僕の従魔は恐ろしく強いようです。

緋沙下

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38話ルピと赤目と僕

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天気が良いのもあって、外が気持ちが良い!
今日のルピの服装はピンク色のオフショルダーサロペット。
ひらひらと揺れる肩のレースが可愛い。久々の街の外にルピも嬉しいのか、スキップしながら前を歩いている。

「ルピ、方角わかる?」

『わかるー♪』

ゲーハさんが部屋を出る前に、僕とルピにダンジョンで出た不幸のネックレスをくれた。
持って帰った冒険者達が、捨てても捨てても手元に戻ってくるんだと泣きついてきたものらしい。持ってるものの幸運を著しく下げるアイテムらしく、願い下げのアイテムみたい。

ゲーハさんは預かって呪魔封じの箱に入れていたらしいけど、お前には良いものだろうとくれた。
これのおかげで僕とルピの幸運は半分以下に下がった。偶然他の冒険者に見られたとしても、毎回魔石が出る心配がなくなったから、魔石以外のものも出てくるかな。
見られないように油断は禁物だけどね。

「ルピ、お腹減ったら言ってね。パンもお弁当もあるからね」

『じゃぁ、パン食べるー!』

「甘いやつ?おかずパン?」

「2つとも~♪」

目的の場所に着くまでに何度かルピにパンをねだられた。
ルピは口にパンを加えながら、出てくる魔物を倒していくため、何度かお行儀が悪いからダメだよ!と注意したけど、だっていきなり出てくるんだもん。と可愛く言ってくるので、外でだけだからねと僕はかなり甘いのかもしれない。

倒した魔物は魔石も出たけど、毛皮とか牙とか魔石以外も出てきたので、不幸のネックレスさまさまだ。

『ハヤト、この辺だよー』

「なんかいる?」

『うーん。今はいないの』

「いないならお弁当食べようか?パンたくさん食べたしお腹いっぱいかな?」

『食べれるー!』

鋼の胃袋だな。ルピを食べ放題に連れて行ったら際限なく食べそう。
座れそうな木陰を探して、そこでお弁当を広げていく。
2段弁当で1段目には揚げた肉のサンドイッチと野菜サンド。2段目は全てから揚げ…。茶色一色だよマーヤさん。いつも色とりどりなのにやっぱり4倍は大変だよね。

『いっぱいから揚げだ!お願い聞いてくれたの!やったー!』

「え、ルピが頼んだの?」

『うん!お弁当全部から揚げが良いって言ったの』

そうなんだ…。美味しそうに食べてたもんね。でも、僕は一段全てから揚げは…ちょっときつい。見るだけでお腹いっぱいになりそうだよ。
僕は野菜サンドから手をつけていくと、ルピはバクバクとから揚げを頬張っていく。

『ハヤト、なんか来てる』

「なにも見えないよ?」

ルピは立ち上がることなくから揚げを頬張りながら伝えてくるためか、全然僕も危機感がない。
泉の周りの木々についている葉ががザワッと揺れ強い風が吹いたかと思うと、そよ風が僕とルピを通り過ぎて行った。

『捕まえたよー』

「え?何にも見えないけど何かいるの?』

『そこにいるよ』

「ごめんね。ルピ、僕全然見えない…」

ルピがちょっと待っててねと何もない泉に向かって歩いていく。ルピが泉に羽を向けると泉がざわつき波紋が広がる。

‘‘ヒュィッ  ヒューイィィィ‘‘

見えないのに声だけ聞こえてきた。その後も、ルピが何度か羽を動かすと泉からパリンと割れる音がする。
パキパキとドーム状の空間が割れていくと、尻尾が3つ生えたルビーのような赤い目をした白いネコのような魔物?がいた。

『ハヤト見える?』

「あ…うん。見えるよ」

『これが風を起こしてたの。叩いて見えるようにしたけど、やっつけていいの?」

「えっと、えっとね、ちょっと待ってね。叩いちゃダメだよ」

‘‘ヒュゥーィ…ヒュゥゥーーイ……‘‘

怯えるように震えている。これはちょっと可哀そうだ。ルピに少し下がっててというと、ハヤトに手を出したらやっつけるからね!と言ってしまったため、さらに震えが悪化してる。

「大丈夫だよ。えっと、ごめんね。痛かったよね」

偶然出来た回復薬を出してキミにかけても良い?というと、そろそろと側に寄ってきたので回復薬をかけてあげた。可愛い。
そっと撫でようとするとビクッとされてしまったため、ごめんねと手を引っ込める。

『ビックリしたの‼いきなり攻撃されてビックリしたんだからね‼』

「え……。キミ喋れるの?」

『人間にあたしの声が聞こえるわけないじゃない』

いや、ばっちり聞こえてるんだけど…。赤い目と僕の目が合う。

『あたしが可愛いからって、人間油断してるな!やっつけるなら今しかな…へぶちッ』

『ハヤトに手を出すのダメ』

『なによ……!この乱暴者!』

ルピと赤目ネコがギャアギャアと言い合う。これどうしたら良いんだ…。とりあえず、ルピを落ち着けた方が良いのかな。

「ルピ、ちょっと離れようか。僕の側においで」

『ハヤト、こいつムカつく!やっつける!』

『やれるもんならやってみなさいよ!人間に飼いならされた魔物なんて、怖くなんて…ないのよ!』

おー。強がってる。一生懸命尻尾を立てて威嚇している。威嚇しているけど、お尻が下がり気味だ。その姿が可愛くて思わず笑ってしまう。

『なによ人間!こんな場面で笑えるなんて本当にバカなのね!』

「あのね、僕キミの声が聞こえてるんだ。かしこくはないけど、バカって言われるのは傷つくかな」

『本当、人間はバカな生き物なのね!』

「いや、だからねバカバカ言わないでくれる?」

『バカにバカって言ってなにが悪いの……よぉ?』

最後が変だ。そして、その変な顔で僕を見ないでくれる。笑ってしまいそうだよ。

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