僕の従魔は恐ろしく強いようです。

緋沙下

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17話 クセがあるマッタリーナ

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ここのギルドもお姉さんはキレイだった。
やっぱり受け付けは顔だからキレイどころ揃えるんだろうなぁ。冷たくあしらわれるのも嫌だけど、教会みたいに精神力削られるのも嫌だなと思いながら話しかける。

「あの、魔物と戦うのに服と武器を探しているんですけど、どのお店に行けば良いですか?」

「戦闘をされるのはお客様ですか?お連れの従魔ですか?」

「一緒にいる子がメインなんですけど、僕も戦える服を探してます。でも今日は僕だけのものを探しに来ました」

「そうですねぇ。しっかりした鎧を扱っているお店もありますが、お客様では少々重いかもしれません。防御力は下がりますが、動きやすい防具を扱うお店でも大丈夫ですか?」

「それでお願いします」

「少々お待ちくださいね」

おぉー。普通だ。普通の対応だ。普通の対応すぎて逆に若干違和感。でもありがたいな。僕でも普通に客として対応してくれる受付さんに感謝する。

「お待たせしました。今お客様がいるのがここのギルドで、今回お勧めするのはこちらのマッタリーナです。良い防具を揃えてありますので、お気に召すものがあると思いますよ」

受付さんが布に書かれた地図を広げてくれて、場所の説明をしてくれる。どこでも紙はなかなかみないから、貴重品なのかもしれない。

「ありがとうございます。行ってみます」

「はい。ただ…少しクセのある店主なのですがすごく良い方ですから。ぜひ行ってみてください」

クセ?クセがあるって受付さんがあえて言ってくるのって、どうなんだろうとは思ったけど良いものが買えるならぜひ行ってみよう。
紹介されたお店に向かっていくと小さな二階建ての白を基調とした建物だった。ぶら下げるタイプの看板に"マッタリーナ"と書いてあるので、間違いなさそう。

「すいませーん。服と防具を買いに来ました。どなたかいらっしゃいますか?」

お店の中には誰もおらず、声をかけても反応がない。しばらく待ってみたけど、出てくる様子はなし。ただ、奥に人がいるような気配はあった。

うーん…どうしようかな。でも奥に勝手に行くのもなぁ…と悩んでいると、ルピがトコトコ歩き奥に向かって大きな声で鳴いて知らせてくれた。

「すいません‼︎奥で製作してたら気付かなくって。何をお求めですか?」

バタバタと奥から出てきたのは背が低くて、腰が低そうな女性だった。僕の想像があってるなら、多分ドワーフといわれる人なんだろうな。

「僕の戦闘用の服が欲しくて。軽くて動きやすいものが良いです」

「それなら、こちらの皮でできたレザーアーマーはどうでしょう?袖はないため腕が無防備にはなりますが、動きやすいと思います」

見せてくれたのは、ベストのような形のレザーアーマー。見た目は悪くないしなにより動きやすそう。
直感即決で行こう!

「はい。それでお願いします。あと、護身用で良いのでナイフがあれば見てみたいんですけど」

「うーん…。うちにはあまり武器はなくて。あるとしたらこの手のひらサイズの刃の長さのナイフか、あとは剣になってしまいますね」

「それなら、そのナイフで大丈夫です。メインは従魔の子なので、僕は本当に護身用で…ハハ」

自分で言っていて悲しい…。

「テイマーなんですね!テイマーは従魔が動きやすいようにしてあげるのも役目の1つですから、慣れないものを扱って従魔が主人を気にかけないといけない状態よりいいと思いますよ」

「従魔が動きやすいようにしてあげるですか」

「そうなんです。強ければ一緒に戦うのもありだと思いますが、主人が下手に戦って負けていれば、従魔はそちらも気にして自分の相手も気にしてで、大変だと思いますよ」

それはそうだ。そんなこと考えたことなかった…。
確かに僕が戦って負けて困ってれば、今以上にルピの足を引っ張ってしまう。それなら、下手に今は戦うよりもルピがどうしたら動きやすいかを考えてあげる方が大切だ。

クセがあるって聞いてたけど、助言ができる素敵な店主さんじゃないですか!商用ギルドの評価が上がる。

「なら、さっそくレザーアーマーとナイフの柄のサイズを合わせますね!ピッタリ合うようサイズ調整でいいですか?」

「はい!よろしくお願いします」

「腕がなります。フフフ…」

そのあと、何度もナイフの柄のサイズを変更しては持たされ、持ち具合はどうだの滑りにくさはどうだのを追求された。

レザーアーマーに関しては、中にどんな服を着るのかや、今の服じゃない服を着た時の着け心地も肝心だと、店にある服を試着してはレザーアーマー着て調整。

やばい。やばいです。クセがあるとはこの事だったんだ…。
ようやく終わった頃には、太陽が沈み始め外が薄暗くなり始めてた。

散々試着した服も申し訳なかったので購入。しめて金貨6枚になりました。

「久々に満足できるまで調整できました!他のお客さんも調整してもらえれば動きやすいのに。だいたいでいいとか言われるので、やりがいがなくって‼︎」

「そうですか…。満足してもらえたならよかったです…」

そりゃ、こんな何時間もサイズ調整やらされるなら、だいたいでいいとなるわ。でも調整してもらえたおかげで、かなり動きやすいのも確かだ。

「お支払いは現金かギルドカードどうされますか?」

現金がなくなるのも困るし、ギルドカードでお願いする。装置の上に置くと、ステータスのような画面が出てきて、買う商品と値段が出てくる。最後に支払いボタンを押せばいい仕様。

「毎度ありがとうございます!」

「あの、疑問なんですがこれって高い金額でなければ、僕がギルドカードを落とせば使われてしまうんですか?」

「基本は無理ですね。どこのギルドのカードも登録時に登録者の指の痕を登録します。なので支払いボタンを押す指の跡が違えば支払い不可になってしまうんです」

指紋認証みたいなもんなのかな。それにしても本当にハイテクだなと感心する。疲れて椅子に座って寝てしまったルピに、お待たせと声をかけ起こした。マーヤさん達のもとへ帰ろう。

店主はよっぽど満足したのか、店の外まで出てお見送りをしてくれた。
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