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7話 僕の従魔は強いようです。そしていざ街へ
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おじさんがいてもルピは関係ないらしく、魔物が出るたびに討伐。出てはピッ!と討伐。それを見ては固まるおじさん。
おじさんに会うまでにルピが普通に討伐をこなしていたので、僕はそれが従魔の普通かと思っていたと伝えたら、そんなわけあるか‼︎と言われた。
僕の従魔は恐ろしく強いようです。
段々と日が落ち始め辺りが薄暗くなりはじめた頃、高い外壁が見えてきた。
「坊主!あれが俺の住んでる街だ!」
街が見えてきた事が嬉しいのか、ホッとしたような顔をおじさんが向けてくる。それを見て僕も嬉しくなる。
さらに近づいていくと門のようなものが見え、そこで門番と揉めている女性の姿が見えた。
「マーヤさん!もう夜も近いのに外へ出るなんて無茶だ!」
「離しとくれ‼︎旦那が帰ってこないんだ‼︎何かあったに違いないのに、1人安全な街の中で待ってられるかい‼︎」
「そう言われても、みすみす死ににいくようなもんだ!明日の朝捜索隊を出すからそれまで待ってくれ」
「その間にあの人が死んじまう‼︎あの人が死んだら、どうやってパンを作るつもりだい⁉︎あんたらだってウチのパンが食べれなくなっても良いってのかい⁉︎」
「それはそうだが、パンと人命なら人命だろう‼︎」
「それなら探しに行っとくれ‼︎明日と言わず探しに行っとくれよ…」
女性は言いきると力なく座り込んでしまった。
おじさんを見るとあちゃぁ~と顔を手で隠しながら、嬉しそうな複雑な顔でどうしたもんかと悩んでいた。それに気づいた門番が慌てて女性に声をかける。
「マーヤさん、ドラスが帰ってきたぞ‼︎」
「今さらそんな慰め言われたって、いらないさね…」
「いや、だから本当にドラスなんだって!見てみろよ!」
座り込んだ女性がこちらに顔を上げると、びっくりした顔をした瞬間、沸騰するんではないかというぐらい顔を赤くしワナワナと震えている。
「アンターー‼︎帰りが遅いなら遅いって、連絡したらどうねーー‼︎明日のパンの仕込みもなってないのに、何を遊んでたんだい‼︎」
ハハ…と苦笑いしながら
「帰り道にゴブリンに襲われてな。そこの坊主とお嬢ちゃんが助けてくれて、ここまで帰ってこれたんだ。そんな怒らないでおくれ。心配をかけたね」
「だ、誰もアンタのことなんて心配してないよ‼︎私は小麦がなくて明日のパンの仕込みができないことにイライラしてたのさ‼︎」
その後も門の前で始まる夫婦喧嘩。仲が良い夫婦喧嘩って良いなと思いながら見る。僕の両親は、僕の前ではいつも笑顔でいようと疲れた顔を隠して接してくれていた。
穏やかに、ひたすら穏やかにと接してくれる両親に嬉しくもあり我慢をさせているんだろうな…と寂しさもあった。だからこの夫婦喧嘩も僕から見たら幸せな姿に見える。
門番はうんざりした顔で疲れ果てていたけど、気にしない気にしない。
「ウチの人を助けてくれたみたいでありがとね。あんた達がいなかったら今頃魔物の胃の中だっただろうね。小麦がさ」
「それはないだろ…母ちゃん」
「アンタは黙っときな‼︎それよりも見ない顔だけど、このへんの子かい?」
しまった…。ちがう世界から来たなんていうのはきっとご法度だ。少し考えて昔読んだ異世界モノの小説にのっていたセリフを使わせてもらった。
「山の中の小さな村で育ちました。村では食べるものが少なくなってきてしまい、両親もいない僕が村を出る事にしたんです」
「あんた達…そんな小さな体でよく頑張ったね…。お礼もあるがウチのパンをたんと食べていきな!」
「坊主達そんな境遇だったのか⁉︎苦労したんだな…。遠慮せず食べてってくれ‼︎」
「アンタは黙っときな‼︎話が終わったわけじゃないよ!」
おばさんがおじさんに言い放つと、まだ続くのかと、ギョッとした顔をする。
これも夫婦愛。頑張れおじさんと心の中で励ます。
「あー…お話中申し訳ないが、キミは身分証明書はあるのかい?」
「えっと、山の中の小さな村で育ったので、身分証明書は持っていません」
「うーん…そうか。身分証明書はギルドに行けば作れるが、街に入るための税と身分証明書発行料が必要だけど、お金は持たされてる?」
「あ、それなら「この子達のお金は私が払うよ!それなら大丈夫だろう?」
金貨10枚あったので払えると言おうとしたところマーヤさんが払うと言ってくれた。断ろうとしたが後ろにいるおじさんが、やめとけ払ってもらえと一生懸命仕草で伝えてきたので甘える事にした。
街に入るための税はその場でマーヤさんが門番に渡してくれた。ギルドは遅い時間はあまり雰囲気が良くないらしく子供は行くもんじゃないとマーヤさんに言われたため、宿を探す事にした。
「いろいろありがとうございます!宿に泊まろうと思うんですが、僕の従魔が一緒でも大丈夫な宿はありますか?」
「何を言ってるんだい!あんた達は旦那の命の恩人さね。今夜はウチに泊まっていきな!なに遠慮することはない‼︎」
ドンと大きな胸を叩きマーヤさんが笑いながら泊まっていけと言ってくれる。
人の親切にあまり慣れてない僕はどうしたら良いんだろうと考えていると、後ろからおじさんが…。
泊まっていけ‼︎頼むから泊まって行けとと態度であらわしてくるので、もう笑うしかない。
おじさんとおばさんの後ろをついて行きながら街並みを見る。石でできた建物が多いが色鮮やかなレンガ造りの家もたくさんあった。道も舗装されとても綺麗な街並みだった。
おじさんに会うまでにルピが普通に討伐をこなしていたので、僕はそれが従魔の普通かと思っていたと伝えたら、そんなわけあるか‼︎と言われた。
僕の従魔は恐ろしく強いようです。
段々と日が落ち始め辺りが薄暗くなりはじめた頃、高い外壁が見えてきた。
「坊主!あれが俺の住んでる街だ!」
街が見えてきた事が嬉しいのか、ホッとしたような顔をおじさんが向けてくる。それを見て僕も嬉しくなる。
さらに近づいていくと門のようなものが見え、そこで門番と揉めている女性の姿が見えた。
「マーヤさん!もう夜も近いのに外へ出るなんて無茶だ!」
「離しとくれ‼︎旦那が帰ってこないんだ‼︎何かあったに違いないのに、1人安全な街の中で待ってられるかい‼︎」
「そう言われても、みすみす死ににいくようなもんだ!明日の朝捜索隊を出すからそれまで待ってくれ」
「その間にあの人が死んじまう‼︎あの人が死んだら、どうやってパンを作るつもりだい⁉︎あんたらだってウチのパンが食べれなくなっても良いってのかい⁉︎」
「それはそうだが、パンと人命なら人命だろう‼︎」
「それなら探しに行っとくれ‼︎明日と言わず探しに行っとくれよ…」
女性は言いきると力なく座り込んでしまった。
おじさんを見るとあちゃぁ~と顔を手で隠しながら、嬉しそうな複雑な顔でどうしたもんかと悩んでいた。それに気づいた門番が慌てて女性に声をかける。
「マーヤさん、ドラスが帰ってきたぞ‼︎」
「今さらそんな慰め言われたって、いらないさね…」
「いや、だから本当にドラスなんだって!見てみろよ!」
座り込んだ女性がこちらに顔を上げると、びっくりした顔をした瞬間、沸騰するんではないかというぐらい顔を赤くしワナワナと震えている。
「アンターー‼︎帰りが遅いなら遅いって、連絡したらどうねーー‼︎明日のパンの仕込みもなってないのに、何を遊んでたんだい‼︎」
ハハ…と苦笑いしながら
「帰り道にゴブリンに襲われてな。そこの坊主とお嬢ちゃんが助けてくれて、ここまで帰ってこれたんだ。そんな怒らないでおくれ。心配をかけたね」
「だ、誰もアンタのことなんて心配してないよ‼︎私は小麦がなくて明日のパンの仕込みができないことにイライラしてたのさ‼︎」
その後も門の前で始まる夫婦喧嘩。仲が良い夫婦喧嘩って良いなと思いながら見る。僕の両親は、僕の前ではいつも笑顔でいようと疲れた顔を隠して接してくれていた。
穏やかに、ひたすら穏やかにと接してくれる両親に嬉しくもあり我慢をさせているんだろうな…と寂しさもあった。だからこの夫婦喧嘩も僕から見たら幸せな姿に見える。
門番はうんざりした顔で疲れ果てていたけど、気にしない気にしない。
「ウチの人を助けてくれたみたいでありがとね。あんた達がいなかったら今頃魔物の胃の中だっただろうね。小麦がさ」
「それはないだろ…母ちゃん」
「アンタは黙っときな‼︎それよりも見ない顔だけど、このへんの子かい?」
しまった…。ちがう世界から来たなんていうのはきっとご法度だ。少し考えて昔読んだ異世界モノの小説にのっていたセリフを使わせてもらった。
「山の中の小さな村で育ちました。村では食べるものが少なくなってきてしまい、両親もいない僕が村を出る事にしたんです」
「あんた達…そんな小さな体でよく頑張ったね…。お礼もあるがウチのパンをたんと食べていきな!」
「坊主達そんな境遇だったのか⁉︎苦労したんだな…。遠慮せず食べてってくれ‼︎」
「アンタは黙っときな‼︎話が終わったわけじゃないよ!」
おばさんがおじさんに言い放つと、まだ続くのかと、ギョッとした顔をする。
これも夫婦愛。頑張れおじさんと心の中で励ます。
「あー…お話中申し訳ないが、キミは身分証明書はあるのかい?」
「えっと、山の中の小さな村で育ったので、身分証明書は持っていません」
「うーん…そうか。身分証明書はギルドに行けば作れるが、街に入るための税と身分証明書発行料が必要だけど、お金は持たされてる?」
「あ、それなら「この子達のお金は私が払うよ!それなら大丈夫だろう?」
金貨10枚あったので払えると言おうとしたところマーヤさんが払うと言ってくれた。断ろうとしたが後ろにいるおじさんが、やめとけ払ってもらえと一生懸命仕草で伝えてきたので甘える事にした。
街に入るための税はその場でマーヤさんが門番に渡してくれた。ギルドは遅い時間はあまり雰囲気が良くないらしく子供は行くもんじゃないとマーヤさんに言われたため、宿を探す事にした。
「いろいろありがとうございます!宿に泊まろうと思うんですが、僕の従魔が一緒でも大丈夫な宿はありますか?」
「何を言ってるんだい!あんた達は旦那の命の恩人さね。今夜はウチに泊まっていきな!なに遠慮することはない‼︎」
ドンと大きな胸を叩きマーヤさんが笑いながら泊まっていけと言ってくれる。
人の親切にあまり慣れてない僕はどうしたら良いんだろうと考えていると、後ろからおじさんが…。
泊まっていけ‼︎頼むから泊まって行けとと態度であらわしてくるので、もう笑うしかない。
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