僕の従魔は恐ろしく強いようです。

緋沙下

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9話 今後の方針

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「ハヤトにルピだね。そういやルピは珍しいが、ハク族かい?懐いてるが卵から孵化させたのかい?」

「ハク族?」

「昔白い羽を持った鳥が人間に憧れて、女神様にお願いして人間にしてもらおうとしたのさ。けどその綺麗な羽は残されたっていうおとぎ話の題材にされてる種族さね」

白鳥の湖的な感じの話に近いのかな?でも、あれは王子様だったよな…。うん。天鳥族って書いてあったけどわかんないけどそうする。

「そうなんですかね…。卵から孵化(ウソ)させましたけど、僕あんまりわからなくて。」

「まぁ、従魔のステータスなんて鑑定持ってる人間か魔道具使わなきゃ見れないし仕方ないね。あんたのステータスにルピの名前があるなら従魔なんだろうから、それでいいさね」

え?普通にルピのステータス見たけど、それ普通は出来ないことなんだ…。黙っててよかった…。

「それよりもあんた達はこれからどうするんだい?」  

うーん…。明日ギルドに行くことしか考えてなかった。

「明日とりあえずギルドに行って、身分証明書発行してもらってとしか考えてなかったです」

「計画なしかい⁉︎村の人たちは何も教えてくれなかったのかい?」

「お年寄りが多かったので、あまりそんな話は聞いたことがなかったです。とりあえず村を出ないととしか考えてなくて…」

「はー…そうかい。それも大変だったね。年をとるとそういうのは疎くなるんだろうね…」

「ギルドに行って身分証明書発行してもらったら、わからないことだらけなので、安い宿を探して今後をどうするか考えようと思います」

金貨10枚がいくらになるのかはわからないけど、2・3日は泊まれるだろうと考えて答える。

「それなら身の振り方決めるまでウチにいればいいよ!ウチは子供に恵まれなくてね、あんた達がいてくれるならウチもにぎやかになるってもんさ!」

「でも、それはご迷惑なんじゃ…」

飲み物を取りに台所の奥に行っていたおじさんが、そうしろ!ここにいろ!頼むよと泣きそうな顔で僕に伝えてくる。

あー…尻に敷かれるってこういうことなんだなと人生で初めて実感。ルピもおじさんおばさんには心を開いてるみたいだし…

出て行けばおじさんが、すごくどやされそうだしな…よし。

「今後が決まるまで、お言葉に甘えていいならよろしくお願いします」

「遠慮せずいな!しがないパン屋だが、あんた達を食べさせるぐらいわけないさ」

「いえ!それはダメです!お礼はしっかりしなさいと教えられてきました。ちなみに、魔物討伐はお金になるんですか?」

「え…あぁ。魔石や魔物の素材がギルドで買い取って貰えるはずだよ。他にもギルドのランクによって依頼が出てるはずさ。でも、そんな遠慮することなんてないんだよ?こちらこそ、旦那の恩があるってのに」

「おじさん…ドラスさんを助けた恩は美味しいパンと食事に街に入る税とたくさん貰いました!お世話になる以上は、マーヤさんの美味しいご飯を頂けるぶんちゃんとお礼はしたいんです!」

「そこまで言うなら止めないけど、うーん…それなら2人で1日銀貨1枚でどうだい?」

高いのか安いのかサッパリわからない…。むしろマーヤさんのことだから、安くしてる可能性が高い。

マーヤさんのパン屋で見たパンの値札は、銅貨9枚や銀板1~5の間が多かった。お金の価値観がわからないのでどうしたものかと考えるが、明日ギルドで聞いてみようと思う。


「マーヤさんにご迷惑にならないのであればそれでお願いします!」

「山の中の村から来たのに言葉使いが丁寧だね!年寄りばかりだったからかねぇ。子供らしく敬語なんていらないんだよ!」

笑いながらマーヤさんが言ってくれるが、病院時代の僕の周りは大人だらけ。自然と敬語が身についてしまったのかもしれないな。

ルピが眠そうにあくびを始めたので、マーヤさんが空いてる部屋があるからそこに布団を出してあげようねと、部屋の支度をしてくれた。
この世界では本での知識と同じく風呂はないらしいので、温めたお湯をいれた桶とタオルを貸してくれる。

「ルピふいてあげる。おいで」

「ピィ♪」

「羽の中は濡らして良いのかな。ルピ濡らして良いの?」

「ピィ…!ピィヤ♪」

ルピの体を淡い光が包み込む。暖かく優しい風がルピを覆ったかと思うと、足についていた泥などが綺麗になっている。

「ルピ…それって、自分を綺麗にする魔法?」

「ピィ♪」

「僕にもできる?」

「ピッ!(できる!)」

「なら、僕もお願いできるかな。ちょっと今日は拭く元気がないかも」

ルピにお願いし僕も綺麗にしてもらうと、お互い布団に倒れこむように寝た。
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