつ改善させていった、奴自身は気づかないように。
その中の数人が、今回俺と来た人間たちだ。今回あの入植地に入った人間は、俺達のみだ。
こんなんでも、あの国に入った中では、かなり幸運だったんだろうな、、、、
なんたって、ここに来られたんだ。
しかも福田に会えた。
実はな、おれらは大学からの仲間達だったんだ。
たまたま最初の授業で一緒だっただけだが、なんとなく気が合って、で田口が入り、田中が入った。
卒業後、就職してもたまーにだが、会っていた。
そのたまたまのときに、なんかあったのかどうなのか、気がついたら俺達は森にいた。
で、今ココ、なわけだ。
大した物語でも無い。小説にしたら誰も読まないほど、何もないつまらん話だ。
だが、
君らを見ていると、この国の者たちを見ていると、、、
なんだかな、、
俺も「やっていいんだ」みたいな感じにさせられる。
福田、変わったろう?
まだ、別れてから今迄何があったのか詳しくは聞いていない。
が、君に拾われ。泉氏にくっついていて、そして今領主様のところにいて、随分変わったらしい。
俺らは最初は全く運がなかった。逆に進めば、最初からこの武国に入れた。
だが、俺らは遠回りし、仲間を半数失い、ぼろぼろになってやっとここにたどり着いた。
俺は幾人かの仲間も得た。攻国にいた唯一の成果だろう。でも大切な仲間達だ。一緒に生死を乗り越えてきたのだし。
俺は、大恩のある領主様に貢献し、あの入植地を皆が幸せな、そうだな、この村みたいにしたい。
・・・・
俺は太田さんに言ったのか、自分に言ったのか、よく自分でもわからないが、
「もし、俺があの野原の道で、逆に歩いていたら山に入っていた。人家など無いという話だった。野垂れ死んでいた。
最初に俺を見つけたのがおっちゃん夫妻で幸運だった。最初の村がこの村で幸運だった。最初の国がこの武国で幸運だった。
この国の人達は、いい人を助けるのが好きだ。ひとの幸せを見るのが好きだ。クズは即時処分するのが好きだ。
戦うことが好きだ。侵略はキライだ。だから大量破壊兵器を封印している。多くのものを封印している。
ずっと先を見て、良いものだけを選んでいる。
見下すこともキライだ。可愛いものが好きだ。モフ☆モフが好きだ。贅沢は求めない。ほどほどが好きだ。
おもしろいものが好きだ。
今の、この国がずっと続けばいいのに、と思う、、、」
「よかったな。」
太田さんのその言葉が、彼の心からの言葉だと、なぜかわかった。
のんびり歩きながらそんちょ宅に帰る。太田さんは領主様の別荘ではなく、そんちょ宅に世話になるとのこと。
遠慮しているのだ。
「太田さん、馬に乗れますか?」
「乗ったこと無いなぁ、、」
「乗れると便利なので、村長に言っときますね?」
「うん、頼む。、、そうか、、馬か、、」
そそるものがあったようだ。
でも俺、まだ引いてくれる者がいないとのれないからねw乗れるとは言い難いかな、それは。荷物並w
出発までの数日、太田さんは主に馬に乗る練習をしていた。3日目にはもうひとりで村の外を軽く走っていた。
ちょっとショック。文明人のクセに、、、
まさか、福田さんも乗れるんじゃないだろうな??まさか?
・・・・・
太狼、俺をのせてくないかな?変態するとでかくなるよね、俺くらい余裕っぽいよね、できそうだよね。
あ、、でもぴょーんとか跳ねられたら終わりだな俺。
象でもいないかなぁ、、
熊は馬車を間に合わせた。
趣味に加速化されていた。
車輪は少し小さくなっていた。「道が良いからな」だと。
では箱が少々小さいのは? 「気のせいだ」、いやあきらかだろ?
床板とか薄いよね?だいじょうぶなの?「骨組みを基本にしているのでOK」。おーフレーム構造にしたのか、、自分で考えたの?熊すげーな。でも、今回の王都までがテスト走行だってのが気になりますけど?
で、
随分軽くしているのに、なぜ馬が2頭? 「2頭は普通だろ?長距離なんだから」。・・・・・・
・・・・・
・・・・・
出発。
いきなり爆走しだす領主様の馬車。
それに習う俺の載っている試作車!熊が御者!!!「わーっはっはっはっは!!ははははははー!!!」
何熊?領主様の馬車を追い抜こうとしているよ?向こうも張り合っているよ?
領主様、前窓から御者台に出てきているよ!!大笑いしているお!!
ばかだこいつらっ!!
結局、領主様の馬車のほうが重いんで、いくら4頭引きだといっても、増えれば増えるほどペースを合わせるから馬でさえへんな疲れも貯まる。先にへばったのは領主様の特製馬車。
「よっっしゃああああ!おれのかちぃいいいいいい!!!」
まだ爆走中なのに御者台に立ち上がりガッツポーズの熊。 教えなきゃよかった、、、
泊まった街の酒場で、熊は領主様に酒をおごってもらっていた。
なので、俺は試作車から移動したかったが、誰も変わってくれなかった。まぁ当然だよな、俺だっていやだわw
こいつらそういう気が非情に強いから、箱馬車レースとか開催しそうで怖いよな。
あ?フラグ?いやいやいやいや、、
あ、俺乗らないんだからいいか、、、
後の「パルリ・タカールレース」の発端であった。
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