19 / 84
17話 クセがあるマッタリーナ
しおりを挟む
ここのギルドもお姉さんはキレイだった。
やっぱり受け付けは顔だからキレイどころ揃えるんだろうなぁ。冷たくあしらわれるのも嫌だけど、教会みたいに精神力削られるのも嫌だなと思いながら話しかける。
「あの、魔物と戦うのに服と武器を探しているんですけど、どのお店に行けば良いですか?」
「戦闘をされるのはお客様ですか?お連れの従魔ですか?」
「一緒にいる子がメインなんですけど、僕も戦える服を探してます。でも今日は僕だけのものを探しに来ました」
「そうですねぇ。しっかりした鎧を扱っているお店もありますが、お客様では少々重いかもしれません。防御力は下がりますが、動きやすい防具を扱うお店でも大丈夫ですか?」
「それでお願いします」
「少々お待ちくださいね」
おぉー。普通だ。普通の対応だ。普通の対応すぎて逆に若干違和感。でもありがたいな。僕でも普通に客として対応してくれる受付さんに感謝する。
「お待たせしました。今お客様がいるのがここのギルドで、今回お勧めするのはこちらのマッタリーナです。良い防具を揃えてありますので、お気に召すものがあると思いますよ」
受付さんが布に書かれた地図を広げてくれて、場所の説明をしてくれる。どこでも紙はなかなかみないから、貴重品なのかもしれない。
「ありがとうございます。行ってみます」
「はい。ただ…少しクセのある店主なのですがすごく良い方ですから。ぜひ行ってみてください」
クセ?クセがあるって受付さんがあえて言ってくるのって、どうなんだろうとは思ったけど良いものが買えるならぜひ行ってみよう。
紹介されたお店に向かっていくと小さな二階建ての白を基調とした建物だった。ぶら下げるタイプの看板に"マッタリーナ"と書いてあるので、間違いなさそう。
「すいませーん。服と防具を買いに来ました。どなたかいらっしゃいますか?」
お店の中には誰もおらず、声をかけても反応がない。しばらく待ってみたけど、出てくる様子はなし。ただ、奥に人がいるような気配はあった。
うーん…どうしようかな。でも奥に勝手に行くのもなぁ…と悩んでいると、ルピがトコトコ歩き奥に向かって大きな声で鳴いて知らせてくれた。
「すいません‼︎奥で製作してたら気付かなくって。何をお求めですか?」
バタバタと奥から出てきたのは背が低くて、腰が低そうな女性だった。僕の想像があってるなら、多分ドワーフといわれる人なんだろうな。
「僕の戦闘用の服が欲しくて。軽くて動きやすいものが良いです」
「それなら、こちらの皮でできたレザーアーマーはどうでしょう?袖はないため腕が無防備にはなりますが、動きやすいと思います」
見せてくれたのは、ベストのような形のレザーアーマー。見た目は悪くないしなにより動きやすそう。
直感即決で行こう!
「はい。それでお願いします。あと、護身用で良いのでナイフがあれば見てみたいんですけど」
「うーん…。うちにはあまり武器はなくて。あるとしたらこの手のひらサイズの刃の長さのナイフか、あとは剣になってしまいますね」
「それなら、そのナイフで大丈夫です。メインは従魔の子なので、僕は本当に護身用で…ハハ」
自分で言っていて悲しい…。
「テイマーなんですね!テイマーは従魔が動きやすいようにしてあげるのも役目の1つですから、慣れないものを扱って従魔が主人を気にかけないといけない状態よりいいと思いますよ」
「従魔が動きやすいようにしてあげるですか」
「そうなんです。強ければ一緒に戦うのもありだと思いますが、主人が下手に戦って負けていれば、従魔はそちらも気にして自分の相手も気にしてで、大変だと思いますよ」
それはそうだ。そんなこと考えたことなかった…。
確かに僕が戦って負けて困ってれば、今以上にルピの足を引っ張ってしまう。それなら、下手に今は戦うよりもルピがどうしたら動きやすいかを考えてあげる方が大切だ。
クセがあるって聞いてたけど、助言ができる素敵な店主さんじゃないですか!商用ギルドの評価が上がる。
「なら、さっそくレザーアーマーとナイフの柄のサイズを合わせますね!ピッタリ合うようサイズ調整でいいですか?」
「はい!よろしくお願いします」
「腕がなります。フフフ…」
そのあと、何度もナイフの柄のサイズを変更しては持たされ、持ち具合はどうだの滑りにくさはどうだのを追求された。
レザーアーマーに関しては、中にどんな服を着るのかや、今の服じゃない服を着た時の着け心地も肝心だと、店にある服を試着してはレザーアーマー着て調整。
やばい。やばいです。クセがあるとはこの事だったんだ…。
ようやく終わった頃には、太陽が沈み始め外が薄暗くなり始めてた。
散々試着した服も申し訳なかったので購入。しめて金貨6枚になりました。
「久々に満足できるまで調整できました!他のお客さんも調整してもらえれば動きやすいのに。だいたいでいいとか言われるので、やりがいがなくって‼︎」
「そうですか…。満足してもらえたならよかったです…」
そりゃ、こんな何時間もサイズ調整やらされるなら、だいたいでいいとなるわ。でも調整してもらえたおかげで、かなり動きやすいのも確かだ。
「お支払いは現金かギルドカードどうされますか?」
現金がなくなるのも困るし、ギルドカードでお願いする。装置の上に置くと、ステータスのような画面が出てきて、買う商品と値段が出てくる。最後に支払いボタンを押せばいい仕様。
「毎度ありがとうございます!」
「あの、疑問なんですがこれって高い金額でなければ、僕がギルドカードを落とせば使われてしまうんですか?」
「基本は無理ですね。どこのギルドのカードも登録時に登録者の指の痕を登録します。なので支払いボタンを押す指の跡が違えば支払い不可になってしまうんです」
指紋認証みたいなもんなのかな。それにしても本当にハイテクだなと感心する。疲れて椅子に座って寝てしまったルピに、お待たせと声をかけ起こした。マーヤさん達のもとへ帰ろう。
店主はよっぽど満足したのか、店の外まで出てお見送りをしてくれた。
やっぱり受け付けは顔だからキレイどころ揃えるんだろうなぁ。冷たくあしらわれるのも嫌だけど、教会みたいに精神力削られるのも嫌だなと思いながら話しかける。
「あの、魔物と戦うのに服と武器を探しているんですけど、どのお店に行けば良いですか?」
「戦闘をされるのはお客様ですか?お連れの従魔ですか?」
「一緒にいる子がメインなんですけど、僕も戦える服を探してます。でも今日は僕だけのものを探しに来ました」
「そうですねぇ。しっかりした鎧を扱っているお店もありますが、お客様では少々重いかもしれません。防御力は下がりますが、動きやすい防具を扱うお店でも大丈夫ですか?」
「それでお願いします」
「少々お待ちくださいね」
おぉー。普通だ。普通の対応だ。普通の対応すぎて逆に若干違和感。でもありがたいな。僕でも普通に客として対応してくれる受付さんに感謝する。
「お待たせしました。今お客様がいるのがここのギルドで、今回お勧めするのはこちらのマッタリーナです。良い防具を揃えてありますので、お気に召すものがあると思いますよ」
受付さんが布に書かれた地図を広げてくれて、場所の説明をしてくれる。どこでも紙はなかなかみないから、貴重品なのかもしれない。
「ありがとうございます。行ってみます」
「はい。ただ…少しクセのある店主なのですがすごく良い方ですから。ぜひ行ってみてください」
クセ?クセがあるって受付さんがあえて言ってくるのって、どうなんだろうとは思ったけど良いものが買えるならぜひ行ってみよう。
紹介されたお店に向かっていくと小さな二階建ての白を基調とした建物だった。ぶら下げるタイプの看板に"マッタリーナ"と書いてあるので、間違いなさそう。
「すいませーん。服と防具を買いに来ました。どなたかいらっしゃいますか?」
お店の中には誰もおらず、声をかけても反応がない。しばらく待ってみたけど、出てくる様子はなし。ただ、奥に人がいるような気配はあった。
うーん…どうしようかな。でも奥に勝手に行くのもなぁ…と悩んでいると、ルピがトコトコ歩き奥に向かって大きな声で鳴いて知らせてくれた。
「すいません‼︎奥で製作してたら気付かなくって。何をお求めですか?」
バタバタと奥から出てきたのは背が低くて、腰が低そうな女性だった。僕の想像があってるなら、多分ドワーフといわれる人なんだろうな。
「僕の戦闘用の服が欲しくて。軽くて動きやすいものが良いです」
「それなら、こちらの皮でできたレザーアーマーはどうでしょう?袖はないため腕が無防備にはなりますが、動きやすいと思います」
見せてくれたのは、ベストのような形のレザーアーマー。見た目は悪くないしなにより動きやすそう。
直感即決で行こう!
「はい。それでお願いします。あと、護身用で良いのでナイフがあれば見てみたいんですけど」
「うーん…。うちにはあまり武器はなくて。あるとしたらこの手のひらサイズの刃の長さのナイフか、あとは剣になってしまいますね」
「それなら、そのナイフで大丈夫です。メインは従魔の子なので、僕は本当に護身用で…ハハ」
自分で言っていて悲しい…。
「テイマーなんですね!テイマーは従魔が動きやすいようにしてあげるのも役目の1つですから、慣れないものを扱って従魔が主人を気にかけないといけない状態よりいいと思いますよ」
「従魔が動きやすいようにしてあげるですか」
「そうなんです。強ければ一緒に戦うのもありだと思いますが、主人が下手に戦って負けていれば、従魔はそちらも気にして自分の相手も気にしてで、大変だと思いますよ」
それはそうだ。そんなこと考えたことなかった…。
確かに僕が戦って負けて困ってれば、今以上にルピの足を引っ張ってしまう。それなら、下手に今は戦うよりもルピがどうしたら動きやすいかを考えてあげる方が大切だ。
クセがあるって聞いてたけど、助言ができる素敵な店主さんじゃないですか!商用ギルドの評価が上がる。
「なら、さっそくレザーアーマーとナイフの柄のサイズを合わせますね!ピッタリ合うようサイズ調整でいいですか?」
「はい!よろしくお願いします」
「腕がなります。フフフ…」
そのあと、何度もナイフの柄のサイズを変更しては持たされ、持ち具合はどうだの滑りにくさはどうだのを追求された。
レザーアーマーに関しては、中にどんな服を着るのかや、今の服じゃない服を着た時の着け心地も肝心だと、店にある服を試着してはレザーアーマー着て調整。
やばい。やばいです。クセがあるとはこの事だったんだ…。
ようやく終わった頃には、太陽が沈み始め外が薄暗くなり始めてた。
散々試着した服も申し訳なかったので購入。しめて金貨6枚になりました。
「久々に満足できるまで調整できました!他のお客さんも調整してもらえれば動きやすいのに。だいたいでいいとか言われるので、やりがいがなくって‼︎」
「そうですか…。満足してもらえたならよかったです…」
そりゃ、こんな何時間もサイズ調整やらされるなら、だいたいでいいとなるわ。でも調整してもらえたおかげで、かなり動きやすいのも確かだ。
「お支払いは現金かギルドカードどうされますか?」
現金がなくなるのも困るし、ギルドカードでお願いする。装置の上に置くと、ステータスのような画面が出てきて、買う商品と値段が出てくる。最後に支払いボタンを押せばいい仕様。
「毎度ありがとうございます!」
「あの、疑問なんですがこれって高い金額でなければ、僕がギルドカードを落とせば使われてしまうんですか?」
「基本は無理ですね。どこのギルドのカードも登録時に登録者の指の痕を登録します。なので支払いボタンを押す指の跡が違えば支払い不可になってしまうんです」
指紋認証みたいなもんなのかな。それにしても本当にハイテクだなと感心する。疲れて椅子に座って寝てしまったルピに、お待たせと声をかけ起こした。マーヤさん達のもとへ帰ろう。
店主はよっぽど満足したのか、店の外まで出てお見送りをしてくれた。
2
あなたにおすすめの小説
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる